玉木亨のレビュー一覧
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新4部作の3作目。
読み始めてすぐに引き込まれたのはスコットランド北方の島の荒涼とした光景。ああ、私が好きな眺めだ、と感じた。オークニーまでしか行ってないけれど、次の機会にはシェトランドまで足伸ばしてみようか。
ペレス警部のシェトランドもの。前の4部作は読んだし、ドラマも何度か見ているけれど、何故かこのシリーズ、詳細を忘れてしまう。
さすがにマグナス老人のことは覚えている。孤独な世捨て人の暮らしが長かった彼も故人となり、その埋葬から物語は始まる。彼の最晩年が結構幸せだったようでそれは良かった。
この話、主役の筈のペレスよりも、サンディの印象が強い気がする。サンディ、初登場の頃はこの若い警官、頭が弱いのでは?なんて感じていたが、この本を読みはじめて、あれ、彼ってこんなにしっかり者だっけ?と思った。
三分の二読み終わったところ。
これ終わったら、旧作とドラマ版も改めて見てみよう。
読み終えました。で、肝心の犯人に誰だっけ?と思った記憶力ゼロの私。そりゃ何度本読んでもドラマ見ても忘れちゃう訳だ。
ペレス、彼女が新しい伴侶になるのかな?幸せになれるのかな?
婚約者を失った悲劇がどっしりと彼の上にのしかかっているようだけれど。 -
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ネタバレ2人の視点で物語が進むが、先入観からエラメインの話だと思ってしまった。でも、殺人事件を介した2人の女性の関係性の話で、信頼、信頼の揺らぎ、裏切られた時の反応、とても悲しい話だと思った。
未来に向かって時系列通りに進むモリーの視点では、エラに対して少しずつ疑念が生じていく過程が丁寧に描かれていく。時間を遡るエラの視点では、第一印象で感じたエラの印象と違和感の背景が徐々にわかっていく。なんかいびつさを感じる人との関係性とか章を重ねるごとに少しずつ違和感が大きくなって納得に繋がっていく。話の構成、進め方がすごいと思った。
この作家さん、今の所他の話はシリーズものっぽいから読むかどうか悩み中だけど、単発でなにか出たらまた読んでみたいと思った。 -
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ネタバレロンドンの社会問題を背景に、社会運動家のモリーとエラが抱え込む殺人トラブル。
モリーの視点で進むストーリーに対して、エラの視点のストーリーはそもそもの「発端」に向けて過去へと遡る。
話が進む(遡る)につれて若き活動家と思われていたエラの謎めいた生活が徐々に明らかに…という異色の構造をもつ作品。
人間関係が複雑で、これ、誰だっけ?ということも多々ありながらも後半核心に迫ってくるあたりからは一気に読めた。
若くて少々浅はか、かつ小狡いエラと、自分の生きる意義であった活動に対して自分の体力、気力の衰えを自覚し、孤独と心細さに哀しむモリーの対比が何とも。
最後まで自分のことを与し易い相手と舐めてかかっていたエラに対して
モリーのトドメの反撃がお見事。
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二人の視点で過去と未来を交互にえがく、死体を隠した二人の女性はどんな終わりを迎えるのか… #終着点
■あらすじ
エラは取り壊し予定が近づくマンションの一室で男の死体を発見した。友人のモリーがその部屋を訪れると、相談して死体をマンションのエレベーターシャフトに隠すことにした。死体はじきに見つかってしまうのだが、果たして彼女たちはどのような終着点を迎えるのだろうか…
■きっと読みたくなるレビュー
サスペンスフルでドエンタメな展開かと思いきや、思った以上にじっくり読ませる社会派小説。心情描写がきめ細やか表現されたミステリーで高品質な文芸作品でもあります。
本作でメインの謎は、死体で発見される男の正体と殺された理由。これが読んでも読んでもさっぱりわからんのよ。というのもこの作品、少し特徴的にストーリーが展開されるんです。
モリーの視点では、男の死体を発見してから、それ以降の物語が語られる。一方エラの視点では、男の死体を発見してから、それ以前の時間をさかのぼる形で物語が展開されるんです。この未来と過去に向かう視点が交互に綴られるという、なんとも凝った構成なんですよね。
しかも結構後半まで読んでも、真相がよくわからない。いや真相どころか、手がかりすらフワフワしていて、この物語終着するの? って感じなんですが、これが深淵を覗いた結果、想像できなかったラストを迎えるんすよ… もちろん詳しくは言えないので是非読んでみて下さい。
この主人公のエラとモリーですが、二人ともかなり闇まで心情描写や社会的背景が語れます。しかも豊潤な表現力でじわじわ読み手に浸透してくるんですよ。でも決して熱く痺れるという情熱的な世界観でなく、クールで冷静沈着。語り口としては凄く淡々としてるんすよね。大人な男女関係もけっこうあるんですが圧倒的に無味乾燥。愛情よりも欲しか感じない品のなさが、むしろ味わい深かいんです。
そして本作、イギリスの社会的暗部が垣間見えるところも興味深かったですね。かなり鋭角な構成だったので、まさかこんなにも社会派ミステリーとは思ってもみなかった。
イギリスの政治や経済社会の背景、それに対する世間の反発。違う環境における「ひとり」と「ひとり」の女性がどういった意識で今を生きているのか。読み終わってみると、いかに本作が重力のある小説であったか理解できます。
楽しませる工夫をしつつも、重みのある力強い作品でしたね、面白かった!
■ぜっさん推しポイント
やはりエラとモリーの関係性、人間性が一番の読みどころです。読んでいけばすぐわかるんですが、二人がどういう人間なのかってところが一番のミステリーなんですよね。
序盤は二人とも有り体なキャラかなーと思ってるんですが、読んでるとなんかズレてくるんですよ。決して分かりやすくないのも特徴で、違和感が増えてくるような感覚なの。このゾワゾワした感触が不思議だったな~
うま味たっぷりのミステリーが好きな方に、ぜひチャレンジしてほしい一冊でした。 -
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ネタバレシェトランド諸島最北端に位置するアンスト島にて、里帰り結婚式が催された。
新婦キャロラインと新郎ロウリーは、大学時代の友人とそのパートナーの本土人4人を招いていた。
アンスト島にはその昔、島きってのお屋敷の幼い娘が水難事故に遭ってから、その子の幽霊"小さなリジー"が現れるという民間伝承がある。
新婦友人のエレノアはパーティ後、同行者3人とのクールダウンの語らいの場でその"小さなリジー"を見たとの目撃談を披露。
"小さなリジー"を見るとその後子を授かるという風説、流産によりいっとき心身喪失状態に陥っていたエレノアという組合せにより、一同は戸惑いを隠せない。
からの翌朝のエレノアの失踪、そして見つかる遺体というお決まりの流れ。
ジミー・ペレスの完全復活回。
途中ペレスの復調をサンディが喜ぶシーンがあるほど、その行動力や洞察をウィローが半ば嫉妬気味に羨み、部下の振る舞いとしては反感を買うほどに事件に積極的に入り込む。
『地の告発』で先取りしてしまったサンディの色恋沙汰の芽生えも書かれており、ああこうやって始まったのかと、逆順に読む恋の種明かし的展開も興味深い。
この一冊としての事件を巡るWHOとWHYを最終盤まで引っ張る構成力もさることながら、これまで一貫して築き上げてきた、主要登場人物達の立ち振る舞い、シェトランド諸島という閉鎖空間のもたらす場の空気感、混入されるミステリーに何とも言えない没入感を得る。
長い年月、数多の事件を経て辿り着いた現在地点のように感じるが、僅か6作目(自分は間違えて『地の告発』を先に読んでしまっているので7作目)。
決してそこまで多く巻数を重ねているわけではないのにペレス、サンディに感じるこの愛着感は何なのだろう。
何と言ってもやはり4作目に配した大きな転換点が効いている。
あの出来事を起点にすることで過去、現在、未来が広がりを見せているし、その存在感が浮き上がる。
次はいよいよグランドフィナーレ(なのか?)『炎の爪痕』。
あぁ、終わって欲しくない。 -
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ネタバレ比較的懇意にしていた知人の葬儀の最中、轟音と共に大規模な地すべりが発生。
土砂は丘の斜面を駆け抜け、幹線道路を挟んだ農家を直撃。
亡き恋人フランの墓石も流されてしまうような惨事の中、落ち着きを取り戻したジミー・ペレスは被害の状況を確認しに農家へと向かう。
そこで発見された赤いドレスに着飾った美しい女性の死体。
その農家は空き家だったはずなのに、この女性は一体誰なのか。
さらに検死で判明した事実。
女性は地すべりにより命を落としたのではなく、その前の時点で殺されていたという。。。
女性の身元を辿るうちに、またしても「ここはシェトランド」の狭く濃密なコミュニティの人間関係が複雑に交錯していく物語。
『水の葬送』では腑抜け気味だったペレスもスタートからだいぶ調子いいなぁと思っていたのだが、「今回で島に来るのは3回目」というウィローの発言で気付いた。
あれー、1作飛ばしている。
1作飛ばしているはずなのに思ったほど進展していないペレスとウィローの関係。
様子を探り合いながらじりじりと縮まっていく二人の距離にやきもきしながらも、公私を分け、サンディを入れた3人のチームで和気あいあいといった風情で事件解決に向かっていく構図が印象的。
冒頭の知人マグナス・テイトはシリーズ1作目『大鴉の鳴く冬』のキーパーソン。
お馴染みのシェトランドの地図だったり、ここへ来て1作目を絡めてくる演出だったり、すっかりこの土地を知る者の気分にさせられる。
作品世界に対する没入感、物語をリードするジミー・ペレスとその仲間達の心理の善良さ。
やっぱりアン・クリーヴスは心地よい。
ペレスとウィローの行く末を先取りしてしまった(つまり1作前では何も起こらないのだろう)のはしくじりだったが、一旦The Four Element Quartetの2作目『空の幻像』に戻ります。 -
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ネタバレジミー・ペレスの新作「炎の爪痕」を読もうとしたら、1個前の作品を読んでなかった。前回ウィローが出てきた時、あんまり好きになれないなと思ったが、今回ジミーとの仲が進展して、彼女の印象も変わって、素直に良かったなあと思えた。
事件は、地滑りで流された家で殺された女性が見つかるところから始まる。近くに住む、どこか張り詰めた様子のジェーン一家、一向に良くならないシェトランド島の荒天。2件の殺人で更に全体の雰囲気が重苦しくなっていく。サンディの存在だけが軽くて明るい。最後あたりで犯人はこの人かなと分かったが、ウィローまでも?とヒヤヒヤしたが助かって良かった。 -
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ああ…終わってしまった。。
物語の結末はわかっていた。
そんな雰囲気が早い段階から漂っていたもの。
それはさておき、今回は閉ざされた空間で起こった殺人事件で、ペレスが容疑者たちと対峙してじっくりと捜査を進めていく様は、読みごたえがあり興味深かった。
時にじっくり過ぎて、フランじゃないけど
ちょっとジリジリしてしまったけど。
でも嫌いじゃない、そんなペレス。
この作者の作品は、ほんとにどれも淡々としていて、
先が気になりどんどん読めるというタイプの物語ではないんだけど、読み終えると不思議と次の作品も読みたくなる、スルメ的なおもしろさがある。
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シリーズ3作目。
これまでで一番おもしろかった。
今回の主役はなんと言ってもペレスの部下、サンディだ。
上司であるペレスの評価は毎回かなり低めで、
けっこう辛辣な言われようをされてきた、この頼りなげな青年。
その彼が生まれ故郷で起きた連続殺人事件の目撃者となり、被害者のうちひとりは彼の祖母だった。
これまでの印象は、ちょっといい加減で適当で、いいところなしな感じだったのが、今作では心優しく気遣いができ、家族思いで、ちょっとうぶな所もかわいくて、
一人きりでの出張シーンではまるで彼の母親にでもなってしまったかのように心配してしまった。
また、他のキャラクターも魅力的に描かれていて、
特に被害者となってしまったふたり、
自由奔放で快活な祖母や、その祖母と心を通わせる大学院生のハティもとても気になる存在だった。
登場したそれぞれの家族の人間模様もおもしろく描かれており、結末に驚きはそれほど感じられなかったものの、全体的としてはとても良かった。
いよいよラストの次巻も楽しみ。 -
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北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のこと。このジャンルでは、アイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。本書もそんな北欧ミステリです。
舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間くらいの海洋に位置するシェットランドの孤島。この地で大晦日の夜、長年の間家に閉じこもる老人を2人の女子高生が訪問するところから物語は始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されました。シェトランドでは数年前にも別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われます。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。
そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。 -
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ネタバレシェトランド四重奏完結編。
今作はシェトランド本島ではなく、ペレスの故郷フェア島での物語。
3作目を数年前に読んでいるので、前回読んだ2作目からペレスと恋人フランの関係がぐっと進んでおり、結婚を前提とした両親との顔見せの装い。
フェア島のフィールドセンターはバードウォッチングシーズン真っ盛りだが、生憎の荒天でほとんどの宿泊客は足止めを恐れて帰っていった。
僅かに残った宿泊客とセンター職員、名ばかりセンター長のモーリス、実権を牛耳るモーリスの妻で世間からの注目も高い鳥類学の研究者アンジェラ、料理人のジェーン達でペレスとフランの婚約祝いパーティを開催。
翌日発見されるアンジェラの死体で物語が動き出す。
他の島民も居るには居るが、状況的に犯人はセンターに滞在していた人の中に居る。
嵐のせいで本島から捜査の応援は呼べないが、逆に犯人も島から出ていくことはできない。
ペレスは、フランや父の助けも借りながら単身現場検証や事情聴取を進める。
いわば準孤島クローズドサークルの状況。
そしてやはり起きる次なる殺人。
相変わらず事件自体の奇抜さや展開の意外性、起伏があるわけではない、どちらかというと乏しいのになぜかページが進む不思議。
たぶん、決してキレキレとまではいかなくも、そのじっくりと考え独自のペースを貫き通すペレスの思考回路が自分にとって心地よいのだろう。
今作で一番目を見張ったのは、これまでずっと半人前に見ていた部下サンディにプライベートな問題に関する助言を求めたところ。
しかもそのコメントをかなり素直に受け止めている。
こういうフラットな心持ちが何とも好きなのである。
からの、じわじわと展開しつつのまさかの結末。
いやー、ここでそういう結末になるのは予想だにしていなかった。
いろいろ解せない伏線回収もあるのだが、全部持っていかれた。
色んな意味で、あとがきの酒井さん言うように今一度、この四重奏を最初からまとめて振り返ってみたくなった。
というか逆に、こうして途切れ途切れではなく、最初から読んでいかないと楽しみ切れないなぁとも。
なんか久しぶりにシリーズものを読み切ったなと思ったら、あれ、あれあれ~、あとがきによると次の邦訳作『水の葬送』もペレス刑事ものなの!?
そもそも通り名からして本作で完結だと思っていたし、この結末から展開されるネクストシーズンってどんなんなのよ。