高橋昌一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「感性の限界」高橋昌一郎
哲学思考ディベート。無色。
講談社現代新書。
「限界シリーズ」の3冊目では最も哲学的な命題、人間に関わる根源的なことがらについて取り上げられています。即ち、愛(行為)・意志(自由)・死(存在)の限界について。
誰にとっても最も身近な問題で、かつ考えても考えても答えのでない問題というのは、面白いんだけれども、面倒くさい。安直に逃げてしまいがちな命題です。
前二作同様、架空のシンポジウム形式で多くの異なる視座をもった出席者達のディスカッションを通じ、命題を切り開いていきます。
生理学者、神経生理学者、社会心理学者、行動経済学者、動物行動学者、認知科学者、ロマン主義者、行動主義者、実存主義者、進化論者、哲学史家、科学史家、フランス国粋主義者とフランス社会主義者、カント主義者、論理実証主義者、形而上学者(!)、急進的フェミニスト、会社員、運動選手、大学生…、
等々。
いろいろなセオリーや学史のつまみ食いなので、興味を持ったことはさらに自分で深めていくことができる、てつがくの入門書です。
また3冊通して読みかえしたい。
(5)
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以下メモ
行為の限界のパートに出てきた二重過程モデルについて。
システム1=直感的、素早い、無意識。
システム2=分析的、熟考する、顕在的。
計算機科学分野においては、ヒューリスティクス処理システム(システム1)と系統的処理システム(システム2)という用語が使われている。
問題点。人間は、理性的に判断すれば合理的と分かっていても直感的に判断した不合理な事柄に対して、”後付けの理屈”をつけて矛盾を軽減しようとする(認知的不協和)。
つまり、人間の行為には直感という認知バイアスによる限界がある、という論旨。 -
Posted by ブクログ
読み応えのあるゲーデル本。やはり縦書きの本であり、不完全性定理の証明のテクニカルな側面よりも、歴史的な背景と哲学的な意義について詳しく解説している。1930年のケーニヒスベルク会議と、1951年のギブス講演について詳細に書かれているのがとても嬉しい。ケーニヒスベルク会議は、ヒルベルトの記念講演「自然認識と論理」に加えて、数学基礎論における3学派(論理主義、形式主義、直観主義)の討論会が行われたり(フォン・ノイマンも講演している)と、華々しく開催されたのであるが、皮肉なことに、ゲーデルが初めて不完全性定理のアイデアを公表したのも、このケーニヒスベルク会議だったのである。結果的に数学界では受け入れられなかったブローウェルの「直観主義」が、ゲーデルにインスピレーションを与えたというのも、歴史的な皮肉としか言いようがない。
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Posted by ブクログ
科学はここまで迫ったのか~!というのが第一の感想です。
ヒューリスティックやアンカリング効果は知っていましたが、それが『自律的システム』と『分析的システム』による二重過程理論として説明し、また機械的運命論と非機械的運命論を一歩進めて『両方存在する』としたのはビックリです。
神様の気持ちになれば、『せっかく世界をつくったけれど、機械的に決められた世界は面白くないだろうなぁ。ランダム要素を入れた方がいいかな?』なんて考えたりする……という考え方にはなるほど納得です。大学生Aの思考が最新の科学で明らかに……というのは刺激的です。
感性の限界。感性といえば、うまく言語化できないインスピレーションを想像しますが、テーマは『行為の限界』、『意志の限界』、『存在の限界』で、ちょっとズレている気がしないでもないですが、どこを切っても面白い一冊に仕上がっているのは凄いです。
やっぱり、多様な学問を横断すると魅力がグッとアップしますね。
人間は思い込みや勘違い、先入観に左右されるから、例えば車の運転で、『交通違反をしていない』と思い込んでいるけれど、『実は違反しているかも知れない』、あるいは極端に『人を轢いたことがあったかも知れない』……。そう思うことが時々あります。
カメラとかがあれば別ですが、記憶だけが証拠の時って、不安になったりもします。忘れないようにとメモしていた内容が実は記憶違いで……というのもあるし、でも疑ってばかりでは先に進めないわけで、そこで謙虚な心構えが必要になってくるのかなと思います。
色々と期待の持てる内容で、今年一番に勧めたい一冊です。僕の評価はSにします。 -
Posted by ブクログ
講義を実際に受けていたので、あぁそんな話題もあったなぁ、とか、!!?この東大生Eって自分じゃない?などという楽しみ方ができた。
高橋昌一郎先生の講義は東大では一度しか行われなかったようで、受講することができて幸運な講義のひとつであると言える。(自慢できる)
学生の意見に対して口癖のように「おもしろい!」と言って広げてくださる、大変おもしろい方であったと記憶している。
他の著書、「理性の限界」、「知性の限界」など変わった形式でわかりやすく書かれている。
この本がベストセラーになった暁には、講義を受けていた学生を集めてパーティーを開催してくださるようなので、広く宣伝して行きたい、いやパーティーに行きたい!