猪瀬直樹のレビュー一覧
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霞ヶ関文学、永田町文学を解体せよ、は面白かった。言葉の力について文字通り考えさせられた。全般的には雑感の寄せ集めという感が否めず、掘り下げが弱い。
また、著者の若年者に対する偉そうな目線は気に障ったが、広い意味での家父の意識の復権を訴える部分は同感だ。
・新憲法で女性に参政権を与えたのはアメリカだが、自国では黒人の参政権は制限されていた。
・場をつなぐ言葉=ファティック
・出版の自由(freedom of press)のpressは取材の自由、報道の自由
・日本の新聞にはスクープはあるが分析がない。
・近代合理主義では哀しさを動員できない。
・管と鳩山への分析は的確。ディズニーランドでの左 -
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祖父、父と続く官僚の三代目として産まれた三島由紀夫は本人も父の命により官僚となるが、半年で退職し作家になる。この本の面白いところは三島由紀夫を官僚家系としての視点で見ている点にある。それから、圧倒的な取材による事実の蓄積により実際の三島由紀夫像が浮かび上がる面白さもある。
絶対にヒットさせたかった長編デビュー作の「仮面の告白」から読み取る三島由紀夫という人間像。三島由紀夫の同性愛に関する考察はとても納得のいく内容だった。
絶頂期に書き上げた名作「金閣寺」三島由紀夫が作家として乗っているだけではなく、人間として、男としてある意味生まれ変わった時期でもあったという新発見は驚きがあった。
そして、壮 -
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東日本大震災における東京都の活動、そしてその旗振りをした猪瀬氏について述べられた本。
単なる「地方公共団体」にとどまらない、日本の大局を見据えた東京都の決断を知ることができる1冊。
東日本大震災が日本という国に大きな揺さぶりを与えたのは事実だし、震災以後の動向から無縁でいることは、日本国民の多くにとって不可能である。
猪瀬氏は、東京都という直接被災したわけではない自治体の首脳であるにもかかわらず、日本の未来を思い、できることを果たした。
日ごろからさまざまな出来事にアンテナを張り巡らせつつ、一見すると自分から遠い場所で起こったことであっても、その影響を常に考え、自分にできることを通して行動 -
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言葉の力を見なおすべきだ。というお話。
全体が見えていないと細部に意味は見出せない
日本から世界的時間軸が失われ始めたことが言語力の低下の原因
ドイツ→どうしてそういうパスを出すのか
2006WCイタリアv.s.ドイツ→退場者が出て1人仲間が減った時のイタリア選手は誰もベンチを見なかった
ファティックに欠ける日本人
ファティックとは→どうでも良いような会話を続けながら、人と人とをつなぎ合わせる行為のこと
子どもへの読み聞かせでは辺緑系に刺激がある(泰羅雅登さん)
辺緑系→理性以前に人の行動をつかさどる役割
なぜ、日本のアーティストは世界で通用しなかったのか?
「答えは単純です」
「 -
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軍部が暴走したことが日米開戦の引き金、と言われてきたが、開戦前の内閣および新たに作られた総力戦研究所の奮闘と困惑が記されている。
近衛内閣時代に決定された基本国策(日米開戦)を、あえて東條内閣にすることで、開戦回避に向けて努力をしようとする天皇、そしてその意を汲んだ東條首相は、流れを変えようとするが、自分の組織の都合で思考・発言し、決断を迫る海軍・陸軍に打ち手を阻まれ、結局開戦を選択してしまう。
開戦前に新設された総力戦研究所では、日米開戦のシミュレーションの結果、必敗を提案したものの、内閣には受け入れられなかった。というか、分かってはいるが、それを目の前に突き付けられても判断が出来なかったと -
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「言語力」とは、「情報を正確に理解したうえで、相手の表現の
意図や背景を推論し、根拠を挙げて自分の意見を述べ、話し合って
与えられた課題を解決できる力」のことだ。(p86)
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基本的な技術を習得しなければ、スポーツをうまくやることは
できないように、言語も基本は技術であるとのこと。
たとえば複数の家具が置かれた部屋の俯瞰図を見て、その配置を
文章でわかりやすく説明する技術。
絵画を鑑賞して、論理的に感想を述べる技術など。
確かに、そんな技術があることは知らなかった。
グローバル社会で共有されている言語技術を、今の日本は持っていないと。
言語力がないから「キレる」社会になるのかなと