村上博基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「うん。そうだな、そうかもしれない」
英国諜報部の生ける伝説ジョージ・スマイリーとソ連諜報部の工作指揮官カーラの冷戦下での対決を描いたスマイリー三部作の最終決戦です
いやー、なんていうか情景描写過多
やり過ぎだと思うが、まぁこれがジョン・ル・カレなのだからしょうがない
そして「小説のジレンマ」ね
冷戦なんてものはない方が良い
それはとりあえずそうだと思う
まぁ、色々問題は残っていたり、新たな問題が起きたりはしているわけだけど
とりあえず核弾頭の数は減ったし、経済のグローバル化も進んだし、東欧諸国の人たちがそれなりの自由ってやつを手に入れたわけだからね
東西のスパイたちが頭脳戦を繰り広げる至極のスパイ小説みたいなんは、もうどんどん少なくなっていくんやろな〜
なんか寂しい気もちょっとする
まぁ、でもすで読み切れないほどの傑作があるからいいかw
こんな時代もあったのねってな感じで、今後もちびちびとスパイ小説を読んでいきますよ -
Posted by ブクログ
「あれはどこかべつの土地、まったくべつの宇宙での出来事だった。彼はここでは場違いな人間だった。けれども、彼もまたこの悲劇にどこかで加担してきたのだ。」
スパイ小説には悲劇が似合う
ソ連の伝説的スパイ”カーラ”によって被った壊滅的打撃からの復活を目指す新生英国諜報部
率いるのは我らがジョージ・スマイリーだ
スマイリーは”カーラ”に反撃すべく、ソ連からの金の流れを追う
たどり着いたのは香港に住まう中国人富豪ドレイク・コウ
送り込まれたのはスマイリーを師と仰ぐ新聞記者で工作員ジェリー・ウェスタビー
ジェリーの活躍もあり、中国諜報機関中枢にいるコウの弟ネルソンが”カーラ”のスパイであることが判明
スマイリーはネルソンを捕らえるべく、秘密作成を開始する
しかし、インドシナ半島に潜入したジェリーは別の思惑からスマイリーの指揮下を離れ独自の行動を開始する
スパイとは何なのか?スパイが存在することそのものが、この世の悲劇なのではないだろうか
ジェリーを支配していたのは、ある意味非常に人間的な感情だったのだが、人間であることと、スパイであることは両立し得なかった
そしてそのことが、スマイリーとジェリーに悲劇を引き寄せたのだ
人であることもまた悲劇なのだろうか -
Posted by ブクログ
英国情報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。
辰巳四郎の表紙が印象的な菊池光訳の文庫を読んだのが1986年だから、38年前である。映画は公開されてすぐと、一昨年リバイバル公開の際に観た。アナログの世界に生きるスパイたちの暗闘。翻訳の良し悪しは分からないが、小説として一級品であることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
この本は日本の本で例えるならば、三島由紀夫のスパイ傑作本と言う感じです。言うならばこの本はその英国版と言う感じです。著者のジョン・ル・カレの本は非常に巧みな文学的な表現で情景描写、心理描写がこれでもかと言うほどの精巧で緻密に細やかに語られています。諜報作戦、諜報部隊、ナショナリズムや国に対する忠誠心など出演している人物のストーリーが芸術的に語られ、その内容が細やかな文体や描写として描かれており、文章力と言う意味でも、その芸術的な巧みな文章をたっぷりと精密に味わうことができる本であり、その語りの粘り強い周到さに驚嘆する本と言えるでしよう。なおかつ諜報活動におけるナショナリズムや国に対する忠誠心や裏切りなど、現代ではスパイ小説と言うのはなかなか読めるものでは無いですが今でも人間関係の心理描写や緻密な心の変化などの部分で非常に面白い本であると言えるでしょう。ただ少し読むのに手応えがある難しい本ですが一読はしておくべきです!
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Posted by ブクログ
ロンドン中心部に聳え立つ高層マンション。
40階建て1000戸、商業施設や小学校もある
一つの《世界》に生じた異常事態について、
三人の住人の視点で綴った作品。
1975年の時点で、
21世紀現代の俗に言う「タワマンヒエラルキー」を透視・描出し、
当時の“近未来”消費社会のヴィジョンを提示した怪作。
25階に住む大学医学部の上級講師ロバート・ラングの
過去2~3ヶ月の回想。
マンション上層部、中層部、下層部の居住者が
共用設備の使用法やマナーなどを巡って
反目し合っていたが、停電が発生した際、
37階の住人である女優のペットの犬が溺死させられ、
また、最上階の宝石商が転落死したことで
不穏な空気が流れ始めた――。
階級闘争をスタイリッシュに描いた小説かと思いきや、
グロテスクなスラップスティックの様相。
悪臭芬々たる血みどろの無惨絵が展開されるのだが、
主要登場人物がクールで、語り口がスッキリしているので、
そのギャップがおかしくて、つい笑ってしまった。
映画版も観てみたい。 -
Posted by ブクログ
バラードはこれまで2作品しか読んだことがありません。扱うテーマは魅力的で本屋でもついつい手に取ってしまうのですが、どうもその回りくどい文体に忌避感を覚えてしまっているらしく、結局レジまでもっていかないことばかり。本書はたまたま古本屋で発見し、もともと興味のある作品であったので、ええいままよ、と購入。
回りくどい表現は相変わらずでしたが、読みにくいほどではなく、結構すいすいと読み進めることができました。さて、その内容。最初の方は隣人同士のよくあるトラブル。それが苛烈になってきて…までは理解しうるのですが、その後、いつの間にやら狂気が支配してしまいます。狂気の階段を一段一段あがって、というのではなく、気付いたら狂気の霧が濃くなっていた、というそのシームレスさにびっくり。ただ、読み手までその狂気に囚われるかというと、そうではなく、異常すぎる様に途中から引いてしまうのが実態でしょう。隣人トラブルの延長線上の物語と捉えていたところ、予想もしない方向に話が展開したため、親近感が薄れ、気付けば頭のおかしな舞台を遠目で眺めている、といったところかと。
本作は、バラードの作品の中で「テクノロジー三部作」に数えられるようで、科学技術の産物と人間の関係を追及している模様。そう考えると、最後まで狂気が去らない筋書は物語としてとても魅力的。最後の最後、もしかしたら、正常に戻るかも、と思わせつつ、狂気が更に周りを覆い始める描写には薄ら怖ささえ感じました。
食べず嫌いせず他のバラード作品にも挑戦してみよう。