猪瀬直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元都知事で2020年五輪招致の主役で成果をあげながらも5000万円事件で奈落におとされたアマチュア政治家猪瀬直樹氏の著書。
本作は五輪招致で華々しくプレゼンをしていた一方、40年二人三脚で歩いてきた最愛の妻、ゆりこさんに対する鎮魂歌でもある。
奥様の主治医から余命数ヶ月の一報を知らされながらも職務を全うし多大な成果もあげた。
それから数カ月後に皮肉にも徳洲会5000万円問題で辞任させられることになった史実。
メディアで見る限り愛想の無い不器用な作家上がりの政治家という印象だったが、その裏では最愛の人を失う恐怖と闘いながら重大な任務をこなしていた。
読みながら何度も心が締め付けられる思いになりま -
Posted by ブクログ
猪瀬直樹という作家が後に政治の世界に入ってゆくきっかけとなった作品。霞が関の論理が如何に一般国民にとって理解不可能なものかを猪瀬氏の持論である“ファクト”に基づいて展開される。
ここで指摘された道路公団のデタラメさが後に小泉改革による道路公団民営化へと繋がった。
作品自体は90年代中盤のもので、時を経て歴史作品へと変質していそうなものだが、実はここに書かれている霞が関の奇妙さはほとんど何も変わってはいない。
ここに書かれている問題で手がつけられたのは道路公団くらいなものだ。
作品にはまだまだ奇妙な光景は広がっていてそれはまだ問題として社会に浮上すらしていないのである。
政治における“ -
Posted by ブクログ
東京都の政策に興味があったので読んでみた。
今都知事の猪瀬さんが副知事時代に取り組んだことを中心に書かれています。
実際起こったエピソードの話が中心だし、文体もとても読みやすい。さすが作家さん。
内容
・都が取り組む「水ビジネス」の重要性、参議院議員宿舎の件、高速道路民営化の件など色々。
・東京が今オリンピック招致に取り組んでいる理由が、「成熟した先進国のオリンピックをすることにより、東京から世界に向かって未来のビジョンを発信する」という目的を持ったものであるということ(これ知らない人意外と多いと思う)。
・あとは、石原元都知事に指名されて副知事になったいきさつというか裏話が書かれてて面白か -
Posted by ブクログ
昨年末に東京都知事に就任された、猪瀬直樹さんの寄稿集となります。
石原さんの下での副都知事時代のエピソードが主体で、読み応えありました。
中でも、3.11の際の Twitter から始まった救出劇は圧巻でした。
詳細は『決断する力』でもとのことですので、是非そちらも読んでみたいところ。
「気仙沼→ロンドン→東京→都庁→消防と奇跡のリレーの絆でつながった」
そして個人的には、東京メトロと都営地下鉄の一元化は、是非お願いしたい。
道路行政を何とかしてしまった猪瀬さんなら、できてしまう気もしています。
政策の系譜で見れば、間違いなく石原さんを踏襲されているかと、、
政治の連続性との面から見 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3月の東京アウトプット勉強会の課題本。
衝撃の言葉で始まる、この本。バルトの「いかにもこの都市(東京の事)は中心をもっている。
だが、その中心は空虚である」という言葉は本質をついているなと。
海外から見ないとこの現象はわからないと思う。
日本の中心の東京が空虚であり、また日本人の心のなかも空虚である。
日本人にとって天皇とはなんだろうか?
明治時代であれば、天皇は神であるという一種の信仰に持ち上げることで、
日本という国を作っていった。
この場合は国(諸藩の統合をするという意味で)を一つにするために天皇中心であれば都合がいい。
ただ戦争が終わり、今は天皇は国の象徴であるということだが、
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2013.1.4-2013.1.5
猪瀬直樹氏の本の面白さは、着眼点の良さだけではなく、関係者に対する広範な取材に基づく事実の積み重ねにある。
元号についての誤スクープ、八瀬童子、鷗外と吉田増蔵、終戦後の松江のクーデターなど、いづれも不勉強で知らなかつた事実で興味深く読んだ。
解説を網野善彦氏が書いてゐて、巻末に東浩紀と著者の対談がついてゐるといふのもお得だ。
文体は必ずしも好みではないし、編集も少し甘く、例へば鷗外の墓に名前以外の文字を彫らせなかつた理由など、説得力に欠けると思はれる部分もあるが、一読の価値は充分。ある程度の予備知識がないと面白さがわからないので、若い人には少し手強いかも。