中野好夫のレビュー一覧
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チェコの作家、カレルチャペック氏の中編小説集。
カレルチャペックは装丁が可愛くて、大学生の頃気に入っていてちょこっと読んでいました。
こちらも装丁が可愛くて、手に取ってみることに。
装丁デザインは和田誠さん。さすがですね。
挿絵を手がけたのは兄のヨゼフチャペック氏。
古さを感じさせないとってもお洒落なイラスト。才能のある兄弟ですね。
(ちなみにこのカレルチャペック氏、「ロボット」ということばを作った人らしいです)
タイトルの「長い長い郵便屋さんのお話」を含む、9つの物語。
大体は自由奔放でハチャメチャ。といった雰囲気。
郵便局やカレル広場の小人の話、お巡りさんが竜を退治する話、チェコの川 -
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ネタバレヴェニスの商人・アントーニオ、ユダヤの金貸・シャイロックとのいわゆる「人肉裁判」で有名な喜劇作品。
正直あんまり面白くはなかった。まずSSのような台詞形式であるため、風景や場面などが浮かびづらい。気づいたら退場していた、なんてことがままある。また、(これは現代人だからかも知れないが)シャイロックへの扱いが理不尽に感じた。きつく当たっていた人物(アントーニオ)がその本人に恨まれるのは当然じゃね…?と。従って一番の見せ場となる裁判の結果も、スッと入ってこなかった。
それでも訳者の解説は必見。「実はシェイクスピアは素材、原話は他人任せであること」・「1290〜1650年の間、ロンドンではユダヤ人が殆 -
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ネタバレ読む年代により感想が大きく分かれると思う。
10代、20代の方がこの本を読んで感じられるのは虚無感だと思う。
まさに作品中に出てくる青年の心情が投写される気がする。
ただ、年齢を重ねた方が読めば作品に書かれていることは一種の免罪符になり得る。
人は形成するものは産まれ持った気質と教育であり自由意志など持たないと言う事実を延々と突きつける形で進んでいく。
ただ、その事実に対する著者の成否や判断は作品中一切行われず読者に委ねられる。唯一、著者の心情を表してそうなのは最後の一文のみである。
事実を提示するのみで、論理展開が行われないため単調な進行となり、読む人によってはつまらないと言った感想抱 -
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マークトウェイン 「 人間とは何か 」
対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。
機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎない」と読み替えた。人間には、他者満足のためだけに行動したり、周囲に構わず自己判断するプログラムがない という意味。
この本全体に漂う「創造するのは神のみ、人間は機械にすぎない」という論調だと 人間の意義に たどり着かない気がする。
人間機械論の悲観的現実
*人間の政治意識、趣味、道徳、信仰をつくるのは周囲の影 -
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コンラッドは、自身が船長として、現在のコンゴ民主共和国のキサンガニ(スタンリー・フォールズ)に遡行した時の経験を基に、この小説を書いたとあとがきにあります。
主人公がアフリカの奥地で出会うクルツという人物の心の闇、そして19世紀当時のアフリカのジャングルの闇が不気味に描写されています。
このあたり、映画の「地獄の黙示録」は、この小説の雰囲気を良く伝えています。実際、フランシス・コッポラはこの作品の映画化を真剣に検討していたようです。マーロン・ブランド演ずるカーツ大佐の名前が、クルツに似ているのは偶然ではないでしょう。
異郷であれ、大都会であれ、そこに住む人間の寂寥を描く、というのは文学の -
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人間が何かってことは、すべてそのつくりと、遺伝性、生息地、交際関係など、その上にもたらされる外敵力の結果。みずから創り出すものなんでなんにもない。
心を支配する力は人間にはない。
義務はなにも義務だからやるってものではない。それを怠ることが、その人間を不安にさせるからやるに過ぎない。人間の行動は唯一最大の動機、まず自分自身の安心感、心の慰めを求めるという以外にはない。善人も悪人もつまるところ心の満足を得るために必死になっているにすぎない。
人間は自発的にやることはできない。その生息地、人間関係を変えればいい。
気質(生まれながらにもっている性質)はいくら教育しても抹殺できない。ただ元々の気質が -
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なにぶんにも訳が古い。。。。特に漢字で表現されているものが実際何なのかさっぱり分からないものが一つや二つだけでない。
ただその古さが幸いにして、「黒猫」、「ウイリアム・ウィルソン」、「裏切る心臓」、「天邪鬼」において、つまり殺人の独白作品では、却ってその狂気が増幅されるというプラス面もある。
「モルグ街の殺人事件」、「マリ・ロジェエの迷宮事件」、「盗まれた手紙」はまさにシャーロックホームズそのもの。まさかパクったか?と思って調べてみると、ポオの方がコナン・ドイルよりも50年も前に生まれているのですね。。。。さて、コナン先生、ポオの作品から着想を得たのでしょうか?