村上博基のレビュー一覧

  • ハイ・ライズ

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    見上げるほどの都心の高層マンションに住む成功者は、更にその階層ごとに自ら分類する。
    その隔たりは、人種差別や現代の経済格差のように。

    常に、下に住むものは頭の上の重みを感じ、上に住むものは足元に踏みつける優越感に浸る。

    羨望と侮蔑
    不安からくる集団心理
    同じ階層の住人間で起こる同調圧力
    汚物や破片のなかでのディナーパーティー
    ベランダから投げ捨てられるゴミを待つ屋上のカモメたち

    やがて暴力が蔓延して、狂気に身を委ね、いつしかそこに陶酔を見出していく。

    いやになるほど嫌な物語、なぜこれを読み進めるのか……と、思いながら全て読んでしまう。

    SFでもミステリーでも無い、現代のディストピアを描く狂気の読み物。

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    2025年01月27日
  • ハイ・ライズ

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    高層住宅が舞台というのが気になって読みました。
    マンション内の秩序が崩壊し、住人たちが本能の赴くままに生きていく姿に妙なリアリティーを感じさせます。
    階層化された人間関係も現代の縮図のようです。

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    2024年09月04日
  • ハイ・ライズ

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    1975年に書かれたと知って驚いた。

    隔絶された社会で秩序がどんどん崩壊していく様子が恐ろしすぎて、その進行の様を本を閉じるたびに家族に「この本ヤバい、みんな狂ってく」と吐き出さないとやってられなかったw

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    2024年03月23日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    『光文社古典新訳文庫』の時間です

    先日読んだ『メアリ・ジキルとマッドサイエンティストの娘たち』が面白かったので原典たるこちらも再読
    当然、光文社です

    ジキル博士の自宅の描写が原典にかなり忠実でした

    あ、でも当然ながら奥さんもましてや娘なんて出てきません
    ましてやましてハイドの娘なんて影も形もありません
    このあたりは戯曲化されたり、さらに後に映画化された二次創作に影響されてるのかな
    なので『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』は三次創作といえるのかもね

    そうそう、あらためて読んでみてなにやらすごく深そうでしたが
    あまり考えずに読みましたよ
    考えすぎていろいろ受け取ろうとしすぎると古典離れに通ずるといのうが『光文社古典新訳文庫』の理念ですからね
    ワタクシが光文社を選ぶ理由です

    よし、次は『フランケンシュタイン』だ!

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    2023年06月23日
  • 宝島

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    2022年最後を飾るのはなんと1981年の作品今から約150年前の作品
    『あしながおじさん』の中に登場してきたので懐かし!と思って再読です

    残るべきものは残るんだよね

    ただ子供の頃読んだ時ほどドキドキしなかったかも
    海賊シルヴァーが登場したあたりからスピードは上がるんだけど、全体に冒険小説としてはスピード感が足りない気がしてしまったんよね
    次から次へと主人公を襲う危機!!みたいなね
    情報飽和時代の弊害かなw

    でもなんか、基本というか基礎というかそんな感じがすごいしたなぁ、必要なものは過不足なく全て揃ってますよ、こっから始めますよ、みたいな
    板前さんで言う大根のかつらむきみたいな違うか

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    2023年01月18日
  • 宝島

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    少年向け冒険小説の古典。地図を見つけてためらいなく船を買い、冒険に出るところや、一人で上陸して冒険に出かけるところが開拓期のアメリカらしいというか、若くてエネルギッシュでいい。

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    2022年06月13日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    有名な話だけに、大元を読むといろいろ改変される前の作者が伝えたかった部分のようなものが見えてとてもよかった。ハイド氏が猿のような怪物ではなくジキル博士よりもずっと歳若く小柄、というあたり、己のネガティブな部分にできるだけ力を与えないようにして生きてきたジキル博士の誠実な性格が出ている。

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    2022年05月15日
  • 宝島

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    『宝島』は作者スティーヴンソンが結婚した女性の連れ子と遊んでいて、海賊や宝物の出てくる地図を描いていたことをきっかけに物語を作ったという。発売当初から『宝島』はよく売れ、現在でも世界の有名な童話の1つとなっており、どうしても『宝島』=子供向けというイメージを持たれがちであるが、スティーヴンソンの友人ウィリアム・ヘンリーは、この作品が子供だけでなく、大人が読んでも十分楽しめることを指摘している。

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    2022年04月13日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    知ってるけど読んだことない本。
    なんとなくその気になって読んでみたら、面白くってあっという間に読んでしまった。

    それにしても有名小説の功罪だと思うけど、どういう話か知った上で読むから、驚きが少ない。
    これ、当時何も知らないで読んだ人たちは「なんと!」とそのどんでん返しに驚いただろうな。
    まさか、おんなじ人やなんて、想像もつかないだろう。

    きっといろんな物語が、この「ジーキル墓博士とハイド氏」にインスピレーションをもらっているはず。
    様々な文学作品の中に、かけらとなって、脈々と生き続けてる、そんな原典という感じです。

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    2021年02月28日
  • スマイリーと仲間たち

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    ネタバレ

    決着がついた、ということに驚いた。「スクールボーイ閣下」の終わり方を思えばむべなるかな、とも思うが、終わりのない──既にグレートではないにしろ──ゲームなのだと思っていた。
    第一部の敗北は最後までスマイリーを打ちのめしており、読者もその苦い響きを忘れることができない。それでも、カーラの敗北はスマイリーの敗北であり、だから来るな!撃て!と思わずにはいられない。
    全編を通して、最早世界の主役ではない英国、という感覚が見えるところがあり、その傲慢な自意識も面白かった。
    シリーズが進むほど読みやすくなる作品。

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    2020年10月03日
  • ハイ・ライズ

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    つくづく一人でいる時に読まなくて良かった。高層マンションの住人が次第に内なる階級争いとそこから始まる暴力に支配されていく様がなんとも不気味だった。何が怖いって、みんな、抜け出そうと思えば抜け出せる環境にいるのに、どういうわけか誰もそこから抜け出すことを選ばなかったこと。。。警察ですら欺いて暴力と殺人を謳歌する様はグロテスクすぎて気持ちが悪かった。著者は隔絶された環境に置かれた人間が野蛮に戻るさまを描きたかったのかと思うけど、これを読んでどんな感想を持ったらいいのか。。

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    2020年05月05日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    ジキルとハイドというと名前は知ってるけど、実際に何をやったんだっけ?てな感じになる。ヘンゼルとグレーテルくらいどっちがどっちか分からん。これがウサギとカメくらい役割分担が分かりやすければね。
    ということでどっちが悪者だって話になって、ハイド氏だった。それを覚えただけでもちょっとは脳のしわが増えたかな。
    ところで一面が隙間なく壁になっていて、裏がどこに繋がってるか分からん、みたいな街並みってちょっと楽しそうよね。今は消防法とかひっかりそうだけど、石造りならOKかな?ロンドン侮れんわ。

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    2019年09月04日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(ジョン・ル・カレ : 村上博基 訳)を読んだ。
    久しぶりに読んだけど、今回はすごく長く感じたなぁ。
    三部作と呼ばれてあと二作品あるんだけどそれらは読んでないよな。買ったけど読まなかった長〜いリストのうちの二冊だなきっと。さあどうする。

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    2018年07月06日
  • ハイ・ライズ

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    40階建て一千戸の巨大マンションで、15分ほどの停電の後に一匹の犬の死体が見つかったことをきっかけに、上、中、下層の住民の不満が爆発。衝突が始まる。

    SFか?と言われると、そうなのかもしれない。外界と隔絶されているあたりは、宇宙船なり無人島でも描けるテーマなのだが、そこが高層マンションというところがこの作品の面白さでもある。

    この作品の大きなキモとなるのが、抗争を恐怖として捉えるわけではなく、住民たちがマンション内だけに与えられた楽しみであり、ゲームであると認識している点であり、このあたりは筒井康隆を読んでいる人にはわかりやすい。ただの恐怖小説だと思って読んでいる人には、全くピンとこない話であろう。

    また、上層=上流階級はリーダーを置いて結束し、下層は結束できずに混沌とし、中層はリーダを置くんだか置かないんだかというのは、設定として非常におもしろい。

    上層のロイヤル、中層のラング、下層のワイルダーの、それぞれの視点が交錯するが多少難があるものの、わかりやすいストーリー展開であった。

    ただ、訳が悪い。比喩を訳すんだか訳さないんだかという部分が多くあり、文章になっていないものもある(主語述語がない)。訳すなら訳すでもう少し厚くなっても良いから丁寧に訳して欲しい。

    ストーリー☆4、訳☆2というところ。

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    2018年02月01日
  • ナイト・マネジャー 上

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    先にトム・ヒドルストンが主演の海外ドラマを見て、原作を読んでみようと思いました。ジョン・ル・カレだし。
    ですが、、まあ結末を知っているからかもしれませんが、小説が冗長に思えて・・
    あと、訳文がちょっと好きじゃないというのもあって、途中で読むのをやめてしまいました。
    話自体はすごく面白いし、ドラマでは描ききれていないいろんな背景などもありそうだったので、小説で理解したかったのですが・・・

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    2017年04月12日
  • ハイ・ライズ

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    SF。サスペンス。
    創元SF文庫から出版されているが、これはSFなのか?近未来ディストピアものということか。
    最初の1ページで感じたとおり、作品全体を通して不穏な空気が漂う。
    結局、たいしたストーリーはなかった気がするが、なぜか惹きこまれる不思議な作品だった。

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    2017年04月01日
  • ハイ・ライズ

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    「蝿の王」っぽさを感じるSF小説だけど、当事者が大人同士で、それぞれ見栄だの地位だの、やっかみだのがある分、秩序が崩壊した後の混沌ぶりはひどい。
    はじめは読み進めにくかったけど、最後はするする読めた。

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    2017年01月26日
  • ハイ・ライズ

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    面白かったです。この高層住宅に住むことは最先端のように思いましたが、住人たちがどんどん暴力的になっていくところが、退化なのかもしれないと感じました。渦巻く不穏な狂気の空気が好きでした。でも犬はいけない…この描写だけは好きになれませんでした。映画化されているのですね。この世界がどう映像になっているのか気になります。

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    2017年01月14日
  • スマイリーと仲間たち

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    スマイリー三部作完結編で、旧ソ連の宿敵〝カーラ〟との最終的決着までを描く。重厚な筆致は更に磨きが掛けられており、ル・カレ独自の世界がゆっくりと始動する。前作の漠然とした分かりにくさは消え、より引き締まった構成ではあるが、集中力を欠くと挫折しかねない。タイトル通り、物語はスマイリーに主軸を置いている。かつての仲間が犠牲となっていく非情な諜報戦のただ中で、老体に鞭打ちながら真相を求めて歩む孤独な後ろ姿は、影の存在でありつつも、自国他国問わず真っ先に国家の使い捨ての駒となるスパイの悲哀を物語っている。
    冷たい怒りを抑えつつも、或る瞬間には滲み出てしまう吐露に、終わりなき闘いの不毛ぶりが表れている。実体がほとんど明らかにされていなかった〝カーラ〟が、ようやく姿を現す終盤のシーンは、本作のみならず三部作全体を通してのクライマックスであろう。「勝つ」ためには、自らも薄汚い手段を取らざるを得なかったスマイリーに去来する思いは、苦く空しい。

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    2016年11月30日
  • ハイ・ライズ

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    何もかもが整った快適な住まいが、あっという間に異常な世界になっていく。そんなことあるわけないよ、と笑えればいいけど、なんだかありそうな気にさせられるのが本当にこわい。

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    2016年12月08日