村上博基のレビュー一覧
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11月15日の夕方に、池袋東武の本屋に寄って、そうだあしたのメロディアスライブラリジキルとハイドなんだよなーと適当にありものを買った。
光文社の古典新訳ってむかしカラマーゾフの兄弟を買ってすごいひどい目に遭って、なんとなくあの表紙の装画自体避けてたんだけど、単に訳の選び方だから文庫レーベル関係ないよな……とはおもったけどやっぱ他の文庫でジキルとハイド見つけてたら光文社で買わなかったとおもう。装幀もなんか小説っていうよりビジネス本みたいにつるつるしててわくわく感無い。
内容はなんていうか、頭のとこのアタスン氏とエンフィールド氏のおさんぽのくだり、特に共通の関心事も無いし他人に会うとほっとするくらいきまずいのにふたりにとって日曜の散歩は何にも先駆けて確保されるべき楽しみなのです……のあたりでそれ付き合い始めのきまずいデートみたいだね!? てなってちょっとそのあとの話聞いてないかんじあったんですけど、粛々とハイド氏が悪漢でしめやかに物語始まってました。
ストーリー自体は全体に期待通りというか期待を外れることも超えることもなくだったんだけど、ディティールがうつくしくてびっくりした。こないだ青空でざっと流したフランケンシュタインもなんだけど(これもちゃんと紙で読みたいなー)ゴシック小説って一方的に色物だとおもってたのすごい反省した。文がきれいでした。「ある晴れた、空気の乾いた夜だった。あたりに寒気がみなぎり、路面は舞踏場のフロアのようにきれいで、どんな風にも揺るがぬ街灯が、光と影の幾何学模様を描いていた。」とかあんまりおどろおどろしくなくて、乾いてがらんとして寒い清潔な街みたいで、19世紀のロンドンって言われてわたしが安易にぱっと浮かべる景色とわりと違うんだけど、きれいな場所だなとおもった。
あと「むこうがミスター・ハイドなら」「こちらはミスター・シークだ」って、洋の東西を問わずおっさんってこういうこと言って喜ぶんだね。なごむね。
翌朝のメロディアスライブラリは録音して何度も聴いていますが、小川洋子ってこういう変な小説の回だと力はいるなっておもいました。 -
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ネタバレ映画『裏切りのサーカス』を観て、これは是非とも原作も読まなくては!と思い読み始めましたが…やはり前半は難しい…というか現在と過去が行ったり来たりする場面が多いから気を抜いてると「え?今なんの話?」となる。
人物も多く、専門用語も多いから何が何やら…となる人が多いというのもうなずける。
私は先に映画を二回観ていたのでストーリー展開とかはある程度わかっていたからなんとかついていけたけど、観てなかったら投げ出してた気がしてならない。
といいつつも、真ん中あたりまでは読むのが辛く感じるとこもあり300ページくらいまでは放置したりまた読み始めたりで何ヶ月かかかった。
しかし、300ページからは1日半で読めた。
映画を観るきっかけは正直ギラム目当てのとこもあったけど、映画でも小説でも個人的に一番印象に残ったのはなんだかんだでジム・プリドーとビル・ヘイドンの関係だったりする。
映画とは若干違う最後だけど、どっちも切なすぎる。
今後のシリーズではもう彼らの出番は無いんだなと思うとちょっと寂しい。
結果としてはやはり最後まで読んでよかった!と思うから三部作全部読んでいきたい。
時間は…かかりそうだけど。 -
Posted by ブクログ
映画「裏切りのサーカス」の原作。著者がもと英国情報部なリアルスパイ小説。
表面上はかなり淡々としていて盛り上がりに欠けるような…と思いつつ読み進め、これは淡々としてるんじゃなくてキンキンの緊張状態が常態化してるんじゃ!と思い至った。中盤のギラムのミッションや終盤あたりはちゃんと?盛り上がってて止まらなくなる風。
膨大な日常情報に紛れた細かな矛盾や綻びを見つけては組み立て、ストーリーを想像で補う作業は読んでいて肩がこりそう。
全体的に映画の方がかなりスッキリまとまっていて分かりやすいけれど、(といって映画が理解できたわけではありませんが…)原作は原作で、情報の海を自力で掻き分けてる感があって読みごたえがありました。
また映画みたくなったなぁ~ -
Posted by ブクログ
ネタバレ20数年ぶりの再読! ある意味“苦行”と言われたスマイリー三部作のフィナーレにして、スマイリーシリーズの最高傑作!
とにかく、メリハリ、サプライズ、そしてカタルシスがないのに、物語を読み進める内にじわじわと滋味が溢れてくる。それは淡々ではなく粛々という印象。
読書の魅力は、年を経て再読するとそれまでの印象がガラッと変わるところ。だが、この作品は意外なほど変わらない印象。それは、私が未熟なだけか……。
カタルシスはないと書いたが、ラストの雪のベルリンのシーンは、過去に読んだ全てのスパイ小説の中で最も美しく胸を打つ場面だった。暫く目を閉じずにはいられなかった。