枡野浩一のレビュー一覧
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ドラえもんをテーマにした歌集です。
とはいえ、ドラえもんという作品に関する歌ばかりを集めた作品ではありません。
詠んだ人の感情や、ある一瞬の情景をドラえもんと結びつけている作品も多く、「短歌ってどう詠めばいいの?よくわからない…」という方にも読みやすい本となっています。
というか、自分がそうです。
これまで短歌に対して「難しそう」と距離を置いていた自分でも、「ドラえもん」というキャラクターを経由することで、その短歌が何を表現しているのかが凄く分かりやすくなっています。
短歌を読んでみたいな、と少しでも考えている方にはとてもお薦めの本です。 -
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ひろさんに教えていただいた本です。
ひろさん素敵な本をありがとうございます!
私、ドラえもんを見くびっていました。
ドラえもんで、凄い相聞歌が作れるのですね。
ドラえもんだからじゃなく、歌はどこにでも転がっているということかもしれません。
素材は何であれ、優れた歌は詠めるのですね。
この本には穂村弘さんが本名の辻一郎で参加していて何首か歌が載っているのも楽しかったです。
穂村さんだけやはり他の方とカラーが違う気がしました。
○青空の入道雲はそれはもう配色としてドラえもんです(辻一郎)
○あの頃はどこでもドアがなくたってどこでも行けるぼくだったのに(みうらしんじ)
○自転車で君を家 -
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ネタバレ短歌の先生が初めて買った歌集は枡野浩一さんの本だったとのこと。
角川短歌賞を最高得点だったのに受賞できなかったことで結社が中心となっている短歌界に対する屈折した想いがあるらしい。YouTubeでもそのあたりを語っている。
こちらはみんながご存じドラえもんをテーマにした短歌。かんたん短歌blogか雑誌『ぼく、ドラえもん』に投稿された約3600首を掲載。
冒頭に1ページずつイラストを添えて112首の紹介、ドラえもん短歌の秘密を枡野さんがQ&A方式で解説されている。
青空の入道雲はそれはもう配色としてドラえもんです
(うわあ、青空を眺めたらドラえもん!空を見るたび思いだしちゃうね)
いつのまに私 -
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いやー、おもしろかった。本当に。
先日、枡野書店に行ったのです。
この枡野さんの代表作が数冊置いてあったのですよ。
手に取ったら、カバーにかわいいスタンプのような穴が開いているのです。「文庫本にこんな凝った装丁があるんだー」と感心していたら、店番のあららさんが、この穴は枡野さんご自身が五七五七七の形のスタンプで開けたものだと教えてくださいました。
私はもう、そのかわいさにノックアウトされました。
中身も、とてもおもしろいです。
伊賀君や克夫君の若さ。いわゆる甘酸っぱいやつ。
私には短歌を詠む知り合いがいないので、本当にこんな気持ちで短歌をやっている若者がいるのかと新鮮でした。おもしろいけど -
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どーてーと吉祥寺の話。
こういう話って、男だから面白いのかな。
女子に薦めてもいいのかな?
どうしても、伊賀さんをかわいそうに思ってしまうのは、結婚というものをリアルに考える年齢になったからか・・・
無理してる自分の無理も自分だと思う自分も無理する自分
階段をおりる自分をうしろから突き飛ばしたくなり立ちどまる
「複雑な気持ち」だなんてシンプルで陳腐でいいね 気持ちがいいね
「本好きを自慢する心はさもしい。人はただ、『必要』だから読んでしまうのではないか。威張るようなことではない。単に臆病で、それなしではいられなかったから、多くの本を読んでしまっただけだ」 -
Posted by ブクログ
ネタバレもの凄い本を読んでしまった。穂村弘もそうだが、歌人という人種は言語に対する感覚が違うのだろうか、散文を書かせてもやはり凄い。
次から次へと心臓が高鳴るような話ばかりが飛び出す序盤といい、この瞬間が永遠に続けばいいのにと思うくらい脆く儚い中盤といい、圧倒的なスピードで畳みかける収束といい、小説としての出来も素晴しいが、それよりもなお、間々に挟まれる短歌が凄い。短歌には、散文では到底書けないような心の奥底を、平然と詠めてしまう不思議な力がある。それが、心の奥底を描き切れない(読者に想像させるしかない)小説という形態と組み合わさって、登場人物の抉られた胸の奥底の、その傷をまた描き切っている。
登