玉木亨のレビュー一覧
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ネタバレシェトランド島シリーズの五作目。
その後のお話。
忘れ形見のキャシーの世話をしながら、
病気休暇中のぺレス警部は、
ゆるやかに事件捜査に巻き込まれていく。
誰もがファーストネームで呼び合うシェトランド島で、
孤高を保っている地方検察官が殺害された死体を発見する。
被害者は地元出身の新聞記者で、むかし、妊娠させた恋人を捨てて島をでていたが、
里帰りをしていたところだった。
また別の島出身の女性警部が捜査にやってくる。
ペレス警部は悲しみの淵から戻ってくることができるのだろうか、
事件を解決することができるのだろうが。
最初はいらいらさせられたサンディが。
なんだか愛らしく感じられてくるのは -
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ネタバレシェトランド島シリーズの四作目。
平和ボケと言うべきか。
ここのところ、ハッピーエンドを約束された
コージーミステリーとも言うべき古いミステリーを読んでいたので、
まさかこんな衝撃的な展開になるとは、
全く予想していなかった。
バードウォッチャーたちのオタクな世界も、
このシリーズで初めて登場したペレス警部の故郷フェア島の風景も、
ペレス警部の家族問題も、
著名なフィールドセンターの職員が殺された事件も、
すべて吹っ飛んでしまった。
婚約したばかりのフランが殺されてしまったので。
このシリーズを読み進めて来て、
ある時はシェットランド島の自然を、
ある時は濃い目の人間関係を、
ある時は部 -
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ネタバレシェトランド島シリーズの三作目。
意外なことに、
ちょっとお荷物でぺレス警部をいらいらさせていた
サンディ刑事のお話になっていた。
フェリーを日常的に使うような土地に住んだことがないので、
どんな感覚なのか、うかがい知れないところはあるが、
クリーニングを出しに行くのに、フェリーでシェトランド本島へ行くような
すぐ近くの島、ウォルセイ島が舞台。
若くして未亡人となり、男性たちと浮名を流し、
知らないゴシップはなく、
”魔女”とまで呼ばれていたサンディの祖母ミマが亡くなる。
サンディの従兄弟による散弾銃の事故と思われていたが…。
殺人事件やその事件がもたらす共同体や人間関係の緊張感が、
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ネタバレ「大鴉の啼く冬」の続編。
季節は冬から夏へ。
白夜の時期を迎え、たくさんの観光客が船で訪れている
シェットランド本島。
前作で少女の死体を発見したフレアは、
地元の有名な画家のと個展を開く。
見知らぬ男が現れ、フレアの絵を見て泣き出す。
ぺレス警部が男を部屋から連れ出すが、
姿を消し、死体をなって発見される。
自殺ではなく他殺だと判明して、
テイラー主任警部がまた島へやってきて、
ぺレス警部と捜査に当たる。
行方不明の男が殺されていたのは予想通りだったが、
死体のつけていた仮面とか、
有名な画家が酷評した素人の水彩画とか、
何か殺人と関係あるかと思ったが、肩透かしにあった。
でも、そ -
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ネタバレネットで見かけて。
シェトランド島。
イギリス、グレートブリテン島の北東部にある、
佐渡島の1.1倍の面積の島が舞台。
新年の雪の中を若い女の子が死体で発見される。
8年前、同じ家に住んでいた少女が失踪しているが、
何か関連があるのだろうか。
正しくはメインランド、本島とだけ呼ばれており、
最もさかえている町、ラーウィックですら、
誰にも知られずおならもできない、と言われるぐらい
こじんまりとした、誰もが顔見知りの社会そのものが、興味深かった。
周りの島の子供たちは、高校になると本島の寄宿舎に入って学校へ行くとか。
島によっては、週末も家に帰れないとか、
ヴァイキングの格好をして練り歩く、 -
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ネタバレ忘れがたいシェットランド四重奏の衝撃の結末が未だに尾を引いているのだが、
その後のペレス警部シリーズも3作目となる。
なるほど、マイルストーンね。
主役はシェットランドの地とも言えるこのシリーズの冬の部を、こちらも極寒の季節に読めるというのは至福。
何人もの目撃者が異常に記憶力よいのと、後出し的な都合の良すぎる部分が謎解きとしては少々気にはなったが、それよりも派手なところのない登場人物たちがとても好きなので楽しかった。
シェットランドにスペイン系のハンサムがいたらそりゃかっこよさが際立ちますわ。しかも世界一優しい!
ミステリに恋愛要素が入るのは好きでなく、まして捜査員同士というのはとてもいや -
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なんでも日本のミステリ界では数年来「北欧ミステリ」と言うのが人気のジャンルのようですね。北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のことを言います。最近だとアイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。
私たちが北欧と聞くと、福祉が充実しているとか子供の教育では世界でも定評があるだとかを想像します。しかし実際のところは、高福祉の代償として現役世代へ非常に重い税負担が強いられていたり、移民問題が重くのしかかり移民への排斥が問題視されているといった負の側面も少なくありません。豊かな自然や高福祉などの明るい部分と -
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ネタバレやっぱり好きだなぁこの作家。
だいぶ前に何の気なしに一作品だけ読んだけど、思いがけず心理描写に優れ、何とも言えないひりひりした世界観をつくり出すなぁと感じたことだけは憶えている。
シェトランド島四重奏の第1作。
誰もが顔を知っている閉ざされた環境の中で起きた少女の殺人事件。
8年前の事件との関連からすぐに容疑者が浮上し逮捕へと。
一方、少女の父親ユアン、本土から来た警部テイラー、そして島出身の刑事ペレスは真相は別のところにあるのではと少女が生前のめり込んでいた映画製作の課題に目を向ける。
後半のとある場面でそれっぽくなく、さらりと真犯人に真相を語らせるなんてにくすぎる。
事件だけ見ると -
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ネタバレ新聞記者ドライデンシリーズの第四弾。
凍死か自殺か。
しかし取材の訪れた新聞記者ドライデンは疑問を感じる。
さらに別の男性が凍死する。
二人とも孤児院での虐待の証人として名乗りをあげていたたのは、偶然なのか。
まさか。
さらに調べていくと、
驚いたことに、その二人とドライデンは友達だった。
ひと夏だけだったが。
ドライデンの唯一の子供時代の夏。
そこで起こった殺人事件の冤罪の証人でもあった。
その思い出の保養所へ、休暇を望んだローラと泊まりに行く。
もう一人の証人がいるという情報をちらつかせながら、
謎を追いつめていく。
ドライデンの過去に関わる話になったのも意外だったが、
勝手に孤児 -
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ネタバレあとがきで、作者が愛する中篇小説は「どこをとっても必要不可欠、いっさいの無駄がない。」と書かれてましたが、正に、これに納められている4つの中篇がそうだと思いました。全てがテイストの異なる、怪奇幻想の要素もあるのですが、人間ドラマとして、考えさせられつつ、楽しく読ませていただきました。
「スナップショット」は、不思議なカメラの登場でホラーに展開するかと思いきや、主人公とシェリーのやりとりが、悲しく展開されるのが切なかったです。
「こめられた銃弾」。久々に、結末を読者の想像に委ねる小説を読みましたが、この終わりかたが、ものすごく怖い、が、絶品だと思いました。二つの異なる恐怖が同時に迫りく -
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S.ハンターの新刊というだけで楽しみにしており、発売直後にネットで購入したのは、間違いだった。これは以前に読んだことがあると、読み始めてすぐに分かった。良く調べてみると、新潮社から出版された『魔弾』がそれだった。それならそうと大きく書いておけよと思うが、自分のブックレビューにもないし、読んでいて面白いのでそのまま読み進めることにする。
暗視装置を使用したナチスドイツの最終兵器が軸となり、ストーリーは展開する。作戦上静音性が求められるため、亜音速弾を使用し、直進性を求めるため弾丸は被甲せず、鉛のままを使用する。マニア心鷲掴みだな。
ホロコーストを大きなポイントに、スナイパーの行動、特殊 -
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4部作で終わった「シェトランド四重奏(カルテット)」に続く新シリーズ。
ジミー・ペレス警部シリーズということのようです。
スコットランド最北端のシェトランド諸島。
地方検察官のローナは、家の近くで不審な小船を発見します。
被害者は地元出身の若い新聞記者で、何かの取材に戻っていたらしい。
ジミー・ペレスはいまだ病気休職中。幼い娘と暮らしています。
ペレスの部下でいささか頼りないサンディ刑事が迎えたのは、本土から派遣された女性警部ウィロー・リーヴズ。
慣れない土地で型通りの捜査をきちんと進めるといった感じで、失意のペレスもしだいに参加することに。
この島には珍しい都会的なキャリアウーマンのロー