朝比奈あすかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
過去のイジメの記憶に苦しむ母親と、現在進行形で進むわが子のイジメ。
と書くと単なるしんどい話に聞こえるかもしれないが、本作はミステリーの要素が強く、息子が二階の教室から飛び降りた理由が謎となっている。元気に見えた息子がなぜ教室のベランダから飛び降りたのか。その理由を追って主人公が四苦八苦する。
とは言え、作者がこの作品で描きたかったのは進行形のわが子の話ではなく、主人公の過去だろう。正直、読むのが辛いエピソードだった。リアルで残酷でヒリヒリする。このリアリティーで描くということは、執筆時の作者の脳内でこの風景が再生されるということだ。
二重にしんどい。小説家には鬱が多いと聞くが、この脳内再生のリピートは拷問に近いと思う。それでもこの作品を完成させた作者に感謝したい。
しんどいけど素晴らしい小説だった。 -
Posted by ブクログ
すごい。
ドキュメンタリーがあれば小説は不要なんじゃないか。そう思うことがしばしばあった。イジメを題材にした書籍はまさにそうで、取材した事実に個人の想像がかなうわけがないと思っていた。
しかし本書でその思い込みは打ち破られた。閉じられた王国での王族たちの無邪気なゲームに付き合わされる庶民たち。そんな構図を思い出し、不快な気分が蘇る。いじられる登場人物の内面描写の精度が高く、ほんとうに不快だ。この不快さはドキュメンタリーでは感じることがない。
これが仮想体験なのか。。
不快だが、同じ気持ちで子供時代を過ごした仲間がいるのだと知れて救われた気持ちになる。
小説って、こういうものなのだなと。
外形的な事実ではなく、同じ気持ちの人間がいたのだと伝える媒体が小説なのだと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ特別児童養護施設で暮らす高校生のななみの成長物語。この本を読むと、特別児童養護施設育ちの大切な友だちがいるような感覚で、世界を見ることができるようになると思う。
幼い頃にシングルマザーの母を亡くし、祖母に育てられたが、その祖母もななみが小学生の頃に認知症を発症してしまう。二人暮らしが立ち行かなくなり、ななみは祖母に脅されていた「施設」暮らしとなる。
強く生きざるを得ない環境で、ななみは勉強に打ち込み、寮では異例の進学校に進学する。側から見れば、ななみは学業、バイト、部活に精を出す優等生だ。しかし、寮で暮らす子どもたちは高校卒業とともに寮は卒業する規定となっており、その後は自分一人で生きてゆかなければならない。仕送りもなければ、帰る場所も、頼る家族もいない。全国的に、特別児童養護施設から四年生大学への進学例は少ない。そのために、高校生の進学塾予算は限られている。大学進学後の生活費、学費もさることながら、受験費用も重くのしかかる。もちろん浪人は許されない。高2までは必死にバイトをして貯金をし、高3から受験勉強に集中する姿が、痛ましく思えた。
ななみは高校生になるまで、祖母の影響で寮と心理的距離を置いていた。勉強を頑張ることで、「自分はここの子たちとは違う」と思おうとしていた。しかし、寮のスタッフの愛情と、寮の仲間たちの心の純粋さに気づき、徐々に寮育ちの自分を認められるようになる。「人に負けてはいけない、バカにされてはいけない」という祖母の教えからも成長し、本当に自分がやりたいことを見つけることができるようになる。
自分が10代の頃は、全て親がサポートしてくれて当然だと思っていた。恵まれた環境を当たり前と思い、感謝しなかった。私のような子どもと話せば、ななみは傷ついたと思う。
子どもの運命は、大人次第だ。いい大人でありたい。 -
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高校生ななみの、友だちや寮の子どもたち、取り巻く大人たちと、ぶつかり合ったり笑い合ったりして過ごしていく、そして自分を見つめ直していく物語。
ななみの心の機微がとても丁寧に描かれていて、ホントは間違ってるけどそう思っちゃうよねぇ、わかる〜、みたいなリアルさがすごく共感しました。
児童養護施設をほぼ知りませんが、ななみを通じてここで暮らすみんなが、何を感じて、どう考えるのか、社会の大人たちの言葉に、どれだけ一喜一憂して振り回されるのかを、事あるごとに淡々と突きつけられます。それでいて物語は重くなく、むしろあたたかいです。
海が好きじゃないななみ。ラスト近くで友だちのみえきょんと海で語るシーンが印象的、というか感動的です。大人になってしまった自分としては、漕ぎ出す子どもたちをきちんと導いてあげられる大人になってるのかな、と問われている気もして、児童養護施設に暮らす子どもたちの現実と共に、すごく考えさせられた物語でした。 -
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ネタバレいじめに関わっている子どもの親としてどうすればいいのかを考えさせられる話だった。自分だったら、と比較しながら読み進めたが本当にそういう状況に置かれたときにどう反応するのかはわからない。
たまに自分の許容範囲を越える子供や親がいる。
そういった人と接しなくてはならない時に迎合する人が多いのではないだろうか?そしてその関わりから離れられた時に安堵し、自分に都合のいい記憶にすり替わっていくんだろう。
この後、この家族は再生出来たらいいのだが、と思って読み終わる、はずだったのだが…
ずっと美保の主観で話が進むことに違和感があったのだが最後に出てくる返信メールにひっくり返されてしまった。
いじめられた側は一生忘れない傷を負うということを。 -
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ネタバレ朝日奈あすかさんの本は何冊か読んだけど、その中でも上位で好きかも。
立場が似てるのもあって主人公の言動に触れる時に胸がギュッとなる感覚があった。自分も年の離れた弟がいて、可愛いのにかっこつけて優しくできなかったこともあるし、お母さんの前でしっかりしたできる自分を演じたいのも、お母さんを喜ばせたくてたくさん頑張っているのに弟には甘いように見えてしんどいのも理解できる。
真琴ちゃんは本当にいい子。だけど精神年齢が大人すぎるので、描かれてないだけで本当は何か抱えているのかもしれない。男女ともに仲良くする描写と同時に一人で本を読んでいる描写もあるし、一年程度で転校するなら家庭環境に何かあるかもしれないし、地図上で8センチは縮尺にもよるけど普通の日本地図なら結構遠い。主人公に同情的だったのは過去に何かあったからかもなぁと -
Posted by ブクログ
自分の子が母親も、“普通の子”であることに執着し続け、息子が被害者であることを疑わない姿勢に母は強し、と感じたのも束の間。
そのズレが少しずつ歪みを大きくしていき壊れていくまでがリアル。
母の過去時代のいじめと、息子の事件を双方書くことで、教室の悪者像をこれでもかと見せられた。
母親は完全にモンスターペアレント寄りだし、息子も純粋な被害者ではなく、本物の嘘つきとして描かれているように感じてならない。弁解の余地が無さそうだ。
本当に居たのかと思うほどにリアル。
息子の嘘の付き方。
母の無鉄砲さ。
自身の立場への緩すぎる感覚…
読後感はかなり重いが、人間の嫌なリアルさがずっと残る作品。 -
Posted by ブクログ
朝比奈あすかさん、3冊目。
胸にぐーっと来てぽろぽろ涙が出ました。
自分自身の小学校時代を思い出し、こんなこともあったようななかったような…
4人組女子やその周囲の女子たちのパワーバランスにヒリヒリ。
また小学生の母目線で見ると、子どもたち、みんなそれぞれ選ぶことのできない与えられた環境下で、全員が毎日すごく頑張っているということを再認識しました。
自分の子どもだけでなく近所の子どもたちが困っていたら、(鬱陶しがられても)気付いて声を掛けられる人間でありたいと改めて襟を正してくれるような作品でした。
小学生の親のみなさん、是非読んでみてください。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作者の方は本当にリアルな人間を描くのが上手い。
タイトルにあるように主人公の子どもはどこにでもいる普通の子。時にからかわれることもあれば人に攻撃することもある。
でも、悪い面に全く目を向けずにいたらどうなるのか?色々考えさせられる。
主人公である母親も一般的には子ども思いの良い人なんだろうけど、言葉の節々から感じる自己保身のような言動。でもこれもある意味普通の子なんだろうなと思った。
最後のメールの返信は震える。
加害者は被害者の本当の笑顔を見ることはできない。
エリ自身も加害者だからこそ言える。
誰が悪いとかそういう話じゃないんだろうな。
いじめは絶対に悪いことだけど、首謀者は誰だ?と言われると集団なんだろうな。