あらすじ
ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!? しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった――。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。
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Posted by ブクログ
もの凄い本を読んでしまった。穂村弘もそうだが、歌人という人種は言語に対する感覚が違うのだろうか、散文を書かせてもやはり凄い。
次から次へと心臓が高鳴るような話ばかりが飛び出す序盤といい、この瞬間が永遠に続けばいいのにと思うくらい脆く儚い中盤といい、圧倒的なスピードで畳みかける収束といい、小説としての出来も素晴しいが、それよりもなお、間々に挟まれる短歌が凄い。短歌には、散文では到底書けないような心の奥底を、平然と詠めてしまう不思議な力がある。それが、心の奥底を描き切れない(読者に想像させるしかない)小説という形態と組み合わさって、登場人物の抉られた胸の奥底の、その傷をまた描き切っている。
登場する短歌はどれもいわゆる現代口語短歌で、文中にもあるのだけれど、あらためて俵万智が短歌の歴史に与えた影響の大きさ、短歌という形態の懐の深さを感じた。
Posted by ブクログ
短歌に興味を持って、読み始めたのですが、
ライトノベルみたいにさくさく読めます。
すきなうたは、
なんだっていいから自信が持ちたくて毛糸洗いをアクロンでする
Posted by ブクログ
いっぺー君に勧めてもらって手に取りました。
そういやひーちゃんも★5をつけていたな。
ハーフで美男子だが、童貞の大学生:国友くんと
天才歌人で女たらしの伊賀さんが出会い
互いに刺激しあいながら短歌を作る物語。
2人の視点が交互に入れ替わり、物語は進んでいくのですが
それぞれの視点が長くて4ページくらいなので
非常にテンポがよく進みます。
また、作者がそもそも歌人で言葉を端的に扱えるため、
言葉の解釈に迷わない、読みやすい作品でした。
面白かった。
軽く読めて、短歌の面白さをかじるにはちょうど良い。
ストーリーだけでなく、出てくる素敵な短歌も味わえて2倍おいしいです。
素敵な短歌を知ることができて感謝。
伊賀さんて枡野さんだよね。たぶん外れていない。
伊賀さんのリアリティ感が国友と比べ物にならないよ。笑
短歌、国語の時間に習うけれど、あれってどうなのよ。
紹介だけなら良いのに、それをテストに結びつけてしまうから、
ほかの解釈を許さない構造にはめ込んでいる。
短歌の面白さは、とりあえず私には授業では伝わらなかったな。
解釈の自由さとか、自由なのに分かってしまうところとかが
面白いのに、それを取り上げていると思う。
しかもそれらが感じられにくい短歌こそ取り上げられるという。笑
以下、私のお気に入り。
無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分(枡野浩一)
遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった(柳澤真実)
ひらかないほうのとびらにもたれれば僕らはいつでも移動の途中(宇都宮敦)
おわかれの言葉を持って本を繰る繰る繰る君は来ないんだろう(木村比呂)
ひとりでは育てきれない恋なのでちゃんと自分で堕ろすつもりです(平賀谷友里)
だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし(宇都宮敦)