高橋昌一郎のレビュー一覧
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ネタバレゲーデルは、不完全性定理によって、論理学から全数学を導出することができないことを明らかにしましたが、さらにタルスキーは、「真理性」を対象言語内で定義できないという事実を厳密に証明しました。すなわち、「ゲーデル・タルスキーの不完全性定理」によって、ウィーン学団が理想とする普遍的言語やそれに基づく統一科学も、厳密には実現不可能であることが立証されたわけです。皮肉なことに、ウィーン学団の「論理学という武器」によって、論理実証主義の理想が破壊されたのです。p54
【クワイン「指示の不完全性」】p81
たとえば、英語をまったく知らない人に"table"を教えるため、その語を発音しな -
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限界シリーズ3冊目ということで購入。
理性の限界や知性の限界に比べて、抽象的な内容が多かったように思う。
愛とはなにか、自由とはなにか、人間の存在とはなにか、などについて科学的な引用を交えて書いてある。
我々人間の認知における矛盾などに関しては科学的事実として楽しめた。
しかし、今までよりも曖昧で、本書で扱われた内容には明確な答えがないものが多かったように思う。
それこそ人々の思想であって、事実ではない。
そういう意味で、今までと同じ流れを期待すると少し当てがはずれるかもしれない。
内容は充分面白いし、単一の作品としてはありだと思う。
だが、シリーズで見ると少し異色。そんな感じ。 -
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☆4
色とりどりの知的刺激が魂を揺さぶる、とても面白い本だよ!
ウィトゲンシュタインが言う「言語的問題」にとても共感したよ。
私たちは、考える時に道具として「言葉」を使う。すると、ある言葉の定義が人間にとって普遍的なものでない限り、言葉によって考え出された理論は人間にとって普遍的な真理となるはずはないのではないか、というのが私のかねてからの疑問だった。
そこに明快な見解が示されており、更には自己矛盾まで含んでいるなんて!ここがこの本で一番興奮した部分かな。
他にも、帰納法の落とし穴やバタフライ効果など興味津々な話題あり、ビッグバンから原子が創られ人間に至るまでの途方もない数の偶然に愕然とす -
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ネタバレ意思と意志。必ずしも合理的でない、理屈でない選択をする、ヒトの思考・行動の背景を深く考えさせるガイドブックだった。
「限界」シリーズ残りの二冊も読んでみよう。
メモ〉
ヒトの認知活動→ 二重課程モデル(共存する)
・ヒューリスティック処理システム(直感的)
・分析系・系統系システム(分析的)
認知的不協和→負け惜しみ
フレーミング効果→得をするフレームではリスクを避け、損をするフレームではリスクを冒そうとする。
意志と意思
・理性的、知性的に思考する意思
・感性的な自発性を主体とする意志(哲学的)
不条理から逃れる方法
自殺、盲信、反抗
小集団の論理
共感や排他など感情的な結合か -
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限界シリーズの著者、高橋昌一郎さんが書いた本。たぶん、タイトルだけだったら、何かムッときて読まなかったと思う。高橋さんの本だから読んでみたが、予想外に面白かった。
第1章での男女関係の問題。「男子学生Xが大学入学当時から同じ学部の女子学生Jと交際している。Jは性格的に優しく可愛らしい女性であり、真面目なXとは似合いのカップルだと周囲からも言われている。Jと女子高時代からの親友Kは、どちらかというとクールな美人タイプで同じ学部に所属している。Xには、そのように高校から一緒に進学してきた同性の親友がいないのでJとKの友情を非情に好ましく思っている。
大学ではJとKが一緒にいることが多く、もちろ -
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『理性の限界』『知性の限界』に続く限界シリーズ第三弾。
大学生や会社員、行動経済学者や生理学者などなど、ユニークなキャラクターが登場しシンポジウムを繰り広げる形は変わらず、今回は「愛」や「自由」「死」について考えていくことになる。
恋愛について、相手のことで頭がいっぱいになって胸が高鳴り、いてもたってもいられない気持ちを、神経生理学者は「軽い躁鬱症と強迫神経症の合体した一種の中毒症状」だと言い切る。
様々な専門家が各々の観点から極端とも言える意見をぶつけ合うのは、この本の楽しさの一つ。
著者が「楽しみながら考えていただくという趣旨を優先している」というように、今回も知的好奇心をくすぐる内 -
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ゲーデルの不完全性定理の解説、およびそこから導かれるゲーデルが考えた不完全性定理の哲学的帰結の解説本。
不完全性定理の解説は例が非常に巧みで、論理記号などは一切使われていないんだけれど、「なにこのわかってしまった気がする納得感!!」がある。
電車の中などで気軽に読んでも、論理学の素人にとって途中で迷子にならずぎりぎり理解できるか!?その瀬戸際を行き来しながら読んでしまえるぐらいの絶妙な難しさ加減が丁度良かった。不完全性定理のキモとなるゲーデル数化の概念もすんなり入ってくる。
この解ってしまった感って、こういう本の場合結構重要。実際に誰かに不完全性定理について説明しろなんて言われたらなんに -
Posted by ブクログ
三流大学のインチキ理系を首席で落第し、それでいてなお似非教養主義者を自称したい自分には目から鱗の一冊だった。
ゲーデルの不完全性定理はその名前だけ耳にしたことはある。
しかしその内容に自分のしがない理系的知識が吹き飛んだ。
数学って絶対的だと思っていたから。
しかしゲーデルのよると数学はそれ自身無矛盾であることを証明できないそうだ。
これは衝撃的だった。
この本の素晴らしいところはその一見難解そうな定理を下手に数式やら記号を使わずにパズル(というかナゾナゾというか)で説明し切っているところにある。
なので高校の微積で躓いた自分にもその不完全性定理の概要を上手く掴むことができた。