朝比奈あすかのレビュー一覧

  • BANG! BANG! BANG!

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    ネタバレ

    後輩に勧められるまで知らない作家さんだったけど、面白かった!
    収録されていた2編を別物として読んでいたら、話がつながっていたことが分かったときはえらく興奮した。そういえば1編目の男の子の苗字が三沢で、2編目でミツハルという名前が出てきたとき、三沢光晴かよ!と笑ってしまったのだが、本当にそこがつながるなんて思いもしなかった(笑)

    一人の視点からはすべてを見ることはできない。三沢はおじいちゃんやばんちゃん、そして富士川の別の顔(=自分が思い込んでいたのとは違う面)を知って救われただろうか。いや、後悔したかもしれない。それでも知らないよりは良かったように思う。2編目で読者はひとつの真相と、梢とばん

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    2017年05月18日
  • やわらかな棘

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    最初の章で「うわぁ重すぎじゃない?」と思いました。ここまで一線を越える女性は稀なんじゃないかとも思ったし、こんな男も、いくらなんでも稀なんじゃないかと。
    ・・・いや、もしかしたら結構いるのかな?
    次の章で、あ、これは短編連作なんだな。と気づいたあたりから、がぜん面白くなりました。
    この棘は誰でも持ってるものなんじゃないかな。と思える章もあったし、苦々しく感じる章もあったけど、これは最近の中ではヒットな本です。
    いろんな意味で、素直に面白かった。

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    2017年04月14日
  • ばんちゃんがいた

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    ばんちゃんはいつの時代にもいる。

    自分がばんちゃんの立場になることもあるし、太一の立場になることもある。

    または、ふたりの関係を遠巻きに見ている場合もある。

    でも、ばんちゃんは純粋に太一のことを友達だと思っていたんじゃないかぁ。

    そう、思いたい。

    おじいちゃんの書き込みにはぐっときたね。

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    2017年03月09日
  • 光さす故郷へ 満州から我が子を抱いて

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    著者の大叔母が経験した満州から日本へ引き揚げてくるまでの過酷な日々。昨年亡くなられた藤原ていさんの「流れる星は生きている」などで満州から博多港に着くまでに、たくさんの人が大変な苦労をされた話は知ってはいましたが、一人ひとりに違う人生があって、その経験を辛く苦しい思いをしながらも話してくれる人がいること、それを朝比奈さんのように本にして伝えてくれる人がいること、それを無駄にはしないように語り継いでいかなくてはならないと強く思いました。間違った方向にいかないように、皆が自分の故郷に帰りたいと思えるように。

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    2017年02月19日
  • 彼女のしあわせ

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    征子、月子、凪子の三姉妹と母、佐喜子のそれぞれの話
    月子、母 佐喜子の話に共感 夫の転勤で田舎の町に引越した月子知り合いもいない土地での子育て…ブログで理想の世界を作り現実逃避…夫ともうまくいかない…ある日娘が突然吐いた時「なぜトイレで吐いてくれないのだろうと苛立った」理想の世界作りに没頭して、「娘の心が弱っていた事に気づかなかった、娘のを声を、顔を、たくさんのサインを見なかった」心に余裕がないから、いつもピリピリしてしまう…
    辛いよね…ゆったりと子育てできればいいんだってわかってるけどね…

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    2017年01月11日
  • 声を聴かせて

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    二つの母の話。
    自分に重なる部分が多く一気読み。
    「ちいさな甲羅」息子の起こしたトラブルからママ友の付き合いが難しくなる。一番守らなくてはいけないはずの息子のケアよりも、ママ友枠から外されないよう必死になって、ボロボロになっていく…でも、救いは頼りになる旦那さんがいたこと。もう、ママ友呪縛から卒業した私。特にトラブルもなかったけど、ピリピリしてた事を思い出した。
    「声を聴かせて」は出産で里帰りした娘に子どもの頃のいじめを告白される。かなりショック、気づいてあげられなかった自分を責めてしまうだろうな。

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    2017年01月15日
  • 憂鬱なハスビーン

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    何気なく手に取って何気なく読み始め、あっという間に読み終わった。読みやすいというのもあるけど、どこか自分にシンクロするところもあったのがあっという間に読めたわけなのかも。
    東大を出て、同じ東大卒で弁護士の夫との結婚を機に仕事をやめ、再就職の気もなく失業保険をもらっている凛子。不自由だと言えば非難されそうな状況にあるのに、無頼で不遜な言動はこじらせ女子的。特に、夫の雄介に対するつれなさ、わがままさときたら……。雄介ときたら、よくもまあこんな凛子を妻にし、今も機嫌をとったりなだめたりしながらそれでも好きでいられるもんだと思ってしまう。そのくらい雄介は屈託なくいいやつで、自分の知っている雄介を彷彿と

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    2016年11月23日
  • 憧れの女の子

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    男女の心の行き違いから浮かび上がる人間の本質を鮮やかに描く5編の短編集。他人事のようで、実は私たち自身の物語。
    ある男女の特殊な状況を、斜め目線から捉えるような印象を抱くが、いちいち心に小さな棘が刺さったような気持ちになる。まさに、痛いとこ突かれたという感じ。男は男の、女は女の考えと感情があり、関係がうまくいくかどうかは、たとえ同姓でも分からない。その微妙な心うちを作者は捉えるのが非常に巧い。

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    2016年11月21日
  • 天使はここに

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    ネタバレ

    ファミレス「エンジェルズ」で働く契約社員の真由子。

    お客様に楽しい食事のひとときを過ごしてもらいたいという
    精神で毎日一生懸命に働く真由子。

    新しく入ってきた店長の十亀の傲慢さと幼稚ぶりに辟易しながらも

    バイトの子たちとの交流、幼少期に蒸発してしまった母、
    プロポーズしてきた売れない放送作家の太田、
    働く息がぴったりだったトキちゃん
    常連客だったおしゃけさまの切ない未来。

    十亀の性格の悪さ=やっぱり癖のあるヤバイ奴
    そのまんま!!笑

    P159で面白いことが書いてあった。
    善か悪で判断するのではなくて
    守るものが増えてくると、だんだんと
    楽か面倒かで物事を判断してしまう。

    楽っていう

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    2016年10月03日
  • 憧れの女の子

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    ふつう、と、ふつうじゃない。
    当たり前、と、当たり前じゃない。
    大丈夫、と、大丈夫じゃない。
    境目はあいまいで、自由で、不自由だ。
    強く美しく生きるってなんだろう。

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    2016年09月15日
  • 憧れの女の子

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    甘いタイトルにつられて読んでみれば苦い物語の連続。人の心のこんなところまで踏み込むんだ、という描写にうなりました。

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    2016年05月15日
  • 憧れの女の子

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     ジャケット、タイトルから、普段自発的に読むタイプの本ではないかな…と読まずに避けていたのがもったいなかった!というくらいに、巧い。
     表題作「憧れの女の子」の、相反する気持ちが素直に同居している登場人物たちや白とも黒ともつけられない出来事の描写にリアリティが詰まっていて沁みた。
     「ある男女をとりまく風景」にはやられた。自分は持っていないと思いこもうとしていた先入観が実はありありと存在していることを突き付けられる。
     電車に乗る前に読む本がなかったため急いで買った本だったけど、良い出会いだった。

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    2016年05月08日
  • 天使はここに

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    高校卒業以来ずっとファミレスで働き続ける真由子。アルバイトから契約社員にはしてもらったものの、無理解な上司やクセのある大学生バイトたちがたくさんの職場は、なかなか良いようにばかりは回らない。そして朝食をよく食べにくるお爺さんの様子が変わり出してから、彼女も少し、変わり出すことになる…

    普通に真面目でテキパキしている真由子だけれど、そのうちには大きな虚がある…というとありがちなようなのですが、そのぽっかりとした「抜けている」感じが少し心配になるような危ういバランスを感じさせます。

    そんな彼女がファミレスで起こった事件や人とのつながりを経て少しずつ変わっていく様子には、ほっとするものがありまし

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    2016年04月21日
  • 憧れの女の子

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    ネタバレ

    2016.4.19に既読だったが再読。
    「憧れの女の子」子どもが増えるごとに結びつきが強くなる夫婦、理想だな。5人目の性別が書かれていないところが気になるが、きっと…
    「ある男女をとりまく風景」、なんとなくの違和感がやっぱり。完全にやられた。自分がいかにバイアスをかけて見ているのかを教えられた。
    この作品もとても面白い。あと、心の中の嫌なところを出すのがとても上手い。

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    2025年09月16日
  • 天使はここに

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    今まで読んだ朝比奈あすかさんの作品の中では、
    一番 ソフトなかんじでしたね。

    高校時代からアルバイトをしていたファミレスで、
    契約社員として働く真由子。

    正社員にもしてもらえず、責任だけ負わされ、
    仕事量は増えているのに、お給料には反映されない。
    最近よく聞く、ブラック企業のような…。

    この真由子が、とにかく生真面目でね。
    いい子すぎて、心配になるくらい。
    ”おシャケさま”(いつも鮭定食を注文するから)との関わりにしても、
    「どうしてそこまで?」と不思議に思ってしまう。

    それなのに家族や恋人、友人にはいまひとつ心を開かない。
    そうなってしまったわけが、切なかったです。
    実の母親のことで

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    2016年03月31日
  • やわらかな棘

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    生きていくことは面倒で苦しいことだ。救ってくれるのは、友人でも愛する人でもなく、自分の気持ちだ。普通にどこにでもいる女性たちの心の苦しみを描いた連作小説。
    異性なのでよくは分からないが、おそらく等身大の女性たちが主人公。家庭内でも社会生活においても、人間関係はわずらわしく面倒だ。登場する女性がとても身近に感じるので、その棘の痛みもストレートに伝わってくる。故にタイトルの巧さは秀逸だ。

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    2016年03月22日
  • 闘う女

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    バブル期に名門女子大入学したひとみは、大学を卒業後、出版社に入社する。
    恋愛、結婚、育児、離婚、仕事、と、2012年現在まで、ひとみは闘い続ける。

    ひとみと一緒に、半生を歩んだような気持ちになりました。
    ほぼ同じ世代を生きてきているので、懐かしいフレーズもたくさん。
    IT機器の進化、人との繋がり方の変化など、忘れていたことをも思い出しました。

    最後まで強がるひとみが切ないです。
    でも、そんなひとみが魅力的なのかもしれません。

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    2016年02月16日
  • 天使はここに

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    全国チェーンのファミレスエンジェルズ ダイニングで働く真由子

    真面目でやさしく、欲がない。
    真由子こそ天使だけどあまりのひとのよさにいらっとする場面もあった。
    真面目に働くひとが報われる世の中なら暮らしやすいのに。でもどこでも一定にサボるずるい人っているからなぁー。

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    2015年12月13日
  • やわらかな棘

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    15/11/30
    復讐の話、もうちょっと読みたかったけどそのもうちょっと読みたいくらいがきっといいんだよね。「春待ち」はじんときました。“いつかは生まれかわって、知らない人になって知らない人と、この夕陽を見ることができるんだろうか。” (T_T)
    それから『誕生日は祝われる日ではなくて、感謝する日なんだ。お腹を痛めて、うんと頑張って、この世界に送り出してくれてありがとう、お母さん』て似たような言葉、市川拓司の小説でもあったけど、こういう考えすてきだと思います。

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    2015年12月01日
  • 彼女のしあわせ

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    ネタバレ

    *長女・征子は百貨店の幹部社員。独りで生きると決めてマンションを購入した。次女・月子は専業主婦。幼い娘を放り出しブログの世界に逃避している。三女・凪子は姉たちにも告げていない体の秘密を抱えたまま結婚した。母・佐喜子は夫と姑への我慢が限界に達し、ついに家出をする。それぞれの傷を抱えて生きる四人の女性の哀しみを包み込む物語*

    「本当に欲しいものは手に入らない。それが人生なんです」。女性なら誰でも一度は感じる葛藤や悩みがリアルに描かれ、とにかく巧い。これを読んだ年齢によって、共感出来る人物が変わるだろうな。

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    2015年05月08日