あらすじ
ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!? しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった――。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。
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いやー、おもしろかった。本当に。
先日、枡野書店に行ったのです。
この枡野さんの代表作が数冊置いてあったのですよ。
手に取ったら、カバーにかわいいスタンプのような穴が開いているのです。「文庫本にこんな凝った装丁があるんだー」と感心していたら、店番のあららさんが、この穴は枡野さんご自身が五七五七七の形のスタンプで開けたものだと教えてくださいました。
私はもう、そのかわいさにノックアウトされました。
中身も、とてもおもしろいです。
伊賀君や克夫君の若さ。いわゆる甘酸っぱいやつ。
私には短歌を詠む知り合いがいないので、本当にこんな気持ちで短歌をやっている若者がいるのかと新鮮でした。おもしろいけど、苦しいんでしょうね。生みの苦しみ。
小説の中に多くの短歌が出てきて、それはいろんな人が詠まれたものを枡野さんがそのシーンに合わせて選ばれたものみたいだけど、どれもおもしろかったなー。当たり前だけれど、作者毎に特徴があり、おもしろい。笹伊藤冬井みたいに、好き嫌いもあるのだろうと思いました。
あれだけの数の歌を選ぶだけでも、ものすごい労力がかかったんじゃないかなと思いましたし、その分味わい深い一冊ですよ。
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モテないイケメンとモテるフツメンのメガネが短歌を軸に展開する物語。
シュールな笑いが散りばめられていてかなり笑えたし、面白かった。
ラストが自分の中で納得というか凄くしっくりきた。
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枡野さんの以外にもいろいろな短歌が紹介されて、短歌にとても興味が湧いてくる!ミラクルで奇跡みたいなミラクルで奇跡みたいな恋だったのに、など大好きです。そのほかにもたくさんあり、にわかに短歌作りたくなる、、けど、むずかしすぎて私には無理だった。むかし俳句の授業をとってたけど、そちらも下手だったのを思い出してしまった、、
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どーてーと吉祥寺の話。
こういう話って、男だから面白いのかな。
女子に薦めてもいいのかな?
どうしても、伊賀さんをかわいそうに思ってしまうのは、結婚というものをリアルに考える年齢になったからか・・・
無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分
階段をおりる自分をうしろから突き飛ばしたくなり立ちどまる
「複雑な気持ち」だなんてシンプルで陳腐でいいね 気持ちがいいね
「本好きを自慢する心はさもしい。人はただ、『必要』だから読んでしまうのではないか。威張るようなことではない。単に臆病で、それなしではいられなかったから、多くの本を読んでしまっただけだ」
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もの凄い本を読んでしまった。穂村弘もそうだが、歌人という人種は言語に対する感覚が違うのだろうか、散文を書かせてもやはり凄い。
次から次へと心臓が高鳴るような話ばかりが飛び出す序盤といい、この瞬間が永遠に続けばいいのにと思うくらい脆く儚い中盤といい、圧倒的なスピードで畳みかける収束といい、小説としての出来も素晴しいが、それよりもなお、間々に挟まれる短歌が凄い。短歌には、散文では到底書けないような心の奥底を、平然と詠めてしまう不思議な力がある。それが、心の奥底を描き切れない(読者に想像させるしかない)小説という形態と組み合わさって、登場人物の抉られた胸の奥底の、その傷をまた描き切っている。
登場する短歌はどれもいわゆる現代口語短歌で、文中にもあるのだけれど、あらためて俵万智が短歌の歴史に与えた影響の大きさ、短歌という形態の懐の深さを感じた。
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はっきりした結末のストーリーが好きなのに、これはこれで、いや、これが いいんだと思う。
解説短歌 宮藤官九郎 って感じの本でした。
いや良かった
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短歌に興味を持って、読み始めたのですが、
ライトノベルみたいにさくさく読めます。
すきなうたは、
なんだっていいから自信が持ちたくて毛糸洗いをアクロンでする
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ヘタなエロ小説みたいな展開だけど掲載歌はpopで分かりやすくて素晴らしいし章立てが珍しいくらい細かくて読みやすいし完全にフィクションなわけでもなく現実との交点が散りばめられてて面白かった
Posted by ブクログ
とある方がオススメしていたことが縁で読みました。面白かった!!短歌の取り入れ方というか、よかったです。歌人でいらっしゃるのは存じてたので、小説がこんなに面白いだなんてとびっくりしました。短歌は短歌だけで読むことが多いので、こういう登場人物が歌を詠む小説、また読んでみたいなあ。
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カジュアルな言葉で自分のほろ苦い青春時代の感情を思いおこされる感じ。
対極にある二人の章を交互に話が展開してくことで見えなかった側面がわかるのが面白い。
日々の出来事、感情や気付きを短歌にしてみようかと触発された。
読み始めてタイトルのショートソングが短歌につながってることに気づいてた。
Posted by ブクログ
著者は歌人で、「ショートソング」とは短歌。主人公はチェリーボーイとプレイボーイ。前者の両親は日本人とカナダ人で、どハーフ顔のイケメンであるにもかかわらず、英語はまったくしゃべれません。シャイな彼はカノジョなく、2つ上の憧れの先輩から声をかけられていそいそ出かけたところ、それは先輩の所属する歌会。後者はその歌会のメンバーである歌人でモテ男。そんなふたりがかわりばんこに語る構成。下ネタ満載ながらやらしさなし、青春を感じながら面白く読みました。いっぱい登場する短歌も笑えます。「馬鹿中の馬鹿に向かって馬鹿馬鹿と怒った俺は馬鹿以下の馬鹿」。
Posted by ブクログ
知り合いに言われて初めて手に取った短歌がメインで進むお話
感想は素晴らしいの一言でふとした時にまた手に取りたい
短歌から想像できれば面白いできないならば駄作に変わる
あくまでも短歌がメインのストーリー知って読まねば期待外れに
本書にて掲載された首の中で私の好みをいくつか示そう
・焼きたてのパンを5月の日だまりの中で食べてるようなほほえみ
・かわききるくちのなかまでしみとおるゆうきさえないのがプレゼント
・さっきからずっと出ている虹だからまだ見てるのは私だけかも
・遠くまで行く必要はなくなった 遠くに行ける そんな気がした
・靴音で笑いあえたらなって 蹴る くつくつくつ石畳みどきどき
凄くない?どんな感性していたらこんなセンスを剥き出せるのか
本を閉じ想いに耽った午前2時久方ぶりの幸せな味
Posted by ブクログ
ショートソング=短歌
読んでると 吉祥寺の街 目に浮かぶ
とりあえず次 あのカフェ行こう
短歌のよしあしは正直わからないけど
青春ぽくておもしろい本だった
Posted by ブクログ
ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!?しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった―。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。(BOOKデータベース)
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ハーフのイケメンなのに今ひとつ冴えないチェリーボーイと女性を取っ替え引っ換えのメガネの雰囲気イケメン、対象的な二人の主人公が短歌にその時々の心象風景を刻みつけながら織りなすちょっと変わった青春劇場。
元が携帯サイトの連載なのもあってか、一編一編が短いので読みやすく、堅苦しく感じる短歌の世界を身近に感じられたり、歌会の裏側を少しだけ覗けてほうほうと思わせてくれたり。
舞台になっている吉祥寺の街を庭のように知っていればもっと面白いのかな。
交互に入れ替わる視点で織り成される物語はユニークで、引用される短歌と共にサクサク楽しく読めたのですがエンディングがえっ、ここで!?と呆気なく打ち切りの最終回の如く終わってしまうのが残念。
Posted by ブクログ
いっぺー君に勧めてもらって手に取りました。
そういやひーちゃんも★5をつけていたな。
ハーフで美男子だが、童貞の大学生:国友くんと
天才歌人で女たらしの伊賀さんが出会い
互いに刺激しあいながら短歌を作る物語。
2人の視点が交互に入れ替わり、物語は進んでいくのですが
それぞれの視点が長くて4ページくらいなので
非常にテンポがよく進みます。
また、作者がそもそも歌人で言葉を端的に扱えるため、
言葉の解釈に迷わない、読みやすい作品でした。
面白かった。
軽く読めて、短歌の面白さをかじるにはちょうど良い。
ストーリーだけでなく、出てくる素敵な短歌も味わえて2倍おいしいです。
素敵な短歌を知ることができて感謝。
伊賀さんて枡野さんだよね。たぶん外れていない。
伊賀さんのリアリティ感が国友と比べ物にならないよ。笑
短歌、国語の時間に習うけれど、あれってどうなのよ。
紹介だけなら良いのに、それをテストに結びつけてしまうから、
ほかの解釈を許さない構造にはめ込んでいる。
短歌の面白さは、とりあえず私には授業では伝わらなかったな。
解釈の自由さとか、自由なのに分かってしまうところとかが
面白いのに、それを取り上げていると思う。
しかもそれらが感じられにくい短歌こそ取り上げられるという。笑
以下、私のお気に入り。
無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分(枡野浩一)
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった(柳澤真実)
ひらかないほうのとびらにもたれれば僕らはいつでも移動の途中(宇都宮敦)
おわかれの言葉を持って本を繰る繰る繰る君は来ないんだろう(木村比呂)
ひとりでは育てきれない恋なのでちゃんと自分で堕ろすつもりです(平賀谷友里)
だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし(宇都宮敦)
Posted by ブクログ
私が好きなのは
「やんなくちゃなんないときは やんなくちゃ
なんないことを さあやんなくちゃ」
「遠くまで行く必要は なくなった
遠くに行ける そんな気がした」
「こんなにもふざけた きょうがある以上
どんなあすでも ありうるだろう」
「これからもきっといろいろ あるけれど
いつかなつかしいんなら愛だ」
です。著者も短歌読む人なんだねー。
Posted by ブクログ
タイトルを直訳すると、短い歌。ということで、短歌を愛する若者たちの青春物語です。ちなみに英語で「短歌」は、そのまま「tanka」でいいらしい。
2005年から2006年にかけて、ライブドアと集英社の携帯サイトで連載されていたケータイ小説を改題、加筆修正した文庫オリジナル作品です。著者ご自身が歌人でいらっしゃいます。
本作の舞台は、吉祥寺。ハーフの内気なイケメン、19歳の国友克夫(CHERRY BOY)と、知り合った女性にすぐ手をつけちゃう天才歌人、25歳の伊賀寛介(PLAYBOY)、この2人の視点で交互に話が進んでいきます。
ひと区切りが3ページと短く、すぐ視点が切り替わってしまうため、以前読み始めたときにはなかなか話に入り込めず、途中で読むのをやめてしまったのですが、今回改めて読んでみたら問題なく楽しめました。
ただケータイ小説のせいなのか、いろいろ中途半端でもったいないような気も。せっかく個性豊かでおもしろい人たちがたくさん登場するのに、克夫や伊賀の横をさっと通り過ぎて行ってしまうようだし、ストーリーもなんだか尻切れトンボで、あれはどうなった、あの人はどうした、と気になることがけっこうある。2人の視点で語られる限界という事情もあるとは思うのですが、もうちょっと追いかけてほしかったかなぁ。
でも短歌の魅力は伝わってきました。〈苦しい気持ちは、五七五七七のリズムにのせると、とたんに他人事みたいになって、ほんの少し心が軽くなる〉という克夫くんの一文がすべてを表していると思いました。なんてことのない出来事も、短歌に表したとたんにちょっと特別になるというか、その瞬間が切り取られて、かけがえのない思い出になったような切なさを帯びます。良いですね、短歌。
Posted by ブクログ
タイトルの「ショートソング」が短歌のことだと気づいたのは本を読み進めていた途中であり、あまり短歌に関する本だとは思わずこの本を手に取った。
2人の主人公の視点でストーリーが構成されていて、少ない文字量で視点がテンポよく切り替わるので読みやすかった。
吉祥寺のカフェの名前がたくさん出てきて、他の方の感想を見ていると実在する店なのかなと思いつつも地方の私には縁のない話なのであまり気にならなかった。
色々な登場人物があったと思うが、一度登場したきりでその後出てこないまま、終わってしまった人もいたと思うので登場させた意味がわからないままで読後感はもやもやした感じでした。
短歌を愛でる感性がもう少しあれば楽しめたのかなと思いました。
Posted by ブクログ
内気なハーフの美男子大学生とプレイボーイな天才歌人の目線で短く交互に語られる吉祥寺を舞台にした青春とそれを切り取り生まれる短歌。内心と実際という違いはあれど両者の奔放な男子ぷりがカラッとしていっそ小気味良い。著者を含む実在歌人作の沢山の作中短歌は短い中に感情や情報が凝縮されて現代らしい身近さも魅力。
Posted by ブクログ
たくさんの短歌で彩られる様々な人の人生。
その短歌がおもしろい。
容姿端麗なのにセンスもコミュニケーション能力も自信も欠けるカツオ。
そこそこの容姿だけど人を惹きつける魅力あふれる伊賀。
伊賀がカツオに惹かれる気持ちはよく分かった。
カツオの描き方がとても魅力的で、彼の短歌もとてもいい。
作家の枡野さんは自分は伊賀とは違うとおっしゃってたけど、何となくこんな風に魅力ある方なんだろうなと想像できた。
この作品読んで、前に読んだせきしろさんと西加奈子さんの短歌の本『ダイオウイカは知らないでしょう』を思い出した。
Posted by ブクログ
私はこういう小説もありかな〜チェリーボーイとプレイボーイ2人の立場から話が進む、面白可笑しい痛快ラブストーリー
少し内容が薄い感は否めなかったけれど、短歌の世界を垣間見ることができておもしろいと感じた。伊賀さん憎めない笑こういう人いるなぁ〜って思ってしまった。そして、吉祥寺のカフェに行きたくなっちゃった!
傷つけた
そんなことさえ
気づかない
POPな男は
まじたち悪い
Posted by ブクログ
短歌を交えて進んでいく小説。
最近短歌に興味が出てきて読んでみました。
物語の中に出てくる短歌は、この物語のために作られたのではないようですが、
自然に盛り込まれていて楽しめました。
物語の中に短歌が出てくるのって、現代の小説だと珍しい形式な感じがしますが、
源氏物語とか古典にはそういうスタイルがあるので、その手法を現代小説に持ち込んだって感じなんですかね。
短歌がそれぞれのキャラクターらしくて、いい味を出していると思います。
手法も含めて面白い小説でした!
Posted by ブクログ
プレイボーイ・伊賀とチェリーボーイ・国友。2人の章が交互に見開き1ページ半ずつで同時進行するので、隙間時間読書に持ってこいだった。
男の子って、女子以上にドーテーか否かで決定的に何かが変わるのかなぁ〜なんてぼんやり思いつつ、バンバン出てくる下ネタを軽く受け流し、短歌界の諸々を覗き見ながら、五七五七七の世界の奥深さを知る。
短歌って、中学の国語の時間に作らされて、自分の才能のなさを確認させられたから、苦手意識があったんだけども…。
この本でいろんな歌人の歌を引用してくれているので、一気に読んでみれば、短い中にも個性出てるし、おもしろい言葉の紡ぎ方もあるし、同じ歌でも自分の経験が多分に反映されるらしく、印象がそれぞれ異なるしで、まぁつまり、こんなに自由度が高くて味わい深いものだったのかぁ、とイメージを改めました。
終盤の伊賀に対する仕打ちは、世の女性への償い…じゃないかと邪推w
余談にもほどがあるけれども、国友のイメージがどーしても俳優・千葉雄大の顔になってまう〜。彼はハーフじゃないのに、なんかすごい国友像にピッタリだった(個人的に)。