枡野浩一のレビュー一覧
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ネタバレ正直に言いましょう。ボクはあとがきを読むまで、タイトルに"い"を補完して読んでいました。お前だけじゃない。つまり著者が読者に同情するような意味を持たせていたのだけれど、実際には著者が自嘲する言葉だったのです。先入観というのは怖いものです。
この作品は短歌とページ下に描かれたパラパラ漫画の様な絵、そして短歌について書かれたエッセイで構成されています。はじめに本を開くと、やたらと行間が空いていてスカスカだなという印象を持ちます。しかし、読み始めるとその印象は覆されるでしょう。
普通の人生の中でも、心に残る出来事というのはたくさんあると思います。どんなに言葉を連ねても表し -
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意外に面白かった。
もっと嫌になるかと思ったからだ。
私は主人公よりもその妻に近いところにいる。
2人にとっての真実がどこにあるかはわからないから、ここでその是非を問うても意味はないだろう。
そもそも、人と人との関係において正しさは無力で、正しくても正しくなくても暮らせないものは暮らせない。そして、自分がどうしても子供を失いたくないと思えば、正しくないことだって私ならするなと思った。
ただ、著者はおそらくとても正直な人で、ここに書かれたことは彼の世界の真実なのだということは信じられる気がした。
書評という体裁を取っていることは、私には功を奏しているように思えた。ことの顛末についてそのま -
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ネタバレ我が家の鉄板ドラえもん。
今でも毎週録画している。
小二の息子どころか中一の娘まで、食事時になるとその録画を見ながら食事しようとするほど好きな模様。
自分も『ドラえもん』は好き。
のび太の度重なる浅はかさにはほとほと飽きれかえるのだが、変な方向に頭の回る道具の使い方だったり、弱々しさの芯にある優しさはもはやハードボイルドと行っても良いほどの生き様で、ドラえもんじゃあないけど、やっぱり放っては置けない嫌いになれない存在。
そんなのび太を中心とする、ひみつ道具の魅力、ドラえもんとの信頼関係、ジャイアン・スネ夫・しずかちゃんたちとの友情で溢れる世界観にリスペクトを寄せた短歌達。
現実世界の一場 -
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川入勝。運動ができず、勉強もできにあモテない高校男子。唯一の友達でゴツくて柔道部で、リビドーを無駄に持て余している宇佐田だけが友達である。ある日、クラスでも目立つ美人の波多野さんに自転車でぶつけられ、気になる存在になってしまったが、波多野さんからはどうも嫌われているようで、毎日が暗闇なのだ。
川入くんの遺書のノートという形で前編が描かれる、男子高校生の日常を描いた作品。一章一章は2~3ページと短く、ほとんどの日は何も起こらない。ただただ、モテなくて死にたいと思い続ける日々が綴られていく。
しかしそんな中、柔道部の宇佐田が作詞するという能力を披露。そしてそれがきっかけで疎遠になっていくのだっ -
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ネタバレ詩心の全くない私は、短歌も俳句も詩もほとんど解さない。よって当然だが啄木にも親しんでこなかった。
そんな私が、娘の「バイト先のカフェのオーナーが石川啄木のひ孫みたいだよ」の一言で、俄然興味を持って読んだのが本書。
どうやら、正しくはひ孫ではなく血縁関係があるみたいだけだったが・・
それにしても、本書を読んで驚いた。いや、驚いたなんてものではない。このゲスっぷりはただことではない。詳しくは書かないが、教科書的な芸術活動に励むも貧しさに負けて夭折した天才、みたいなイメージはガラガラと崩れる。ここまで徹底してゲスだと、アッパレと言いたくなる。
おそらく世の中と多くの人は啄木のホントの姿を知らな