【感想・ネタバレ】ミカドの肖像のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年09月27日

ボリュームがあって後半は特に読むのが大変だったけど、面白かったです。前半だけでも読んでみて。

日本国の天皇(ミカド・プリンス)とは何か?を日本はもちろん海外からの視点でも少しづつ丁寧に、しつこくしつこく謎を解きほぐしていきます。世界一周して取材、スゴイ。
西武グループが皇族の土地を買い上げて建てた...続きを読む『プリンスホテル』の謎から堤康次郎の執念が明かされ、『ミカド』というゲームの謎はアメリカの「ミカド」という町からオペラ「ミカド」につながっていく。めちゃくちゃ面白い。

猪瀬氏は天皇を『空虚な中心』と表現しています。天皇を神聖化するための数々のタブーや暗黙の了解により、国民は天皇の実態をよく知らない「お上の存在」という意味でポッカリ空いた空間はイメージできますが、むなしい心持ちや、うつろな感じという『空虚』という表現はこの本を読むとよりしっくりきます。
そんな空虚な中心から日本のレジャーランド化や大衆の近代化の「うねり」を感じました。

私は日本人だから、この国の天皇とはどんな人物なのか?他の国からどう思われているのか?やっぱり興味があるんだなぁ。

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Posted by ブクログ 2012年09月10日

欧米にはミカドゲームなるものが存在するという。ミカドという音楽バンドへの取材から出発し、いかに堤一族が西武王国として、プリンスホテルを築いていったか、皇族との関係、三島由紀夫までの洞察と壮大かつ世界的な調査に基づく歴史像を明らかにしている。猪瀬直樹の調査力に驚く。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月23日

帝(天皇)に関するあれこれを取材したドキュメンタリー。
皇居を臨むビルの高さが制限されたことやプリンスホテルの名前の由来から
立地場所の由来、天皇崩御の際のしきたりやらオペレッタ「MIKADO」、
ミカドゲームという海外の遊びから御真影の裏話まで
とにかく情報量も取材量も圧倒的で引き込まれました。
...続きを読むとはいえ800ページを超える大作なので読むのには時間がかかりました。
1980年代に書かれた文章ですが古臭いことも全くありませんでした。

今でこそ皇室のスキャンダルも色々と報じられていますが
昔の宮家も放蕩な人が結構いたり大概だったのだなぁと興味深かったです。

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Posted by ブクログ 2021年10月13日

天皇という空虚な中心.日本人のアイデンティティを探究した本.
ただし天皇そのものは語らず,天皇の周囲を取り巻くものにスポットライトをあてそれをとことん探究する.
ジャーナリズムとはこういうことか!と感じざるを得ないボリュームと内容の濃さに圧巻.この濃密さがフィクションを凌駕するリアルの面白さに繋がっ...続きを読むている.

この本を手に取ったということ自体、皇族に対する何かしらの独特な観念を持っているということの所作なのかもしれない

時間の都合上第三部はあまり読めなかった.またいつか.
猪瀬氏の他の作品も読もう.

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問い: 日本人一人一人にとって、天皇とはなんなのか
"世界一の大都会東京には”空虚な中心”がある"

皇居付近のビル建設のタブー・圧力,天皇専用鉄道ダイヤを組むスジ屋

"美観とは主観のことだから、百人いれば百様の意見が出るのは当然"

丸の内の東京海上のビル 99.7m ミカドを取り巻くタブー

原宿 宮廷ホーム 2001年以降未使用

上皇后 ロマンス婚 軽井沢のテニスコート、
→大衆の夢のモデルケース?

GHQ->皇籍離脱ー>免税特権など剥奪ー>課税
政府は一時金という名の手切金をわたす

新高輪プリンスホテル
北白川家土地 
売買にて金利による支払いの先延ばしと西武Gへの縁故採用。天下り的な 
皇族は一時的な課税所得が減った。西武は金利を払って余りあるキャピタルゲインを得た。
「西武に土地を売れば、あなたを社員として迎えたい」

堤家(西武グループ)は、その天皇家の"藩屏である皇族の宮殿と宅地を収奪し、そのブランドを借用することによって、新時代のチャンピオンに成り上がったといえよう。

プリンスヒロヒトと英国皇太子の親善試合

私鉄網の発達時代、各社は終点にデパートを、もう一方の端にレジャーランドを設置。→私鉄は発生の時からきっぷをうるのではなくライフスタイルを売っていた。

「労働は苦痛を伴う激しい競争の中で繰り広げられています。かつては労働自体が苦痛でした。今競争がきつくなっているのです。特に日本のような平等社会は、個性的であることが恥ずかしい。そのためにアイデンティティーの危機すら招いています。」

ミカドゲーム

西洋の歌劇ミカドが揶揄する。日本観("陛下の思し召しはすなわち法なのです。")

宮さま宮さま 日本初の軍歌。江戸幕府を得た300年以来の王政復古

"西武プリンスホテルが皇族の土地を手中におさめたのは、都心という得難い立地条件のほかに、それに付随した神話も同時に購入するためであった。"
"ホテルを利用する顧客は、ベッドで就寝する目的以外の様々なソフトを買いに来る。宴会、結婚式、飲食、買物、観劇、眺望、入浴、スポーツ、セックス…。"
"ホテルにおけるそれらの行為は、非日常に属するモノでなければならない"

解説
"私は自分を指導する大学院生猪瀬氏の著作を読ませている。それは綿密な事実調査を積み重ねていくことから圧倒的なリアリティを書き出し、そこから社会の「隠された構造」を照射すると言う方法が、優れた文化人類学者の営為と極めて近いからだ。

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Posted by ブクログ 2018年04月08日

天皇にまつわる様々な出来事を綴ったノンフィクション。内容が多岐に渡り、読み応え抜群。テレビでは放送できないタブーに触れるような内容が本ならではのおもしろさ。

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Posted by ブクログ 2016年04月23日

ミカドの痕跡を近代史や海外から掘り起こし、天皇制と近代日本について論じた力作。あたかも枝ぶりの良い巨木を眺めるようなスケール感はあるが、枝葉が広がり過ぎてしまった感も否めない。もう少し剪定をして小ぶりにまとめて欲しかった。 ただし、西武グループと皇室の関係を描いた第一部の「プリンスホテルの謎」は抜群...続きを読むに面白かった。 西武という企業の経営のカラクリが分かるばかりではなく、堤康次郎、清二、義昭、というそれぞれの時代に君臨した稀有な親子の内面にまで肉薄するノンフィクションの傑作だと思う。第二部では「ミカド」という日本では馴染みのないオペレッタが、欧米では広く日本に対するイメージ形成に影響したこと、第三部では明治天皇の「御真影」や志賀重昂の「 日本風景論」という書物が、日本人自身の心性や文化に深く影響を与えたことを論じている。いずれも切り口が斬新でジャーナリストとしての猪瀬氏の力量に感服。東京都知事になって味噌がついてしまったのはくれぐれも残念。

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Posted by ブクログ 2015年12月13日

堤義明氏の逮捕の報道は、ぼくでもちょっとした驚きだった。西武グループという大きな看板を持った大物の逮捕だけにそう思ったのだが、同時に以前読んだ一冊の本のことを思い出した。

猪瀬直樹著「ミカドの肖像」
近代天皇制と日本人との関係を、これまでの天皇論とはまったく異なる角度から猪瀬氏らしい独自の取材と...続きを読む論法で、立体的に探っていくなかなかの秀作で、ぼくは天皇のことをいろいろ調べてた折に読んだのだが、それ以上にそこに出てくる西武グループの堤一族と皇族との関係にスキャンダラスな要素も含みつつ刺激的だった。当時ぼくからしたら西武ライオンズやパルコのセゾングループの西武だから、そんな西武と天皇との関係は素直におもしろかった。

このとき、ぼくは間違った事実を覚えていたらしい。堤康二郎の三男の義明をぼくはずっと西武セゾングループの方、つまりは百貨店の方を仕切っていて、異母兄の清二が西武鉄道を主とする西武グループを継いだものと思っていたのだ。実際はまったく逆だった。

でもそれもそのはず。兄の清二は、皇族と関係のあった康二郎を尻目に日本共産党に入党したり、自ら勘当されるように仕向けたりと、康二郎に反発していたようなのだ。そんなとき義明は康二郎の後ろをひた歩き、帝王学を学び、康二郎の築いたものを継承しえたのだろう。

堤一族がこうしてひとつの時代を築き、時代から去ろうとしているわけだ。西武という大きなものが解体されていく中で、昭和の終焉をいまさらながらに感じるのは、堤一族と天皇との意味深な関係をどうしても想起してしまうからなのか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年03月19日

3月の東京アウトプット勉強会の課題本。

衝撃の言葉で始まる、この本。バルトの「いかにもこの都市(東京の事)は中心をもっている。
だが、その中心は空虚である」という言葉は本質をついているなと。

海外から見ないとこの現象はわからないと思う。
日本の中心の東京が空虚であり、また日本人の心のなかも空虚で...続きを読むある。

日本人にとって天皇とはなんだろうか?
明治時代であれば、天皇は神であるという一種の信仰に持ち上げることで、
日本という国を作っていった。
この場合は国(諸藩の統合をするという意味で)を一つにするために天皇中心であれば都合がいい。
ただ戦争が終わり、今は天皇は国の象徴であるということだが、
果たしてそれがどれほどの効果があるのだろうか?

一部の人には非難を承知で言うが、僕にとって天皇家はかわいそうでならない。
人間という扱いを受けず、絶えずゴシップのネタになっている。
常に周りから見られているし、日本人の模範たれと言われている。
天皇の果たす役割は海外では重要かもしれない。
外遊された時に日本という国の良さを天皇家が伝えるのは非常に効果的でもある。

でもあなたにとって、天皇がどのようであるべきなのか?
少なくとも天皇がいてもいなくても自分の人生が変わらない気がするし、
いたとしても自分たちの心のなかは空っぽなのだ。

この本を読んで、アイデンティティというものを再度考えるきっかけになった。

一方で本の中身はというと、猪瀬東京都知事の本を読むのは初めてで、
彼の取材力、描写力はすごいなと感じた。
日本人が知らなかった、
ミカドという言葉が実は西洋のオペレッタですごく有名であるということ、
西武グループのプリンスホテルの土地買収劇、
明治天皇のご真影が実は書かれた物であったなどという事から通して
得られる一連の日本文化論は面白いと言えば面白い。

日本文化に触れるために、今回初めて着物もきた。
それでも僕はアイデンティティの危機まではいかないけど、
自分とは何ぞやと考える。
これは僕にとっての永遠のテーゼなのかもしれないね。

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Posted by ブクログ 2011年09月15日

著者は今どんな想いで高層ビルの一室からTokyoを眺めているのだろう。日本人はカネ儲けよりも自分自身を探すことのほうが緊急である。と僕(著者)は信じている。確かに。日本人には中心がない。西洋のような絶対的な神もいない。ドーナッツなんだ。ただ中心に成る場所だけはなんとなく感じている。その辺をだいたい知...続きを読むっているぐらいで穴があいていなければドーナッツじゃないとだけは思える。暗黙の了解って好きでしょ。空気を察してどこかで中心を決めようとしている。KYなんて言葉はまさに中心を失っている空虚を物語っている。プリンスホテル。東京海上火災保険ビル。軽井沢と八瀬童子。どれもトリックだらけ。なかなか触れられない対象だからこそそこに隠されている秘密は大きい。ほんと力作だと思う。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

ミカドとはすなわち天皇です。天皇制のこととか、皇居近くに100m以上の建物を立てることのできないというトリビア満載。でも難しいので、天皇制とか天皇という存在に興味がない人には無理。

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Posted by ブクログ 2019年04月12日

猪瀬氏の若い頃の大作。
この視点でここまでしぶとく調べ尽くすというのは、なかなかないと思う。

前半が西武グループ、プリンスホテルは元皇族の土地に建っていると言う話。
後半はミカドというオペレッタを通して海外から日本がどう見えているのかという話が中心。
日本という国の中で象徴である天皇が、海外の目か...続きを読むらは中心でありながら空虚に見えるというのを様々な事実から描こうとする。

前半は西武グループ堤代表の伝記としても読めておもしろかったが、後半は読んでてだれてきた。
細かい話にしつこく迫る様子が、ある意味猪瀬氏の持ち味であり強味なのだが、あまりに細かいところまで突っ込むのでついていくのがしんどくなってくる。
この視点と追求力はすさまじく、正直このような都知事のもとで働く東京都職員はさぞかし大変だったろう。
というかこの特長は、都知事というよりは野党議員が持つべき?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年04月11日

著者の猪瀬さんの著作を読んでみたいと思ったので読んだ本。自分の読書のレベルよりも語彙や内容が難しくて、読むのに苦労した本。プリンスホテルの土地入手の流れやオペラに「ミカド」という演目があるということをこの本を読んで初めて知った。この本を読んで作家から東京都の副知事になれた理由がわかった。次は猪瀬さん...続きを読むのもっと簡単な内容の本が読んでみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2017年04月15日

西武の堤家が皇族たちから安く土地を買いあさったといった歴史が綿密にまとめられているが、詳細すぎて通勤の合間に読むのには辛く、挫折。本テーマについて強い興味があるわけではない人には辛いか。

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Posted by ブクログ 2014年09月28日

前半は各地のプリンスホテルの由来がわかって興味深い。後半のオペレッタ「ミカド」を軸にした日本人の価値観論的な部分は少し誰てしまったように感じる

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Posted by ブクログ 2013年03月18日

取材力の高さに驚く。「ミカド」をキーワードにしたそれぞれのつながりはあまりない内容が複数あり、3冊くらいに分けてもいい内容を900ページの1冊の本にまとめましたという印象。オペレッタミカドの話は比較文化論的手法での日本研究という読み方が出来て興味深かった。

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Posted by ブクログ 2013年02月11日

丹念に取材して難しいテーマにしっかり切り込んでいるのはスゴいと思いますが、筆者の自己顕示欲から強引な展開で、読むのが辛くなりました。20年以上もたっているで人格も変わっているでしょうが、こんな人が都知事して大丈夫かなあ、というのが正直な感想です。

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Posted by ブクログ 2012年04月20日

もう読後に皇居まで行って東京海上を見上げちゃったよ、でも確かにあの場所はガチでヤバイよね(笑)。善にも悪にも神がいるんだそうだ、だから善だけが神というのはスデに刷込まれた教育観念だそうで。だから天皇を善だけで観るのは浅いし、悪だけで観るのも全容を把握できなくなるみたい。この本だけに敬意を払うつもりは...続きを読むさらさらないけど、やっぱ筆者のような強烈な人間性からは目が離せないボクでした。

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Posted by ブクログ 2011年10月18日

 天皇が日本の象徴とされた今でも、天皇の存在は都市に浸透しているという話。
西武グループの堤康次郎は、ホテルに「プリンス」という冠をつけ、天皇家を利用したと言っていい。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

文庫なのに分厚くて980円もした・・・とそれはまあ置いといて。今読むと、プリンスホテルを何故皇族の土地に建てたのか、とか、品川のホテルパシフィックがあんなにでかくて後ろのホテルが見えないのはそういうことか(笑)とか、明治天皇の御真影の話とか、いろいろ興味は尽きません。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

先に出版済みのハードカバー本の文庫版。レビューは・・・ 。大作ではある。西武創始者・堤康次郎との関わりが主なのかミカドの掘り下げが主なのかがぼやけている。

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