朝比奈あすかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主人公が温泉旅で先で出会う六つの短編小説です。
女友達の作り方
宮辺はふと思い立って参加したおひとり様限定のバスツアーに参加する。バスの席で高宇さんと隣同士になる。
ツアー最後の『わくわく温泉王様ハウス』のサウナで高宇さんと距離が縮まる。
「女友達を作る努力」努力で、友達って作れるんですか。友達って、もっと自然に、気づいたたらできているものなのではないのですか?
「友情を続ける事って、努力。だって、結構、大変だもの。幸せを嫉妬せずに分かち合って、愚痴を受けとめて、何かを意見したくなった時も伝えるための言葉を選ぶ。定期的に会う約束をし、互いに心と時間をかけて、対話を続けていくうちに、互いのミスすら愛おしと思えるくらいの関係になれる。そんな素敵な女友達にであうための時間は、まだたっぷりあるから。」
高宇さんの言葉から宮辺は、自分に必要な女友達に気が付く旅になる。
最後のまた会う日まで
後期高齢の博は長女の知花から「お父さん、どうしても運転やめられないの?免許を返納して」としつこく言われている。そんな娘を博はいまいましく思っている。
次の日、知花の言葉が癪に障った博は、亡き妻との思い出の温泉宿に車で出かける。途中大雪で車が動けなくなるトラブルに見舞われる。
そんな車の中に缶詰め状態の時、知花から電話がかかる。知花から昨日は言い過ぎたと謝罪の言葉と、知花から大切な言葉を聞き、娘や亡き妻のことを見つめなおす旅になる。
おやつはいつだって
智子はなくなった父の墓のある函館に向かう。
トラピスト修道院をめぐり。
母との関係を見つめなおした旅になる。
わたくしたの境目は
勇造は息子夫婦と孫と4人で、亡き妻の初子と二人で行った行った銀猿温泉に行く。
初子は、乳癌で片方の乳房を切除していた。何とか元気つけようと誘った思い出の銀猿温泉だ。
初子は乳房を切除してから自分の身体を人に見られることに、とても神経質になった。スポーツジムをやめて、共同浴場にもはいらなくなった。女性でも、というより、女性どうしだからこそ、さりげなくしっかりと、見てくる。そんな気がするのだと初子は言った。
初子の願いは乳房を再建することだった。たくさんの記憶を抱きとめながら生きた妻が最後に望んだものを、「必要がない」と切り捨てた自分を思い出す。
家族という塊になったからと言って、何をしても言ってもいいわけではないことに気が付く旅になる。
五十年と一日
照美は断食ツアーに参加する。宿で出会ったツアーのおばさんに背中を押してもらう。
昔の人が人間五十年と言ったのなら、わたしたち現代人は、この先さらに五十年。もう一回生きられるようなもんじゃないか。
そう考えたら、「よしっ」とちいさく声が出た。
「初めて」のことをいろいろしていこう。五十歳を過ぎてからの可能性をみつけた旅になる。
島と奇跡
博光は社内のフルリモートワークプログラムに当選して、半年後には島暮らしとなるため、島に一泊二日で事前ヒアリングに来た。しかし、博光にとってこの島に訪れるのは二度目だった。大学三年生の春休みに同級生の岡部と旅行できていた。その時工藤さんに親切にしてもらったことを思い出す。
その後、博光は意外なところで工藤さんに再会する。更に、この十五年で島は変わった。それに同級生の岡部が関わっていること知り、友情の再確認と人の親切に心が温かくなった旅になる。
文体が柔らかく楽しく読みました。でも、考えさせられることも多かった。
家族だからと言って何を言ってもいいわけではない。それから、友情を続けるには努力が必要なこと。 -
匿名
購入済みいろんなマリアージュ
私はアラフォーなので、結婚観について、この物語にでてくる女性たちより少し達観しているところはあるけれど、それでそれで?どうなったん?と最後までわりと一気に読んだ。
女子高出身というのが同じベースにあるから共感しやすかったのかもしれない。
少し年下の後輩たちの恋話をきいている感覚。
朝比奈さんの本は初めて読んだけど、読者に媚びていなくて、文章が読みやすく、情景が想像しやすかった。ちょっとした仕掛けもグッときた。
なので、アラサーの方はもちろん、アラフォーの方も読んでてわりと面白いと思います。女子高出身の方にもおすすめです。
真知子みたいな先輩、私もほしいな。
いくつになっても恋愛にまつわる話はおもしろい。 -
Posted by ブクログ
温泉ソムリエマスターの資格を持っている朝比奈あすかさんの六つの短編集です。読みやすくて『温泉小説』のタイトルどおり、ほっこりできました。
ひとり限定バスツアーで、今までの自分を見つめ直す【女友達の作り方】
免許返納に反発する高齢男性が、旅の道中に初めて気づいたことを描く【また会う日まで】
お嬢様育ちの女性が母親に思いを馳せ、自分の可能性に気づいていく【おやつはいつだって】
息子家族との温泉旅行で、亡き妻に思いを馳せる【わたくしたちの境目は】
50歳で初めてのひとり旅。断食道場でこれまでの自分の人生を思い起こし、新たな決意をする【五十年と一日】
学生時代に訪れた島。十五年後、奇跡的に出会えた人からまた更に奇跡を感じた【島と奇跡】
どの短編も、旅に出たからこその気づきがありました。読後、もう一度装画のイラストを見ると、温泉に行きたくなり、私も色々なことを考えてみたくなりました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ母親の我が子への愛情と期待…
子供の中学受験(小説内ではチュウジュと呼称していた)を目指し、教育熱心な母親の心労を描いたお受験小説。(ネタバレあり)
円佳(まどか)には小学校三年生の一人息子である翼(つばさ)がおり、地元の素行の悪い子がいる公立中学へ進ませることを躊躇し、義父母からのプレッシャーもあり、チュウジュ(中学受験)を翼と共に闘っていくことを親子で誓いあう。円佳はママ友やSNSでの情報収集をし、難関校への進学実績の高い有名塾に翼を通わせ、励まし続ける。しかし翼の塾のクラスが降格したり、悩みは尽きない。
母親としてできる限りの後押しをして、塾のクラスが最高峰のクラスになると涙を流し喜ぶ…やがて見かねた父親までが翼の勉強について口を出すようになり、スパルタ指導で暴力を振るう。翼も怒られるのが嫌で塾の試験で不正をする。このシーンは胸が痛んだ…やがて親の期待に応えられる成績が取れない翼は心が病んでしまう…
わからなくはないけどなあ…これが読み終えた後の感想だ。
言葉を選ばす言うとチュウジュは正直言って親の自己満足みたいなものであり、子供は言われるがまま、競争意識を煽られ、親を喜ばせたいから努力するような気がする…。
我が家は2人の息子がおり、もう2人とも成人しているが、昔のことを思い出してみても、息子たちを塾には通わせたけど、カミさんも僕もガミガミ鬼のように勉強しろ!と言った記憶は無いなあ。(新しいドラクエが出たら、一緒に夜遅くまで攻略していたアホな親父でしたし)
この小説はチュウジュをする(した)親御さんにはバイブルとなり、懐かしく思える内容なのかな。
しかしその経験の無い僕のような親には、ここまで教育に熱心で盲信的な親は『やりすぎ』であり、ちょっと滑稽にも思える。子供がそのまま真っ直ぐに育つかなんてわからないしね…優秀な人の集まる環境は刺激になるかもしれないが、偏差値の高い学校には優秀な層の中での競争があり、そこで劣等感を感じることもあるはずだ…もちろん親は素晴らしい人生を子供に送らせたい一心は当たり前の感情だが、結局は自分の人生の責任は自分にあるということが、今の僕の年齢になれば何となくわかる。
なかなかの問題作であることは間違いない…