村上博基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
40階建て一千戸の巨大マンションで、15分ほどの停電の後に一匹の犬の死体が見つかったことをきっかけに、上、中、下層の住民の不満が爆発。衝突が始まる。
SFか?と言われると、そうなのかもしれない。外界と隔絶されているあたりは、宇宙船なり無人島でも描けるテーマなのだが、そこが高層マンションというところがこの作品の面白さでもある。
この作品の大きなキモとなるのが、抗争を恐怖として捉えるわけではなく、住民たちがマンション内だけに与えられた楽しみであり、ゲームであると認識している点であり、このあたりは筒井康隆を読んでいる人にはわかりやすい。ただの恐怖小説だと思って読んでいる人には、全くピンとこない話 -
Posted by ブクログ
スマイリー三部作完結編で、旧ソ連の宿敵〝カーラ〟との最終的決着までを描く。重厚な筆致は更に磨きが掛けられており、ル・カレ独自の世界がゆっくりと始動する。前作の漠然とした分かりにくさは消え、より引き締まった構成ではあるが、集中力を欠くと挫折しかねない。タイトル通り、物語はスマイリーに主軸を置いている。かつての仲間が犠牲となっていく非情な諜報戦のただ中で、老体に鞭打ちながら真相を求めて歩む孤独な後ろ姿は、影の存在でありつつも、自国他国問わず真っ先に国家の使い捨ての駒となるスパイの悲哀を物語っている。
冷たい怒りを抑えつつも、或る瞬間には滲み出てしまう吐露に、終わりなき闘いの不毛ぶりが表れている。実 -
Posted by ブクログ
SF?SFなのか?これ。
ロンドンの中心部にそびえ立つ超高層マンションで起こる不条理劇。
世間的地位はあるものの知的な感じが全くしない住人たちなので普通の感性を持ってる人なら最初から住みたいとは全く思わないマンションが舞台。
その時点で既にもう歪んでる。
その上全てが整えられた環境が少しずつ崩されていく。
住民たちは対処法を考える。という理性はなく
人間の本能のまま行動する。エロ&グロがあるのだがなんとなく紗幕1枚隔てた所で行われている感じがあって「生々しい」というより「浮世離れ」している。
そういう点では「SF」のカテゴリーに入れて良いんだろう。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレジキルとハイドとはこういうことだったのかぁ。
人間の心とは複雑なもので、決して平面的に見られるものではないってことか。
立体的だから、どこか一カ所の側面ばかりに重心を置いたら転がっちゃう。
その正反対の自分と向き合わないと、バランスがとれない。
善人と悪人は表裏一体かもね。
自分でも信じられないくらいの汚い部分があるから、それを発散させることで善人である自分を保っていられるのね。
つまり善人でいるには、自分の汚い悪人の部分もちゃんと知っておく必要がある。
…じゃあ善人代表のキリストが人間だとしたら、自分の邪悪な側面をしっかりわかってるってこと?そうじゃないとおかしいもんね。人に説法する