高橋昌一郎のレビュー一覧
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相変わらずの縦横無尽な知的デフォルメ劇場。
前作よりもやや散漫な印象もあるが、要再読。
◯言語の限界
科学は言語の問題に集約されるのか。
・ウィトゲンシュタインのパラドックス
「規則は、それに従う行動を決定するもの」だが、有限個の観測事例から読み取れる規則は一意に定まるとは限らないので、「規則は、それに従う行動を決定できない」
・指示の不可測性
「語が何を指しているのか」という問題を追究するとき、言語を用いて答え続けるしかなく、どこまで適用範囲を狭めて問題に答え続けたとしても、その言語が言語外世界の特定の対象に対応していると確定することができない。
・翻訳の不完全性
「指示の不可測 -
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『理性の限界』、『知性の限界』、『感性の限界』という限界三部作を書いた高橋先生の著作。『知性の限界』の書評で好意的な中にも「もしかしたら(『理性の限界』の)出がらしかもしれない。」と書いたら「出がらしではないです」とTwitterでコメントされてしまったといういわくもあるのを思い出しながら読んだ。
本書でも、限界三部作でも使われたディベート形式が用いられている。自身の授業でもディベート形式で進めているというが、きっとこのフォーマットがフィットするのだろう。このフォーマットには、自身の主張やスタンスを明確にせずに進められるというメリットがある。一方、それはデメリットでもある。何となれば、内容と -
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ネタバレ帯の「人間はなぜ生きるのか?行動経済学、認知科学、進化生物学、実存哲学まで―愛と自由と死とは何か?」という文字に引かれ、購入しました。
最初「司会者、科学史家、哲学史家、カント主義者、会社員、大学生、運動選手などの対話形式になっている」ことに違和感を感じますが、これは、この本のテーマが、解答の無い問いに、現時点で解っていることを答えるという形式を取っているためでした。
結論から言おうと、買って読んで良かったです。並行して読んでいた内田樹先生の寝ながら学べる構造主義を理解するためにも役立ちました。
私は、より良く生きるために、脳や心のメカニズムについて知っていた方が良いと思います。しかし -
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駒場で行なわれたディスカッション形式の講義「論理学」を通して,東大生の思考を観察。若き優等生たちが,受験とは異質の哲学的な問いに対しどんな答えを返してくるか,著者も楽しんでいる。本の内容としては,同著者の『理性の限界』『知性の限界』の方が濃くてためになるが,「進振り」とか「シケ対」とか懐かしく読んだ。
理性と神秘の間,として例に挙げられていた,ファインマンの妻への手紙がしんみりした。高校時代に知り合い,病気を分かっていて一緒になった妻とお別れしたあと,彼は亡き妻へ手紙を書いて机にしまい,折に触れて何度も読み返していたらしい。いわずもがなだが,彼はノーベル賞もとった物理学者。といっても理性主 -
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孤高の天才数学者、ゲーデルさんについての本です。
定理っつぅと計算式やら机上の理論ってのが一般的な印象ですが、コレは人間の理性の限界を数式で証明したという、半分哲学の入ったカンジです。
人智が全てを知るコトは出来ないコトを、数式一つで表した物凄い人です(笑)
この本は、講談社なのにブルーバックスじゃないコトからもお分かりのように(?)文系でも分かりやすく比喩を交えて説明してあるので、数学が全然アレでも大丈夫です♪
このゲーデルさんはアインシュタインとも親交のあった高名な数学者なんですが、あまりにも頭が良すぎたみたいで…最後は神の存在を数式で表そうとした挙句に精神を病んで餓死してます(爆