人間と獣は違う。いろいろな点で違う、ゆえに人間は獣よりも優れている、というのはよくある一般的な話。
この本では、人間と獣は違う、人間には良心がある、だから獣よりも劣っている、という。
人間は良心のためならなんだってする。戦争、殺人、強盗、拷問、残忍なことなんでも。ありもしない道徳をもちだして。
獣
...続きを読むは残忍なことをしない。本能で、無心でやった結果、仲間に危害を加えていることはある。でも誰かを傷つけて喜ぶなんてことは絶対にしない。
手塚治虫の漫画ブッダの中のナラダッタという人間を救うために、動物の命を犠牲にしてしまいその罰を受け、生きながら獣として生きた人物を思いだした。獣として、人間としての良心を持つことなく、自然の流れの中に身を任せ、すべてをあるがままに生き、心美しく、天命を果たしたというエピソード。
人間である以上、この物語の中でいう良心はつきまとう。
“人間とは何か”で語られたように、良心をより高みのある理想に近づけるよう努める。
これが僕らが正しく生きるみちなんだろうか?
また世界の流れが大きく変わりそうな今だからこそ心に留めておきたいと思った話。人間なんて羊と同じだという話。
人間はいつも少数者に支配される。声の大きな一握りの人間に。正しいこともあれば間違っていることもある。でもそんなことはどうでもよくて、とにかく大衆はそれについていく。例えば戦争。だれかが戦争をやると言いだす。最初は懸命になって考えて反対を唱える。でも長くは続かない。やがて聴くものはいなくなり、人気も落ち、奇妙なことに滬んどはそういったものを迫害し始める。そうするともう全員が戦争だという。あとは嘘をでっち上げ、戦争は正義になる。
今だからこそ、心に留めておきたい。