高橋昌一郎のレビュー一覧
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新書という容れ物が好きだ。
よってこの本を見つけた時、ほぼ中身を見ないで買ってしまった。読み進めるうち少し違和感を感じ始めた。
取り上げている本のジャンルに少し偏りが感じられたのと、新しい本が多いこと(新しい本が多い事は「はじめに」ふれられている)。
作者の専門が倫理学らしいので、科学哲学も含めて、その系統の本が多いのは仕方ないかもしれないが、もう少し歴史系や経済系、そして現代的課題に取り組んだものなどもあるのではないかと感じた。
最後に「新書大賞」に関する批判が載っているが、納得できる部分と、その批判は本書の取り上げている本にもそのまま当てはまる部分が少しあるとも感じた。
ともあれ -
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以前読んだ認知バイアスが面白く、本書も読んでみた。本書は統計学的アプローチや情報学的アプローチから認知バイアスについて書かれており、理系寄り?な感じがした。前作の心理的な視点の方が興味が持てた。
◯ピークエンドの法則:検査の不快感は痛みの最大時と終了時点の痛みの平均が総合評価に影響。検査時間の長さは関係ない。つまり人は、印象に残った代表的なものと最後で評価する。
→面接でも使える。終わりよければ全てよし。コールセンターの謝って終わるのではなく、「指摘いただきありがとうございました」で終わるという技術は参考になる!
◯ホーソン効果:人は見られていると生産性が上がるというまの。
→聞いたことあ -
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コンピュータやゲーム理論の産みの親であり、原爆開発の中心人物であり、集合論や量子論、気象学でも多大な貢献のあった、20世紀最高の天才。
「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない」と言い放ち、第二次世界大戦後、冷戦前の時点でソ連への先制原爆攻撃を頑なに主張したマッドサイエンティスト。と、本書の一部ではノイマンのことをこう評しているが、ノイマンは自身が、ひいては1人の人間が、世界に与えられる影響を過小評価していたのではないかと思う。
そんな天才も、自身も参画していたヒルベルトプログラムに深刻な影響を与えたゲーデル(不完全性定理)に対しては敗北感を覚え、「20世紀最高の知性は自分ではなくゲーデ -
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まるで天才頭脳というチート能力を持った主人公が無双するファンタジー作品を読んでいるような気分になりました。それほどまでにノイマンの頭脳が産み出したものの影響力の大きさと分野の広さは常軌を逸しています。
タイトルからは悪魔のようなノイマンの哲学が書かれた重い内容を想像していたのですが、そこは比較的淡々と書かれていて、天才ノイマンの人生を追うエンターテイメントになっている印象です。
彼の頭脳と哲学が、日本への原爆投下や米ソの核開発競争に大きな影響を与えたことを見ると、1人の人間がこうも世界を変えられるのかということに、驚ろくと同時に恐ろしさを感じます。 -
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ネタバレ見開き2ページずつで解説されていますので、どうしても言葉足らずなのが否めません。強引にまとめている感じの部分もありますが、大学の新入生(本書の想定している読者だそうです)が読む分にはいいんじゃないかと思います。これ一冊で「数々の認知バイアスを理解できる」ということではなく、「そのようなバイアスが存在することを知る」くらいだということで、大学の授業などでより専門的な知識を得ることが想定される場合にちょうどいいといった感じです。
とはいえ認知バイアスというのは詳しく知ったところで矯正できるものではないので(ミュラー・リヤー錯視などがわかりやすい)、「存在することを知る」だけでいいなら十分だと思いま -
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1.書店で見たときに、どこかで見たことがあると思ったので読みました。
2.オーストリアで生まれたノイマンは8歳の時点で大人顔負けの数学や暗記能力を発揮しております。その才能は学校に行っても発揮され、数々の大学教授を驚かせます。大学卒業時には学士と博士の両方の単位を取得し、社会へ飛びだちます。その後は、大学教授や研究機関に所属し、年間100本ペースの論文を執筆していきます。なかでも際立った発明は原爆とコンピュータの発明です。
このような数々の偉業を成し遂げたノイマンがどのような生涯を送ったのか、本書では本人の生い立ちと共に、友人関係と絡めながら書かれています。
3.スティーブ・ジョブズと重ね -
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【感想】
本書は、「とあるフォーラムに集まった多種多様な人々が、思い思いにポジショントークをする」という舞台設定の中で、古今東西の哲学的論考を柔らかく解き明かしていく。テーマはタイトルにある通り「不可測性・不確実性・不可知性」だ。
タイトルだけを読むと難解な本という印象を受けるが、開いてみると真逆のコメディタッチ。小気味よくお話が進行していくため、その面白さから一気に読み終えてしまった。
「哲学ディベート」は扱っているテーマの複雑さから、えてして議論が難解になりがちであるが、この本は全く違う。
女子学生、会社員、哲学者、科学者から運動選手まで、様々なキャラクターたちが好き勝手に議論を脱線さ -
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自己分析というと、日本で一番必要になってくるのは「シュウカツ」の時期でしょうか。自分はどんな仕事をしたいのか。自分にはどのような業種・職種・会社が向いているのか。どのような会社が自分を必要としているのか。これをしないまま就職活動をすると、キミ、自分のこと何もわかってないね。就活ナメてるの?となる。
本書は、こういった就職活動における自己分析に始まり、人間関係における自己分析、人生哲学における自己分析に話が進みます。3つの章のボリュームは同じくらいなのですが、ここでは哲学にフォーカスしたいと思います。
◆ソクラテスの魂論
人類で最初に「自分とは何か」という問題について徹底的に考え抜いた人は、