柳田邦男のレビュー一覧
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ノンフィクション作家として、航空機事故、医療事故、災害、戦争などのドキュメントを多数発表している柳田邦男氏が、1993年に25歳にして精神疾患から自殺を図り、脳死状態で11日間を共にした次男・洋二郎氏を追悼するために著した作品。1994年に文藝春秋に掲載されたものに加筆、再構成し、更に別途発表した脳死・臓器移植論を加えて、1995年に出版、1999年に文庫化された。1995年に菊池寛賞受賞。
内容は、洋二郎氏が自殺を図った日から、脳死を経て、心肺停止状態になるまでの11日間を、洋二郎氏が精神を病み始めた中学時代以降の追想、及び洋二郎氏の残した日記や文章を断章として加えて、克明に綴ったものである -
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世の中の全ての品々に「絶対に安全」というものは存在せず、必ず何らかの「危険性」を孕んでいると私は考えている。例えば、こんにゃく菓子をのどに詰まらせたり、小麦製品でアレルギーを発症したりと、意外なもので重大な事故を起こすこともある。原子力もその例に違わず、「絶対的な安全性」はあり得ない。
私は電力会社や政府の言う「安全神話」という言葉は、関係者の不断の努力が有り、僅かなリスクの芽も摘みとって達成されていると考えていた。しかし、東日本大震災で、原子力発電で言われていた「安全神話」と原子力関係者、電力会社、(原子力安全・保安院などを含めた)政府への「信頼」は脆くも崩れ去った。
東日本大震災で発生した -
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河合さんの発言が示唆的だった。松居さん、柳田さんはどこかですでに聞いている話で、新鮮みに欠けた。
ただ、松居さんがバーレイの『わすれられないおくりもの』は危険と発言されていることは、そういう見方もあるか、メッセージが強すぎる絵本のイデオロギー性の危険に気づかされた。あくまで与え手の問題が大きいと思うが。
・絵本というのは実に不思議なものである。0歳から百歳までが楽しめる。小さい、あるいは薄い本でも、そこに込められている内容は極めて広く深い。一度目にすると、それがいつまでもいつまでも残っていたり、ふとしたはずみに思い出されて、気持ちが揺さぶられる。それに、文化の異なるところでも、抵抗なく受け -
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東日本大震災という、大きな災害はもちろん、
気象による災害も多く発生している昨今。
南海トラフもいつかやってくるのでしょう。
そのとき、自分は子ども達とどうかかわるのだろう。
学校は地域のなかでどのような役割を果たすのだろう。
子どもだけでなくもちろん大人も、
生活が激変するストレスを抱えて、どう毎日を過ごすのだろう。
どう立ち直るのだろう。
この本を読んで、子どもが「津波ごっこ」のような災害ごっこをするのは、
「ごっこ遊び」という、子どもがコントロールできる遊びの中で、災害をコントロールし、
乗り越えようとしている、ということを知ることができました。
そんな遊びをしているのを見たら、おぞま -
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ネタバレNHKの「100年インタビュー」という番組での言葉をまとめた一冊だそうです。なので非常に読みやすく、また字も大きく、ポイントとなる言葉はさらに強調されているのでさくっと読むことができてしまいます。
人生の支え、特に悲しみや孤独を感じたときの支えになってくれそうな言葉がいくつも出てきます。
「人間は物語ることによって、生きる意味を見出せる」
「あるいは人間が生きている意味は物語らないとわからない」
「悩み、悲しみ、つらさは全部、自分が生きる糧となる」などなど。
自己肯定感を持つということの大切さも書かれています。
それからヒトデの例え話に感心しました。
これはボランティアをする上での考え方に -
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これまで何度も日本を襲ってきた自然災害。
その中で、日本人がどれだけ学び対策を考えてきたのか。
自然災害で大きな被害が出るたびに、これまでの経験になにも学んできていないのではないのかと思わされる。
安全対策と経済性の間で、経済性が優先され、そのことによって大きな被害が生まれていくのだとしたら、そして、その責任逃れのために、「想定外」という言葉が使われるとしたのだったら、すごく悔しい。
日本は、多くの自然災害にあい、少しずつは進歩している。そのことはこの本を読んでいても感じる。
でも、まだ不十分。
今回の災害でより大きな進歩があることを望む -
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私にも懐かしい本が、柳田氏にも!、と登場することは嬉しい。約50年を経てどう受け止め方が変わったかは、私自身も興味がある。著者もその経験をしている。「風立ちぬ(堀辰雄)」「測量船(三好達治)」「あすなろ物語(井上靖)」「トニオ・クレエゲル」「青春彷徨(ヘッセ)」「異邦人」「千曲川のスケッチ(島崎藤村)」「野火(大岡昇平)」「賢者の贈りもの(オーヘンリー)」など。一方で知らなかった人尾崎喜八の「山の絵本」は新発見。童心に帰るという意味でぜひ読んでみたい。シューマンの「詩人の恋」の「限りなく美しい5月の月に」を何度も口ずさむ場面が出てくるとのこと!文章も美しい。太宰治の「ダス・ゲマイネ」はドイツ語
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ネタバレ柳田さんのご子息が自殺を図り、脳死状態に陥った。家族の11日間の体験と苦悩、そして脳死が人の死と定義するか、医療と家族の意識の違いも書かれています。
脳死と臓器移植についての話も興味深かった。
タイトルの「犠牲」とは映画のタイトルと内容に関わってくるが、世界が平和で誰かが幸せであるためには、何かが、あるいは誰かが犠牲になっているのだと言う話も出てくる。
精神患者の多くが、人よりも繊細で優しく感じやすい特徴を持っている。
それ故の苦悩、それゆえの自己犠牲。理解できない人もいるかもしれないが、自分の存在理由や意義を考え過ぎてしまうと生きるのがとてもつらくなるのだ。
作者は作家ゆえ何が真実か知ろうと