中野好夫のレビュー一覧
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「人間が何かってことは、すべてそのつくりと、そしてまた、遺伝性、生息地、交際関係等々、その上に齎される外的力の結果なんだな。つまり、外的諸力によって動かされ、導かれ、そして強制的に左右されるわけだよー完全にね。自ら創り出すものなんて、なんにもない。」
本書冒頭にあるタイトルの答えとなる一節で、簡単に言うと、人は自分の意思で物事を決めているのではなくこれまでの経験や環境の集積の結果、機械のように物事に対して反応という形で動いているに過ぎないという事だと思う。
そう考えると人生に起こる全てが運命で抗いようがない事であって、今までの後悔やこれからの不安が大したことないように思えるし、だからこそあ -
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310P
ウィリアム・シェイクスピア
イングランドの劇作家・詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、もっとも優れているとされる英文学の作家。また彼の残した膨大な著作は、初期近代英語の実態を知るうえでの貴重な言語学的資料ともなっている。
ヴェニスの商人
by シェイクスピア、大山敏子
世の中にはまじり気のない悪徳というものはないのだ、 必ずそのうわべになにかしら美徳のしるしをつけているものだ。
彼はなぜ大学に学ばなかったのか、これもわからない。しかし彼の作品から理解できるシェイクスピアの教養の深さ、常識の豊かさ、人間性に対 -
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読書好きとして一度はこういう歴史ある名著を読んでおこうと思い、拝読。
率直に、すごく面白く、意外と登場人物も限られており読みやすかった。
当時のイギリスの文化や法、背景が彷彿とさせられ、舞台はヴェニスではあるがシェイクスピアの頭の中が見て取れるようで、興味深かった。
特に印象的な人物
・ネリッサ…ポーシアの侍女であるが、発する言葉に名言が多く、印象的。
「あまり御馳走を召し上がりすぎますと、却ってこれは食物もなく、飢えている人間と同じように、やはり一種の病人だそうでございまして。してみますと、すべて中っくらいにいますということは、どうして中っくらいの幸福どころではございませんで。」
「過ぎた -
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人間と獣は違う。いろいろな点で違う、ゆえに人間は獣よりも優れている、というのはよくある一般的な話。
この本では、人間と獣は違う、人間には良心がある、だから獣よりも劣っている、という。
人間は良心のためならなんだってする。戦争、殺人、強盗、拷問、残忍なことなんでも。ありもしない道徳をもちだして。
獣は残忍なことをしない。本能で、無心でやった結果、仲間に危害を加えていることはある。でも誰かを傷つけて喜ぶなんてことは絶対にしない。
手塚治虫の漫画ブッダの中のナラダッタという人間を救うために、動物の命を犠牲にしてしまいその罰を受け、生きながら獣として生きた人物を思いだした。獣として、人間としての良 -
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ネタバレ人間は教育をはじめとする外因からできた機械にすぎない
すべての行動は自己是認を求める。他者への思慮も、自己犠牲も、自分が納得するかどうかが最大の基準となる。
晩年のトウェインがペシミスティックな面を露わにした作品、との解釈が多い。同意であるが、それ以上の解釈の可能性を見出したい。青年の台詞を書いたのもトウェインであるなら、老人がどんなに説得にかかっても何とか食いつこうとする姿勢を見せるのはなぜだろう。
機械にすぎない人間がここまで「進歩」してきたのはなぜだろう。歴史は繰り返す、しかしそれは螺旋階段だと聞いたことがある。
キーは「想像力」と「創造力」に在るかもしれない。
せっかくなら -
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ネタバレ個人的に何度も読み直したいと思った本。
例えばです。
私の身の回りにはもう亡くなった人も含め、何人か認知症を患っていました。
そのとき、「日常生活でできなくなってしまったこと」が数多くある中でさえ、人を選んで攻撃をする姿を幾人も目にしました。
大体、人により、(八つ当たりなど)攻撃する対象は限られてるのですよね。弱者に向かう。もちろん当人が一番の弱者なわけですが、当人が元気だった頃の認識で弱者と思われる人間が攻撃対象になる。強い人間にはあまり向かわない。
わたし、何となく見ていたり、その対象になったりして、
「あぁ、自分に対する弱者強者を見分ける力って、結構人間の根源 -
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ポーランド生まれのイギリス作家・ジョセフ・コンラッドによる実体験に基づいた著作。コンゴー河上流開拓会社の船乗りマーロウが語り手となって、闇黒アフリカの奥地にて象牙蒐集に明け暮れる天才クルツの救出の顛末を語る。
コンラッドの作風として特徴的なものは、大自然を写実的に描くのではなく常に暗示的であり、この「闇の奥」もまた未開の地としてのアフリカの奥地のことだけではなく、人間の持つ心の深淵のことも示唆していることは想像に難くありません。
白人による土人の搾取、文明とはかけ離れた黒人たちの原始の叫び…正常な人間でさえも闇黒の大陸では寂寥と孤独に蝕まれ、クルツのように人が持つ「人間性」も崩壊してしまう。臨