高橋昌一郎のレビュー一覧
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ネタバレシリーズ三部作の最後をいきなり手に取ってしまいました。
順番に行くべきなのでしょうが、興味を持ったのがこちらからだったので。
できるだけわかりやすく、そしてトライしやすいようにシンポジウム形式で書かれているのでしょうね。
話の種的な、知的な考察についてのいろんな引き出しを増やすための本のように感じました。
これを読んで何かを深く理解したり納得したりというよりは、こちらを取っ掛かりにして深めていくためのきっかけ本なのでしょう。
内容は難しいですが、すごく工夫をしてできるだけ噛み砕いてという意図で書かれたことが伝わってきます。
「実存は本質に優先する」という言葉。初めて自分は知りましたが、ここに書かれたガリレオの例がとてもわかりやすい。そういうことかと納得。
そして生きている以上は何らかの生きてる証を残したいと考えるのが人の常なのではないかと常々思っていましたが、「人間にとって最も崇高なのはむしろ自分を捨てる『無私の行為』なのではないか」という言葉と、その言葉と共に書かれた史実に衝撃を受けました。
コルベ神父のお名前は耳にしたことはありますが、きちんと史実の内容を記憶していませんでした。
生きてる証を残すことばかりが崇高であるわけではないのですね。確かに、無私の行為はなかなかできることではないです。
難しく感じる内容もそれについての事例や説明がたくさんなされていて(そして時々脱線もしていますがそれもまた面白い)読み応えがあります。
あとがきの内容にも考えさせられました。
誰にでも薦められる本ではないですが、多くの人に読んで欲しい内容です。 -
Posted by ブクログ
勝ち負けを争うソフィスト的なディベートから、知を愛するソクラテス的な哲学ディベートへ!
そんな言葉が頭をよぎった。代理出産、死刑制度、安楽死などの「現代の〈倫理〉的問題を〈論理〉的に考える」(p.300)ことを目的とした架空のディベートから成る本書は、ともすれば感情的に語ってしまいがちな問題を理性的に考えるための一助になる。
対話を通じて整理された論点を虚心坦懐に眺めてみると、賛成派・反対派のどちらの側にも一理あることが分かる。いわば真理が分有されているのであるから、いくら議論を尽くしたとしても、「正しい答え」が出てくることはないのだろう。
倫理的な問題の解決は遅々として進まないのに、科学技術の進展とともに現実だけがどんどん先に進んでいく。この前のめりな現代社会のあり方についても思いを馳せざるを得ない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレゲーデルは、不完全性定理によって、論理学から全数学を導出することができないことを明らかにしましたが、さらにタルスキーは、「真理性」を対象言語内で定義できないという事実を厳密に証明しました。すなわち、「ゲーデル・タルスキーの不完全性定理」によって、ウィーン学団が理想とする普遍的言語やそれに基づく統一科学も、厳密には実現不可能であることが立証されたわけです。皮肉なことに、ウィーン学団の「論理学という武器」によって、論理実証主義の理想が破壊されたのです。p54
【クワイン「指示の不完全性」】p81
たとえば、英語をまったく知らない人に"table"を教えるため、その語を発音しながら、テーブルを指したとしましょう。しかし、相手は、必ずしもそれが物体の名称を指すと認識するとは限りません。その発音は、テーブルの色や材質、部分や全体、あるいは使用法を意味しているのかもしれません。要するに、その発音が何を指示しているのかを絶対的に確定することはできないわけで、この事実をクワインは「指示の不可測性」と呼んでいます。
【ハンソン「観察の理論負荷性」】p93
近代科学が前提とする「帰納法」は、何よりも多くの個別的事例を「観察」して、それらの共通する普遍的パターンとしての「理論」を発見する方法でした。その集大成ともいえる論理実証主義においては、あらゆる経験的知識が、「純粋な観察」の集積によって与えられるものとみなされたわけです。
ところが、ハンソンによれば、そのような「純粋な観察」は、存在しません。「観察」は、常に一定の「理論」を背負っているわけで、「理論」に基づかない「観察」は存在しないのです。これをハンソンは「観察の理論負荷性」と呼んでいます。
Eg. 医師→レントゲン、音楽家→楽譜
【演繹法と帰納法】p118
そもそも人間の思考というか、推論の形式は、大きく2種類にわけられます。
・「演繹法」:普遍的な前提から個別的な結論を導く推論方法。
・「帰納法」:個別的な前提から普遍的な結論を導く推論方法。Eg. 日はまた昇る Cf. 「自然の斉一性原理」「効率的市場仮説」
「自己組織化臨界状態」≒「バタフライ・エフェクト」p184
ケンブリッジ大学の宇宙物理学者スティーヴン・ホーキング「人類は、銀河の千億個の中の一つの、しかもその中心から外れた位置にある平均的な恒星を回る中規模の惑星の上に生じた化学物質の浮いたカス」p194
ファイヤアーベント『暇つぶし』⇔カール・ポパー『果てしなき探求』p208
「方法論的アナーキズム」なんでもかまわない
【「目的論的証明」とインテリジェント・デザイン】p234
18世紀のイギリスの神学者ウィリアム・ペイリー→草原で拾った腕時計、虫や植物
【カント:宇宙論的理念を考察する際に純粋理性が必然的に陥らざるをえない4組のアンチノミー(二律背反)】p240
<宇宙論、原子論、自由意志、神>
①「世界は時間的・空間的に有限である」と「世界は時間的・空間的に無限である」
②「世界のすべての実体は単純な有限部分から合成される」と「世界のすべての実体は無限に分割できる」
③世界の現象は自然法則および自由意志による因果性を有する」と「世界の現象のすべて自然法則による因果性を有するのみであって自由意志は存在しない」
④世界の原因として絶対的必然的な存在者が実在する」と「世界の原因として絶対的必然的な存在者は実在しない。
ノーベル賞を受賞した物理学者スティーヴン・ワインバーグ「宇宙が明確になるにつれ、宇宙に意味がないこともますます明確になってくる」p252 -
Posted by ブクログ
限界シリーズ3冊目ということで購入。
理性の限界や知性の限界に比べて、抽象的な内容が多かったように思う。
愛とはなにか、自由とはなにか、人間の存在とはなにか、などについて科学的な引用を交えて書いてある。
我々人間の認知における矛盾などに関しては科学的事実として楽しめた。
しかし、今までよりも曖昧で、本書で扱われた内容には明確な答えがないものが多かったように思う。
それこそ人々の思想であって、事実ではない。
そういう意味で、今までと同じ流れを期待すると少し当てがはずれるかもしれない。
内容は充分面白いし、単一の作品としてはありだと思う。
だが、シリーズで見ると少し異色。そんな感じ。 -
Posted by ブクログ
☆4
色とりどりの知的刺激が魂を揺さぶる、とても面白い本だよ!
ウィトゲンシュタインが言う「言語的問題」にとても共感したよ。
私たちは、考える時に道具として「言葉」を使う。すると、ある言葉の定義が人間にとって普遍的なものでない限り、言葉によって考え出された理論は人間にとって普遍的な真理となるはずはないのではないか、というのが私のかねてからの疑問だった。
そこに明快な見解が示されており、更には自己矛盾まで含んでいるなんて!ここがこの本で一番興奮した部分かな。
他にも、帰納法の落とし穴やバタフライ効果など興味津々な話題あり、ビッグバンから原子が創られ人間に至るまでの途方もない数の偶然に愕然とするよ。
最後にはエヴァンゲリオンを彷彿とさせる「宇宙的意識」なんて考え方にも足を突っ込むことができる。巻末の参考文献から、自分の興味をどんどん広げていきたいと思ったよ!