村上博基のレビュー一覧
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「寒い国から帰ってきたスパイ」に続いて、ジョン・ル・カレを読む。
私は、「寒い国から帰ってきたスパイ」の方が好きだったけれども、この小説も、スパイ小説の傑作と評価されていて、自分もそういう風に読んだ。
この作品は「スクールボーイ閣下」「スマイリーと仲間たち」と続く、三部作の一作目。たぶん、30年以上前にスパイ小説を数多く読んでいた時期に、この「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」までは読んだ記憶があるけれども、あとの二作はおそらく読んでいない。この作品の主人公である、ジョージ・スマイリーが登場する小説は、あと一作、「スパイの遺産」という作品があるようで、この三作品は、読んでみようと思っている。
「寒い国からかえってきたスパイ」の感想にも書いたけれども、この作品の背景となっている東西冷戦、そして、東側と西側の諜報戦というのは、現在ではリアリティはないけれども、諜報活動、インテリジェンス活動は、世界中で現在でも活発に行われているはずであり、そういう意味では、物語としてのリアリティは損なわれていないように思う、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『海外ミステリーマストリード100』より。
「ハニートラップ」の単語の出典元という興味深さ。
一小説で使った造語からこんな言葉の定着が起きるなんて凄い。
そんなにたくさんの人が読んだの?影響を受けた人が、同様な色んなとこで使ったから?
さて、内容は国際諜報物。
このジャンルには苦手意識があった。
ベースにある各国情報機関の腹の探り合い、騙し合いみたいなのにあまりわくわくしない。
裏の裏は表、最初の面はどっちで何回ひっくり返ったかだけのような気がするし、組織内でのパワーゲームも不毛で、追うものが覇権、そのエネルギーが野心てとこも萌えない。
そういう生き方に魅力を感じないから。
ところが本作、思っていたよりはるかに楽しめた。
まさに諜報物だし、枠組みが小出しにされるので、それぞれの関係性がわかったようなわからないような状態(あぁ、こいつとこいつ過去に何かあったんだなー、でも詳しくは今は教えてくれない、みたいのが沢山)で進む。
名作と謳われるだけあってエピソードの出し方、話の展開がバラエティに富んでいて飽きることはないながら、そんな状態が続き何となく悶々とするのだけど、200ページ過ぎたくらいで見え始める。
そして少しページを戻り、はぁなるほどこのことを仄めかしていたのね。あ、これもの凄い複雑な関係性と過去の因縁をある意味とてつもなく上手く語っていると気付く。
組織の失態の落とし前をつけさせられて今や一介の隠遁者、ジョージ・スマイリー。
とある筋から浮き上がってきたあの事件の元凶を今一度追う。
この追っていく過程がすこぶる楽しい。
スマイリーがめっちゃ地味なんだけど、確実に迫っていく感じが夢中にさせる。
終盤ちょっとまた無理に意味深な感じが出て読み難いところもあったが、「むろん最初からわかっていた」というくだりが、向き合わざるを得ない真相のやるせなさを強く感じ、凄く印象に残った。
結果、ハニートラップはあんまり筋と関係ない(むしろ頭に残るのは「もぐら」)っていう。
でもまぁ、飛び交う符牒と3部作というこの先にあるであろう大ボスとの対決への予感めいたものが多くの読者を虜にしたのであろう。
次は『スクールボーイ閣下』。 -
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ちょっと忙しくてあんまり本が読めなかったな〜
なんて思ってあらためて確認したら、前の本を読み終えてから2日しかたってなかった
そういうことってあるよね
それにしても背中が痛い
これはもしかしてあれだろうか
あれの症状だろうか
伝説の奇病「背中痛い病」(ネーミングセンスが小学生)
はい、スマイリーである
イギリスが生んだ伝説のスパイ、ジョージ・スマイリーである
もちろんノンフィクションですが?
そして、スマイリーシリーズ最高傑作との呼び声高い『スクールボーイ閣下』を遂に
「スクールボーイ」とは小学生の意、デーモン閣下が小学生の時の話ではない
ネーミングセンスが小学生の人の話でもない
スマイリーの話
それにしても、回りくどい、ぜんぜん進まない、派手なアクションも全くない、そして小太りのチビが主人公、貫禄なし
でもすげーのスマイリーすげーの
そして、言葉数の多い文章なんだけど、なんかかっこいいのよね
かっこいい文章
痺れる -
購入済み
最後にびっくりですよ、えっこれで終わりなの⁈
まぁル・カレらしいと言えばらしいのですが…
でも最後は映像で来ますよ、皆さん
あの情景がリアルに浮かんできて、えーっ!となるので、色々長いですが頑張って読んでください
あと、次の「スマイリーと仲間たち」の中で、「ティンカー〜」から出ている(割と)主要キャラが出てこなくなるのは、この最後で××したからなのか!と分かるので、頑張って読んでください
TTSS映画版ではジェリーはスティーブン・グレアムが演じているのですが、この本ではイメージに合わないなーと(背低いし坊ちゃんぽくないし)
どなたかが、ジェラルド・バトラーで演って欲しいと書いていたのが頭に残っていたので、この本を読むときはずっと彼で想像しながら読みました
(ちょっとマッチョすぎますけどね) -
購入済み
村上訳最高
スマイリーシリーズが好きだったので、あまりこちらには関心を持たなかったのですが、BBCのドラマが良かったので買ってみました
村上訳最高です。(すみません呼び捨てで)
始まりの雪のホテルからの描写も良かったですが、情報部でのやり取りが素晴らしく、おーこれこれ!と電車で身悶えしてしまいました
村上訳のTTSSがお好きな方は今すぐ読むべき -
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往来堂書店「D坂文庫2015春」からの一冊。
知らない人はいない名作ではあるけれど、ダイジェスト版でしか読んでない、あるいは読んだがストーリーは忘れた、という人が多いんだろう。かく言うワタシもその一人。そこで、異動と引越しで読書に集中できないときに、これならと軽い気持ちで手にしてみた。
ところが、これが予想以上に面白い。まさに、冒険小説の元祖はここにあり!魅力的な海賊、(意外に残酷なシーンが多い中)成長してゆく少年、見守る医者。逃亡があって、捕獲されて、裏切りがあって、そのまた裏があって。子ども向けの物語に留めておくのはもったいない。
読んでいる間はこの冒険譚の世界にどっぷり浸かって、わくわく感がよみがえって、自身の周囲のバタバタから一時的に離脱。ある意味、いいタイミングで読んだと言えるのかもしれない。ワタシが本書を読んでいるのを傍で見てい人がいたとしたら、「本書を宝の地図のように扱っていた」と指摘されたんでは、という気がする。 -
購入済み
面白かったです。
スマイリーが褒めてある箇所にくるたびニヤニヤしてしまいました。
ギラム、今回は出ないのねと思っていたらいい所で出てきました。スマイリーにギラムが付いてないなんて有り得ないですもんね -
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名作ブンガク
かかった時間120分くらいか
文学のほうが新書より時間がかかる。
名作だが童話バージョンしか読んだことがなかった本作品については、以前「フランケンシュタイン」をよんだ時から、関連作品として興味をもっていた。
あらすじは言うまでもないが、名士で知られるジーキル博士が、自身の二面性と肉体の可変性を医学的に研究し、ついに自身のもうひとつの人格を肉体として発言させることに成功したものの、最後にはそのもうひとつの人格に肉体?人生?を乗っ取られてしまい、破滅に至る物語である。
読んでいて、たしかに「フランケンシュタイン」と同じように、科学(医学)の可能性への憧憬と恐れがおこりはじめたこの時代に(1800年代)、おそらくそれよりずっと昔から人間が持っていた二面性問題が結びついたのだと思えた。そして、「フランケンシュタイン」と同じく、事件は基本的に、全体の視点人物に?語り手?によっては目撃されない。常に伝聞が先行し、その伝聞によってますます恐怖めいたものと好奇心が、視点人物にも読者にも育っていく。そして、最後には事件の全貌を記した手紙が示される。
なんというか、高校生の時に「山月記」を読んだが、非常に似通った作品であると思う。「山月記」の方は異形の身になった理由は「薬品」などというわかりやすいものではないが、いずれも変身の理由を自身の内面に帰している。(かつての)親友が異形になった主人公にアクセスして語りを聴く。そして、主人公の「人間」としての最後を見届けるのだ。
こういうふうに考えると、この作品はいろいろなつながりをもった作品だとわかる。同じく高校生で読んだ「舞姫」における、自己の二面性への悔恨を含めた言及もそうだし、カフカ「変身」では変身がより不条理な形で描かれる。そもそも「自身の中の悪い心によって、姿が変えられてしまう」というのは、ミダス王をはじめとして古今東西でみられるモチーフだ。手紙の一方通行性(しかも死者からの)は「こころ」も同じだし、恐怖や怪奇のみが示されて謎が深まるのは探偵小説さながらだ。
なんていうか、こういうことをここに書くのも恥ずかしいのだが、イギリス文学ってすごい。シェイクスピアもそうだけど、ちょっとしばらく気にしてみたい。 -
Posted by ブクログ
有名すぎるほどに有名な古典的スパイ小説。どうして今まで読まなかったのだろうか、というくらい。
今になって読んでみて、すごい、面白い、につきますね。
最初の方は人の名前とか、よくわからなくて、文体も理解しにくくて、私も年をとったな、名前覚えらんないや、と思っていました。他の人のレビュー見て、あ、私だじゃなかったのね、とちょっと安心。
さらにレビューでよく書かれていた映画の「裏切りのサーカス」もみました。私は原作を先に読んだので、ああこのシーンね、とわかったのですが、映画だけ見た人にはわからないことも多かったのでは。
若い頃に読めばそれはそれで面白かったでしょうが、今、読んでよかった。
組織への忠誠とはなにか、信条とはなにか、人生において、それは、いかなる意味があるのか、ないのか。
愛もまた、同じように繰り返し問われている。国への愛、妻を、恋人を、愛するものを信じること、裏切ること。愛ゆえに自分を裏切るものもいれば、自己愛ゆえに自分を裏切らないものもいる。
スパイ小説、探偵小説であるとともに、愛の物語だったりするところが、この話のずるいところ。犯人が分かってそれで終わりにはならないのはそのせいだ。
最後の方に行けば行くほど、この話が切なく、深くなるのは、問いかけの果ての答えが、この伏線の多い、二重スパイがテーマにふさわしく、複層だからだろう。