朝比奈あすかのレビュー一覧

  • 憧れの女の子
    「次は女の子を産むわ」と宣言して、産み分けに躍起になる妻、違和感を覚えながら異を唱えられない夫。様々な葛藤を経て夫婦がたどり着いた先は・・・「憧れの女の子」を含む5つの短編。

    とにかくどの作品も良くできている。
    それぞれに微妙なテーマを扱いながら決して重すぎず、心に引っ掛かりを残すもののラストは小...続きを読む
  • 天使はここに
    大手ファミレスチェーンで働いている真面目さが取り柄の主人公は、周囲の悪意には鈍感だし、好意にも気づけない。けれども親切心や心配する気持ちは誰よりもある。 感情の表出が上手くできないし、周りへの接し方が不器用だけどその懸命さはいと良し。 つまり、信じるもののために邁進していけるということであり、このこ...続きを読む
  • 自画像
    話はスクールカーストで始まるけれど、最初から誰が誰に語っているのか考えるとそれだけじゃないんだろうなとは思った。でもテーマを絞ってくれた方が気持ちが集中しやすいかな。もしくは、どちらに重きを置くか決めてほしかった。
  • みなさんの爆弾
    共通しているのは女性の視点でつづられている、そして同じ職業を持っている、というくらいで、6編の短編それぞれにかなり色が異なる小説集でした。
    ひとつひとつで作品の色そのものを変え、リアルに寄り添った話と非日常をまとった話も自在に描かれた、ジャンル分けしづらくもある、かなり中身の濃い一冊だと思いました。...続きを読む
  • 自画像
    婚約者にたいして独白する女性の話で始まるこの物語。最初は誰の言葉なのかわかりづらかったが、それも少ししたら慣れてくる。
    女性の小中学校時代の思い出が語られていくのだが、なんだこの話?って印象を持ってしまう。でも、その思い出話からどんどん引き込まれてしまい、次は?次は?と最後まで読み進めることになって...続きを読む
  • 不自由な絆
    学生時代の同級生だった洋美とリラ。偶然再会し、二人の子も同年齢なのでママ友に。しかし、子どものいじめ問題が発覚して、二人の関係も変化する。母親の葛藤を鋭く浮き彫りにした衝撃作。
    「絆」の元々の意味は、動物をつなぎとめる綱が転じて、断とうにも断ち切れない人の結びつきをいう。親子関係、夫婦関係、友人関係...続きを読む
  • 不自由な絆
    朝比奈あすかさんの作品を初めて読みましたが、話の流れ方がよく、文章もストレートで、とても読みやすい作品であった。本作は子供に翻弄される親の様子が丁寧に描かれており、私にはまだ子供がいないので想像ではあるが、現実に親が抱く感情にとても近い作品になっているように感じる。いじめる側の親もいじめられる側の親...続きを読む
  • 声を聴かせて
    女手一つで娘の奈保子を育てた花江。その奈保子が出産のため里帰りしていた。かつて奈保子には弟がいたが、不慮の事故で亡くなっていた。過去の大きな喪失と、静かに向き合って生きてきた母娘の慟哭を、切なく繊細に描いた表題作。他に、幼稚園で他の子供とうまくやっていけない息子に苛立ち、人間関係に追いつめられていく...続きを読む
  • 彼女のしあわせ
    あっという間に読み終わった。母親目線で共感した。子どもは、いつまでも親として見ているから、理解してもらうのは難しいと、つくつぐ思った。
  • 憧れの女の子
    朝比奈さん初読みです。5編のお話からなる短編集、理想と現実の間のギャップに困惑したり、悩んだりしながら、前向きに生きている人達の話が面白かった。どの話も主人公の背景がきちんと描かれているので時に共感したり感情移入して読みました。うまい作家さんだなあ……『憧れの女の子』の意味はそっちか、そして『ある男...続きを読む
  • BANG! BANG! BANG!
    後輩に勧められるまで知らない作家さんだったけど、面白かった!
    収録されていた2編を別物として読んでいたら、話がつながっていたことが分かったときはえらく興奮した。そういえば1編目の男の子の苗字が三沢で、2編目でミツハルという名前が出てきたとき、三沢光晴かよ!と笑ってしまったのだが、本当にそこがつながる...続きを読む
  • やわらかな棘
    最初の章で「うわぁ重すぎじゃない?」と思いました。ここまで一線を越える女性は稀なんじゃないかとも思ったし、こんな男も、いくらなんでも稀なんじゃないかと。
    ・・・いや、もしかしたら結構いるのかな?
    次の章で、あ、これは短編連作なんだな。と気づいたあたりから、がぜん面白くなりました。
    この棘は誰でも持っ...続きを読む
  • ばんちゃんがいた
    ばんちゃんはいつの時代にもいる。

    自分がばんちゃんの立場になることもあるし、太一の立場になることもある。

    または、ふたりの関係を遠巻きに見ている場合もある。

    でも、ばんちゃんは純粋に太一のことを友達だと思っていたんじゃないかぁ。

    そう、思いたい。

    おじいちゃんの書き込みにはぐっときたね。
  • 光さす故郷へ 満州から我が子を抱いて
    著者の大叔母が経験した満州から日本へ引き揚げてくるまでの過酷な日々。昨年亡くなられた藤原ていさんの「流れる星は生きている」などで満州から博多港に着くまでに、たくさんの人が大変な苦労をされた話は知ってはいましたが、一人ひとりに違う人生があって、その経験を辛く苦しい思いをしながらも話してくれる人がいるこ...続きを読む
  • 声を聴かせて
    二つの母の話。
    自分に重なる部分が多く一気読み。
    「ちいさな甲羅」息子の起こしたトラブルからママ友の付き合いが難しくなる。一番守らなくてはいけないはずの息子のケアよりも、ママ友枠から外されないよう必死になって、ボロボロになっていく…でも、救いは頼りになる旦那さんがいたこと。もう、ママ友呪縛から卒業し...続きを読む
  • 彼女のしあわせ
    征子、月子、凪子の三姉妹と母、佐喜子のそれぞれの話
    月子、母 佐喜子の話に共感 夫の転勤で田舎の町に引越した月子知り合いもいない土地での子育て…ブログで理想の世界を作り現実逃避…夫ともうまくいかない…ある日娘が突然吐いた時「なぜトイレで吐いてくれないのだろうと苛立った」理想の世界作りに没頭して、「...続きを読む
  • 憂鬱なハスビーン
    何気なく手に取って何気なく読み始め、あっという間に読み終わった。読みやすいというのもあるけど、どこか自分にシンクロするところもあったのがあっという間に読めたわけなのかも。
    東大を出て、同じ東大卒で弁護士の夫との結婚を機に仕事をやめ、再就職の気もなく失業保険をもらっている凛子。不自由だと言えば非難され...続きを読む
  • 憧れの女の子
    男女の心の行き違いから浮かび上がる人間の本質を鮮やかに描く5編の短編集。他人事のようで、実は私たち自身の物語。
    ある男女の特殊な状況を、斜め目線から捉えるような印象を抱くが、いちいち心に小さな棘が刺さったような気持ちになる。まさに、痛いとこ突かれたという感じ。男は男の、女は女の考えと感情があり、関係...続きを読む
  • 天使はここに
    ファミレス「エンジェルズ」で働く契約社員の真由子。

    お客様に楽しい食事のひとときを過ごしてもらいたいという
    精神で毎日一生懸命に働く真由子。

    新しく入ってきた店長の十亀の傲慢さと幼稚ぶりに辟易しながらも

    バイトの子たちとの交流、幼少期に蒸発してしまった母、
    プロポーズしてきた売れない放送作家の...続きを読む
  • 憧れの女の子
    ふつう、と、ふつうじゃない。
    当たり前、と、当たり前じゃない。
    大丈夫、と、大丈夫じゃない。
    境目はあいまいで、自由で、不自由だ。
    強く美しく生きるってなんだろう。