中野好夫のレビュー一覧

  • ガリヴァ旅行記

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    18世紀アイルランドの作家ジョナサン・スウィフト(1667-1745)による風刺小説、初版1726年。デフォー『ロビンソン・クルーソー』(1719年)の流れをくむ空想旅行記であり、今日のSF(空想科学小説)の源流のひとつであるといえる。異世界との邂逅を契機として、同時代英国の政治、社会、文化を批判し、ついには人間そのものに対する深い絶望が語られるにいたる。そこでスウィフトは、人間観の更新を試みようとしていたのではないかと思う。

     第一篇 リリパット(小人国)渡航記
     第二篇 ブロブディンナグ(大人国)渡航記 
     第三篇 ラピュタ、バルニバービ、グラブダブドリッブ、ラグナグおよび日本渡航記
     

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    2024年07月02日
  • ガリヴァー旅行記

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    全員4編入っているのかと思ったら、前半2編の収録だった(自分の確認ミス)。『小人国渡航記』は、絵本等でも有名な物語。ストーリー自体のワクワク感は変わらないが、若年層向けの翻訳だけに大分印象は違う。単純な冒険物語ではない側面もしっかりと描かれている為だろう。『大人国渡航記』の方は今回初読だが、国王との対話が実に考えさせられる。現代にも通じる視点がある。風刺については捉われず物語として楽しんで欲しい、とのスタンスによる翻訳のようだが、個人的には、多少社会批判的視野を持ってから読むと尚面白い内容だと思う。

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    2024年06月13日
  • アラビアン・ナイト 下

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    ネタバレ

    下巻は知らない話が多い。知っていたのは「アリ・ババと40人の盗賊」だけ。巻末解説によれば、上巻の「シンドバッド」と下巻の「アリ・ババ」という有名な2つの物語は原本にはなかったそうだ。

    「ヘビの妖精と2ひきの黒犬」
    拝火教(マギ)の町。バグダッドの教主(カリフ)。

    「シナの王女」
    恋煩いの故に配下をボコボコに殴る王子と王女、王女の恋煩いを治せない占い師を100人以上も殺す王。最後は王子と王女が結婚し、ハッピーエンドということになっているが、今の感覚で読むと王族の身勝手さという印象が強い。

    「魔法の馬」
    ペルシア、ベンガル、カシミールの王族が絡む結婚の話。

    「ものいう鳥」
    ペルシアの皇帝と

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    2024年04月24日
  • 不思議な少年

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    視点や考え方の違いを理解せず求める怖さ。

    追加
    選挙結果でこの物語を思い出した。同床異夢、その通りと思いきや違う側面がメインだったなど。

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    2025年09月05日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    ネタバレ

     表題2作の他に「ウィリアム・ウィルソン」・「裏切る心臓」・「天邪鬼」・「マリ・ロジェエの迷宮事件」・「盗まれた心臓」を収録。
     各篇ともジャンル小説の体裁ではあるが、怪奇小説なら主人公の恐怖体験だけでなくその前後の堕落と破滅の描写に、探偵小説なら事件のトリックよりも人が物事をどのように捉え考えがちなのかについての考察に重きを置いている印象だ。冗長な箇所があったり作品全体の完成度が低かったりはするが、人間心理の追究は見事だと思う。

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    2023年10月03日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    黒猫
    ウィリアム・ウィルソン
    裏切る心臓
    天邪鬼
    モルグ街の殺人事件
    マリロジェエの迷宮事件
    盗まれた手紙

    みんな大好きポーの作品を初めて読んだがなんだか予想とは違う作風。もっとガッツリエンタメを予想していたのだがジワリと徐々に湿ってくるような面白さだった
    そして翻訳の古めかしい文体がまたいい塩梅で美しさと不気味さが出ていて心地よい
    個人的お気に入りはウィリアム・ウィルソン、裏切る心臓、モルグ街の殺人事件だ

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    2025年01月14日
  • 不思議な少年

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    『トムソーヤの冒険』と同じ作者の作品とは思えないような暗い作風でした。作者の意外な一面を見れたような気がしました。

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    2022年10月03日
  • 長い長いお医者さんの話

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    チャペックの有名な児童文学を、数ヶ月かけてのんびり読んだ。
    チャペック兄のゆるいイラストも、とても良かった。
    郵便やさんの話、幻想的な犬のダンスをみた犬の話、正直者のルンペンがかばんを見守り、一年間拘留された話が印象的だった。

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    2022年04月24日
  • 長い長いお医者さんの話

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    チェコの作家、カレルチャペック氏の中編小説集。

    カレルチャペックは装丁が可愛くて、大学生の頃気に入っていてちょこっと読んでいました。
    こちらも装丁が可愛くて、手に取ってみることに。
    装丁デザインは和田誠さん。さすがですね。
    挿絵を手がけたのは兄のヨゼフチャペック氏。
    古さを感じさせないとってもお洒落なイラスト。才能のある兄弟ですね。
    (ちなみにこのカレルチャペック氏、「ロボット」ということばを作った人らしいです)

    タイトルの「長い長い郵便屋さんのお話」を含む、9つの物語。
    大体は自由奔放でハチャメチャ。といった雰囲気。

    郵便局やカレル広場の小人の話、お巡りさんが竜を退治する話、チェコの川

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    2022年03月29日
  • アラビアン・ナイト 上

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    訳も再編の目的も明確で読みやすい。
    まあそもそもが「ヨーロッパ人が夢見るエキゾチックな嘘アジアの話」なので、読んでてその地理描写は中国じゃねえとか、中東エリアにその価値観を持ち込むなとか言いたいことだらけだけどな。

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    2022年03月11日
  • ヴェニスの商人

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    ネタバレ

    ヴェニスの商人・アントーニオ、ユダヤの金貸・シャイロックとのいわゆる「人肉裁判」で有名な喜劇作品。
    正直あんまり面白くはなかった。まずSSのような台詞形式であるため、風景や場面などが浮かびづらい。気づいたら退場していた、なんてことがままある。また、(これは現代人だからかも知れないが)シャイロックへの扱いが理不尽に感じた。きつく当たっていた人物(アントーニオ)がその本人に恨まれるのは当然じゃね…?と。従って一番の見せ場となる裁判の結果も、スッと入ってこなかった。
    それでも訳者の解説は必見。「実はシェイクスピアは素材、原話は他人任せであること」・「1290〜1650年の間、ロンドンではユダヤ人が殆

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    2022年02月15日
  • ヴェニスの商人

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    さすが名作。愛と友情を以って悪を打ち破る王道ストーリーを綺麗に描ききってます。また、キリスト教の改宗を迫ったり、三つの箱の内、鉛の箱があたりだったりと、細部まで考察するポイントも多数あります!

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    2021年12月10日
  • 人間とは何か

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    ネタバレ

    読む年代により感想が大きく分かれると思う。
    10代、20代の方がこの本を読んで感じられるのは虚無感だと思う。
    まさに作品中に出てくる青年の心情が投写される気がする。
    ただ、年齢を重ねた方が読めば作品に書かれていることは一種の免罪符になり得る。

    人は形成するものは産まれ持った気質と教育であり自由意志など持たないと言う事実を延々と突きつける形で進んでいく。

    ただ、その事実に対する著者の成否や判断は作品中一切行われず読者に委ねられる。唯一、著者の心情を表してそうなのは最後の一文のみである。

    事実を提示するのみで、論理展開が行われないため単調な進行となり、読む人によってはつまらないと言った感想抱

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    2021年11月04日
  • 人間とは何か

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    若い時に読んだこの本は自分の人生に無視できない影響を及ぼしているような気がずっとしていた。人間は機械であり、自分は出来損ないの機械なんだろうという思い。
    読後、約30年。機械だから何だというのだ、むしろ出来損ないの機械ならではのオモロイ社会を笑い飛ばしながら生きてきた。これでいいのだ。

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    2021年06月04日
  • アラビアン・ナイト 上

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    上巻は『シンドバッドの冒険(1〜7回目の航海)』、『アラジンと魔法のランプ』『ペルシア王と海の王女』『ベーデル王とジャウワーラ姫』の全10編。シンドバッドやアラジンは現代でも(あるいは日本でも)モチーフにした作品が作られているので、却って原典の雰囲気やシンプルなストーリーに触れる価値を感じる。特にアラジンは中国の話として描かれている(ただし、どう読んでも中国ではない)ことなど、客観的に見て楽しめる部分が多い。内容といい文体といい、読みやすいとは言いがたいので、小学校高学年以上向けというのも納得。

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    2021年03月03日
  • ガリヴァー旅行記

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    本当はこのあとも続くとのこと。

    絵本で読んでいたイメージのガリバー旅行記。
    イメージと全然違ってびっくり。
    大人向けで出版された物語とあって、
    かなり面白いストーリー。

    主人公が、小人の住む小人国と
    巨人の住む大人国へ行く。
    ありえない設定を、信じ込ませてくれるリアリティのある書き方がすごい!数字とか食事の描写がリアル。

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    2021年01月17日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    世界で初めて推理小説の定義として書かれた作品。再読。今読むと少しずるいところとかあるけど、デュポンとその友人の設定と同居するところ、デュポンが相手を考察するところなど、緋色の研究のホームズを思わせるようなコンビオマージュはこれが、起源ではないかと思う。

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    2021年01月17日
  • ヴェニスの商人

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    ネタバレ

    シェイクスピアで初めて読んだ作品。
    悲劇作品かと思ったが、典型的な勧善懲悪ものであった(ように感じた)。
    ユダヤ人差別が露骨に描かれていて、当時のシェイクスピアがどういう思いで書いたのかはわからないが、現代人の自分から見たら一種の風刺作品のようにも思えた。終始悪者扱いだったシャイロックがまた違った結末を迎えていたならば、作品は全く違った様相を呈したのだろう。

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    2020年03月26日
  • 人間とは何か

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    マークトウェイン 「 人間とは何か 」

    対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。

    機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎない」と読み替えた。人間には、他者満足のためだけに行動したり、周囲に構わず自己判断するプログラムがない という意味。


    この本全体に漂う「創造するのは神のみ、人間は機械にすぎない」という論調だと 人間の意義に たどり着かない気がする。


    人間機械論の悲観的現実
    *人間の政治意識、趣味、道徳、信仰をつくるのは周囲の影

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    2020年01月20日
  • 闇の奥

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    コンラッドは、自身が船長として、現在のコンゴ民主共和国のキサンガニ(スタンリー・フォールズ)に遡行した時の経験を基に、この小説を書いたとあとがきにあります。

    主人公がアフリカの奥地で出会うクルツという人物の心の闇、そして19世紀当時のアフリカのジャングルの闇が不気味に描写されています。

    このあたり、映画の「地獄の黙示録」は、この小説の雰囲気を良く伝えています。実際、フランシス・コッポラはこの作品の映画化を真剣に検討していたようです。マーロン・ブランド演ずるカーツ大佐の名前が、クルツに似ているのは偶然ではないでしょう。

    異郷であれ、大都会であれ、そこに住む人間の寂寥を描く、というのは文学の

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    2018年12月02日