中野好夫のレビュー一覧
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19世紀,諸西洋籍の船舶(作品ではフランス)が“未開の地”アフリカへ渡り起こった『象牙』に纏わる出来事たち.
教科書に載った「事実」とは別の観点から眺めることで,当世の彼ら西洋人の高慢,貪婪,凶暴,盲目さが何より現実味を帯びて感じられる.
語り部のマーロウの口上は情緒に溢れ,一人の人間の感情と自意識が鮮やかに伝わってくる.彼の言動,苦悩は――私たちにはまず経験しえない,世にも哀しい侵略に向かう船上での物語だとしても――純然たる現実として,感情の深淵に強く訴えかけてくる.その愚かな高慢さまでも,我々に共感を呼ぶ不思議.
つまり私たちは誰でもマーロウになりうる.アフリカという原始の闇の世界,そ -
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あーー面白いわー!
タイトルもきいたことなかった岩波少年文庫(知らないのだらけ!)
チェコの作家さんの、童話がたくさん入ってます。
お話の中でお話をするお話がたくさん(何これわかりにくい)
宮崎さんおすすめの本です。
「長い長いおまわりさんの話」の挿絵だけ見たことあって
びっくりしました。
お話の中で、いろんなひとがお話をしていく形態が多くて、
元は(出だしは)どんな話だったのか読んでるうちに忘れちゃいます。笑
宛名と差出人が不明の手紙を1年かけて届ける「郵便屋さんの話」や
大金の入ったカバンをいきなり預けられて誤解で投獄されて死刑にまでなりそうになる「宿なしルンペンくんの話」や
最後 -
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カレルチャペックは犬モノと園芸モノしか読んだことがありませんでした。実は「ロボット」という単語の生みの親であり、SF小説の開拓者だったってことすら、後で知りました。
ある日たまたま行った鎌倉の美術館で、彼の作品と挿絵の展示会がありまして、そこでこの本のような童話も手がけていることを知りまして。帰宅後早速さがし求めたわけです。
表題作は、弟子を怒鳴る最中にウメの実が喉につまり、呼吸困難に陥った魔法使いと、その治療に駆けつけるお医者さんたちの物語。治療に長い時間がかかっているわけではなく、医者の応援を次々に呼んでいる間、手持ち無沙汰になったお医者さんたちが順々に語りだす世間話が「長い長い」のです。 -
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7篇の短編集
それぞれの短編の最初の発表年代が1839年〜1845年。
ということは、今から約180年前の作品ってことかぁ〜。
人間のどうしょうもない心理って変わらないものだなぁと感じた。
訳の古さで難解なところが多く、ギブアップしようかと思いながらも、四苦八苦しながら読み進めると、話の先が気になって、読みきってしまった。
うろ覚えですが、、、
昔読んだ本に、本を読むと、その題名を聞くだけで、その本を読んだ者同士は、本一冊分の内容をお互いが理解し、説明を省いて会話ができるという、濃密な共通言語が得られる。とあった。(気がする)
史上初の推理小説「モルグ街の殺人」という共通言語を手に入れ -
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ネタバレマーク・トウェインといえば、『トム・ソーヤーの冒険』などの少年文学の巨匠という印象しかなかったのですが、本作のようなパンチの効いた論評本も書かれていたんですね。
対話形式で書かれた作品で、とても読みやすく面白かったです。
内容は、「人間とは機械であると主張する老人」vs「人間の良心を信じる若者」の問答集となっています。
老人が、「人間、それは単なる機械である!なぜなら・・・。」と主張していき、若者が、「いやいや、そうはいうものの人間には良心や愛が・・・。」と反問していくカタチです。
作品からの例証や実体験をいくつか挙げたりして論じていく老人に、半ば若者はたじたじです(笑)
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18世紀アイルランドの作家ジョナサン・スウィフト(1667-1745)による風刺小説、初版1726年。デフォー『ロビンソン・クルーソー』(1719年)の流れをくむ空想旅行記であり、今日のSF(空想科学小説)の源流のひとつであるといえる。異世界との邂逅を契機として、同時代英国の政治、社会、文化を批判し、ついには人間そのものに対する深い絶望が語られるにいたる。そこでスウィフトは、人間観の更新を試みようとしていたのではないかと思う。
第一篇 リリパット(小人国)渡航記
第二篇 ブロブディンナグ(大人国)渡航記
第三篇 ラピュタ、バルニバービ、グラブダブドリッブ、ラグナグおよび日本渡航記
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ネタバレ下巻は知らない話が多い。知っていたのは「アリ・ババと40人の盗賊」だけ。巻末解説によれば、上巻の「シンドバッド」と下巻の「アリ・ババ」という有名な2つの物語は原本にはなかったそうだ。
「ヘビの妖精と2ひきの黒犬」
拝火教(マギ)の町。バグダッドの教主(カリフ)。
「シナの王女」
恋煩いの故に配下をボコボコに殴る王子と王女、王女の恋煩いを治せない占い師を100人以上も殺す王。最後は王子と王女が結婚し、ハッピーエンドということになっているが、今の感覚で読むと王族の身勝手さという印象が強い。
「魔法の馬」
ペルシア、ベンガル、カシミールの王族が絡む結婚の話。
「ものいう鳥」
ペルシアの皇帝と