朝比奈あすかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ後輩に勧められるまで知らない作家さんだったけど、面白かった!
収録されていた2編を別物として読んでいたら、話がつながっていたことが分かったときはえらく興奮した。そういえば1編目の男の子の苗字が三沢で、2編目でミツハルという名前が出てきたとき、三沢光晴かよ!と笑ってしまったのだが、本当にそこがつながるなんて思いもしなかった(笑)
一人の視点からはすべてを見ることはできない。三沢はおじいちゃんやばんちゃん、そして富士川の別の顔(=自分が思い込んでいたのとは違う面)を知って救われただろうか。いや、後悔したかもしれない。それでも知らないよりは良かったように思う。2編目で読者はひとつの真相と、梢とばん -
Posted by ブクログ
何気なく手に取って何気なく読み始め、あっという間に読み終わった。読みやすいというのもあるけど、どこか自分にシンクロするところもあったのがあっという間に読めたわけなのかも。
東大を出て、同じ東大卒で弁護士の夫との結婚を機に仕事をやめ、再就職の気もなく失業保険をもらっている凛子。不自由だと言えば非難されそうな状況にあるのに、無頼で不遜な言動はこじらせ女子的。特に、夫の雄介に対するつれなさ、わがままさときたら……。雄介ときたら、よくもまあこんな凛子を妻にし、今も機嫌をとったりなだめたりしながらそれでも好きでいられるもんだと思ってしまう。そのくらい雄介は屈託なくいいやつで、自分の知っている雄介を彷彿と -
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ネタバレファミレス「エンジェルズ」で働く契約社員の真由子。
お客様に楽しい食事のひとときを過ごしてもらいたいという
精神で毎日一生懸命に働く真由子。
新しく入ってきた店長の十亀の傲慢さと幼稚ぶりに辟易しながらも
バイトの子たちとの交流、幼少期に蒸発してしまった母、
プロポーズしてきた売れない放送作家の太田、
働く息がぴったりだったトキちゃん
常連客だったおしゃけさまの切ない未来。
十亀の性格の悪さ=やっぱり癖のあるヤバイ奴
そのまんま!!笑
P159で面白いことが書いてあった。
善か悪で判断するのではなくて
守るものが増えてくると、だんだんと
楽か面倒かで物事を判断してしまう。
楽っていう -
Posted by ブクログ
高校卒業以来ずっとファミレスで働き続ける真由子。アルバイトから契約社員にはしてもらったものの、無理解な上司やクセのある大学生バイトたちがたくさんの職場は、なかなか良いようにばかりは回らない。そして朝食をよく食べにくるお爺さんの様子が変わり出してから、彼女も少し、変わり出すことになる…
普通に真面目でテキパキしている真由子だけれど、そのうちには大きな虚がある…というとありがちなようなのですが、そのぽっかりとした「抜けている」感じが少し心配になるような危ういバランスを感じさせます。
そんな彼女がファミレスで起こった事件や人とのつながりを経て少しずつ変わっていく様子には、ほっとするものがありまし -
Posted by ブクログ
今まで読んだ朝比奈あすかさんの作品の中では、
一番 ソフトなかんじでしたね。
高校時代からアルバイトをしていたファミレスで、
契約社員として働く真由子。
正社員にもしてもらえず、責任だけ負わされ、
仕事量は増えているのに、お給料には反映されない。
最近よく聞く、ブラック企業のような…。
この真由子が、とにかく生真面目でね。
いい子すぎて、心配になるくらい。
”おシャケさま”(いつも鮭定食を注文するから)との関わりにしても、
「どうしてそこまで?」と不思議に思ってしまう。
それなのに家族や恋人、友人にはいまひとつ心を開かない。
そうなってしまったわけが、切なかったです。
実の母親のことで