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Posted by ブクログ
名作ブンガク
かかった時間120分くらいか
文学のほうが新書より時間がかかる。
名作だが童話バージョンしか読んだことがなかった本作品については、以前「フランケンシュタイン」をよんだ時から、関連作品として興味をもっていた。
あらすじは言うまでもないが、名士で知られるジーキル博士が、自身の二面性と肉体の可変性を医学的に研究し、ついに自身のもうひとつの人格を肉体として発言させることに成功したものの、最後にはそのもうひとつの人格に肉体?人生?を乗っ取られてしまい、破滅に至る物語である。
読んでいて、たしかに「フランケンシュタイン」と同じように、科学(医学)の可能性への憧憬と恐れがおこりはじめたこの時代に(1800年代)、おそらくそれよりずっと昔から人間が持っていた二面性問題が結びついたのだと思えた。そして、「フランケンシュタイン」と同じく、事件は基本的に、全体の視点人物に?語り手?によっては目撃されない。常に伝聞が先行し、その伝聞によってますます恐怖めいたものと好奇心が、視点人物にも読者にも育っていく。そして、最後には事件の全貌を記した手紙が示される。
なんというか、高校生の時に「山月記」を読んだが、非常に似通った作品であると思う。「山月記」の方は異形の身になった理由は「薬品」などというわかりやすいものではないが、いずれも変身の理由を自身の内面に帰している。(かつての)親友が異形になった主人公にアクセスして語りを聴く。そして、主人公の「人間」としての最後を見届けるのだ。
こういうふうに考えると、この作品はいろいろなつながりをもった作品だとわかる。同じく高校生で読んだ「舞姫」における、自己の二面性への悔恨を含めた言及もそうだし、カフカ「変身」では変身がより不条理な形で描かれる。そもそも「自身の中の悪い心によって、姿が変えられてしまう」というのは、ミダス王をはじめとして古今東西でみられるモチーフだ。手紙の一方通行性(しかも死者からの)は「こころ」も同じだし、恐怖や怪奇のみが示されて謎が深まるのは探偵小説さながらだ。
なんていうか、こういうことをここに書くのも恥ずかしいのだが、イギリス文学ってすごい。シェイクスピアもそうだけど、ちょっとしばらく気にしてみたい。
Posted by ブクログ
表面では立派な性格を持ったジーキル博士が、一方ではエドワード・ハイドという残虐な殺人鬼としての顔を持つ話は有名だが、改めてこの短編を読んでいてまるで小さな推理小説のようにも思えた。
しかし、私が最もそそられた点は「ジーキル博士の事件の全容」の告白である。
彼の苦悩はまさに宗教的なものであり、自分は二重人格であることを認めてさえいた。まるで「聖闘士星矢」のサガのようである。
薬を飲んで、著名な学者であるジーキル博士の肉体を脱ぎ捨てエドワード・ハイドの肉体を身につける。そしてそれが彼にとっては愉快であった反面、自分を苛んでいたのはもはや絞首台の恐怖ではなく、ハイドであることの恐怖であった。
これはこの小説のジーキル博士だけでなく私たちにもある種言えることだろう。私たちは顔を使い分け、一部では善人を演じ、一方ではとてつもない悪人になり、かつそのことを知り、良心に苛まれている。特に匿名であればあるほどそうだ。
Posted by ブクログ
ジーキル博士の見せる二面性が、今の世にも通じる人間の矛盾を描き出す。なぜ、高尚に見える人ほど、悪の道に魅力を感じてしまうのか。人間、良い面ばかりじゃ自分を保てないのか。善と悪、その混沌の中にいる事が人間の性なのか。永遠の問いですね。
文章が若干古風な味わいでしたが、ゴシック小説の重々しい雰囲気に合っていました。
これ初見で読んだら、最後に謎解きされるハラハラドキドキのゴシックミステリーだったんでしょうが、もう既にネタバレが独り歩きして、ジキルとハイドが二重人格の代名詞になってるもんでね(笑)。
ああ、これが正体のばれる伏線になるのねーと冷静に読んでしまいました。何も知らないまっさらな状態で読んでみたかったです。
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