あらすじ
副知事になった作家、3年に及ぶ格闘の記録
2007年6月、石原慎太郎・東京都知事からの「特命」は突然だった。
東京が国との間に抱える様々な問題を解決すべく、突破口となる役割を託された作家は、都庁の中で、何を見て何を感じ、どう動いてきたか。
作家の想像力が行政に与えた影響とは?
都庁で考えた「この国のゆくえ」とは?
就任から3年、永田町・霞が関との戦いから都職員との触れ合い、東京発の政策提言に至るまで、縦横無尽に綴る。
「東京都は昔から伏魔殿と呼ばれた。そんな形容詞でいかにもおどろおどろしく語るだけなら、何も説明したことにはならない」(プロローグより)
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Posted by ブクログ
ふと、都知事選を前にして、なんとなく手にとってみました。
で、なんでしょうこの、「地に足の着いた信頼感」は。
「東京というこの大都市をどう成長させるか、これは東京都の仕事である。」
といったことを、さすが道路公団民営化を成し遂げただけあって、
非常に説得力を持った論旨で、様々に展開されています。
「弱者対策、とくに雇用対策を解決しなければいけない。
バラマキ減税ではなく実際に必要な資金を提供したり
職業訓練をしたり、積極的な施策が必要なのだ。」
至極納得出来る話で、「釣り方を教えるので、魚は自分で釣ってくれ」と言う、
以前に麻生さんも仰っていた「自立自助、天は自ら扶くる者を扶くの精神」ともつながります。
「結果」ではなく、その結果を出すための「手段」を援助するというのは、
文字通りの教え育んでいく「教育」の根幹の一つと思います。
またこうした「一緒に汗を流して頑張りましょう」というのは、
日本人の心情にも結構沿っている援助のやり方と感じますが、さて。
となると、ただ「結果」を与える以上の「能力」が求められていくわけですが、、
それだけに昨今の「教育」の質の低下には、危機感を抱かれているようで。
「本を読む習慣がすたれると、思考力が衰える。」
「生徒は論理的に思考し、論理的に表現することが求められる。」
戦後、日本人の「自分の言葉で考える力」の弱まりは、酷いそうで。。
特に「ゆとり教育」が施行されてからそれに拍車がかかったとのこと。
私自身も戦後教育を受けた身ですから、今から振り返ると確かに、とも思います。
「日本企業は、国内市場の飽和や少子高齢化の影響によって、
ビジネスモデルの転換を迫られてる。」
「ゆとり教育」もその理念自体は、国際的には評価されていたとのことですが、
それを骨抜きにして実態を伴わないものにしたのは、やはり日教組なのでしょうか。
選挙では、日教組が毎度ながらに授業放棄してどこを応援しているのか、気になります。
そのあたりも含めて、見ておきたいところですね、、閑話休題。
また、先の東日本大震災の時の気仙沼への救援ヘリ出動指示などを見ても、
リーダーに必要とされる判断力、実行力、支持力等を兼ね備えている方と、思います。
で、公務員(官僚)の使い方も上手いんだろうなぁ、、とも。
「"首都公務員"である東京都の職員に求められるのは、
100点満点ではなく120点満点の目標だ。」
こちらは『決断する力』で詳細に取り上げられているとのことですので、、読みたいですね。
石原都政への評価でもあるとの言い方もされていましたが、
こういった点を見ると、猪瀬さんご自身への評価を踏まえねばと、思います。
「日本には、安全保障の考え方もまったくない。」
「戦争とは、資源をめぐる争いである。」
少なくとも、「理念」「教育」「危機管理」「外交」を見る限りは、選択肢は必要ないなと。
まぁ、北朝鮮シンパが党首をつとめる党の公認を受けている候補者は無いですけどね、間違いなく。
本書は2年前に描かれていますが、今から振り返ってみても、興味深く読めました。
選挙前に読んでおいてよかった1冊、その1です。
ちなみに、この方の小説家としての著作は読んだことはありません、、(汗
どうせならしばらく読まずに行ってみようかなとも思いながらも、悩ましい。。
Posted by ブクログ
臨場感溢れるダイナミックな描写で現在の東京さらには日本の問題点が非常によく分かります。震災後の今、猪瀬氏のような新しい日本のビジョンが描ける人物こそ必要なのでしょう。色々勉強になります。直販で購入したので立派なサイン入り!
Posted by ブクログ
ツイッターでフォローしていて作品を読んでみたいと
思っていたので、買って読んでみた。
埼玉都民として東京都政は気になるけど、なかなか
わからなかったので、見えるようになった。
都市としての東京の戦略や課題を理解できた。
オリンピック招致や羽田空港ハブ化の目的や、水道事業の
国際展開、地下鉄の問題がわかった。
あと、小泉政権の際に行った高速道路民営化の内容と
民主党の無料化の問題を知ることができた。
ほかの作品も読んでいきたいと思う。
Posted by ブクログ
東京都の政策に興味があったので読んでみた。
今都知事の猪瀬さんが副知事時代に取り組んだことを中心に書かれています。
実際起こったエピソードの話が中心だし、文体もとても読みやすい。さすが作家さん。
内容
・都が取り組む「水ビジネス」の重要性、参議院議員宿舎の件、高速道路民営化の件など色々。
・東京が今オリンピック招致に取り組んでいる理由が、「成熟した先進国のオリンピックをすることにより、東京から世界に向かって未来のビジョンを発信する」という目的を持ったものであるということ(これ知らない人意外と多いと思う)。
・あとは、石原元都知事に指名されて副知事になったいきさつというか裏話が書かれてて面白かった。
猪瀬さんは都民の目線から都の問題を見つめている。行動力もすごい。
理想論や思いつきではなく、ちゃんとデータに基づいて政策に取り組んでいるので信頼できる。
猪瀬都知事になって、これからの東京がどうなっていくのか期待したくなる1冊。
Posted by ブクログ
2010年に発刊。副知事時代の猪瀬直樹が一つひとつの施策にどのように取り組んだのかがよくわかる。石原都知事とのやり取りも面白い。
東京都は国に先んじて、新しい取り組みにチャレンジしてきた。それを支えてきたのが東京都の職員であり、猪瀬直樹も本書の中で賛辞を送っている。
東京都はときには国とも戦う。イメージでは分かっていたが、具体的にどのように戦い、国をも動かしてきたのかが分かった。
副知事の中でも異端だった猪瀬直樹が知事になった。本書から、今後の都の方向性も垣間見れた気がする。
Posted by ブクログ
良い本に出会ったという感じです
この本は現東京都知事の猪瀬さんが副都知事時代にお書きになった一冊です
作家という立場からなのか、洞察力•分析力•決断力•説得力•行動力が備わった方なので政治家にならない方がもったいない方ですね
私の嫌いな歴史もそういう流れでこうなって行くのかと今更ながら納得の文章でした
Posted by ブクログ
都知事選を前に、副知事としてどういう方なのか知りたく読み始めた。参議院議員宿舎の建設中止、周産期医療の整備、ケア付き賃貸住宅という発想、夕張市へ職員を派遣…これらのエピソードから、何て愛に満ち溢れた方なんだろうと実感した。また、徹底的なデータに基づき、作家という持ち前の発想力で、スピード感を持って次々に問題を解決してこられた行政手腕から、次の都知事はこの方を措いて他にいないと確信した。
Posted by ブクログ
生で語られる現場の声がおもしろく、為にもなる。
当たり前だが、流行りとおもしろおかしさでしか語られる機会の少ない「ジャーナリズム」と称する薄っぺらい評論記事・評論本と一線を画す深みの部分がある良い本に感じた。
Posted by ブクログ
猪瀬直樹副知事の就任直後からの改革への取り組みがよくわかる。過去にとらわれない視点、発言だけではなく、強烈な実行力。
作家の視点で、できることをやる。その精神に共感します。常に自分のできることを実行する。また、挑戦する。
Posted by ブクログ
行政に素人として参加したときに見える問題、懸念を書いた本。
長いこと同じことをやっていると過去のやり方があったりしてできないことを新鮮な考え方で、加えて頭の良い人の語りで指摘していく。
こういうのに対する反論も聞いてみたいな。
Posted by ブクログ
あの猪瀬直樹氏が、道路公団に切り込んで、次は、東京都の副知事になったのだろうか?
前提となる疑問は消えていません。ただ、彼の頭脳と行動力にこそ、いろいろな突破口があるのはわかりました。
東京都って、でかい組織の中で将来を見据えて活躍して欲しいものです。個人的に東京でのオリンピックや築地移転は反対ですけども・・・。
Posted by ブクログ
日本の社会がいかに組織によって立て割られているのかが実感できる。
地下鉄・車・介護福祉・病院・空港・港湾・エコ等々。これらを都という立場から積極的に組織と戦い、一つ一つ真実に迫っていく猪瀬さんに拍手。
実際の政治の現場というものが垣間見える本。
Posted by ブクログ
作家でもある東京都の猪俣副知事が書いた本。
副知事が取り組んだこと・見てきたものを詰め込んでます。
とても興味深かったです。
日本のいいところ、東京の強みを再発見できます。
私たちが当たり前に水道から飲んでいる水だけど、水道の水がそのまま飲めるのは全国でたった11ヶ国しかない。
水道管理システム、すなわち水ビジネスは世界に十分通用する武器になるということ。
それから、環境のこと。
お台場のゴミの埋め立て地を植林で埋め尽くす「海の森」の構想が進められているということ。
海からの風は森を通り抜けて、オフィス街にそそぎ込むなんて、素敵。
環境問題はこれからの時代避けて通れない重要なテーマだと思います。
こんな取り組みが行なわれているなんて、知らなかった。
他にも高速道路無料化の取り組みや、ケア付き賃貸住宅など興味のある内容が盛りだくさんでした。
こういう風に発信してくれる人がいることで、行政が身近に感じられて嬉しいです。
中でも、戦略は入口だけでなく出口戦略まで繋がってなくてはならない。
客観的なデータをしっかり提示する。
何事もまずは疑ってかかるという副知事の姿勢がとても好きでした。
Posted by ブクログ
東京メトロ、首都高、東京五輪誘致・・・ほか身近な政策が成り立った背景などがとても分かりやすく書いてあって、国や地方の実態が垣間見れる。
ちゃんと勉強しないと~と思う一冊。
何か課題を見つけて、改善していく・・・という発想は自分の生活にも役立つ。
Posted by ブクログ
”本を読ま習慣が廃れると思考力が衰える。”この部分同意見。このことは、もっと多くの人が認識すべきと日頃から強く感じています。周りにも結構いらっしゃいます。正直、なまじお歳をお召しだと本当に困ります・・・。ただ、若いときの読書はスポーツ同様筋肉がつくが、30歳を過ぎてからの読書はただの情報にすぎないとも記載あり。もうすぐ40歳に到達しようとする私には少々がっかりです(10代30代に比較すると20代は読書が少なめだったのを後悔しているのは事実ですが)。その他、都で休日にボランティア活動を予定していたら休日手当が支給されそうになっていたというエピソードが興味深いです。サクッと1時間もあれば読めます。
Posted by ブクログ
縦割りで硬直した日本の行政に風穴を開ける。そのために猪瀬氏が副知事に据えられたことが良くわかる。どのエピソードもとても痛快だ。 解決すべき根本課題は何かをまず見抜く。それに対して解法を考えるからブレない。 正解のわからない難問に取り組む能力が今の日本の行政には決定的に不足してる。良い人材を外から投入するのが即効性のある対処、という好例としてもっと注目されるべき。
Posted by ブクログ
ここまで意識が違うのか?
民と官 の差が浮き彫りになっています。
多少大袈裟に書いてある気もしますが。
民間からの目線が国や地方行政を
変革する大きな要因であることに
間違いはないだろうし、
事業の民営化が利益の拡大や
事業自体のグローバル化を推進させることも
よく分かりました。勉強になる本です。
「あいつは作家だから、一般人と考えが違うんだよ」
そういう批判を時々耳にしますが、
彼じゃなければ変えられなかったこと沢山ある。確かに変わり者であることに
違いはないでしょうが、それ位がちょうど良い気もします。
Posted by ブクログ
著者が東京都副知事時代の成長戦略が語られている。一番印象に残ったのは活字離れ対策。外国に売れるすばらしい技術があっても、対話ができなければビジネスにならない。論理的な対話技術が必要である。
「活字離れ対策とは、読書力・対話力・言語力・歴史認識、その全体をいかに再構築するかということ。(本文より)」
(論理的か否か)
1.フィンランドの小学校で
相手の言うことが分からなければ、おかしいとか間違っていると攻撃する前に、どういうことなのか?どうしてそう考えたか?教えて下さい、というべき。分かり合えない状態から自分と相手との間に理解を形成してゆくコミュニケーションが対話なのだ。(北川達夫氏)
2.東ドイツのビジネス現場で
交渉が日本に不利に進むのは、外国語での交渉というハンディではなく、日本側に交渉の組み立てや展開をどうすればよいか、という論理がなかったからだと気付く。国語に言語技術の指導が必要なのだ。(三森ゆりか氏)
Posted by ブクログ
猪瀬直樹の副知事成果報告書。
彼が関わってきた東京都の事業(水道事業、空港、港湾、エコ、道路、教育、高齢者対策)の内容。
現場の第一線で政策の是非を論じて戦わせてきたその武器は、直観とデータ。
経験により得られた既得権益保持者や役人の心理、傾向を利用し、時に逆手にとり結論へと結びつける。
積極的に政治家と関わり、意見を伝える姿勢、行動力には敬服すべきところがある。
数字が多い。背景を持った数字には主張があり、彼の意見を代弁し、正当性をさらに強めている。
例
・参議院宿舎建設の会議めもと、官僚との口論
Posted by ブクログ
これを読むとなぜ彼が都庁の職員からよく思われていないかがよく分かった。①そもそも外様扱い②余計なこと言う
水ビジネスやエコ戦略、高速道路と個別の事案は背景や今後の展望が展開されているんだけど、大局観が無いなぁと思いました。まぁ副知事なので大きな事書いて石原さんと意見が違ったりすると面倒だから、という配慮だろうと思うけど。
この本で読んだ猪瀬さんの考え方は共感できるけど、石原都政の継続と考えるとどうだろうね...
Posted by ブクログ
副知事になって以降の行政の仕事を、サラっと紹介している感じ。
読むのが遅かったせいか、内容についてはほとんど知っているプロジェクトの話で驚きとかは無かったものの、
とにかく考えると同時に実行する、小さなデータを積み上げてゴールへの道筋を浮き上がらせる、その一貫した姿勢は見習うべきなんだろな。
Posted by ブクログ
言葉の力に続けて猪瀬直樹さんの本。現在社会の構造を、こうした本で少しでも理解する人が増えれば、いずれ世の中は変わらざるを得ない。事実Twitterの存在が、メディアを補完して、こうしたオピニオンリーダーと一般の距離を縮め、相互理解を深め、社会を変えていってる。
Posted by ブクログ
作家は行政の現場でどう格闘したか。本書は東京都副知事である著者が3年間の活動を綴った本である。首都東京の仕事や著者の危機感を窺い知る事が出来て、面白い。
本書は中からみた東京都であるがこの間、外からみた東京都を知る事が出来れば、なお良いのにと思います。
Posted by ブクログ
歴史認識として良著。特に後半の江戸時代から現代のフラッシュはコンパクトで良かった。
ところで読む分野、絞っていかないと・・・ただの雑学オヤジになっちゃうYO~。
Posted by ブクログ
いまいち何をしているのかわからなかったけど、これを読んで地道な活動をしていることがわかった。石原都知事の存在感が大きすぎるので、猪瀬さんが地味に見えてしまいがちだが、東京の水のプロジェクトや、参議院議員会館の件、夕張市への職員の派遣などは彼のイニシアティブだったんだと再発見。文章も読みやすいし楽しく読めました。