村上博基のレビュー一覧

  • スマイリーと仲間たち

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    「うん。そうだな、そうかもしれない」

    英国諜報部の生ける伝説ジョージ・スマイリーとソ連諜報部の工作指揮官カーラの冷戦下での対決を描いたスマイリー三部作の最終決戦です

    いやー、なんていうか情景描写過多
    やり過ぎだと思うが、まぁこれがジョン・ル・カレなのだからしょうがない

    そして「小説のジレンマ」ね

    冷戦なんてものはない方が良い
    それはとりあえずそうだと思う
    まぁ、色々問題は残っていたり、新たな問題が起きたりはしているわけだけど
    とりあえず核弾頭の数は減ったし、経済のグローバル化も進んだし、東欧諸国の人たちがそれなりの自由ってやつを手に入れたわけだからね

    東西のスパイたちが頭脳戦を繰り広げる至極のスパイ小説みたいなんは、もうどんどん少なくなっていくんやろな〜
    なんか寂しい気もちょっとする
    まぁ、でもすで読み切れないほどの傑作があるからいいかw

    こんな時代もあったのねってな感じで、今後もちびちびとスパイ小説を読んでいきますよ

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    2025年10月24日
  • スクールボーイ閣下 下

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    「あれはどこかべつの土地、まったくべつの宇宙での出来事だった。彼はここでは場違いな人間だった。けれども、彼もまたこの悲劇にどこかで加担してきたのだ。」

    スパイ小説には悲劇が似合う

    ソ連の伝説的スパイ”カーラ”によって被った壊滅的打撃からの復活を目指す新生英国諜報部
    率いるのは我らがジョージ・スマイリーだ

    スマイリーは”カーラ”に反撃すべく、ソ連からの金の流れを追う
    たどり着いたのは香港に住まう中国人富豪ドレイク・コウ

    送り込まれたのはスマイリーを師と仰ぐ新聞記者で工作員ジェリー・ウェスタビー

    ジェリーの活躍もあり、中国諜報機関中枢にいるコウの弟ネルソンが”カーラ”のスパイであることが判明

    スマイリーはネルソンを捕らえるべく、秘密作成を開始する
    しかし、インドシナ半島に潜入したジェリーは別の思惑からスマイリーの指揮下を離れ独自の行動を開始する

    スパイとは何なのか?スパイが存在することそのものが、この世の悲劇なのではないだろうか

    ジェリーを支配していたのは、ある意味非常に人間的な感情だったのだが、人間であることと、スパイであることは両立し得なかった

    そしてそのことが、スマイリーとジェリーに悲劇を引き寄せたのだ

    人であることもまた悲劇なのだろうか

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    2025年05月20日
  • スマイリーと仲間たち

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    将軍と呼ばれる老亡命者が殺された。将軍は英国情報部の工作員だった。醜聞を恐れる情報部は、彼の工作指揮官だったスマイリーを引退生活から呼び戻し、後始末を依頼する。将軍は死の直前に、ある重要なことをスマイリーに伝えようとしていた。彼の足どりをたどるスマイリーは、やがて事件の背後に潜むカーラの驚くべき秘密を知る! 英ソ情報部の両雄が、積年の対決に決着をつける。三部作の掉尾を飾る本格スパイ小説。

    38年ぶりに味わいながら読む。

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    2025年05月14日
  • スクールボーイ閣下 下

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    カーラの資金を受け取る香港の大実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そして今、ウェスタビーの調査でドレイクが重大な計画を企てていることが判明した。スマイリーは、それを利用して秘密作戦を開始する。が、ウェスタビーが指揮下を離れ、独自に行動していたとは知るよしもなかった。

    38年ぶりに再読。ページ数はそれほど多くないが、活劇シーンも読ませます。

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    2025年05月06日
  • スクールボーイ閣下 上

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    ソ連情報部の工作指揮官カーラの策謀で、英国情報部〈サーカス〉は壊滅的打撃を受けた。だが、その長に就任したスマイリーは反撃を開始する。〈サーカス〉の膨大な記録を分析し、カーラの弱点を解明しようというのだ。浮かび上がったのは、パリから東南アジアへと伸びる極秘送金ルート。その受取人を探るべく、スマイリーは臨時工作員ウェスタビーを香港に派遣した!

    徹底的なペーパーチェイスが、新たな事実を発掘する。

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    2025年05月02日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    英国情報部〈サーカス〉の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。

    辰巳四郎の表紙が印象的な菊池光訳の文庫を読んだのが1986年だから、38年前である。映画は公開されてすぐと、一昨年リバイバル公開の際に観た。アナログの世界に生きるスパイたちの暗闘。翻訳の良し悪しは分からないが、小説として一級品であることは間違いない。

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    2025年04月25日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    小学生の頃に読んだ記憶があるけれど、おそらく子ども向けだったんだろうな。二重人格であることは知っていても、細かい設定などは分かっていない部分が多かった。

    ミステリー小説仕立てで、短くテンポよくまとまっているので、とても読みやすかった。

    それにしても「二重人格小説」というジャンルがあるって初めて知ったよ…笑

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    2024年10月13日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    訳者あとがきに「ジーキル・ハイドの二重人格」という慣用句は有名だが、実は訳者自身が原典も翻訳版も読んだことがなかったと書かれていた。一方的に勝手な親しみを覚えた。私自身も「ジーキルとハイド」という慣用句だけは知っている(つもりだった)が原作は読んでいない1人だったからだ。
    人間には誰にも悪の面が潜んでいて、その悪は抗し難い魔力を持っている。それにとりつかれてしまうと取り返しのつかない結果を招くこともある。そんな教訓が込められている物語なのかなと。

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    2024年08月07日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    あとがきにも書かれているが、有名すぎて読まない本。有名すぎて知ってるつもりになって、読まない本。歌詞とかにもよく出てくるし。ジキルとハイド。
    ジーキル博士とハイド、善と悪かと思ってたけど、実は全部と悪だった。似てるけど違う。全部と善だったらどうなってたかな。いずれにしても、善がないと悪もない。善があるから悪がある。表裏一体、一方だけだと矛盾でおかしくなる。そしてやはりおかしくなる。

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    2023年09月17日
  • ハイ・ライズ

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    高層ビルに住む人々が、小さな綻びをきっかけにおかしくなっていく話。想像の範疇を超えた……という感じはあまりないし、淡々と話が進んでいく面があるのでスリルみたいなものはないが、普段から平然と平和に生きている自分の環境が当然じゃないかもしれない……という身近な所に恐怖を感じるという面で良い作品だった。

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    2022年11月25日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    語るべきことを語れば、予想を裏切る必要も、皆まで言う必要もない ただその語るべきことを語るのに5万年を要しそれを受け取るのに5万キロカロリーを消費します

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    2022年08月17日
  • 宝島

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    子供から大人まで楽しめる冒険小説。
    有名だから、一度は読むべきかなと思う。
    描写が上手く、スラスラ読めた。

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    2022年05月18日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    この本は日本の本で例えるならば、三島由紀夫のスパイ傑作本と言う感じです。言うならばこの本はその英国版と言う感じです。著者のジョン・ル・カレの本は非常に巧みな文学的な表現で情景描写、心理描写がこれでもかと言うほどの精巧で緻密に細やかに語られています。諜報作戦、諜報部隊、ナショナリズムや国に対する忠誠心など出演している人物のストーリーが芸術的に語られ、その内容が細やかな文体や描写として描かれており、文章力と言う意味でも、その芸術的な巧みな文章をたっぷりと精密に味わうことができる本であり、その語りの粘り強い周到さに驚嘆する本と言えるでしよう。なおかつ諜報活動におけるナショナリズムや国に対する忠誠心や裏切りなど、現代ではスパイ小説と言うのはなかなか読めるものでは無いですが今でも人間関係の心理描写や緻密な心の変化などの部分で非常に面白い本であると言えるでしょう。ただ少し読むのに手応えがある難しい本ですが一読はしておくべきです!

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    2022年01月30日
  • ハイ・ライズ

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    ロンドン中心部に聳え立つ高層マンション。
    40階建て1000戸、商業施設や小学校もある
    一つの《世界》に生じた異常事態について、
    三人の住人の視点で綴った作品。
    1975年の時点で、
    21世紀現代の俗に言う「タワマンヒエラルキー」を透視・描出し、
    当時の“近未来”消費社会のヴィジョンを提示した怪作。

    25階に住む大学医学部の上級講師ロバート・ラングの
    過去2~3ヶ月の回想。
    マンション上層部、中層部、下層部の居住者が
    共用設備の使用法やマナーなどを巡って
    反目し合っていたが、停電が発生した際、
    37階の住人である女優のペットの犬が溺死させられ、
    また、最上階の宝石商が転落死したことで
    不穏な空気が流れ始めた――。

    階級闘争をスタイリッシュに描いた小説かと思いきや、
    グロテスクなスラップスティックの様相。
    悪臭芬々たる血みどろの無惨絵が展開されるのだが、
    主要登場人物がクールで、語り口がスッキリしているので、
    そのギャップがおかしくて、つい笑ってしまった。

    映画版も観てみたい。

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    2021年11月10日
  • 宝島

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    海外の古典文学にありがちな一人の人物に複数の呼び名があることによる混乱でなかなか話にのめり込めなかった。巻頭に登場人物一覧を載せてもらうと島の地図よりも有益な気がする。個性ある人物、先が気になる展開、巧みな描写など、児童文学とは思えない作品です。主人公ベンの勇気と大胆さ、隅に置けないキャプテンシルバー、取り残されたガンの存在意義などが印象に残りました。

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    2021年07月17日
  • ハイ・ライズ

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    マンションが内部崩壊していく感じは、なんかやたらと高いビルが好きな香港にはありそうなイメージで、中国人ならこうやるに違いない、この下等民族め!と思いきや白人も一皮むけば一緒だ、というか、そもそもモデルが香港だったりして。
    犬を食ったり、ていうのはまだ許せるけど、まぁ別に腹減ったらしょうがない、だけど、なんでうんこやらションベンを撒き散らすのか。しかも自分の家の周辺にすら。
    それさえなければ後は無問題。

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    2021年03月21日
  • ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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    遠回しな状況説明、誰のいつのセリフかわからなくなるシームレスな回想シーンは、登場人物の多さや当時の時代背景以上にわかりづらいが、大筋がまったく理解できないほどでもない。細かい理解はあきらめて読み進めるか、逆に人物の相関図などをメモしながら丁寧に読むのが吉かと。キャラクター、ストーリーともに、まさに人間ドラマとしてのスパイ物の古典の風格。

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    2021年02月28日
  • 歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕

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    失われたものへの郷愁、失われるものへの愛惜、人間存在というものの滑稽さへの優しい眼差し、それらを深い叙情で包み込んだ、ブラッドベリの幻想短編小説集。『明日の子供』『ニコラス・ニックルビーの友はわが友』などがお気に入り。

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    2020年10月05日
  • ジーキル博士とハイド氏

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    ネタバレ

    二面性を示す常套句としてよく目にするが、実際どんな話か知らなかった。読んでみるとやはり二面性の話である。
    人が死ぬミステリーの種明かし的なものが、変身薬を飲んで潜んでいた悪に身も心も侵食されていくというファンタジーだったのも意外と面白かった。博士の家の表と裏の戸口、どちらを使うかも二面性を表しており、それに気づくと物語そうそうで女児を踏みつけた男というのは博士であると気づけたはずだ。後になって気付いたため悔しくも、面白かった。

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    2020年09月30日
  • ハイ・ライズ

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    バラードはこれまで2作品しか読んだことがありません。扱うテーマは魅力的で本屋でもついつい手に取ってしまうのですが、どうもその回りくどい文体に忌避感を覚えてしまっているらしく、結局レジまでもっていかないことばかり。本書はたまたま古本屋で発見し、もともと興味のある作品であったので、ええいままよ、と購入。

    回りくどい表現は相変わらずでしたが、読みにくいほどではなく、結構すいすいと読み進めることができました。さて、その内容。最初の方は隣人同士のよくあるトラブル。それが苛烈になってきて…までは理解しうるのですが、その後、いつの間にやら狂気が支配してしまいます。狂気の階段を一段一段あがって、というのではなく、気付いたら狂気の霧が濃くなっていた、というそのシームレスさにびっくり。ただ、読み手までその狂気に囚われるかというと、そうではなく、異常すぎる様に途中から引いてしまうのが実態でしょう。隣人トラブルの延長線上の物語と捉えていたところ、予想もしない方向に話が展開したため、親近感が薄れ、気付けば頭のおかしな舞台を遠目で眺めている、といったところかと。

    本作は、バラードの作品の中で「テクノロジー三部作」に数えられるようで、科学技術の産物と人間の関係を追及している模様。そう考えると、最後まで狂気が去らない筋書は物語としてとても魅力的。最後の最後、もしかしたら、正常に戻るかも、と思わせつつ、狂気が更に周りを覆い始める描写には薄ら怖ささえ感じました。
    食べず嫌いせず他のバラード作品にも挑戦してみよう。

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    2020年08月06日