中野好夫のレビュー一覧

  • 人間とは何か

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    「人間が何かってことは、すべてそのつくりと、そしてまた、遺伝性、生息地、交際関係等々、その上に齎される外的力の結果なんだな。つまり、外的諸力によって動かされ、導かれ、そして強制的に左右されるわけだよー完全にね。自ら創り出すものなんて、なんにもない。」

    本書冒頭にあるタイトルの答えとなる一節で、簡単に言うと、人は自分の意思で物事を決めているのではなくこれまでの経験や環境の集積の結果、機械のように物事に対して反応という形で動いているに過ぎないという事だと思う。

    そう考えると人生に起こる全てが運命で抗いようがない事であって、今までの後悔やこれからの不安が大したことないように思えるし、だからこそあ

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    2025年02月13日
  • ヴェニスの商人

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    310P

    ウィリアム・シェイクスピア
    イングランドの劇作家・詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、もっとも優れているとされる英文学の作家。また彼の残した膨大な著作は、初期近代英語の実態を知るうえでの貴重な言語学的資料ともなっている。

    ヴェニスの商人
    by シェイクスピア、大山敏子
    世の中にはまじり気のない悪徳というものはないのだ、 必ずそのうわべになにかしら美徳のしるしをつけているものだ。

    彼はなぜ大学に学ばなかったのか、これもわからない。しかし彼の作品から理解できるシェイクスピアの教養の深さ、常識の豊かさ、人間性に対

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    2024年10月23日
  • アラビアン・ナイト 下

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    一番おもしろかったのは、「アリババと盗賊」だった。前に絵本で読んだことがあるけど、忘れちゃってた。賢い家臣が、主君のアリババを何度も救うのがかっこいい。
    ほかのお話でも、主君より家臣が賢くてかっこいいというのが結構あると思うんだけど、ぼくはそういうお話が好き(上杉謙信以外)。最終的に(主君が死んだ後も)、みんなが幸せになるお話が多い気がする。
    絵は、昔風なんだけど、迫力があってわりとこわい。キラキラの絵より、昔っぽい感じが伝わってきていい。(小6)

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    2023年09月03日
  • アラビアン・ナイト 上

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    すっごくおもしろかった!
    シンドバットが、後悔してもつい航海しちゃうっていうのがますますおもしろい。
    絵本とか絵の多い本とは、お話とか登場人物とかが結構ちがっていて、うんとくわしく書かれている感じ。でも、読みやすくてたくさん想像できて、こっちの方が断然よかった。(小6)

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    2023年08月13日
  • 人間とは何か

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    ニーチェの悲観主義とは比べ物にならないぐらいの悲観論です。人間は自分を安心させたい、自らが満足感を得たいという衝動しか持ち得ないといいます。例えば人の手助けだって、結局は自分の満足感に過ぎないかあるいは良心に対する苦痛の回避というものでしかなく、ある意味で苦痛の回避を買った結果にすぎないのだと。恐るべき悲観論。1度読めば、神経毒のように体を蝕んでいくような気な感覚を味わいます。こんな感覚はニーチェ以来です。人間は自己是認を得たいという衝動しかない。こんな思想のどこに救いがあるのでしょう

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    2023年01月19日
  • 長い長いお医者さんの話

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    私事。
    小学5年生の春、ケガで入院した。ベッドから動けなかった私は、直前に読んだ「長い長いお医者さんの話」を、付き添いしていた母に語ってきかせた。
    小学5年生でもあらすじが覚えられるような特徴あるストーリー展開。今読んでも、いつまでも、心が温かくなります。

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    2022年05月25日
  • 人間とは何か

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    人間とは外部から与えられる様々な力によってのみ動かされる、機械と変わりない存在だという内容。

    話の運びが巧く、こちらの抱いた疑問が青年の口から次々と飛び出すので最後まで関心を持って読めた。
    終盤に出てきた不幸になる人と幸福になる人の話からは著者の人生に対する諦観のようなものを感じた。

    この本の内容を楽観的に受け取るか悲観的に受け取るかは読者自身に委ねられていて、その受け取り方こそが幸せになる素質の有無なのだと思った。

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    2022年04月08日
  • 闇の奥

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    中学生くらいのときに、地獄の黙示録の原作を読みたくて300円で買った本。懐かしい駸々堂のブックカバーのまま、40年寝かせて今頃読んだ。
    主人公マーローが、アフリカの奥地にいるクルツを連れ戻すように会社に命令され、地獄のような光景を見ながらコンゴー川を遡って行く。
    地獄の黙示録が好きな人ならきっと気にいると思う。

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    2021年07月22日
  • ヴェニスの商人

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    読書好きとして一度はこういう歴史ある名著を読んでおこうと思い、拝読。
    率直に、すごく面白く、意外と登場人物も限られており読みやすかった。
    当時のイギリスの文化や法、背景が彷彿とさせられ、舞台はヴェニスではあるがシェイクスピアの頭の中が見て取れるようで、興味深かった。

    特に印象的な人物
    ・ネリッサ…ポーシアの侍女であるが、発する言葉に名言が多く、印象的。
    「あまり御馳走を召し上がりすぎますと、却ってこれは食物もなく、飢えている人間と同じように、やはり一種の病人だそうでございまして。してみますと、すべて中っくらいにいますということは、どうして中っくらいの幸福どころではございませんで。」
    「過ぎた

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    2021年03月17日
  • 人間とは何か

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    ネタバレ

    私たちの思考や言葉は、外的な力によってもたらされた結果でしかない。自己は形成されるものである。
    利己も利他も形状が違うだけで中身は一緒。
    人間の共通目標は主衝動に基づき、自己満足、自己陶酔することだけ。
    教育は、欲望のベクトルを正しい方向に向ける。
    著者のこのペシミズムは、さっぱりとした考え方で気質的なものなのかもしれない。

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    2021年03月15日
  • 闇の奥

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    映画「地獄の黙示録」の原作といわれる作品とのこと。コンゴの奥地への異様に薄暗い旅。真夏に汗だくでもう一回読んでみよう。

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    2018年01月08日
  • 闇の奥

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    さすがに古典的名作と呼ばれる作品は、ものが違う。かならずしも整っているわけでは無さそうなのに、展開の巧みさ、テーマの奥深さによって、一読、忘れられない内容である。

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    2018年10月14日
  • 不思議な少年

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    人間と獣は違う。いろいろな点で違う、ゆえに人間は獣よりも優れている、というのはよくある一般的な話。
    この本では、人間と獣は違う、人間には良心がある、だから獣よりも劣っている、という。

    人間は良心のためならなんだってする。戦争、殺人、強盗、拷問、残忍なことなんでも。ありもしない道徳をもちだして。
    獣は残忍なことをしない。本能で、無心でやった結果、仲間に危害を加えていることはある。でも誰かを傷つけて喜ぶなんてことは絶対にしない。

    手塚治虫の漫画ブッダの中のナラダッタという人間を救うために、動物の命を犠牲にしてしまいその罰を受け、生きながら獣として生きた人物を思いだした。獣として、人間としての良

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    2017年02月05日
  • アラビアン・ナイト 上

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    ファンタジック。きらびやか。

    アラビアの気候が生んだ世界なのね~。

    盗賊も裏切りもあまり残酷なこととしてとらえられていない気がする。
    誤解を恐れずいうと、ISがやって見せることも一部の人にとっては本当に残酷だと思われていないのかもしれない。)とても人間臭いのか?
    そうかと思うと’立派な人’も出てくるけど。
    人間が一番わからない。
    立派でもあり、残酷でもあり。
    その分からないものを存在させるために魔人というものが生まれてきたのかな~。

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    2016年12月21日
  • 人間とは何か

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    ネタバレ

    人間は教育をはじめとする外因からできた機械にすぎない
    すべての行動は自己是認を求める。他者への思慮も、自己犠牲も、自分が納得するかどうかが最大の基準となる。

    晩年のトウェインがペシミスティックな面を露わにした作品、との解釈が多い。同意であるが、それ以上の解釈の可能性を見出したい。青年の台詞を書いたのもトウェインであるなら、老人がどんなに説得にかかっても何とか食いつこうとする姿勢を見せるのはなぜだろう。


    機械にすぎない人間がここまで「進歩」してきたのはなぜだろう。歴史は繰り返す、しかしそれは螺旋階段だと聞いたことがある。

    キーは「想像力」と「創造力」に在るかもしれない。


    せっかくなら

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    2015年11月01日
  • 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇

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    「モルグ街の殺人」は推理小説のさきがけとして知られるが、「黒猫」での「私」の使い方はまるで叙述トリックの萌芽のようだった。
    それにもしても日本での化政文化(直後)期の作品とは思えないほど今読んでも前衛的。まだ推理小説というジャンルが確立する前の作品だからでしょうか、まるでアンチミステリの雰囲気がある。

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    2014年11月25日
  • 闇の奥

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    僕が人生で初めて熟読したと言える書物。かっこいい日本語の文章なので、翻訳者の中野好夫のことも好きになった。が、作者のコンラッドの文章が、僕は原文の英語でも読み、CDのオーディオブックも聞いたのだが、これがそもそもかっこいいのだ。

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    2014年02月06日
  • 人間とは何か

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    ネタバレ

     個人的に何度も読み直したいと思った本。


     例えばです。
     私の身の回りにはもう亡くなった人も含め、何人か認知症を患っていました。

     そのとき、「日常生活でできなくなってしまったこと」が数多くある中でさえ、人を選んで攻撃をする姿を幾人も目にしました。

     大体、人により、(八つ当たりなど)攻撃する対象は限られてるのですよね。弱者に向かう。もちろん当人が一番の弱者なわけですが、当人が元気だった頃の認識で弱者と思われる人間が攻撃対象になる。強い人間にはあまり向かわない。


     わたし、何となく見ていたり、その対象になったりして、
     「あぁ、自分に対する弱者強者を見分ける力って、結構人間の根源

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    2013年10月20日
  • 不思議な少年

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    晩年のトゥエインがこれを書いたのだと思うと虚しくて憂鬱になる。サタンの視点から見る人間の愚かさ、そんな着想からここまで広げられたのはトゥエインならではだ。亀井氏は「ペシミズムに陥りながらも、それを乗り越えようと苦闘した」と評するけれども、むしろこの本こそ彼のペシミズムの骨頂だったという気がしてならない。名作ではあるが、気分の良い思いはしない。

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    2013年09月15日
  • 闇の奥

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    ポーランド生まれのイギリス作家・ジョセフ・コンラッドによる実体験に基づいた著作。コンゴー河上流開拓会社の船乗りマーロウが語り手となって、闇黒アフリカの奥地にて象牙蒐集に明け暮れる天才クルツの救出の顛末を語る。
    コンラッドの作風として特徴的なものは、大自然を写実的に描くのではなく常に暗示的であり、この「闇の奥」もまた未開の地としてのアフリカの奥地のことだけではなく、人間の持つ心の深淵のことも示唆していることは想像に難くありません。
    白人による土人の搾取、文明とはかけ離れた黒人たちの原始の叫び…正常な人間でさえも闇黒の大陸では寂寥と孤独に蝕まれ、クルツのように人が持つ「人間性」も崩壊してしまう。臨

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    2013年08月16日