中野好夫のレビュー一覧
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全体的に、幸せな結婚してハッピーエンドが多い印象だった。
・ヘビの妖精と二ひきの黒犬
姉2人が中々困った人たち
・シナの王女
1番好きな話かも。似たもの同士の王子と王女が結ばれる
・魔法の馬
皇帝(サルタン)に王子が「まず相手の気持ちを聞いてみることだな」と言うのが痛快! 強引な人が多くてw
・ものいう鳥
兄2人が結構失敗する。モーセも城から流された子だったような
・アリ・ババと四十人の盗賊
モルジアーナが有能すぎる! 四十人の盗賊はあっさり片付けられた。
・漁師と魔物
漁師と魔物のやりとりで笑った。途中から漁師差し置いて哀れな王たちが主人公になるとは -
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トウェインの晩年のペシミズムの代表作。
サタンと名乗る美少年(彼は天使だという)が村に現れ、人間の文明の軌跡やその愚かさを嘲笑い明らかにする。
善悪とはという問いを起点に、
幸せとは、運命とは、人間とは何なのかという問いに繋がっていく。
サタンが魅せる人間の愚かさのいくつかの描写や緊迫感が見事で、物語に引き込まれた。
いろんな問いがある中で一番刺さったのは、サタンが良心を語るシーン。
人間は良心なんてもので善を選択しているつもりになっているが、カインとアベルから始まり人間の歴史は戦争と殺戮の歴史じゃないか。
ほとんど間違った選択をしている中で正義を振り翳して生きていて、それで得をしてい -
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老人と青年の対話調で綴られた、「人間とは外からの力に反応して作用するだけの機械である」という主張を説明する内容だった。
言い換えると、「すべて人間は、自らの経験学習と気質に従って、自らの精神的満足を充足するための選択をする」ということが主旨だった。
そのため、自由意志などや自己犠牲などは存在せず、一見すると当人にとって損な善行や苦行も、結局は「そうしなければ別の精神的な不満足によって耐えられない」という天秤で選択された行いになる。
相手を小馬鹿にしたような語り口調と、説得に際し用いられる古い事例は少し読みづらいが、一貫した主張は明確に読み取ることができる。 -
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人間は、外部の刺激に反応する機械のようなものだと、老人が青年に論破する会話劇。生物として人間を観察する視点で、他の動物と大差ない生き物だと論破する痛快さもある。良心や、道徳的行動など、人間だからこそもちえてそうな美德はことごとく動物的行動の結果にすぎないと論破されてしまう。
一つのものの見方として、さまざまな角度から思考を巡らす時の視点として持っていても良い考え方だと思う。
あの、トムソーヤを描いた作家というのにも驚かされる。シニカルな視点ももちえた作家だったのですね。人間を冷徹なまでも客観的に観察してきた著者だからこそ、表現できた作品なのだと思った。 -
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「地獄の黙示録」の元ネタとして有名な(?)コンラッドの「闇の奥」。
いろいろなところで言及されたり、分析されたりすることも多いので、なんとなく知っている気になるが、ここは一応読んでおこうということで。
なんで、そんな気になったかというと、ここ数年、全体主義について調べているところなのだが、アーレントの「全体主義の起源」の第二部の「帝国主義」のなかで、「闇の奥」についての分析があったからかな?
という流れなので、読む視点がどうしてもアーレントの読解に引っ張られるわけだが、それにしても、これはなんだかディープな本だった。
設定としては、マーロウという船乗りが、船が停泊しているなかで、仲間に -
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ネタバレこの本に登場する人物は2人。1人の青年と1人の老人。物語は、人間について老人が自身の考えを語り、それに対して青年が疑問をぶつけていく形式で進行していく。
著者マーク・トウェインの死後、本書を読んだ彼の妻がひどく泣いたというエピソードからも理解できるように、本書の内容はそう簡単に受け入れられるものではない。
以下、内容をあとから想起するため、岩波書店HPから要約文を引用する。
「人生に幻滅している老人は,青年に向かって,人間の自由意志を否定し,人間は完全に環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎないことを論証する」
老人は「人間機械論」を唱え、人間は所詮外部から受けた影響をもとに行