玉木亨のレビュー一覧
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物語がどこに向かっているのか、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、中盤まではかなりワクワク。
中盤以降は、そんな恐ろしい事が!なんてことだ!えぇ〜そうなの!!と、怖さと驚きの連続。
出てくる人間は、全員が愚かでみっともなくて人間らしくて魅力的だけど、友達にはなりたくないタイプで、動物はみんな勇敢で賢い(笑)
推理小説と映画とコメディが好きなら、おもしろいと思う。
人生は思い通りにならないクソの連続で、自分も周りもしょーもなくて大した人間じゃない、それでも一歩前に進んでみようじゃないかっていう気分になる。
続編も翻訳されますように!
※猫好きですが、猫の描写にかなりウケた。
生真面目な猫 -
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最初から死体があるタイプのミステリー。主人公とおぼしき女性(エラ)が正当防衛で人を殺し、その親しい友だち(モリー)が呼び出され、死体隠匿を手伝うことになる(ここまで作品紹介にある内容)…そして、モリーには死体について、エラと死体について疑問が残る。
なので、何も悪くないのに死体隠匿を手伝ったことで共犯者になって死体が見つかることに神経をとがらせながら、疑問を抱えていくモリーもある意味主人公である。読み進むにつれてモリーの側についていった。
犯人は誰とかいう正統派ミステリーではないので、どういう心構えで読んでいけばいいのかわからず戸惑った。それが500ページ超えであるというのは気鬱でもあった。 -
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ネタバレシェトランド四重奏に続く、The Four Elements Quartetの完結編。
そもそもが『哀惜』を読んでみたくて、それまでの作品を読んでおこうと思って改めて辿り始めたシリーズ物。
なんだかんだで凄く長い時間が掛かってしまったなと思いつつも、その思いを抱いたのが2023年6月かと思い返すと、あちらこちらに手を伸ばしがちな自分的にはそれでも案外短期間に読み進めたなと感慨深し。
とにかくこの著者の描き出す空気感が好き。
正直、ミステリとしての意外性だったり新奇性というのは全くない。
むしろしっとりと淡々と。
犯人は誰!?というリーダビリティもあるようでないようで。
真犯人はいつも思って -
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ネタバレ衝撃のシェトランド四重奏終幕を経て、新たなるシーズンの幕開け。
すっかり心ここにあらずのジミー・ペレスは、まぁそうだよねといったところだが、そのエース不在を補おうと奮闘するサンディの頑張りにエールを送りたい。
何かと自信がなかったり、びくびくしてはいるものの何とか一人前になろうともがく姿がいじらしい。
事件は、マリーナに浮遊していた船上の死体と、次いで起こる第二の殺人事件の犯人探し。
ある日の夜、地方検察官の自宅から見えるマリーナに一艘の船が浮かんでいるところが見えた。
検察官はボートチームに所属し、自身のボートもマリーナに係留されており、またボートの腕にも覚えがあったため、自ら操舵し浮遊 -
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2007年発行の「大鴉の啼く冬」に始まった「シェトランド四重奏(カルテット)」から続いた「ペレス警部シリーズ」、こちらも4作目で完結です。
英国最北端(つまりスコットランド最北端)のシェトランド諸島。
荒涼とした景色が美しいが、冬は厳しく、開発もされているが、新しく住む人はそう多くはない。
イングランドから越してきた一家の納屋で、前の住人が首を吊ってしまった。
それ以来、何者かが敷地に侵入して、謎めいた書きつけを残していく。
さらに、近所のお邸で子守りをしている若い女性エマが遺体で発見された。こちらは自殺とは思い難い‥
子守と言っても子供二人はかなり大きく、エマは色々な役割をしていたらしい。 -
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ネタバレシェトランドシリーズ第3巻。
じわじわと、このシリーズの良さ、アン・クリーヴスの良さがわかるようになってきている、気がする。
今回は春。
いつものシェトランド本島ではなく、ペレス刑事の部下のサンディ刑事の故郷、ウォルセイ島が舞台。
シェトランド本島よりさらに閉塞感が強いウォルセイ島でサンディが祖母の死体を発見する。サンディの従兄弟がウサギ狩りをしていて、誤って殺してしまったらしいが。。。
終盤まで、この事件が事故なのか、殺人なのか、そこすらわからないまま進む。はっきり言って、非常に地味な話。ただ、相変わらずのペレス刑事の手堅い捜査が面白い。ゆっくりではあるが一歩ずつ、確実に真相に迫る。この -
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ネタバレシェトランド島シリーズの八作目。
ウィローが妊娠(!)を告げたのに、
喜びもせず感じの悪いペレス。
たしかに、
刑事の仕事をしながら、
元婚約者の娘キャシーを育てるだけでも大変なのに、
もうひとり子供を持つことの責任の重さに腰が引けてしまうのはわかるが。
前の家の持ち主が納屋で首吊り自殺をしたために、
肩身がせまくなっている移住してきた家族。
同じ納屋で、近くの家に住み込んでいるベビーシッターの若い女性が
首を吊っていた。
ベビーシッターと言っても、一番上の子供はティーンエイジャー、
子供たちの送り迎えや世話だけではなく、家事も手伝う、
雇い主にとっては都合の良い存在だったらしい。
明らか -
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文句なしに大満足の一冊。ジョー・ヒル「お試し」としては十分すぎる内容。こんなにも気持ち悪くて、こんなにも美しい物語を、様々なスタイルで読めるなんて。
私のお気に入りは「ポップ・アート」。近年読んだ中で最も美しい物語。イタロ・カルヴィーノの「木登り男爵」のラストを思わせるクライマックスには泣けました。「自発的入院」は本書のなかで唯一中篇と言ってもよい作品で、そのアイデアと恐ろしさは唯一無二。とにかく、ジョー・ヒル、すごい才能としかいいようがない。お父上がいなくなっても(そんな世界は考えたくないが、いずれ訪れるであろう)、これで安心、と思ったホラーファンは私だけではないはず。 -
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シェトランド四重奏という4部作の続きで、ペレス警部シリーズとして通すと7作目。
英国最北端のシェトランド諸島。
狭い社会で、村の人間はお互いに何でもよく知っていると思われていたが…
ペレス警部がささやかな葬儀に出席していた時、突然大きな地滑りが起こった。
目の前で、農場と墓地を巻き込む事態に。
崩れた建物の中から、女性の死体が見つかる。
誰も知らない美しい女性、しかも地滑りとは無関係に、その前に殺されていた…
シェトランド島ならではの古くからある暮らしの習慣や因縁が絡んでいる事件が多いのですが。
今回は、開発が進む最近の事情も大きく影響してきます。
ペレス警部は婚約者を喪った悲しみを抱え、 -
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ネタバレシェトランド島シリーズの七作目。
一作目に登場した、いや重要人物だったといって良い隣人が亡くなり、
その葬儀の最中に地滑りが発生する。
土砂が直撃し破壊した家は人が住んでいないはずだったが、
女性の遺体が発見され、検死で殺人だと判明する。
女性は誰なのか、なぜ空き家にいたのか。
サンディは前作で再会した昔の同級生と付き合いはじめていて、良かった。
事件がらみで出会う若い女性にいちいち目を奪われないようになったのもあり、
粘り強い聞き込みで成果をだしたり、
重要な情報を発見したり、
どんどん捜査に役立っていて、嬉しくなってくる。
女性の身元が判明するかと意気揚々とかけたペレス警部がかけた電 -
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ネタバレシェトランド島シリーズの六作目。
ペレス警部はだいぶ復調したようで良かった。
事情聴取ではひたすらに相手の言葉を待ち、
ふらりと単独捜査に出てしまうペレス警部に、
ウィロー警部がいらいらするのはよくわかる。
単独捜査をするならするで、
ガーっと猪突猛進してくれた方が良いかも、と。
アントス島で行われた里帰り結婚式に参加していた女性が殺される。
彼女は海岸で踊る白い服の少女を見たと言っていた。
少女は島に伝わる幽霊なのか。
それとも実在する子供なのか。
そしてサンディ。
相変わらず、捜査中にお昼の心配をしたり、
あわててパニックになりながら手にメモを書いたり、
ウィローとペレスにはさまれて -
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アン・クリーヴスのシェトランド島シリーズ4部作の続き。
ペレス警部シリーズとして通して考えると、6作目。
4部作で衝撃のラストを迎え、5作目では休職して悲しみに沈んだままのペレスが、事件が起きたため途中からやむなく参加していくという展開でした。
この作品では仕事にはいくらか意欲的になっています。
婚約者の遺した幼い娘とむつまじく暮らす日々。
シェトランド諸島でもペレスが暮らす地域よりさらに最果てのアンスト島で、事件が起こります。
テレビ番組の制作者の女性エレノアが失踪。
親友がそこに住む相手と結婚式を挙げるのと、番組の取材を兼ねた滞在でした。
島には1930年に溺死した少女の幽霊譚が残って -
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ネタバレアン・クリーブスの、シェトランドシリーズ第二弾、三作目。前のシリーズで最愛のフランを亡くして以降、まだ立ち直れなかったペレス警部だったけれど次第に以前の冴えとその人となりを武器にした捜査力を取り戻してゆく姿にホッとした。しかも、今回は主任警部(上司)との一歩前進した関係も。
狭い島の多くはない人間達の様々な人間模様が浮かび上がってくる。土地に根ざした人、外から影響を及ぼす人、どんなストーリーにもそれは欠かせないけれど。
また、美しいシェトランド地方の風景も四季を通して眺めることが出来るのがこのシリーズの楽しみのひとつ。
四作目もあるようなので、待ち遠しい。