城山三郎のレビュー一覧
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ネタバレ経済法の教授がオススメしていたので、少しでも経済法の理解の足しになれば…と思い、読んでみました。
簡単にいうと、独占禁止法の「不当廉売」の話です。不当廉売からのし上がっていく主人公と、それを阻止しようとする大企業との闘い。講義を聞いたり、法律の条文を目で追ったりするだけでは、決して分からない当事者(被害者・加害者)の心情・息遣いが伝わってきます。
個人的には、「経済法の理解」に重点を置いていたので、その点では物足りなかったので、この評価です。しかし、小説に「経済法の理解」を求めすぎるのも筋違いかなとも思っています。
物語としても面白いと思います。自分のように勉強の理解のために…と欲張るのでなければ(笑)オススメです。 -
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ネタバレ日露戦争で大活躍した『坂の上の雲』の主人公と言える秋山真之が戦術の参考にした村上水軍の栄枯盛衰の話。
それはサムライの栄枯盛衰として見ることもできる。
しかし、瀬戸内海を制し、通行料で食っていくという安定的に見えるビジネスが一気に成り立たなくなるという過程としても見ることができた。
掟を重んじ、最強を誇った村上水軍は新しい時代の到来になす術もなく散った。
組織が属人的であったり、改革が進まなかったり、今よく新聞で目にするような苦境に立つ企業のような話がよく出てくる。
いつの時代もforward lookingでなければやっていけないのだ。 -
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倉敷の大原美術館を訪れて、、その創設者の大原孫三郎氏の思想に触れたくなり、美術館で衝動買いをしてしまいました。
倉敷のガイドさんから聞いたとおり・・ものすごい決断力ですね。
ただ、、彼への賛同者ばかりではなかったのもうなずける決断もチラホラあることが、この本を読んでいて分かりました。
児島虎二郎ファンの私としては・・
「社会から得た財はすべて社会に返す」という思想のもとに、
彼を自費で留学させたり、
現在大原美術館にある絵を自由に購入させたり、、には感動したのですが、、
彼の友人、石井十次氏には個人的には賛同しかねる。。(^_^;)
確かに孤児院を設立することは善だと思うけど、
だからといって理想を追い求めてなんでもやっていいというわけではない気がする。。
そして、そこにお金を出し続ける孫三郎氏の考えもよく分からない。。
・・とはいえ、やはり尊敬すべき点の多い人ですね。
息子の總一郎氏もとても素晴らしい人なんだ、と、勉強になりました。 -
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双日の源流であり、米騒動の時に米を買い占めた悪徳商社という汚名を着せられた「鈴木商店」のはなし。著者の城山三郎さんが精力的な取材で明らかになった部分と、それでもわからない部分。
これ自体30年以上前の本だけど、未だに双日の人はこの本をバイブルにしている(人もいる?)という話を聞いて読み始めましたが、たしかにいい会社だったんだろうなという感じは伝わってきます。実体がどうだったかということよりも、何世代か前の先輩にまで想いを馳せられる会社というのもいいもんだなと思いました。
大正時代の新聞記事の引用がやたら多くて読みにくいけど、新聞記事をすっ飛ばしても、城山さんのまとめがあるので筋はわかります。 -
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著者のこともよく知らず、時代は繰り返すことから、以前にも、今と同じ、いやそれ以上に苦しく、大変な時代があったと思い、タイトルと、書評に惹かれ読み始めた。
やはり、今とは環境は違うものの、今よりも命をかけた大変な時代があり、それを乗り切ってきた人たちの、それぞれの生き様が描かれてある。
変わらないのは、外野は騒ぎ立て、志を持った人間は、淡々とことを進めていくと言うことだ。それは、決して簡単なことではなく、時には命を落とすことになり、その思いが途絶えることにもなる。
戦後の日本の歴史を、表だけではなく、事実の面を見るにも興味深く読ませていただいた。
最終章で、井上準之助さんに付いての記述で、味噌汁にトマトを入れると書かれてある、これは、現代人においても奇妙に思えるが、すばらしく美味しい味噌汁ができたのであることが想像される。トマトのカゴメも、トマトケチャップを鰹だしの代わりに使えるとアピールするように、グルタミン酸豊富なトマトを、味噌汁に入れるというのは、鰹だし+トマトだしで、うまみを掛け合わせていることとなる。 -
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平凡な主婦が、3人子供がいながらもバリバリ働く高校時代の友人に誘われて働き始める話。
それまでは専業主婦であった主人公が「サクセス」を求める社会人たちの波に飛び込み、家庭との両立に悩みながらも仕事を続ける。
家庭を大事にしようとする主人公。
家庭を持ちながらも固執しない友人。
家庭を持たずに働きながらも家庭への憧れが離れない別の友人。
その3人の周囲で事件がおきていく。その事件を通して、「女性が社会に出ながら『幸せ』をつかむのは難しい、そしてその『幸せ』とはつまるところは家庭での生活なのだ」という結論を訴えようとしているという印象を受ける。
僕は女性ではないから、結局のところ結婚や出産、子育てが女性の一番の幸せなのかどうかなんて今は分からないしこれからも分からない。だからこの物語の結論が正しいかどうかはわからない。
ただ、画一的な答えが押しつけられた印象。
そして、本当に主人公が「働いた」と言えるのだろうか、それも非常に中途半端で社会を覗いたに過ぎないなという印象である。 -
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東急グループ2代目五島昇氏の人生を城山三郎が纏めた本。東急グループは、五島昇氏の父である慶太氏がビジネスをはじめた。鉄道、観光、映画等のレジャー産業などあらゆる分野に進出し、今の東急グループの礎を築いた。昇氏は、父から受け継いだビジネス基盤をさらに強固なものとし大きくした。売上で比較すると、慶太氏から引き継いだ時は、70社7法人で700億、従業員数は3万人だったのが、347社8法人で2兆8千億、従業員は8万9千人まで拡張させた。凄いの一言に尽きる。しかし、本人はいたって普通だ。周りの人に支えられ人間として大きな器を作っていったように感じる。
父慶太氏が亡くなった後、今後のことを相談するために父の旧友 正力松太郎氏(元読売新聞のオーナー)を尋ねた時に、「いちばん大事なことは人に相談するなよ」とアドバイスを貰ったり、それを忠実に守っていく。
例えば、社長の何よりの仕事である人事。昇氏はいつも大胆に行なった。相談もしなければ、根回しもしない。正力氏のアドバイスを守る。なかなかできないことだ。
語っている言葉に味わいがある。
「おれだって、よく腹の立つことがあるが、立てたところで無意味だ。かっと来ると思うけど、腹を立てるな」
「買い漁りとか、ああいうやり方はおれはやらん。他人のつくったものは買うな。やるときは自分でやれ。世の中の役に立つものをやってれば、必ず利益がでる」
本書はじわりじわりと味が出てくる本だ。 -
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なかなかオチがいい作家だなぁ
この作家は初めてに近い(キングスレイ ウォードの訳は読んだことがある)。
「著者の戦争体験と深くかかわった作品7編を集めた短編集」といわれる本書を読んだ感想はなかなかいいものだ。
なんというか、淡々としていて説教くさくなく、しかも余韻がある感じ。いいワインを味わう感じもしくは後から辛さがきいてくるインデアンカレーの感じだろうか。
(なんちゅうたとえや・・・)
作品は以下の通り。
硫黄島に死す
まさに表題作。硫黄島で有名な栗林ではなく西から見た戦記かな。かたくなに「勝たなくては」と思う日本の狭さがよく表現されている。
基地はるかなり
銀行頭取・死刑囚二人のそれぞれの生き様。二人の運命は戦争時の一点だけで交わっている。日常の中で戦争と戦友である死刑囚をさくっと振り切るラストが気持ちいい。
草原の敵
遙か異国での少年兵の話だが、イマイチ感情移入ができずに終わった。
青春の記念の土地
なんとなくいい感じがするんだが、戦争を知らない我が身にはイマイチ伝わらないものがあるのかもしれない。
軍艦旗はためく丘に
淡路や宝塚が出てくるので親しく読むことができた。しかし、これも少年兵の頓死がテーマになっており、ピンとこない雰囲気かな。
着陸復航せよ
米人航空技術教官の姿が描かれるなんか一風変わった作品。帰国直前に頓死させる必要があるのか? 伝えたいことが伝わってこないいらいらが残るな。
断崖
前6作とは趣が大いに異なる作品。エッセイのような感じ。便利さ、快適さとかいったものへのアンチテーゼか。より深いテーマがあると思うのだが、この短編からは読みとれない。でも、この伏線はどこかで明らかにされるような気がする。そのときが楽しみだ。