柳田邦男のレビュー一覧
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表紙の裏に書かれています。「著者の言葉」
「人間、死んだら終わり」といわれますが、私はそうは思わない。
なぜなら、人の精神性のいのちを映す最後の生き方や言葉は、遺された人の心に生き続け、その人生を膨らませていくからです。
このことを私は「死後生」と呼んでいます。
ここで、般若心経入門―――276文字が語る人生の知恵 松原泰道
147から148頁の一部を紹介
「色不異空」
仏教思想の「空」は、零を意味するシユーニャから派生した抽象名詞「シューニャーター」の訳語で、単に無いとか存在しないとかいう意味ではありまさえん。
むしろ、あるものが目に見え、存在する事実を認めたうえで、さらに考えを発展 -
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2005年に起こったJR福知山線の脱線事故。著者の柳田邦男さんは、この事故の事故調査にオブザーバーとして関わると共に、遺族、重傷を負った被害者や家族、医療従事者、専門家等に取材を重ねた。それが詳細に書かれています。
脱線から転覆までわずか10秒。その間に何が起こったのか。遺族や、命は助かったけれども、重傷を負った被害者のその後の苦悩。それらが、読む者にも悲しみや苦しさを感じさせる。
命は助かったけれども、障害を負い、何度も手術を受けなければならなくなった人、心に深い傷を負い、「どうして私が助かってしまったのだろう」と苦しむ人、脳に障害を負ってしまった人。どれだけ多くの人々が事故の後遺症に、 -
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単行本2冊分ほどありそうな分厚さ。
ひたすら読み進めながら事故の凄惨さを知る。
1〜2章では体験談、その後、細かな描写が描かれている。
5〜6章の企業とのやりとりには熱量まで感じさせられる、忍耐のあるやりとり。
20年経っても風化させない、思い出すことの大切さを学んだ
生きている限り、私の娘への思いは変わることなく、悲しみは消えることはないでしょう。しかし、娘の死の悲しみによって、私が人生を見失うことになれば、娘の生きてきた人生も意味のないものとして、娘の存在を否定することになってしまうのではないかと思います。それでは、私は娘を二度亡くしてしまうことになります。娘のいのちは、私の中で生き続 -
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危機管理とは何かを考え続けている。本書で著者が指摘している事は、一つ一つ胸に刺さる。ただ、どうしてこのような失敗を繰り返すのか?という疑問は、結局一つの解はなく、巨大システムの責任を負う者が過去の事例やリスクの大きさに対して謙虚に受け止めて対処する心構えを持ち、行動するか、にかかっている。肝に銘じる。
著者の作品は他も追いかけておきたい。
気になった箇所を書き留める:
- では、線引きなどはしないで、発生確率が「極めてまれ」な事象であっても、すべて防災対策の対象に入れるべきなのかというと、そうではない。事業においてコストなどの現実的な制約は避けられない。問題は、発生確率の大小ではなく、その災 -
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JR西日本の福知山線で脱線事故が発生して今年で20年になります。多くの犠牲者、怪我人が発生し、JR西日本の懲罰的な日勤教育などが運転手を追い詰めていたことなどが明らかにされました。
本書前半部では事故に遭いながら命を取り留めた人やその家族からの証言により事故列車に乗車することになった経緯や、救出された経緯を再現、亡くなった方の遺族からの証言によって遺体の身元確認に至る経緯などを辿っています。
そして次に描かれるのは、命を取り留めた人が入院中や、社会復帰に向けての日々に直面した障害や葛藤に触れています。生き残った人は、横倒しになった車内で多数の乗客が折り重なった状況で、自分自身よりも下にいて命 -
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ちょっとした好奇心から読み始めたんだけど、望外の収穫が得られる良い本だった。
20年以上前の作品だけど人間の根源に関わる普遍的で全ての人が無関係ではいられないテーマで、まったく古さを感じさせない。それどころか、医学が発達するほどジレンマに陥る脳死という問題。
作者の息子さんの人生を追体験するかのような前半と、脳死論の二部構成。
次男の遺した文章を織り交ぜる内容でリアルな人物像が浮かび上がるが、一歩引いた視点でまとめられている。現実には父親として想像を絶する苦悩があっただろうに、ここまで冷静に綴られていることに感服した。それでも我が子への愛情がにじみ出ているのが胸を打つ。同時に、作家というのは因 -
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著者が特定の雑誌に載せたエッセイ風の小論を集めたものに書き下ろしの文章を加えたもの。失敗について、責任者探しをするだけではなく、今後同様の失敗が繰り返されないようにするための調査・分析をすべきである、という主張を軸にしている。考え方のベースにほぼ100%賛同できる。この本は20世紀末に書かれたものだが、2024年である現在に至っても日本の状況は残念ながら大きくは変わっておらず、今だに「正直者が馬鹿をみる」世界のままである。官僚や悪徳経営者たちは今後も蔓延るだろうが、それを変えてくれる猛者の登場を待つだけでなく我々一人ひとりが、「それでいい」という考え方を捨て、新しい価値観に切り替えていかなくて
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広島の気象台から見た、原爆と枕崎台風のノンフィクション。
枕崎台風によって広島では2,000人もの方が亡くなられた。通常、台風によってこれだけ多くの方が亡くなることはない。なのになぜ、あまり注目されていないのか。
巨大な災害の後に起こった大災害。
それがどのような災害であったのか。なぜここまで拡大してしまったのか。実際、どんなことが起きていたのか。
そこにいた方たちの姿が、息遣いが、伝わってくるように感じ、震えました。
気象台の方々の、技術者、研究者としてのご尽力を知り、頭が下がる思いでした。
読み終えた後もずっと、頭と胸に感覚が残っています。
本書を読み、災害は、その規模の大きさゆえに二