猪瀬直樹のレビュー一覧
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対米戦争は「日本陸軍=東條英機の暴挙」海軍と国民は犠牲者、が刷込まれた固定観念
教育の効果は大きく恐ろしい
本書は猪瀬直樹氏が「事実」を整理・突きつけ、日本国の責任を告発した歴史に残るもの
歴史は意思決定の積み重ねが生んだ「必然」の記録
責任を問われるべきは、一つ一つの意思決定なのだ
歴史を学ぶことの必要性と意義がそこにある
「総力戦研究所」 現代に知られていないが日本国が機能していた証左
言葉では総力戦といっても、戦争の根本概念が変わったので、戦略・組織体制・人事全てが変わらなければならないはず
「パラダイムシフト」
過去の成功体験・現在の担当者の自己保身などから組織は現状肯定
強力なトッ -
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2020/08/21 猪瀬直樹 「公」
日本国の課題は「国家中枢の欠落」という根本的欠陥
日本国という組織は様々な「優秀な官僚組織」によって支えられ、運営されている。
それは個々の組織の利益追求=部分最適に終始し、日本国全体の利益はおざなりにされる=全体最適の放棄
特に「負の配分」を伴う「新戦略」には「補填」が不可欠(田中角栄)
しかし補填の予算手当が出来ない人口減少時代は、「構造改革」「戦略転換」は進まず、「国の着実な劣化」が進むだけ
それが平成の失われた30年間の本質
根本原因は日本の優秀な官僚組織体制にあるというのが猪瀬直樹氏の一貫した見立て
戦前は日本の軍部が「軍事予算」により日本国 -
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ネタバレ落合氏のドラスティックな視点はやはり面白い。
これからの日本に関する大事な論点を提示してくれている良著。
ドラえもんから日本の文化を分析しているのがおもしろい。今ならなんだろうか、YouTubeネットフリックス かと考えが広がる。
メモ
・手を動かせ、モノを作れ。批評家になるな。ポジションを取った後に批評しろ。
・東京と地方はまったく違う国になっていて、それは今後30年さらに加速する。
・プラットフォーム化したテクノロジーは分断を促すというより、都市と地方を結んでいる最大の共通項になっている。
・インフラを適材適所に組み替えていくということ
・日本は3つのブロックに分かれ、それぞれ別の課題を -
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猪瀬、三浦両氏による対談。都知事が小池氏となり、トランプ大統領誕生半年後に出された本で、東京オリンピック誘致や森友学園問題、稲田防衛大臣時代の日報問題にも触れられている。猪瀬氏は、明治以降の歴史や全共闘に参加した体験を基に話されていることが興味深かったし、三浦氏は、政軍関係や憲法問題など自らの研究テーマや当時のテレビ出演、セミナー、勉強会での話題や母親としての視点からの意見が印象的であった。社会は国民国家が中心的アクターであって、健全なナショナリズムの必要性と、現在の状況を的確に読み解いていくリアリズム的な基盤を持つことの重要性をわかりやすく説明しており、参考となった。猪瀬氏の「まえがき」と三
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「社会保障制度」は日本国最大の国家課題であるが、総予算150兆円という化け物になった巨体を制御できるものはいない。所管する厚生労働省も、ましてや政治家も小手先の「調整的改善」に終始するだけである。それは戦前の「軍事費」にも似て、国の破綻まで手をつけられないことが危惧される。
本書は「年金・医療・介護」の三位一体から「年金」を外し、「医療・介護産業論」という新たな視点で巨大な国家課題に取り組もうとするものである。産業論なので「効率性」「合理性」を基準に論じることができる。
医師・看護師・介護士・薬剤師といった「専門家」の賛意は得られないが、国家の存続を優先する考え方だと思う。これも例えてみると -
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【平成という息子は、昭和という遺産を食いつぶしているようでいて、新しい未来への芽吹きを、デフレの風雪のなかで準備してきたのではないかと思う】(文中より引用)
約30年にわたる平成という時代を、時々の重大事件を参照しながら紐解いていく作品。著者は、作家の猪瀬直樹とジャーナリストの田原総一郎。
ここ30年の間に何が起きたかを整理する上でも参考になりますし、ところどころに挟み込まれる自身のエピソードがとても興味深い。著者のお二人がどちらも間近で平成の出来事や変化を目の当たりにしているだけあり、当時の空気までが伝わってくるかのような話が多かったです。
分量は多くないですが内容は濃い☆5つ -
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ネタバレお二人の共著というかたちですが、落合さんと猪瀬さんが対談ではなく、各々の語りで出たキーワードや話の流れを受けて語る、というスタイルはさながら交換日記のようで読んでいて面白い形式でした。
落合さんの大学職員・経営者・テクノロジーの専門家・一児の父としての目線と未来志向な語り口、猪瀬さんの作家・元都知事という目線とたびたび著作を引用した重厚な語り口が交互にやってきて非常に刺激的でした。
各章では次の内容が語られます。
第1章で、地方と東京、日本の人口減少とテクノロジーの積極的活用の必要性
第2章で、日本人の過去と現在の心象風景、そして未来の心象風景を表現する絶好の機会としての東京オリンピック -
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ネタバレやはり頭のいい人の対談は面白い。そしてメディア慣れしている人たちだから、面白い対談をしてくれる。歴史おもろー
二宮金次郎の話が多かったけど、勉強になることが書かれていた。「譲」の精神は大事だ。
経済をたらいの水だと喩えて、たらいの水を自分のほうへかき集めても、すぐに逆方向に逃げるように遠ざかって行ってしまう。でも、たらいの水を外に押し出せば、今度は自分のほうに波となって帰ってくる。お金の流れをこのように例えるの、非常に良いなぁと思った。
あと、基本的に江戸時代のステレオタイプなイメージを払しょくするような話が色々出てきて興味深かった。貧しい農民と裕福な武士という固定観念を払しょく -
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天皇制とは合理主義に覆われたかに見える近代日本にあって、その中心に鎮座するある種の「不合理」である。本書はその「不合理」にあるいは吸い寄せられ、あるいは翻弄された人々の物語を鮮やかな筆致で描き出していく。
今上天皇が譲位(生前退位)の意向を示され、その具体的な日程なども報道されるなかで、本書は(初出は30年以上前だが)時事的な関心に適うものと言える。例えば、「不合理」の一側面として「元号」というものがある。日本は今や元号を有する唯一の国家とされるが、思えばこの元号というものは不思議なものである。21世紀にもなってそんなものが必要なのかと問われれば言葉に窮してしまうだろうし、実際ネット上では、 -
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SECOMや綜合警備保障のガードマンさんって、いつしかすっかり頼もしくなった。制服や装備が洗練され、警備時の振舞いからは警官に劣らぬ鍛錬が知れる。今では機械警備もすっかりと定着したけど、小さな事業所でさえ自前でやっていた守衛や宿直業務をアウトソーシングする感覚は古いようで新しい。ATMの管理はALSOKのお家芸だそうで、確かにあまたあるATMの中に券種ごとの紙幣を過不足なく補充するのは容易ではないだろう。民間警備という新事業が生まれて半世紀、創業者の先見と苦労に敬礼。『東京警備指令ザ・ガードマン』は懐かしく、音楽は口ずさめるけど、話の内容は覚えてないな。
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のちにセコム い改称する日本警備保障は、東京オリンピックの選手村警備から始まった。この警備を依頼したのが五輪組織委員会事務次長の村井順で、この人は元内務官僚で初代内閣官房調査室室長。そして五輪の翌年に綜合警備保障を作る。
綜合警備保障は銀行や政治の全面的支援を得ている。
セブン銀行のatmへの現金輸送は綜合警備保障。
ホテルニューオータニ最上階レストランには、戦艦大和の主砲塔の回転技術が応用されている。
日本警備保障は若い人たちが作った会社で、国際警備連盟会長のスウェーデン人ソーレンセンがアドバイスと出資。ただこじょ出資で51パーセントをそーれんせんに握られ、外資系となってしまう。
日本警備 -
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これは物凄い本です。圧倒的な自然のリアリズムの中で、各々が行動する様は、カミュの『ペスト』を彷彿とさせる実存主義を思い起こさせます。単なるルポルタージュでも、災害時の行動規範・教訓を記すだけに留まるわけでもなく、そこに語られている世界に引き込まれ、巻頭に公民館の建物図面があるのみなのにその光景がありありと眼前に迫る読書体験が出来ます。その体験から得られるものは人それぞれ多くのものになることでしょう。
猪瀬氏の近著『さようならと言ってなかった』とこの本は、新たな段階に入ったことを感じさせます。それは、マクロとミクロがミルフィーユのように重層的に折り重なる深さと説得力を持ったノンフィクションであ