玉木亨のレビュー一覧

  • 炎の爪痕

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    司書さんから個人的にお借りした本ですが、シリーズ最終巻でした。(なぜこの本を?)
    シリーズの主人公はシェトランド署の警部で、過去に婚約していた女性の娘と二人暮らし。
    婚約していた女性は目の前で刺殺されたらしく、そのトラウマから抜け出せないでいる。
    しかし、シェトランドを含む広域を管轄する主任警部と現在は恋愛関係にあるのだが、今回は二人の間に溝ができて…。
    というような複雑な人間関係が、事件と同じくらいの分量描かれています。

    事件の背景にあったものはなかなかに重苦しく、読後嫌な感じがぬぐえません。
    親に厳しくしつけられ情愛を感じることなく育った父と、親に甘やかされ自分のことしか考えられない母と、親に暴力を振るわれ誰にも心のうちを見せない子守り。
    こんな家庭は嫌だな。

    または、つねに勝ち組でいたい、負けた自分を認められないまま、子どもを縛り付けることしかできない親。
    これも嫌だな。

    死体が発見された家は、この島に移住してきたよそ者一家で、都会風をふかした鼻持ちならない人たちであると地元の人のうわさが絶えないフレミング家。
    ここも、子どもたちは変わりもので、夫は鬱病で、問題満載だけれど、軌道修正をしようとする意思はある。

    小さな島の小さな集落では、秘密を持てようはずがない。
    誰もがみんなのことを知り尽くしているのだから。
    あー、息苦しい。
    そんな島での殺人事件。
    よそ者が犯人とでも思わないとやっていけない同調圧力。
    あー、鬱陶しい。

    それでも面白くて本当に一気読み。
    さて、シリーズ最初から読みなおすか?

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    2023年06月25日
  • 野兎を悼む春

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    ペレス警部シリーズも三作目。ペレスとの付き合いも深まってきました。
    今回は前半かなりゆっくりじっくり進むので、最後の加速が印象的。
    ところで、このシリーズの心の声が好きなんです。みんな、なかなか辛辣で、ニヤリとするところも。
    シェトランドへ行ってみたい。

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    2023年04月22日
  • 炎の爪痕

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    ペレス警部の自宅を訪れたのは、シェトランド本島に一家で移住してきたヘレナ。彼女はまえの持ち主が納屋で自殺して以降、何者かが家に侵入して謎めいた紙片を残していくことに悩まされていた。その納屋で、今度は近所の家の子守りが死体で見つかり、ペレスが捜査担当者となるのだが──。

    第二作を読んで以来、12年ぶりにいきなりシリーズ最終作を手に取ってしまった。過去作も読むことにしよう。

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    2023年04月17日
  • 青雷の光る秋

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    ネタバレ

    ショックでした。
    まさか最後に殺されたのがあの人だなんて…
    シリーズを最初からずっと読んできたので、まさかこんな風に終わるとは…
    ペレスシリーズはこの後も続くようですが、読みたいかどうか今は分からない状態
    犯人は、今回も最後まで分からなかったので、巧みな筆力だと思います

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    2023年04月16日
  • 野兎を悼む春

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    ネタバレ

    構成や描写が巧みで、早々に物語の世界に引き込まれた。
    登場人物が魅力的なだけに犠牲になってしまったのが辛くなったり、サンディの成長が嬉しかったり、最後の展開におお!と思った後になんとなく嫌な予感がしたり…
    犯人は最後まで分からず、予想外の展開に驚きました。

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    2023年04月16日
  • 炎の爪痕

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    CL 2023.3.30-2023.4.2
    シェトランドシリーズ最終章。
    シェトランドという舞台らしいしみじみとした物語が好きだった。今回の真相はやりきれなさが残るけど、ペレスやウィローが地道に捜査を重ねていく過程が好き。ペレスの生活も事件とともに変化してきて、このラストは希望があってよかった。

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    2023年04月02日
  • 水の葬送

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    イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『水の葬送(原題:Dead Water )』を読みました。

    『大鴉の啼く冬』に続き、「アン・クリーヴス」作品です。

    -----story-------------
    シェトランド島の地方検察官「ローナ」は、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。
    被害者は地元出身の若い新聞記者だった。
    本土から派遣された女性警部が「サンディ刑事」たちと進める捜査に、病気休暇中の「ペレス警部」も参加し、島特有の人間関係とエネルギー産業問題が絡む難事件に挑む。
    〈シェトランド四重奏(カルテット)〉を経て著者が到達した、現代英国ミステリの新たな高み。
    解説=「若林踏」

    *第9位『2016本格ミステリ・ベスト10』海外篇
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    ロンドンから北へ960キロメートル、イギリス最北の北緯60度に位置する大小100以上の島からなるシェットランド諸島を舞台とした「ジミー・ペレス警部」シリーズの第5作目… 2014年(平成26年)に発表された作品で、四季をテーマ(冬→夏→春→秋の順)にした<シェットランド四重奏(カルテット)>四部作の続篇として刊行された作品です、、、

    2作目~4作目を読んでいないので、「フラン・ハンター」が「ジミー・ペレス警部」と婚約後、亡くなってしまっていて、「ペレス警部」は「フラン」の娘「キャシー」と生活しているものの、「フラン」の死から立ち直れず病気休暇中との状況で物語が始まったので、やや戸惑いましたね… やっぱり、シリーズ物は順番に読んでいくのが望ましいですね。


    読んでいない前作『青雷の光る秋』から、およそ半年後、春が訪れたシェトランド諸島の湾… 地方検察官の「ローナ・レイン」は、仕事を終えた後のひとときを自宅で外の景色を眺めながら過ごしていたところ、湾に鎧張りの船(ヨール:伝統的な工法で作られた競漕用の小船)が漂っているのを発見する、、、

    本来なら土手の上にあるはずの競漕用の船が、なぜ海に浮かんでいるのか… 船を戻そうとした「ローナ」は自分のボートを漕いで、潮に流される鎧張り船に追いつきます。

    船内を覘くと、そこには男の死体があった… しかも、外傷の状態からして明らかに他殺とわかる死体だった、、、

    「ペレス警部」は病気療養中で、捜査に参加できる状態ではなかったことから、本土のインヴァネス署から派遣された「ウィロー・リーヴズ警部」が捜査指揮をとることになる… やがて捜査員の一人「サンディ・ウィルソン巡査」により被害者の身元が判明する。

    名前は「ジェリー・マーカム」、シェトランドの地方新聞社に勤めた後、本土に渡りロンドンの大手新聞社の記者となり成功を収めた地本出身の若者だった… ホテルを経営する両親「ピーター」と「マリア」の話によれば、どうやら「ジェリー」は島の石油ターミナルに関する取材を行おうとしていたようだった、、、

    折しもシェトランドでは石油代替エネルギーの開発を巡る議論が活発化し、住民運動も起こっていた… 「ジェリー」の死は、それらに関係があるのか!? 次第に「ペレス警部」も捜査に参加し始め、「ジェリー」殺しの犯人を追うことに。

    殺害現場等が徐々に明らかになるものの、動機や犯人の特定は困難を極め、捜査は難航する… そんな中、第二の被害者が、、、

    殺されたのは水先案内人の「ジョン・ヘンダーソン」、彼は病気で妻を喪い独身生活を送っていたが、「イーヴィー・ワット」と婚約し、近々に結婚を予定していた… 婚約者の「イーヴィー」は、以前、第一の被害者である「ジェリー」と付き合っており、その際、妊娠・流産という辛い経験をしていた。

    しかも、「ジェリー」は殺害される前に「イーヴィー」に連絡して会おうとしていたことが判明する… 動機は恋愛に絡む愛憎なのか!? そして、今度は「ジェリー」を発見した「ローナ」が行方不明となる、、、

    「ペレス警部」は、殺された「ジェリー」や「ジョン」、そして「イーヴィー」や「ローナ」の過去の人間関係等を調べ、徐々に真相に近付いて行く… 意外な人物たちが犯人でしたね、娘の幸せを思うあまり、常軌を逸した判断をしてしまったんでしょうね。

    「ペレス警部」とは相性が良くない感じの「リーヴズ警部」でしたが、対照的な存在だけに、きっかけがあれば一気に関係が近付きそうな感じです… 次作以降も、二人のコンビが登場すると面白そうですね、、、

    本作品でも、「ペレス警部」と「リーヴズ警部」に加え、お馴染みの脇役「サンディ巡査」、検察官「ローナ」といった登場人物たちの視点を巧みに切り替えて、被害者を巡る人物相関・人間模様が重層的に描かれていましたね… 面白かったです。



    以下、主な登場人物です。

    「ジミー・ペレス」
     シェトランド署の警部

    「ジェリー・マーカム」
     ロンドンの新聞記者

    「ピーター・マーカム」
     ジェリーの父。ホテル経営者

    「マリア・マーカム」
     ジェリーの母

    「アンディ・ベルショー」
     石油ターミナルの広報担当者

    「ジェニファー(ジェン)・ベルショー」
     アンディの妻

    「ジョー・シンクレア」
     サロム湾の港長

    「イーヴィー・ワット」
     ジェリーの元恋人

    「フランシス・ワット」
     イーヴィーの父

    「ジェシー・ワット」
     イーヴィーの母

    「ジョン・ヘンダーソン」
     イーヴィーの婚約者。水先案内人

    「マーク・ウォルシュ」
     ジョンの隣人。B&B経営者

    「スー・ウォルシュ」
     マークの妻

    「アナベル・グレイ」
     ジェリーの恋人

    「リチャード・グレイ」
     アナベルの父。法廷弁護士

    「ウィロー・リーヴズ」
     インヴァネス署の警部

    「サンディ・ウィルソン」
     シェトランド署の巡査

    「モラグ」
     シェトランド署の巡査

    「デイヴィ・クーパー」
     シェトランド署の巡査

    「ヴィッキー・ヒューイット」
     北スコットランド警察の犯行現場検査官

    「ローナ・レイン」
     地方検察官

    「フラン・ハンター」
     ペレスの婚約者。故人

    「キャシー・ハンター」
     フランの娘

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    2023年03月14日
  • 大鴉の啼く冬

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    イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『大鴉の啼く冬(原題:Raven Black)』を読みました。

    「P・G・ウッドハウス」、「セバスチャン・フォークス」の作品に続き、イギリス作家の作品です。

    -----story-------------
    【CWA最優秀長編賞受賞作】
    新年を迎えたシェトランド島。
    孤独な老人「マグナス」を深夜に訪れた黒髪の少女「キャサリン」は、4日後の朝、大鴉の舞い飛ぶ雪原で死んでいた。
    真っ赤なマフラーで首を絞められて。
    住人の誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ彼女を殺したのか? 
    8年前の少女失踪事件との奇妙な共通項とは? 
    「ペレス警部」の前に浮かびあがる、悲しき真実。
    現代英国本格派の旗手が、緻密な伏線と大胆なトリックで読者に挑戦する! 
    解説=「川出正樹」

    *第3位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家・評論家部門
    *第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
    *第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
    *第6位『週刊文春』「2007ミステリーベスト10」/海外部門
    *第6位『2008 本格ミステリ・ベスト10』/海外ランキング
    *第8位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
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    ロンドンから北へ遥か960キロメートル… イングランド本島とノルウェーを橋渡しするかのように、北海の北辺に浮かぶ島々――シェットランド諸島、、、

    そこを舞台とした「ジミー・ペレス警部」シリーズの第1作目… 2006年(平成18年)に発表された作品で、最初の4作品は四季がテーマ(冬→夏→春→秋の順)となっており<シェットランド四重奏(カルテット)>とも名付けられているようですね。

    2006年度(平成18年)CWA(英国作家協会)最優秀長編賞受賞作で、冬のシェトランド島を舞台に、厳しい自然環境の中で不吉な大鴉を象徴的に配して、村の因習や余所者を巡る人間関係を丹念な筆致で描き上げた重厚な傑作に仕上がっています… 絶妙な舞台設定と計算されつくした視点採用が両輪となり、読む者の心をとらえて離さない、謎解きと人生のドラマが融合した味わい深い、そして、オーソドックスなミステリで、しっかり愉しませてもらえました。


    凍てつく元日の夜、パーティー帰りの二人の女子高生「キャサリン・ロス」と「サリー・ヘンリー」が、母親に死に別れ独り暮らしの老人「マグナス・テイト」を訪ねる… 「マグナス」は知的障害者で、数日後町へ出掛けたバスの帰りに偶然「キャサリン」と出遭い、再び家に招く、、、

    翌朝、ロンドンからシェトランドへ移り住んできたシングル・マザーの画家「フラン・ハンター」は、娘の「キャシー」を学校に送る途中、雪原で無残な死体と化した「キャサリン」を発見する… 彼女は赤いマフラーで絞め殺され、打ち捨てられていた。

    地元のシェトランド署の警部「ジミー・ペレス」は捜査を開始し、偏見を捨てなければと思いつつも、8年前に起こった少女失踪事件の時も疑われた老人「マグナス」に疑惑の目を向ける… 島外から応援に来たインヴァネス署の警部「ロイ・テイラー」と協力して捜査に当る「ペレス警部」が決め手を欠く内に、8年前に失踪した少女「カトリオナ・ブルース」の遺体が泥炭の中から、傷んでいない状態で発見される。

    少女の遺体を発見したのは、またもや「フラン」だった… やがて、「キャサリン」がシェトランドの人々を題材に制作中だった映画が消えていることが判明し、事件と何らかの関わりがあると思われたが、その謎の解明を待たず、「カトリオナ」が行方不明になる前に髪を結わえていたリボンを持っていたことが決め手となり「マグナス」は逮捕される、、、

    事件は解決したかに見えたが、村の祭り〈アップ・ヘリー・アー〉の夜に新たに少女が姿を消す… 行方が分からなくなったのは、「フラン」の娘「キャシー」だった。

    同一犯の犯罪なのか!? そうであれば8年前の犯行は「マグナス」の手によるものではないのか!? 「ペレス警部」は「テイラー警部」の協力を得ながら衝撃の事実を抉り出す。

    本作品の最大の特質は、四人の何処かに悩みを抱える登場人物… 母の過去の思い出に捕えられる老人「マグナス」、殺された「キャサリン」の親友で学校と恋に悩む「サリー」、富豪と結婚しながら夫の浮気の為に離婚して一人娘を育てる「フラン」、親の暮らす島の農業を継ごうか迷っている「ペレス警部」のそれぞれの視点で交互に語られている点ですかね、、、

    「ペレス警部」は粘り強い捜査で、村のあらゆる人間関係を解きほぐしますが推理力で解決するには至らず、結局決め手となったのは「マグナス」への尋問・証言でした… まだ少女とはいえ、女性間の嫉妬は怖いですねぇ。

    予想し難い結末でしたが、その分だけ愉しめました… 面白かったです。



    以下、主な登場人物です。

    「キャサリン・ロス」
     高校生

    「ユアン・ロス」
     キャサリンの父。高校の英語教師

    「サリー・ヘンリー」
     高校生。キャサリンの友人

    「アレックス・ヘンリー」
     サリーの父。自然保護係官

    「マーガレット・ヘンリー」
     サリーの母。小学校の教師

    「マイクル・イズビスター」
     実業家

    「シーリア・イズビスター」
     マイクルの妻

    「ロバート・イズビスター」
     マイクルの息子

    「ダンカン・ハンター」
     富豪

    「フラン・ハンター」
     画家。ダンカンの元妻

    「キャシー・ハンター」
     フランの娘

    「マグナス・テイト」
     知的障害のある老人

    「メアリー・テイト」
     マグナスの母。故人

    「アグネス・テイト」
     マグナスの妹。故人

    「デヴィッド・スコット」
     高校の英語教師

    「カトリオナ・ブルース」
     八年前に失踪した少女

    「ケネス・ブルース」
     カトリオナの父

    「サンドラ・ブルース」
     カトリオナの母

    「ブライアン・ブルース」
     カトリオナの弟

    「ジミー・ペレス」
     シェトランド署の警部

    「モラグ」
     シェトランド署の巡査

    「サンディ・ウィルソン」
     シェトランド署の巡査

    「ロイ・テイラー」
     インヴァネス署の警部

    「ジェーン・メルサム」
     インヴァネス署の犯行現場検査官

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    2023年03月14日
  • 凍った夏

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    イギリスの作家「ジム・ケリー」の長篇ミステリ作品『凍った夏(原題:The Coldest Blood)』を読みました。

    「オリヴァー・ハリス」に続き、イギリスのミステリ作品です。

    -----story-------------
    〈現代英国本格の頂点〉が贈る、純度100%の謎解き!
    肘掛け椅子に座ったまま凍死した男。
    現場に残る謎に「名探偵」だけが気付く。

    公営アパートで肘掛け椅子に座ったまま男性が凍死した。
    自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者の「ドライデン」は疑問をおぼえる。
    死んだ男は金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨が補充されていた。
    自殺する人間がそんな行動をとるだろうか?
    「ドライデン」の丹念な調査と明晰な推理によって、少しずつ解かれていく人々の秘密。
    端正な英国本格ミステリ。
    解説=「若林踏」
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    2006年(平成18年)に発表された作品で、沼沢地帯の都市・イーリーを舞台にして、週間新聞『クロウ』の記者「フィリップ・ドライデン」が探偵役となり活躍するシリーズの第4作です、、、

    「ジム・ケリー」の作品も、本シリーズも初めて読みましたが、安心して読める本格ミステリで愉しめました… イギリスの現代本格ミステリは、なかなかヨイ感じですね。


    2005年12月、東イングランド全体を歴史的な寒波が襲い、イーリーもまた氷と雪片に覆われた光景と化していた… そんな極寒の世界で、寂れた公営アパートに住む「デクラン・マキロイ」という男が凍死する、、、

    発見したのは隣人で、午前2時に「マキロイ」のフラットの窓が開いていたのを不審に思い部屋に入ったところ、居間の肘掛け椅子で死んでいたという… フラット内の部屋のドアはすべて外されており、窓もまたすべてが開け放たれていた状態だった。

    警察の情報によれば「マキロイ」は長いこと精神を患っており、過去に二度、自殺を図ったことがあるという… おまけに「マキロイ」には飲酒癖があり、今回の凍死は自暴自棄に陥った上での自殺という形で処理されるかに見えた、、、

    しかし「マキロイ」の死を自殺と片づけることに、週間新聞『クロウ』の記者「フィリップ・ドライデン」が異議を唱えた… 「マキロイ」の部屋を訪れた彼は、そこに奇妙な点があることに気付いたのだ。

    それは硬貨がたっぷりと補充されたコイン式の電気メーターである… これから自殺する人間が、電気メーターが切れないように硬貨を補充するものだろうか、、、

    自殺説に疑問を抱いた「ドライデン」が調査を始めると、「デクラン」の親友「ジョー・ペチェレンゴ」も奇妙な事故死(凍死)に遭っていたことが判明… さらに、「デクラン」と「ジョー」、「デクラン」の姉「マーシー・スレイ」は、「ドライデン」が過去の虐待事件について取材を進めていた聖ヴィンセント孤児院に預けられていたことが判明する。

    また、「デクラン」と「ジョー」は、31年前の1974年8月にドルフィン休暇村で発生した「ポール・ゲドニー」の殺害事件に関して新たな証言をする予定で、彼らの証言しだいでは、殺人犯として逮捕された「チップス・コナー」が無罪となる可能性もあった… そして、「ドライデン」は同じ時期に彼らとドルフィン休暇村にいたことに思い至り、「デクラン」と「ジョー」の死は、「ポール・ゲドニー」殺害事件に関係しているのではと推理する、、、

    過去の事件の解明は、「ドライデン」自身をも巻き込み、思いも寄らない展開を見せていく… 「ポール・ゲドニー」を殺害したのは誰なのか? いや、そもそも「ポール・ゲドニー」は生存しているんじゃないのか? 「デクラン」は、自動車事故による“閉じ込め症候群”で昏睡に近い状態の妻「ローラ」を伴いドルフィン保養所(旧ドルフィン休暇村)に宿泊、「ポール・ゲドニー」殺害の罪で服役している「チップス」の妻でドルフィン保養所支配人「ルース・コナー」に接触することで、真相に近付いていく。

    伏線の張り方、読者をミスリードするエピソードの入れ方、謎が謎を呼ぶ展開の膨らませ方など、巧いなぁ と思わせる展開でしたね… あと、大寒波に見舞われた氷と雪の風景等、天候や自然の描写が、なかなか効果的だと感じましたね、むっちゃ寒そうな情景の影響か、北欧ミステリっぽい印象が残りました、、、

    過去の3作品『水時計 』、『火焔の鎖 』、『逆さの骨 』も翻訳されているようなので、読んでみたいですね。


    以下、主な登場人物です。

    「フィリップ・ドライデン」
     週刊新聞「クロウ」の主任記者

    「ローラ・ドライデン」
     ドライデンの妻

    「ハンフリー・H・ホルト」
     ドライデンのお抱えタクシー運転手

    「セプタマス・ヘンリー・キュー」
     週刊新聞「クロウ」の編集長

    「ビル・ブラッケン」
     週刊新聞「クロウ」の編集主任

    「ゲーリー・バイモア」
     週刊新聞「クロウ」の火球記者

    「デクラン・マキロイ」
     凍死した男

    「バスター・ティムズ」
     デクランの隣人

    「ジョー・ペチェレンゴ」
     デクランの親友

    「マーシー・スレイ」
     デクランの姉

    「ジョン・スレイ」
     マーシーの夫

    「ヴィー・ヒルゲイ」
     低体温症活動トラストの設立者

    「ジョン・マーティン」
     神父。聖ヴィンセント孤児院の元院長

    「エド・バードルフ」
     ソーシャルワーカー

    「チップス・コナー」
     ドルフィン保養所の元従業員

    「ルース・コナー」
     ドルフィン保養所支配人。チップスの妻

    「ポール・ゲドニー」
     看護実習生。故人

    「ウィリアム・ナブズ」
     ドルフィン保養所管理人

    「ラッセル・フリート」
     ドルフィン保養所副支配人

    「ミュリエル・コヴラック」
     ドルフィン保養所客室係

    「アルフ・ウォーカー」
     通信協会の記者

    「ジョック・リード」
     イーリー警察の警部

    「ジョン・パーラー」
     キングス・リン警察の警部

    「ジョージ・ルットン」
     ホイットルシー地域病院の医師

    「エリザベス・ルットン」
     薬剤師。故人

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    2023年02月15日
  • 炎の爪痕

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    ネタバレ

    シリーズ完結。
    15年かけてシェトランドに思いを馳せて来たので
    感慨深いものがあります。
    特に4作目の衝撃は今なお忘れられません。

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    2023年01月26日
  • 白夜に惑う夏

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    ネタバレ

    シェトランドシリーズ第2巻。
    前回と打って変わり、今回は夏のシェトランド諸島。描写が良い。

    北極圏に近いからか、夏は白夜があるらしい。
    いまいち距離感が掴めないけど、イギリス本島(と言っても良い?)の北の方でもそうなのだろうか?

    2作目の今回も、事件自体は結構シンプル。
    ペレスとフランの前で泣き崩れた記憶喪失の男が、翌日ボート小屋で死体となって発見される。しかもピエロの仮面を被って。シェトランド諸島の北側が舞台。夜でも明るいことによる不協和音と、前作以上に閉塞感のある人間関係。

    今回も、最後の最後まで犯人がわかりません笑
    2作目でようやく気付いたけど、伏線は張ってあれども、真相まで辿り着くには難易度高い張り方のような気がする。。。
    次は春!

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    2023年01月22日
  • 大鴉の啼く冬

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    ネタバレ

    アン・クリーヴスのシェトランドシリーズ(カルテット)第1巻。
    全8冊のシリーズがとうとう完結したとのことで。
    15年ぶりの再読(奥付見て、購入してからそんなに経つかと愕然)。

    女の子が殺された。過去にも行方不明になった女の子がいる。現場近くに怪しい男が住んでいる。
    事件自体はシンプルで、大掛かりなトリックはない。小さなコミュニティのシェトランド諸島で、誰が何のために殺したか。4人の視点から語られる。

    終盤近くになり、殺された女の子の行動が明らかにされる。そこからの展開は早い。
    シェトランド諸島の有名な祭りアップ・ヘリー・アーの最中、容疑者と思われる登場人物が順番に姿を現す場面は圧巻。最後の最後まで犯人が分からず、フーダニットを楽しませてもらった。

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    2023年01月03日
  • 大鴉の啼く冬

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    シェトランドについては犬しかイメージがなかったが、木も生えない寒い土地で、イギリスからもノルウェーからも14時間も掛かる場所だとは思っていなかった。天然のクローズドサークルだが、謎解きのミステリではなかった。狭い世界に暮らす人間模様をミステリ仕立てで表現したものといった印象。
    手掛かりらしい手掛かりは与えられないので、最後まで犯人は分からなかったが、胸に何かが残る作品だった。

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    2022年11月12日
  • ブラック・フォン

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    映画『ブラックフォン』が面白かったので原作も読んでみた。
    こちらは短編なので映画よりあっさり。後日談が収録されていたけれど、映画のラストのほうが好き。
    ホラーだけでなく、純文学系のストーリーもいくつか収録されていて、なかなか読み応えがあった。

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    2022年10月15日
  • 怪奇日和

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    お父さんのSキング様同様なオーセンテックなストーリーを緻密なキャラ心情表現で爆あげしたのを今風にバージョンアップしたような感じが好き♪

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    2022年10月06日
  • 大鴉の啼く冬

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    イギリス最北端にあるシェトランド諸島を舞台に、それぞれの人生でこの諸島と何らかの関係を持ち続ける人々の間で発生する事件。ある女学生が死体で発見され、8年前に発生した少女失踪事件(その後死体で発見される)が想起されるなか、両方の事件の容疑者として知的障害のある老人が逮捕される。
    事件の謎がクリアに解き明かされないなか、新たに少女失踪事件が発生する。犯人は誰だ?第三の連続事件か?と謎を膨らませて最終章へと向かう。
    派手さはないが、事件の真相へと地道に捜査を進める地元の警部ジミー・ペレス。静かに進行していた犯人探しが、第三の事件発生と同時に急展開する。
    犯人として絞り込まれた人物を追い求め、たどり着いたと思った矢先に待ち受ける、どんでん返し。
    事件の背景にある人間関係、そこから生まれた犯人の心理、よく考えられた謎解きとして楽しめる。

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    2022年05月18日
  • 地の告発

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    シリーズ7作目。
    ペレス警部の心理、行動とシェトランドの風土も絡んだ捜査の進行など、文章も読みやすく読んでいて楽しい。
    サンディも少し成長してきた。
    次作が最終作とのこと、新たな恋の行方も含め、最後はある程度のハッピーエンドを期待。

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    2021年12月20日
  • 大鴉の啼く冬

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    ヴェラシリーズの作者だと知り読んでみた。
    舞台はスコットランドのさらに北にあるシェットランド諸島。文章からだけでこの土地の寒い厳しい冬を体感しているかのように感じられる。タイトルの「大鴉」は「おおがらす」と読む。

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    2021年12月09日
  • 水の葬送

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    ネタバレ

    シェトランド島シリーズの五作目。

    その後のお話。
    忘れ形見のキャシーの世話をしながら、
    病気休暇中のぺレス警部は、
    ゆるやかに事件捜査に巻き込まれていく。

    誰もがファーストネームで呼び合うシェトランド島で、
    孤高を保っている地方検察官が殺害された死体を発見する。
    被害者は地元出身の新聞記者で、むかし、妊娠させた恋人を捨てて島をでていたが、
    里帰りをしていたところだった。
    また別の島出身の女性警部が捜査にやってくる。
    ペレス警部は悲しみの淵から戻ってくることができるのだろうか、
    事件を解決することができるのだろうが。

    最初はいらいらさせられたサンディが。
    なんだか愛らしく感じられてくるのは、
    少しずつ成長しているからだろうか。
    ペレス警部への敬愛を失っていないからだろうか。

    少しづつ立ち直りつつあるペレス警部と女性警部の仲が
    どうなっていくのか、かなり気になる。

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    2021年07月26日
  • 青雷の光る秋

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    ネタバレ

    シェトランド島シリーズの四作目。

    平和ボケと言うべきか。
    ここのところ、ハッピーエンドを約束された
    コージーミステリーとも言うべき古いミステリーを読んでいたので、
    まさかこんな衝撃的な展開になるとは、
    全く予想していなかった。

    バードウォッチャーたちのオタクな世界も、
    このシリーズで初めて登場したペレス警部の故郷フェア島の風景も、
    ペレス警部の家族問題も、
    著名なフィールドセンターの職員が殺された事件も、
    すべて吹っ飛んでしまった。
    婚約したばかりのフランが殺されてしまったので。

    このシリーズを読み進めて来て、
    ある時はシェットランド島の自然を、
    ある時は濃い目の人間関係を、
    ある時は部下の成長を、
    そしてもちろん殺人事件の解決を楽しみながら、
    ぺレス警部とフランが関係を育んでいくのを
    暖かく見守ってきたのに。

    ほんとうに、酷い話だ。

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    2021年07月12日