村上博基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
見上げるほどの都心の高層マンションに住む成功者は、更にその階層ごとに自ら分類する。
その隔たりは、人種差別や現代の経済格差のように。
常に、下に住むものは頭の上の重みを感じ、上に住むものは足元に踏みつける優越感に浸る。
羨望と侮蔑
不安からくる集団心理
同じ階層の住人間で起こる同調圧力
汚物や破片のなかでのディナーパーティー
ベランダから投げ捨てられるゴミを待つ屋上のカモメたち
やがて暴力が蔓延して、狂気に身を委ね、いつしかそこに陶酔を見出していく。
いやになるほど嫌な物語、なぜこれを読み進めるのか……と、思いながら全て読んでしまう。
SFでもミステリーでも無い、現代のディストピアを描く狂気の読み物。 -
Posted by ブクログ
『光文社古典新訳文庫』の時間です
先日読んだ『メアリ・ジキルとマッドサイエンティストの娘たち』が面白かったので原典たるこちらも再読
当然、光文社です
ジキル博士の自宅の描写が原典にかなり忠実でした
あ、でも当然ながら奥さんもましてや娘なんて出てきません
ましてやましてハイドの娘なんて影も形もありません
このあたりは戯曲化されたり、さらに後に映画化された二次創作に影響されてるのかな
なので『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』は三次創作といえるのかもね
そうそう、あらためて読んでみてなにやらすごく深そうでしたが
あまり考えずに読みましたよ
考えすぎていろいろ受け取ろうとしすぎると古典離れに通ずるといのうが『光文社古典新訳文庫』の理念ですからね
ワタクシが光文社を選ぶ理由です
よし、次は『フランケンシュタイン』だ! -
Posted by ブクログ
2022年最後を飾るのはなんと1981年の作品今から約150年前の作品
『あしながおじさん』の中に登場してきたので懐かし!と思って再読です
残るべきものは残るんだよね
ただ子供の頃読んだ時ほどドキドキしなかったかも
海賊シルヴァーが登場したあたりからスピードは上がるんだけど、全体に冒険小説としてはスピード感が足りない気がしてしまったんよね
次から次へと主人公を襲う危機!!みたいなね
情報飽和時代の弊害かなw
でもなんか、基本というか基礎というかそんな感じがすごいしたなぁ、必要なものは過不足なく全て揃ってますよ、こっから始めますよ、みたいな
板前さんで言う大根のかつらむきみたいな違うか -
Posted by ブクログ
40階建て一千戸の巨大マンションで、15分ほどの停電の後に一匹の犬の死体が見つかったことをきっかけに、上、中、下層の住民の不満が爆発。衝突が始まる。
SFか?と言われると、そうなのかもしれない。外界と隔絶されているあたりは、宇宙船なり無人島でも描けるテーマなのだが、そこが高層マンションというところがこの作品の面白さでもある。
この作品の大きなキモとなるのが、抗争を恐怖として捉えるわけではなく、住民たちがマンション内だけに与えられた楽しみであり、ゲームであると認識している点であり、このあたりは筒井康隆を読んでいる人にはわかりやすい。ただの恐怖小説だと思って読んでいる人には、全くピンとこない話であろう。
また、上層=上流階級はリーダーを置いて結束し、下層は結束できずに混沌とし、中層はリーダを置くんだか置かないんだかというのは、設定として非常におもしろい。
上層のロイヤル、中層のラング、下層のワイルダーの、それぞれの視点が交錯するが多少難があるものの、わかりやすいストーリー展開であった。
ただ、訳が悪い。比喩を訳すんだか訳さないんだかという部分が多くあり、文章になっていないものもある(主語述語がない)。訳すなら訳すでもう少し厚くなっても良いから丁寧に訳して欲しい。
ストーリー☆4、訳☆2というところ。 -
Posted by ブクログ
スマイリー三部作完結編で、旧ソ連の宿敵〝カーラ〟との最終的決着までを描く。重厚な筆致は更に磨きが掛けられており、ル・カレ独自の世界がゆっくりと始動する。前作の漠然とした分かりにくさは消え、より引き締まった構成ではあるが、集中力を欠くと挫折しかねない。タイトル通り、物語はスマイリーに主軸を置いている。かつての仲間が犠牲となっていく非情な諜報戦のただ中で、老体に鞭打ちながら真相を求めて歩む孤独な後ろ姿は、影の存在でありつつも、自国他国問わず真っ先に国家の使い捨ての駒となるスパイの悲哀を物語っている。
冷たい怒りを抑えつつも、或る瞬間には滲み出てしまう吐露に、終わりなき闘いの不毛ぶりが表れている。実体がほとんど明らかにされていなかった〝カーラ〟が、ようやく姿を現す終盤のシーンは、本作のみならず三部作全体を通してのクライマックスであろう。「勝つ」ためには、自らも薄汚い手段を取らざるを得なかったスマイリーに去来する思いは、苦く空しい。