玉木亨のレビュー一覧
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北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のこと。このジャンルでは、アイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。本書もそんな北欧ミステリです。
舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間くらいの海洋に位置するシェットランドの孤島。この地で大晦日の夜、長年の間家に閉じこもる老人を2人の女子高生が訪問するところから物語は始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されました。シェトランドでは数年前にも別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当 -
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ネタバレシェトランド四重奏完結編。
今作はシェトランド本島ではなく、ペレスの故郷フェア島での物語。
3作目を数年前に読んでいるので、前回読んだ2作目からペレスと恋人フランの関係がぐっと進んでおり、結婚を前提とした両親との顔見せの装い。
フェア島のフィールドセンターはバードウォッチングシーズン真っ盛りだが、生憎の荒天でほとんどの宿泊客は足止めを恐れて帰っていった。
僅かに残った宿泊客とセンター職員、名ばかりセンター長のモーリス、実権を牛耳るモーリスの妻で世間からの注目も高い鳥類学の研究者アンジェラ、料理人のジェーン達でペレスとフランの婚約祝いパーティを開催。
翌日発見されるアンジェラの死体で物語が動 -
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司書さんから個人的にお借りした本ですが、シリーズ最終巻でした。(なぜこの本を?)
シリーズの主人公はシェトランド署の警部で、過去に婚約していた女性の娘と二人暮らし。
婚約していた女性は目の前で刺殺されたらしく、そのトラウマから抜け出せないでいる。
しかし、シェトランドを含む広域を管轄する主任警部と現在は恋愛関係にあるのだが、今回は二人の間に溝ができて…。
というような複雑な人間関係が、事件と同じくらいの分量描かれています。
事件の背景にあったものはなかなかに重苦しく、読後嫌な感じがぬぐえません。
親に厳しくしつけられ情愛を感じることなく育った父と、親に甘やかされ自分のことしか考えられない母と -
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イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『水の葬送(原題:Dead Water )』を読みました。
『大鴉の啼く冬』に続き、「アン・クリーヴス」作品です。
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シェトランド島の地方検察官「ローナ」は、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。
被害者は地元出身の若い新聞記者だった。
本土から派遣された女性警部が「サンディ刑事」たちと進める捜査に、病気休暇中の「ペレス警部」も参加し、島特有の人間関係とエネルギー産業問題が絡む難事件に挑む。
〈シェトランド四重奏(カルテット)〉を経て著者が到達した、現代英国ミステリの新たな高 -
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イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『大鴉の啼く冬(原題:Raven Black)』を読みました。
「P・G・ウッドハウス」、「セバスチャン・フォークス」の作品に続き、イギリス作家の作品です。
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【CWA最優秀長編賞受賞作】
新年を迎えたシェトランド島。
孤独な老人「マグナス」を深夜に訪れた黒髪の少女「キャサリン」は、4日後の朝、大鴉の舞い飛ぶ雪原で死んでいた。
真っ赤なマフラーで首を絞められて。
住人の誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ彼女を殺したのか?
8年前の少女失踪事件との奇妙な共通項とは?
「ペレス警部」の前に -
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イギリスの作家「ジム・ケリー」の長篇ミステリ作品『凍った夏(原題:The Coldest Blood)』を読みました。
「オリヴァー・ハリス」に続き、イギリスのミステリ作品です。
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〈現代英国本格の頂点〉が贈る、純度100%の謎解き!
肘掛け椅子に座ったまま凍死した男。
現場に残る謎に「名探偵」だけが気付く。
公営アパートで肘掛け椅子に座ったまま男性が凍死した。
自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者の「ドライデン」は疑問をおぼえる。
死んだ男は金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨が補充されていた。
自殺する人間が -
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ネタバレシェトランドシリーズ第2巻。
前回と打って変わり、今回は夏のシェトランド諸島。描写が良い。
北極圏に近いからか、夏は白夜があるらしい。
いまいち距離感が掴めないけど、イギリス本島(と言っても良い?)の北の方でもそうなのだろうか?
2作目の今回も、事件自体は結構シンプル。
ペレスとフランの前で泣き崩れた記憶喪失の男が、翌日ボート小屋で死体となって発見される。しかもピエロの仮面を被って。シェトランド諸島の北側が舞台。夜でも明るいことによる不協和音と、前作以上に閉塞感のある人間関係。
今回も、最後の最後まで犯人がわかりません笑
2作目でようやく気付いたけど、伏線は張ってあれども、真相まで辿り着 -
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ネタバレアン・クリーヴスのシェトランドシリーズ(カルテット)第1巻。
全8冊のシリーズがとうとう完結したとのことで。
15年ぶりの再読(奥付見て、購入してからそんなに経つかと愕然)。
女の子が殺された。過去にも行方不明になった女の子がいる。現場近くに怪しい男が住んでいる。
事件自体はシンプルで、大掛かりなトリックはない。小さなコミュニティのシェトランド諸島で、誰が何のために殺したか。4人の視点から語られる。
終盤近くになり、殺された女の子の行動が明らかにされる。そこからの展開は早い。
シェトランド諸島の有名な祭りアップ・ヘリー・アーの最中、容疑者と思われる登場人物が順番に姿を現す場面は圧巻。最後の -
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イギリス最北端にあるシェトランド諸島を舞台に、それぞれの人生でこの諸島と何らかの関係を持ち続ける人々の間で発生する事件。ある女学生が死体で発見され、8年前に発生した少女失踪事件(その後死体で発見される)が想起されるなか、両方の事件の容疑者として知的障害のある老人が逮捕される。
事件の謎がクリアに解き明かされないなか、新たに少女失踪事件が発生する。犯人は誰だ?第三の連続事件か?と謎を膨らませて最終章へと向かう。
派手さはないが、事件の真相へと地道に捜査を進める地元の警部ジミー・ペレス。静かに進行していた犯人探しが、第三の事件発生と同時に急展開する。
犯人として絞り込まれた人物を追い求め、たどり着