中野好夫のレビュー一覧

  • ヴェニスの商人

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    物語というものは、あたかも自律した生命体のように、作者の意図を無視して、勝手に読み手に感銘を与えることがあるらしい。チェーホフは戯曲『桜の園』を喜劇のつもりで書いたが、役者たちはしばしばそれを悲劇と解釈して演じてしまい、作者を苛立たせたという。

    『ヴェニスの商人』も、そういう作品のひとつである。シェイクスピアはこれを勧善懲悪の喜劇として書き、観客も当初は喜劇として楽しんだ。キリスト教の神がすべてを支配する中世西欧において、ユダヤ教徒の高利貸しシャイロックが駆逐されるべき「悪」であることは自明であり、ほとんど真理に等しかったのだろう。その「真理」に異議が申し立てられるのは19世紀。被差別民とい

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    2022年09月06日
  • ガリヴァ旅行記

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    ネタバレ

    主人公が第一章から第四章まで、それぞれ小人国、大人国、ラピュタ、フウイヌムの国を巡る話。

    旅行記として、小人や巨人や空飛ぶ島などが登場し、それらの国での一風変わった生活も面白かったが、それよりも主人公にとって全くの異国で、人間の悪徳に貶められそうになったり、ことさら人間の悪い部分が強調されているのが印象的だった。

    特に第四章ではフウイヌムという美徳のみを備えた生き物が登場し、それらと共に生活することによって主人公が人間への嫌悪感を強めていく様は強烈だった。

    最後の解説には、作者は「この本は人を怒らせるために書いたのである」という旨の事を手紙に書いているとある。
    一方で、作者は主人公ガリヴ

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    2013年01月27日
  • 不思議な少年

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    イデア論の極みか。
    これまで読んだマークトゥウェインとはまるで別人の様なペシミズム。

    神の否定、というかキリスト教カトリック批判。

    後半終盤にかけていきなり、流れの展開が急過ぎて違和感を覚えたのだが、後書きを読んだら納得。原本は未完な上に、原著者他界により他人の手によって再編されていたんですね。

    人間とは。
    この壮大なるこのテーマ。

    こりゃ、著者『人間とは何か』を読まねばなるまいな。

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    2013年01月15日
  • 人間とは何か

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    考え事をしたいときに読み返す一冊。

    極端に自由意志を否定し、人間を機械だと評するおじいちゃん。

    現在の行動と環境を規定しているのは、100%過去の行動だとしても、実際に生きていくうえで、それを正論と受け止めるメリットはないと思います。
    九割意味のないこと。

    けど、ある意味そういった嫌悪感を持つものに触れることが必要なのかもしれないと毎回思いながら読んだりします。

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    2013年01月06日
  • 不思議な少年

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    人間とは何か?の小説版みたいな感じ。

    やっぱりこういうペシミスティックなのに惹かれてしまいます。

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    2013年01月06日
  • 不思議な少年

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    とことん否定をされて、いろんなことがどうでもよくなった。ので、がんばれるきがしてきた。
    章ごとのつながりがわからない部分もある。

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    2012年09月30日
  • ヴェニスの商人

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    喜劇であるためか、導入部分も魔女の予言や亡霊の告白をともなわないのでさいしょは多少たいくつだった。が、三幕あたりからやはりおもしろくなった。金貸しを言い負かすための屁理屈も好きだ。

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    2012年09月13日
  • ガリヴァー旅行記

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    小人の国と巨人の国の2編。もう二つのお話はカット。事細かな描写を読むのがとっても面白くて、大人向けに出版された作品とは言え子どもが夢中になるというのもわかる。中学生からの方が楽しめるかな。

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    2012年09月07日
  • 不思議な少年

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    いわゆる良心や、宗教的価値観(著者はカソリック教会の価値観に対して述べている)、正義や善といったものが、いかに残酷にひとの命を奪ってきたか、不幸の種となってきかたを描きだしている。

    人間社会にとって、良心は不要であり、むしろ害となるのだという論理は、一面では正しいが、他方では現に人間社会にはルールや規範が必要であり、それなくして集団生活は円滑に営み得ないという現実が軽視されているようにも思える。

    著者の人間に対する絶望は、痛いほど伝わってくる。
    救いはないが、忘れてはならない大切な事実を、著者は教えてくれている。正義では世界は救えない。

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    2012年08月12日
  • 不思議な少年

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    【あらすじ】
     ニコラウス、セピ、テオドールの3人の少年は、16世紀のオーストリアの小さな村に暮らしていた。そこにある日不思議な少年が現れた。一見感じの良い美少年の正体はなんと天使だった。その上彼の名前はサタン。3人の少年たちは、サタンの巧みな語り口、魅力的な魔法に誘われ不思議な世界へと惹きこまれていく……人間とは、良心とは何か。善悪、幸福は存在するのか。運命とはどのように決まるのか。人はなぜ戦争をするのか。ニコラウスは天使サタンと過ごすうちに、このような疑問にぶつかる。はたしてその答えは――

    【解説】
     作者は、『トム・ソーヤの冒険』、『ハックルベリー・フィンの冒険』などの著作で知られるマ

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    2012年06月08日
  • 不思議な少年

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    ネタバレ

    天使(サタン)という超越した存在からの視点で「人間」について言及されていく。人間の「良心」があるために残酷なことが平然とおこなわれる。正義を追求するためには悪とみなされた側の視点はなくなってしまう。
    畜生の生き方。人間は畜生より低俗な生きものという意見にはまったく反論できない。

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    2012年03月12日
  • 闇の奥

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    「闇」は結局アフリカに限らず、どこにでもあるものだが、その「奥」まで見て来たことがあるような人間は一握りしかいないのだろう。

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    2012年02月08日
  • ヴェニスの商人

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    ネタバレ

    この年になって初めてシェークスピアを読んでみる。

    演劇として見た方が、その面白さがより伝わるのかもしれない。

    発表当時には、テンポの良い展開が面白かったのかなぁと思う。

    ユダヤ人vsキリスト系の構図が、話しのベースになっていたことは興味深かった。

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    2011年11月28日
  • ヴェニスの商人

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    戯曲の台本。やはり劇場で観てみたい。
    人によって悲劇か喜劇かの評価が180度違うものになると思う。
    シャイロックは本当に悪人?商人たちは本当に正義なのか?シェイクスピアの創作意図はわからない。

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    2011年09月25日
  • 不思議な少年

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    主人公たちは天使の話を聞いた翌日、サタンという名前の天使に会う。彼は不思議な力を使い、たちまち出会った者たちを魅了してしまう。彼は善悪と言うものを知らず、人間がいかに愚かなものかを語る。

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    2011年07月27日
  • ヴェニスの商人

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    ハムレットほどの美しさはなかったけど、話しの展開は面白かった。裁判でのポーシアのくだりは好きだなぁ。よいよい

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    2011年07月21日
  • 長い長いお医者さんの話

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    夜空の彗星はしっぽをふって空中かけまわる犬のお星さま!なんて素敵なんだ。とくに素敵だなと思ったのは、あて名のない愛の手紙を送り主に届けるために国中探しまわるゆうびんやさんのお話。

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    2011年06月28日
  • 不思議な少年

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    こうやって、絶望しか残してくれない作品が好きだ。何くそ!って皆で生きることについて考えるから。千絵はサタンの言っていること全て知っていたし、頷ける。未来が見えないからというより、未来に対する想像力が欠けているために幸運と不運の区別がつかなくなっている時がよくある。
    こうやって俯瞰して達観しても、痛みは消えないんだよ。見方を変えなくてはきっと永劫人や社会に絶望し嘲笑するしかないだろう。もし幻に過ぎないのなら、いいじゃない!果しない想像力をパンプス箱の中に閉まって鍵をかけて、千絵は素晴らしい幻の中で生きていきたいと思うよ。
    人間は少数の者に支配されていて、多数の者に支配されることは決してないってい

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    2011年05月05日
  • アラビアン・ナイト 下

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    あとがき、引用。
    アラビアンナイト…千夜一夜物語

    シャフラザートという名のお姫様が、世の中の女達に恨みを持つ

    シャフリヤール王に死刑を宣告されます。

    刑罰を逃れるために、毎夜、毎夜お姫様は王様に

    面白い話しを聞かせ続けます。

    千一夜も続いたとされる、その長い長い物語の中には

    異なる多数の物語がつぎつぎに繋がって収まっています。

    その物語の中の一部分が、このアラビアンナイト(上)、(下)

    にまとめられているみたい。

    一話一話、改編されてるやろうかもしれんし、

    短編なんやけどそれぞれ味があって面白い。

    (下)も怠れてくるかな?!と思いきや

    シナの王女とかアリババと40人の盗

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    2011年01月21日
  • アラビアン・ナイト 上

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    アラビアンナイトって童話?

    じゃないよな。一応対象年齢が12歳以上だから

    短編の物語小説になるのかな。

    字間も広いし、短編なのでだいたい

    50ページ〜70ページくらいで

    1話しが終わります。登場人物とかだいたい決まって

    パターン化されてるんだけど、良くまあ、

    少ない登場人物と短い文章で巧みに話しが作れる事

    感心しました。中高生向けかもしれませんが

    大人が読んでも楽しめる内容です。

    勝手にシンドバッドとアラジンと魔法のランプ

    は鉄板に面白いな、アラジンと魔法のランプとかは

    ディズニーに取り入れられるくらいだもの

    そりゃ面白いよ〜、ディズニーの方は見たことがあるので

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    2011年01月17日