中野好夫のレビュー一覧

  • 闇の奥

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    かなり乱暴にまとめると「ある船乗りのアフリカ思い出話」になると思うのですが、読後には重苦しさと、言葉にできない感情が残りました。それを無理矢理文章にするとしたら、的外れかもしれませんが今のところ「人間とは本来、自然の一部であったのに、いつしか文明や経済という実体のない物に支配され不自然な存在となってしまった。かといって原始的な生活は、今の人類には恐怖や荒廃という闇でしかなく、狂気である。もう戻ることはできない」という文明批判と焦燥でしょうか。この作品は、時間を置いて再読する必要があると感じました。

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    2012年09月17日
  • 不思議な少年

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    中野好夫訳ということで手に取ったわけだがww
    アメリカのドラマでは、ミカエル、ガブリエルといった聖書に出てくるような大物の天使たちがよく登場するが、彼らがなぜかだいたい残酷で
    人間を理解しようともせず、バカにして、嘲笑っているのはなぜだろうと
    正直不思議だったのだが
    この作品を読んで、アメリカ人の「残酷な天使観」がマーク・トゥエインの時代からあったのかと、ちょっと新しいことを知った気がした。
    しかし、この作品において天使の名前が「サタン」というのはいくらなんでもww
    物語の終りはどうなるのだろうと気になっていたが
    結局こうした虚無でしかないのかと、なんだかこけた。
    トゥエインの抱える現実への厳

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    2012年05月11日
  • 闇の奥

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    全体としては曖昧模糊とした印象が拭いきれない。
    それは独白の形で伝えられるエピソードが、きちんと話の流れに沿っているようで突如として挟まれる挿話のために、理路整然と物語を構築することを妨げているからのように思うのだけれども、それがこの小説の妙な味になっている。はっきりと確実なことは独白者の経験として語られるだけで、最重要人物であり、おそらく飛んでもない人物でもあるクルツの話は、伝聞の形でしか語られない。
    だが、クルツの最期の言葉が妙に印象的に感じられるのも、こうした手法を採ったからだろう。

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    2012年01月03日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    “「ところで、以上、僕の言ったことが、どんな印象を、君に与えたか、それは知らない。が、ただ僕として、躊躇なく言えることはね、これだけの証書——つまり、ダミ声と金切声とに関する、これら証言だけからしてもね、もしそれから、正しい演繹さえなされるならばだねえ、今後この事件の捜査の進行に、結構一つの方向を与える手掛りになるだろうことは、請合いなのだ。『正しい演繹』と、僕は言ったろう。だが、僕の言いたい意味は、それだけじゃ十分でない。つまり、僕が言いたいのはね、その演繹とは、唯一の正しい演繹であり、したがって、嫌疑の手掛りというものはね、否が応でも、そこから出て来る唯一の結果としてでなければいけないのだ

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    2011年12月08日
  • ガリヴァ旅行記

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    物語としては有名だけど、ちゃんと読んでみるとただの冒険小説じゃないし難しい言葉もいっぱいでてきてびっくり。
    当時のイギリスは愛国心が強いのかなあと思います。

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    2011年11月25日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    一言、言葉が難しい(笑)

    散らばる考えや意志には、自分自身と共通点がかなりありとても共感ができた。
    しかし、金魚すくいの桶の中一層目立ち大きな魚を掬った程度にしか読み取れていない様に感じる。ようは納得のゆく読み方が出来なかった。

    もう少し歳を経てから読みたい作品。積読でもよかったかも。

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    2011年10月25日
  • ガリヴァ旅行記

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    読んだことのない人でも、第一篇と第二篇のストーリーを知っている人は多いはずです。
    映画化もしましたし。

    もちろん前半の二篇も面白いですが、それ以上にこの作品の特長は、右肩上がりに増していく「風刺」です。

    ストーリーとしても、とにかく奇想!
    そのスケールの大きさと細かな描写は圧巻です。

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    2011年09月24日
  • 不思議な少年

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    それぞれの価値観というか常識が違うってこわい。こんなにも必死なのに伝わらない。
    作者は人間に絶望していたのかしら?人間なんて生まれなくても良かった

    「『いかにも君たち人間という卑しい連中のやりそうなことなんだな。嘘ばかりついて、ありもしない道徳なんてものをふりかざしたがる。そして、実際はほんとうに道徳をわきまえている、人間以上の動物に対して、道徳知らずなどとけなしつけているんだな。第一、獣はけっして残忍なことなどしやしない。残忍なことをやるのは、良心なんてものを持っている人間だけなんだ。そりゃ獣も他を傷つけることはあるよ。だが、それは無心でやっているんであって、したがって、けっしてそれは悪じ

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    2013年02月07日
  • 長い長いお医者さんの話

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    たぶん再読だと思う。

    読んでるうちに、カレル・チャペックの世界に
    はまりますね。

    盗賊のはなしと郵便配達の話がいいな。

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    2011年05月28日
  • 悪人礼賛 ――中野好夫エッセイ集

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    タイトルの項にしびれる。全体的にはだいぶマトモだったけど、敗戦後10年くらいのうちに書かれたものなので、民主主義、デマ、役人、などなどタイムリーなキーワードが出てきて面白かった。原子力、もちらりと。

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    2011年05月19日
  • ガリヴァ旅行記

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    老若男女問わず、愛読されている作品です。

    ファンタジー要素が強い冒険譚ですが、
    各篇の風刺に著者の思いがこめられています。

    その風刺を感じ取るのは難しく思う。ラピュタはよくわからなかった・・・。

    第四篇「フウイヌム」は人間の醜さ、目指すべき人間像をあらわしていて個人的に好きだ。

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    2011年04月07日
  • 不思議な少年

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    ある村の少年たちの目の前に不思議な少年が現れ、いかに人間が愚かな生き物なのかを示す。それだけの話だと思っていたら、最後にどんでん返しが待っている。長くない話だから読みやすい。

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    2010年11月18日
  • 闇の奥

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    やっぱりヴィクトリア文学の妙なエンタメ性は好かないなぁと思います。

    人種差別的とかポストコロニアルの幕開けとかそういう瑣末な後付はまぁいい、でもこの本に描かれる闇とは端的に言ってしまえば、
    特異な環境におかれた人間が容易に変わってしまうってこと。

    なんとなく、想起するものが俗っぽいけど、
    カイジとかSAWとか、そういうものと、重奏低音は同じな気がする。

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    2010年10月24日
  • 不思議な少年

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    良心って、良心ってなんなんでしょうね?
    持ってた方がいいの?悪いの?
    子供にかえって、聞いてみたい。




    山下和美さんの漫画の方を先に読んじゃったんだなぁ。

    マークさんには悪いが、アタシはあちらの方が好き

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    2010年10月14日
  • 長い長いお医者さんの話

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    「ロボット」の語を生み出したと言われるカレル・チャペックのナンセンス短編。筒井康隆や小松左京に親しんでいる現代から見れば、ナンセンスのキレには不満が残るかもしれない。ただ関節を外されるようなストーリー展開は面白い。

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    2010年10月11日
  • 長い長いお医者さんの話

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    表題作ほか7編。郵便屋さんのお話が好きです。王女さまと子ネコの話は長いけど、最初と最後の猫のユーラが自分の家に戻ってヴァシュカを連れてくるところがいいです。

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    2010年07月02日
  • ガリヴァ旅行記

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    第Ⅰ~Ⅲ部は、その時代、個人への風刺、あてつけ
    あてこすり、妬み?嫉妬?も、ファンタジー要素も強く
    ガリヴァ氏も、異国を人間として楽しみつつ
    母国に戻る希望を抱ける。
    一転、第Ⅳ部は、人間の醜さ、本性
    理性のある動物とは言いがたい、欲望に満ちた行動
    制度を作り出し、飼いならし、調教せざるを得ない面
    ヤフーという闇に陥り・・・
    意識して生み出されたものとしても
    愛や善意、慈しみその他人間「も」持ちうる美徳に
    全く目を向けることもできない。
    子供のときには童話部分を読んでココロワクワクさせて
    大人になったら原作を読んでココロズキズキ

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    2010年04月21日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    ラオスの田舎町で足止めをくったので宿にあり、たまたま手に取った本。実は、さる尊敬する人が置いていっていたという面白い出会いの本。

    「モルグ街の殺人」は世界初の推理小説といわれており、主人公デュパンのキャラクターが実にクール。著者が、一気に読み切れることで恐怖や面白さが増すと主張するだけあって読みやすい。

    「何があったかというよりは、今までにない何があったかと考えるべきだ」C・オーギュルト・デュパン

    推理小説というものを避けてきた自分が初めて読んだのが、世界初の推理小説とは奇異な出会い。書かれたのが、ペリー来航前だというのだから興味深い。

    「猫を殺したから災難にあったというような因果律で

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    2010年03月12日
  • ガリヴァ旅行記

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    ガリヴァ旅行記は子供のころには誰でも小人の国に行って寝ている間に地面に張り付けられている物語を読んだ事があるとは思うのですが、実際は長い話で、他にも色々な国に行っています。
    その中には日本も含まれています。
    物語の内容も、タダの夢物語ではなく、社会、政治などの批判を強くうたったもので、とても子供が読むにはしんどい内容でした。

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    2010年01月01日
  • 闇の奥

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    「英語で書かれた20世紀のベスト100」に選出されているそうだけど、
    これを★4とか5に評価したら
    それは見栄を張ることになってしまうので正直に★3。

    『地獄の黙示録』がこれを元に作られたとは知らなかった。
    なるほど。
    さらに『羊をめぐる冒険』が『地獄の黙示録』をもとに書かれ
    中に『闇の奥』が出てくるって?
    ふーむ。

    読んでいて気持ちが暗くなる。
    コンラッドの実体験を元にしたと言うのだからなおさらである。
    舞台は植民地時代だが、
    登場する白人達と今の自分たちには
    もしかしたら大きな違いはないのかもしれない。

    ちゃんと理解しているか自信は全くないのだけど、
    暫くつきあわねばならない本なので

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    2009年10月07日