中野好夫のレビュー一覧

  • 不思議な少年

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    トムソーヤーの冒険書いた人とは思えないほどの暗さ。
    バタフライエフェクト的なくだりもありつつ、ひたすらに悲観に満ちた死生観がストーリーを取り巻いている感じ。
    思春期に読んだら人間不信になりそう。
    ただ、文章は重くなく読んでてストレスは一切なく流れるように読めた。

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    2019年11月11日
  • 闇の奥

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    マーロウという青年が一旗揚げるつもりで未開の地におりたつ。

    白人が黒人を使い、象牙で儲ける。あれ、勝手にやってきた白人がなぜ勝手に元々住んでいる人を顎で使い、(金なんて払ってないんだろう?)利益も自分達の物に。あれ、色々おかしいぞ。

    出会う人出会う人、「クルツって奴はドープな奴だぜ」みたいなことを言う。本人に会ってみると、死に際で、まさに死に水をとるはめに。
    その瞬間に主人公は何かを悟ってしまう。そしてその説明なし。多分作者しか理解してないし、全世界の人間がおあずけをされている。

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    2019年09月16日
  • アラビアのロレンス 改訂版

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    イギリス人でありながらアラブ人の独立のためにトルコと戦った「アラビアのロレンス」ことトマス・エドワード・ロレンスの評伝です。

    現代史のなかにロレンスを位置づけることよりも、ロレンスという人物そのものに焦点をあてた伝記であるように感じました。英文学者でありエッセイストとしても知られた著者による達意の文章によってロレンスの人間像がえがき出されています。それでいて、著者の視線はけっしてロレンスに密着しすぎることなく、論じている対象を冷静に観察しており、評伝とはまさにこうあるべきだと感じさせられます。

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    2019年05月14日
  • 人間とは何か

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    難しい。難しいけど面白かった。最近なぜか古典を読みたくなって前から名言などでよく名前を見かけて気になっていたマークトウェインの本を読んだ。全般に渡ってペシミズム(悲観主義)で全面的に賛同するというわけではないが、完全に否定することは出来ないなという感じ。確かに自分も何も考えようとしなくても勝手に何か考えついていつのまにかその考えが頭を支配している。ただでも100%そうかと言われると…ンンンとなってしまう。この辺りはまた時間を置いて改めて読んでみたときの為にとっておきたい。とにかく今は読み終えて面白かった。というのとマークトウェインってどんな顔してるんやろということとハックルベリーフィンの冒険も

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    2018年09月07日
  • 不思議な少年

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    知り合いに勧められて
    当初聞いていたより、相当おもしろいお話で
    ある意味荘子的なところもあり、最後は唯識的でもあり、美少年も出てくるし、すごく深いわけではないけど、楽しみながら一気に読めた

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    2017年10月24日
  • 闇の奥

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    (01)
    人類学的な,ゆえに探検的な地誌を装った宗教経済小説(*02)として読むことは可能だろうか.
    大航海時代を終え,西欧によって大陸は海岸から発見されていった.本書の書かれた19世紀の終末期には,まだいくらか大陸の内陸は残されていたし,南極北極や高地が目指されると,ヴェルヌやウェルズらのSFもとらえた深海や宇宙が目指される.水平から垂直への探検の志向の転換期に省みられた「奥」が本書の問題である.なお,原題は"Heart of Darkness"であり,「心奥」あるいは「中心」とも訳すことができるのかもしれない.
    象牙経済とカリスマ的な支配の中心にいる,あるいは語り手マー

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    2019年03月02日
  • 人間とは何か

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    『トム・ソーヤーの冒険』などの作品で知られるアメリカの作家、マーク・トウェイン。
    少年時代にこの方の小説世界に触れて、ミシシッピー川という川の名前を知った、という記憶があります。

    そのマーク・トウェインが、『人間とは何か』という題名で、人間の本質について書いた文章を残していると知り、書店で探して読んでみることにしました。

    老人と青年が対話する形で、書かれています。
    その老人が教え諭す話というのが、人間とはどのような存在なのか、ということ。

    自分なりの理解を、以下に要約します。
    ・人間は自分自身の安心感を求めて行動する
    ・人間の考え、行動は、それまでに得た情報、経験により左右される
    ・上記

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    2018年08月06日
  • 人間とは何か

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    人間とは何かという仰々しいタイトルに反して対話形式でとても読み易く、それでいて人間の本質を突いている。
    老人の主張は一貫している。
    「人は自分の良心を安定させるためにのみ行動する」また「人の良心は、生来の気質と後天的な教育、訓練から得た知識や印象、感情の断片の集合体であり、人はこの主に従う出力機でしかない」というもの。
    これは僕自身も常々感じていたことだ。青年は終始それでは人間の価値が下がってしまう、救いがないということを言うが、全くナンセンスだ。価値が下がると感じるのは、ホモサピエンスという少しばかり賢い猿を実際より過大に評価していたにすぎない。著者はまた、偉大な人間、誇り高い人間は嘘の衣装

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    2017年08月08日
  • 人間とは何か

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     一見ようわからぬ問答集かと思いきや、深淵なる人間機械論のダイジェスト版とも取れる、哲学書であった。老人のような境地に至れば、ある意味楽になるだろう。一方で青年のような青臭い思考も維持したい。結局ようわからんというところで。渋い訳もまた妙なるものがあった。

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    2017年06月05日
  • 人間とは何か

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    マークトウェインが考える人間の本質をストレートに表現したこの作品。
    衝撃的な内容!ではなくなったのは時代のせいでだろうか。最近ではこの手の本はよく見かけるし、”嫌われる勇気”もシンプルに本質的なことをストレートに伝え、それを青年と老人が議論していくという表現の仕方は非常に似ていたな(いわゆるソクラテス式問答)と読みながら思った。

    とても理解しやすかったし、思い当たる反論もないので、素直に受け入れるべき内容なのかなと思ってしまった。
    特に人間の欲=精神欲を満たすために行動しているという点で、今の時代、これまでの物質面重視から精神面重視に移り変わろうとしているけど、結局は精神欲を満たそうとしてい

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    2017年01月30日
  • 悪人礼賛 ――中野好夫エッセイ集

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    生きているだけで人間は幸せだ、という傲慢さは筆者にはない。筆者は悪人である。人間の善意や純情は信じていない。悪人が持つグラマーというべき法則を信じている。良心も、その人の総合的な体験からできるものだ、と考えている。そうであれば、無垢に人間の幸せを願う宗教にも懐疑的になるのだ。
    氏の根本には、戦争を生き延びたという体験がある。生きているだけでまるもうけなのだ。しかし、それですべてのことがなんでもいいどうでもいいという発想にはならない。人間存在は地球の大きな生命の流れの中の一部でしかないという認識がある。
    つまるところ、謙虚なのだ。悪人を礼賛しつつも、それは他人との協働生活の中でお互いの利害を尊重

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    2014年12月29日
  • 不思議な少年

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    ネタバレ

    The Mysterious Stranger, A Romance (1916)

    サタンがみせる人間の愚かさや醜さは凄まじい。語り手のテオドールはサタンに対して怖れと尊敬を抱いているようだ。人の死に対して私たちは、悲しみを抱くがサタンはそうでない。例えば、若くして死ぬことによってその後に待っていた苦しみを免れたのだという。私は、機械的運命論に基づいたこの思想には賛成できない。仮に、生まれた瞬間から自身の運命が既に決まっていたとしても、生きている瞬間のうちに感じる様々な感情とそれに基づく自身の行動を大事にしたい。一度は、サタンを説得しようとした主人公テオドールのように。

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    2015年01月10日
  • 闇の奥

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    【本の内容】
    アフリカの奥地に象牙採集をする人々の上に起こった事件を作者自身の体験にもとづいて書いた作品。

    『颱風』『青春』と共にコンラッドの中短篇の代表作であるが、作品の芸術的根強さにおいて他の二つを凌ぐ。

    ここには作者の原始に対する驚異と文明に対する呪詛とが熱病のような激しさであらわされている。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかっ

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    2014年10月04日
  • 不思議な少年

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    再読。一番最初は小学6年だったのを衝撃とともに覚えている。トム・ソーヤーの人がッ?みたいな。その頃ラブクラフトにハマりまくっていた私にはツボすぎて、何度読んだかしれないが、ここ数年手に取っていなかったので、ダラダラしながら読む。嗚呼。この1冊でマーク・トゥエインが大好きになった。

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    2014年06月08日
  • ガリヴァ旅行記

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    ネタバレ

    第三章、第四章がおもしろい。
    風刺、厭人などで形容される作者だが、
    それを旅行記という形のファンタジーに消化して
    純粋に物語として数百年たっても楽しませてくれるから流石。

    第三章の不死の幻想に対する諦念の流れも
    うまく舞台設定を作ってその辛さが伝わるようになっている。
    また各国へたどり着くと必ず言語の習得経緯の描写がなされる。
    随所で細かいリアルな設定を丁寧に施しているのに
    冗長にならないように描いているから読みやすかった。

    最後の国に出てくる醜穢な生き物ヤフーの描写からは
    スウィフトが本当に人間が嫌いなのが伝わった。
    それでもそのヤフーがいまのyahooの語源であり、
    また家畜人ヤプーズ

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    2014年01月18日
  • 不思議な少年

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     未完の話をまとめあげたものでなければ、★5つでした。
     途中つじつま合わないところがちょっとあったりしたので。


     でも最後の言葉は考えさせられた。

     要約ですが、

     「人間は、幻想をたゆたう一片の思惟に過ぎない。」



     美しく、軽やかでありながら、


     ここまで重みのある言葉があるだろうか。

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    2013年11月11日
  • 人間とは何か

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    ネタバレ

    人間は自己を満足させるために生きている。

    「人間とは何か」、このシンプルなタイトルとBOOKOFFで100円だったので購入。
    登場人物は青年と老人の二人だけで、彼らの会話が描かれている。青年は人間には意思決定をする力があると信じている、対して老人は人間は自己を満足させるために生きていると信じている。青年は、老人の「人間は自己を満足させるために生きている」という考えを打破するために試行錯誤するが、決して破ることが出来なかった。

    私自身、この老人の考えに納得せざる得ない。「人間は自己を満足させるために生きている」という理論は、言い換えると全ての人間の行動原理は自己満足であり、自己犠牲すら自己満

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    2013年09月28日
  • 不思議な少年

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    「人間とは何か」に続いて、マークトウェインを読むのは二冊目。

    これも彼が絶望的・悲観的視点で書いた著書。その中には人間の愚かさや無知さなどが露呈されている。
    この中に出てくるサタンという不思議な少年は子供たちにその人間の愚かさを説明していくが、しかし、唯一人間が持つ能力を肯定的に捉える。それは「笑い」だという。
    つまり、人間はどうしようもなく絶望的な状況になるが、その境遇を笑い飛ばす事ができる強さを持っているという。この部分には深く共感する。というのは、自分もちょうど同様のことを考えていたからだ。

    失敗したりしても、それをネタにして、笑い飛ばせることってすごく大事な事だと思う。失敗

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    2013年07月01日
  • ヴェニスの商人

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    ユダヤ人の商人が、舞台の去り際まで悪役を演じ切る、その様が好きです。時代背景はさておいて、作品の登場人物として、頭から尻まで一貫した立ち位置を保つ彼の姿に心惹かれました。

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    2013年05月01日
  • 不思議な少年

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    「人生そのものが幻じゃないか」
    「あるものは君だけなんだ」
    人生や世界が自分自身がつくりだした幻にすぎないとして、それならどうして自分の人生の中身に喜びだけでなく悲しみなどの負の感情が多いのか。そのようなことは決して望んでいないはずだ。もしかしたら、悲しみは決して否定的な要素ではなく、あくまでも喜びを相対化させるために存するだけの要素なのかもしれない。そうすれば自分の作り出した自分の世界の悲しみにも何か積極的な意味を見出せるのかもしれない。というようにあっさりと最終的に自己を肯定してしまって完結していいとは思えず、肯定も否定も全てひっくるめて幻の人生であり、独我論なんだろう。そもそも独我論とい

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    2013年10月05日