城山三郎のレビュー一覧
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著者のこともよく知らず、時代は繰り返すことから、以前にも、今と同じ、いやそれ以上に苦しく、大変な時代があったと思い、タイトルと、書評に惹かれ読み始めた。
やはり、今とは環境は違うものの、今よりも命をかけた大変な時代があり、それを乗り切ってきた人たちの、それぞれの生き様が描かれてある。
変わらないのは、外野は騒ぎ立て、志を持った人間は、淡々とことを進めていくと言うことだ。それは、決して簡単なことではなく、時には命を落とすことになり、その思いが途絶えることにもなる。
戦後の日本の歴史を、表だけではなく、事実の面を見るにも興味深く読ませていただいた。
最終章で、井上準之助さんに付 -
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平凡な主婦が、3人子供がいながらもバリバリ働く高校時代の友人に誘われて働き始める話。
それまでは専業主婦であった主人公が「サクセス」を求める社会人たちの波に飛び込み、家庭との両立に悩みながらも仕事を続ける。
家庭を大事にしようとする主人公。
家庭を持ちながらも固執しない友人。
家庭を持たずに働きながらも家庭への憧れが離れない別の友人。
その3人の周囲で事件がおきていく。その事件を通して、「女性が社会に出ながら『幸せ』をつかむのは難しい、そしてその『幸せ』とはつまるところは家庭での生活なのだ」という結論を訴えようとしているという印象を受ける。
僕は女性ではないから、結局のところ結婚や出産 -
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東急グループ2代目五島昇氏の人生を城山三郎が纏めた本。東急グループは、五島昇氏の父である慶太氏がビジネスをはじめた。鉄道、観光、映画等のレジャー産業などあらゆる分野に進出し、今の東急グループの礎を築いた。昇氏は、父から受け継いだビジネス基盤をさらに強固なものとし大きくした。売上で比較すると、慶太氏から引き継いだ時は、70社7法人で700億、従業員数は3万人だったのが、347社8法人で2兆8千億、従業員は8万9千人まで拡張させた。凄いの一言に尽きる。しかし、本人はいたって普通だ。周りの人に支えられ人間として大きな器を作っていったように感じる。
父慶太氏が亡くなった後、今後のことを相談するために父 -
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なかなかオチがいい作家だなぁ
この作家は初めてに近い(キングスレイ ウォードの訳は読んだことがある)。
「著者の戦争体験と深くかかわった作品7編を集めた短編集」といわれる本書を読んだ感想はなかなかいいものだ。
なんというか、淡々としていて説教くさくなく、しかも余韻がある感じ。いいワインを味わう感じもしくは後から辛さがきいてくるインデアンカレーの感じだろうか。
(なんちゅうたとえや・・・)
作品は以下の通り。
硫黄島に死す
まさに表題作。硫黄島で有名な栗林ではなく西から見た戦記かな。かたくなに「勝たなくては」と思う日本の狭さがよく表現されている。
基地はるかなり
銀行頭取・ -
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故城山三郎氏は私の好きな作家の一人である。氏が描く男はどれも漢であり格好いいのだ。
本書は、城山氏自身が「無所属」というキーワードを軸に書き溜めたエッセイである。城山氏は約10年間の大学教員時代以外はフリーの経済作家として、いわば社会的に無所属の立場で過ごされてきた方である。
本書にて城山氏の造語が二つ、紹介されていた。
ひとつは「一日一快」。一日にひとつでも、爽快だ、愉快だと思えることがあれば、「この日、この私は、生きた」と自ら慰めることが出来るということである。私も仕事などで凹み、ぐったりして帰宅することがあるが、そんなときに道端に咲く花が素敵だったり夕焼けが綺麗だったりすると、爽快に