【感想・ネタバレ】凍った夏のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年02月15日

イギリスの作家「ジム・ケリー」の長篇ミステリ作品『凍った夏(原題:The Coldest Blood)』を読みました。

「オリヴァー・ハリス」に続き、イギリスのミステリ作品です。

-----story-------------
〈現代英国本格の頂点〉が贈る、純度100%の謎解き!
肘掛け椅子に座...続きを読むったまま凍死した男。
現場に残る謎に「名探偵」だけが気付く。

公営アパートで肘掛け椅子に座ったまま男性が凍死した。
自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者の「ドライデン」は疑問をおぼえる。
死んだ男は金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨が補充されていた。
自殺する人間がそんな行動をとるだろうか?
「ドライデン」の丹念な調査と明晰な推理によって、少しずつ解かれていく人々の秘密。
端正な英国本格ミステリ。
解説=「若林踏」
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2006年(平成18年)に発表された作品で、沼沢地帯の都市・イーリーを舞台にして、週間新聞『クロウ』の記者「フィリップ・ドライデン」が探偵役となり活躍するシリーズの第4作です、、、

「ジム・ケリー」の作品も、本シリーズも初めて読みましたが、安心して読める本格ミステリで愉しめました… イギリスの現代本格ミステリは、なかなかヨイ感じですね。


2005年12月、東イングランド全体を歴史的な寒波が襲い、イーリーもまた氷と雪片に覆われた光景と化していた… そんな極寒の世界で、寂れた公営アパートに住む「デクラン・マキロイ」という男が凍死する、、、

発見したのは隣人で、午前2時に「マキロイ」のフラットの窓が開いていたのを不審に思い部屋に入ったところ、居間の肘掛け椅子で死んでいたという… フラット内の部屋のドアはすべて外されており、窓もまたすべてが開け放たれていた状態だった。

警察の情報によれば「マキロイ」は長いこと精神を患っており、過去に二度、自殺を図ったことがあるという… おまけに「マキロイ」には飲酒癖があり、今回の凍死は自暴自棄に陥った上での自殺という形で処理されるかに見えた、、、

しかし「マキロイ」の死を自殺と片づけることに、週間新聞『クロウ』の記者「フィリップ・ドライデン」が異議を唱えた… 「マキロイ」の部屋を訪れた彼は、そこに奇妙な点があることに気付いたのだ。

それは硬貨がたっぷりと補充されたコイン式の電気メーターである… これから自殺する人間が、電気メーターが切れないように硬貨を補充するものだろうか、、、

自殺説に疑問を抱いた「ドライデン」が調査を始めると、「デクラン」の親友「ジョー・ペチェレンゴ」も奇妙な事故死(凍死)に遭っていたことが判明… さらに、「デクラン」と「ジョー」、「デクラン」の姉「マーシー・スレイ」は、「ドライデン」が過去の虐待事件について取材を進めていた聖ヴィンセント孤児院に預けられていたことが判明する。

また、「デクラン」と「ジョー」は、31年前の1974年8月にドルフィン休暇村で発生した「ポール・ゲドニー」の殺害事件に関して新たな証言をする予定で、彼らの証言しだいでは、殺人犯として逮捕された「チップス・コナー」が無罪となる可能性もあった… そして、「ドライデン」は同じ時期に彼らとドルフィン休暇村にいたことに思い至り、「デクラン」と「ジョー」の死は、「ポール・ゲドニー」殺害事件に関係しているのではと推理する、、、

過去の事件の解明は、「ドライデン」自身をも巻き込み、思いも寄らない展開を見せていく… 「ポール・ゲドニー」を殺害したのは誰なのか? いや、そもそも「ポール・ゲドニー」は生存しているんじゃないのか? 「デクラン」は、自動車事故による“閉じ込め症候群”で昏睡に近い状態の妻「ローラ」を伴いドルフィン保養所(旧ドルフィン休暇村)に宿泊、「ポール・ゲドニー」殺害の罪で服役している「チップス」の妻でドルフィン保養所支配人「ルース・コナー」に接触することで、真相に近付いていく。

伏線の張り方、読者をミスリードするエピソードの入れ方、謎が謎を呼ぶ展開の膨らませ方など、巧いなぁ と思わせる展開でしたね… あと、大寒波に見舞われた氷と雪の風景等、天候や自然の描写が、なかなか効果的だと感じましたね、むっちゃ寒そうな情景の影響か、北欧ミステリっぽい印象が残りました、、、

過去の3作品『水時計 』、『火焔の鎖 』、『逆さの骨 』も翻訳されているようなので、読んでみたいですね。


以下、主な登場人物です。

「フィリップ・ドライデン」
 週刊新聞「クロウ」の主任記者

「ローラ・ドライデン」
 ドライデンの妻

「ハンフリー・H・ホルト」
 ドライデンのお抱えタクシー運転手

「セプタマス・ヘンリー・キュー」
 週刊新聞「クロウ」の編集長

「ビル・ブラッケン」
 週刊新聞「クロウ」の編集主任

「ゲーリー・バイモア」
 週刊新聞「クロウ」の火球記者

「デクラン・マキロイ」
 凍死した男

「バスター・ティムズ」
 デクランの隣人

「ジョー・ペチェレンゴ」
 デクランの親友

「マーシー・スレイ」
 デクランの姉

「ジョン・スレイ」
 マーシーの夫

「ヴィー・ヒルゲイ」
 低体温症活動トラストの設立者

「ジョン・マーティン」
 神父。聖ヴィンセント孤児院の元院長

「エド・バードルフ」
 ソーシャルワーカー

「チップス・コナー」
 ドルフィン保養所の元従業員

「ルース・コナー」
 ドルフィン保養所支配人。チップスの妻

「ポール・ゲドニー」
 看護実習生。故人

「ウィリアム・ナブズ」
 ドルフィン保養所管理人

「ラッセル・フリート」
 ドルフィン保養所副支配人

「ミュリエル・コヴラック」
 ドルフィン保養所客室係

「アルフ・ウォーカー」
 通信協会の記者

「ジョック・リード」
 イーリー警察の警部

「ジョン・パーラー」
 キングス・リン警察の警部

「ジョージ・ルットン」
 ホイットルシー地域病院の医師

「エリザベス・ルットン」
 薬剤師。故人

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月07日

新聞記者ドライデンシリーズの第四弾。

凍死か自殺か。
しかし取材の訪れた新聞記者ドライデンは疑問を感じる。
さらに別の男性が凍死する。
二人とも孤児院での虐待の証人として名乗りをあげていたたのは、偶然なのか。
まさか。

さらに調べていくと、
驚いたことに、その二人とドライデンは友達だった。
ひと...続きを読む夏だけだったが。
ドライデンの唯一の子供時代の夏。
そこで起こった殺人事件の冤罪の証人でもあった。

その思い出の保養所へ、休暇を望んだローラと泊まりに行く。
もう一人の証人がいるという情報をちらつかせながら、
謎を追いつめていく。

ドライデンの過去に関わる話になったのも意外だったが、
勝手に孤児院の話になるのかと思っていたので、
保養所の話になっていくのも意外だった。
最後にローラと船で暮らすことになったのも意外だったし。

それにしても、
極端な寒さとしても、電線の鉄塔が着氷のせいで倒れたりするもの?

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Posted by ブクログ 2017年07月17日

それぞれに重量のある出来事が積み重なっている印象。いささか詰め込み過ぎかもしれないが。

ドライデン・シリーズの4作目ということだが、初めて読んでも特に支障はなかった。
ただ、ドライデンとローラにもう少し重心をかけてほしかったなあと思うのは、ここまでの経緯を知らないせいだろうか?

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Posted by ブクログ 2023年12月07日

子供の頃の記憶、セピア色に染まった場面の一つ一つには、単なる“郷愁”ではない過去が潜む。

〈新聞記者ドライデン シリーズ〉第四作。
今回は主人公ドライデン自身の過去に触れることに……。

新聞記者が探偵役を務めるこのシリーズ。
ロンドンから訳あって少し田舎の町イーリーへ移住した主人公は、そこで起こ...続きを読むる事件について、この地の自然に巻き込まれながら一話ごとに解明していく。
結構お気に入りでこれまでの三作はいずれものめり込むように読んでしまった。
ただ、この四作目についてはそこまでの思いは抱けなかった。
探偵役が当事者の一人になる場合が、好みではないのかもしれない。

でも、
一作目は「水の中」
二作目は「火の中」
三作目は「土の中」
そして、今回の「凍る死体」のインパクトも、凄かった。

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Posted by ブクログ 2023年09月20日

主人公が人々に次々とインタビューを繰り返す中で、ことの真相が少しずつ明らかになっていくというタイプのお話。主人公がジャーナリストなので一昔前のネオ・ハードボイルドを連想した。ミステリ的には真相にちょっとしたツイストが仕込んであるのだけれど、作者さんは冒頭から手の内をさらけ出してしまう。真相で読者を驚...続きを読むかせてやろうなどとは少しも考えてないらしい。ロジックもお呼びじゃないしね。でも、惹句には「端正な英国本格ミステリ」とある。まあ当方の認識の方が間違ってるんだろうなあ。

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Posted by ブクログ 2020年10月28日

3+

タイトルだけ見て夏の物語だと思って8月から読み始めたが、メインは記録的大寒波到来中の極寒の真冬。本の中の季節感など想像力でどうとでもなるとは言え、残暑厳しい現実とのギャップは著しく、なかなか読み進められない。冬の物語は冬に読んだ方がより浸れるよなあとしみじみ思う。

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