中野好夫のレビュー一覧
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18世紀アイルランドの作家ジョナサン・スウィフト(1667-1745)による風刺小説、初版1726年。デフォー『ロビンソン・クルーソー』(1719年)の流れをくむ空想旅行記であり、今日のSF(空想科学小説)の源流のひとつであるといえる。異世界との邂逅を契機として、同時代英国の政治、社会、文化を批判し、ついには人間そのものに対する深い絶望が語られるにいたる。そこでスウィフトは、人間観の更新を試みようとしていたのではないかと思う。
第一篇 リリパット(小人国)渡航記
第二篇 ブロブディンナグ(大人国)渡航記
第三篇 ラピュタ、バルニバービ、グラブダブドリッブ、ラグナグおよび日本渡航記
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ネタバレ下巻は知らない話が多い。知っていたのは「アリ・ババと40人の盗賊」だけ。巻末解説によれば、上巻の「シンドバッド」と下巻の「アリ・ババ」という有名な2つの物語は原本にはなかったそうだ。
「ヘビの妖精と2ひきの黒犬」
拝火教(マギ)の町。バグダッドの教主(カリフ)。
「シナの王女」
恋煩いの故に配下をボコボコに殴る王子と王女、王女の恋煩いを治せない占い師を100人以上も殺す王。最後は王子と王女が結婚し、ハッピーエンドということになっているが、今の感覚で読むと王族の身勝手さという印象が強い。
「魔法の馬」
ペルシア、ベンガル、カシミールの王族が絡む結婚の話。
「ものいう鳥」
ペルシアの皇帝と -
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チェコの作家、カレルチャペック氏の中編小説集。
カレルチャペックは装丁が可愛くて、大学生の頃気に入っていてちょこっと読んでいました。
こちらも装丁が可愛くて、手に取ってみることに。
装丁デザインは和田誠さん。さすがですね。
挿絵を手がけたのは兄のヨゼフチャペック氏。
古さを感じさせないとってもお洒落なイラスト。才能のある兄弟ですね。
(ちなみにこのカレルチャペック氏、「ロボット」ということばを作った人らしいです)
タイトルの「長い長い郵便屋さんのお話」を含む、9つの物語。
大体は自由奔放でハチャメチャ。といった雰囲気。
郵便局やカレル広場の小人の話、お巡りさんが竜を退治する話、チェコの川 -
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ネタバレヴェニスの商人・アントーニオ、ユダヤの金貸・シャイロックとのいわゆる「人肉裁判」で有名な喜劇作品。
正直あんまり面白くはなかった。まずSSのような台詞形式であるため、風景や場面などが浮かびづらい。気づいたら退場していた、なんてことがままある。また、(これは現代人だからかも知れないが)シャイロックへの扱いが理不尽に感じた。きつく当たっていた人物(アントーニオ)がその本人に恨まれるのは当然じゃね…?と。従って一番の見せ場となる裁判の結果も、スッと入ってこなかった。
それでも訳者の解説は必見。「実はシェイクスピアは素材、原話は他人任せであること」・「1290〜1650年の間、ロンドンではユダヤ人が殆 -
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ネタバレ読む年代により感想が大きく分かれると思う。
10代、20代の方がこの本を読んで感じられるのは虚無感だと思う。
まさに作品中に出てくる青年の心情が投写される気がする。
ただ、年齢を重ねた方が読めば作品に書かれていることは一種の免罪符になり得る。
人は形成するものは産まれ持った気質と教育であり自由意志など持たないと言う事実を延々と突きつける形で進んでいく。
ただ、その事実に対する著者の成否や判断は作品中一切行われず読者に委ねられる。唯一、著者の心情を表してそうなのは最後の一文のみである。
事実を提示するのみで、論理展開が行われないため単調な進行となり、読む人によってはつまらないと言った感想抱 -
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マークトウェイン 「 人間とは何か 」
対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。
機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎない」と読み替えた。人間には、他者満足のためだけに行動したり、周囲に構わず自己判断するプログラムがない という意味。
この本全体に漂う「創造するのは神のみ、人間は機械にすぎない」という論調だと 人間の意義に たどり着かない気がする。
人間機械論の悲観的現実
*人間の政治意識、趣味、道徳、信仰をつくるのは周囲の影 -
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コンラッドは、自身が船長として、現在のコンゴ民主共和国のキサンガニ(スタンリー・フォールズ)に遡行した時の経験を基に、この小説を書いたとあとがきにあります。
主人公がアフリカの奥地で出会うクルツという人物の心の闇、そして19世紀当時のアフリカのジャングルの闇が不気味に描写されています。
このあたり、映画の「地獄の黙示録」は、この小説の雰囲気を良く伝えています。実際、フランシス・コッポラはこの作品の映画化を真剣に検討していたようです。マーロン・ブランド演ずるカーツ大佐の名前が、クルツに似ているのは偶然ではないでしょう。
異郷であれ、大都会であれ、そこに住む人間の寂寥を描く、というのは文学の