あらすじ
「次は女の子を産むわ」。そう宣言して産み分けに躍起になる妻。そんな妻の決断にうっすらとした違和感を抱く夫。互いに心揺れる日々を経て、その果てに夫婦が得たものとは――(表題作)。男女の日常に生じたさざ波から見える、人間の愛おしさやつよさ。「心にしみる人間賛歌!」と王様のブランチでも絶賛された傑作短編集。
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Posted by ブクログ
ある男女を取り巻く風景
は、自分がいかに性役割が潜在意識にあったのかを感じさせられた。
口では男女平等だとは言うけど、根底の意識ってなかなか変わらないもんなのかな
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はじめての作家さんの短編集。
すごい。なんというか、話のつくりもテクニックも文章も上手で衝撃を受けた。自分の中にある男女の固定観念を突きつけられたり、色んな意味で男女の違いを考えさせられたり。女性を書くにあたっての視点も面白い。
「ある男女を取り巻く風景」のテクニックに圧倒され、「リボン」のメッセージに泣きそうになった。あえて好きなのあげたけど、本当に全部良かった~~。
人間のマイナスの感情がプラスに働く瞬間を丁寧に的確にリアルに書いてるのもすごい。共感してしまう人は多いのではないかなあ。
シンプルに、年を取るのもいいな、どんな生き方になってもその時々で幸せがあるんだなと、前向きな気持ちになれる。本当に良い小説を読んだ。満足感というより幸福感を感じられる一冊。
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女の子をどうしても産みたい、その一心で産み分けに躍起になる妻を描いた表題作を含んだ全5篇の短編集。
「ある男女をとりまく風景」は秀逸!やられた!
「弟の婚約者」も、女性の狂気じみた感情が細かく描写されててゾクゾクしながら読んだ。
リピートしたい一冊。
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典型的な帯買い(帯を見て惹かれて買った)した本。そして帯を信じて買ってよかった、と思った本。
「次は女の子を産むわ」と宣言して産み分けに必死になる妻を、言い表せない違和感を持ちながら見つめつつともに暮らす夫が主人公の表題作。その他四編。
全てにおいて、ハッピーエンドではないけれど希望が見えないわけでもないラストが秀逸で、独特な読後感だった。
ちくりと胸が痛むけれど、泣きたいのとは違うような。
“普通”な人間なんてこの世の中にはいないのかもしれない。一見何の問題もなく、何の悩みもないように見えても、その実はわからない。
そして“普通の関係”というものもない。
それぞれ個性がある人間同士の関係には、それぞれの進み方があり、それぞれ様々な出来事がある。
危ういバランスながらもうまくいくこともあるし、努力をしてもうまくいかないこともある。
ほんの些細な心理描写や登場人物の言葉が、胸に刺さったり、こういう感情ってあるなぁと思ったり。
いわゆる叙述トリックの物語もあるのだけど、本当に騙された気分ですごく楽しかった。
えっえっ何なに?(戻って読み返す)そういうことか!巧い!一本取られた!みたいな。笑
叙述トリックの小説ってけっこう話題になるから事前に知っちゃってて疑いながら読むパターンが多いけど、まったく知らなくてしかも巧いと本当に楽しいんだと思った。
朝比奈あすかさん。初めて読んだ作家さんだけど、他のもこんなに面白いのだろうか。
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推薦者(宮下奈都さん)買いしたものの、幸福な出会いだと思う。
物語はとつとつと進み、派手な事件が起きたりはしないけど、丁寧に描かれた文章なのかなと思うけど、とてもするりと気持ちに入ってくるカンジ。
物語の機微を楽しめる。
「ある男女をとりまく風景」は叙述的トリックというか、そのギミックに目を奪われるが、そうと気づいて尚、納得というか、理解というか、無理解というか、ふと思いを添わせてしまう自分に驚くのだ。
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前回長編の作品を読んで面白かったので読んでみました。
短編でここまで面白いのはなかなか無いのでとても良かったです。
さくさく読めてすぐに読み終わりました。
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表題作をはじめとする、短編5編からなる作品集。たしか、本の雑誌の年間ベスト10からだったか。各主人公たちには、それなりの試練が降りかかるんだけど、最後はハッピーエンドとはいかないまでも、救いのある結末、といった結構。それぞれに味わい深いものがありました。
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「次は女の子を産むわ」と宣言して、産み分けに躍起になる妻、違和感を覚えながら異を唱えられない夫。様々な葛藤を経て夫婦がたどり着いた先は・・・「憧れの女の子」を含む5つの短編。
とにかくどの作品も良くできている。
それぞれに微妙なテーマを扱いながら決して重すぎず、心に引っ掛かりを残すもののラストは小さな希望があって読後は決して悪くない。
「ある男女をとりまく風家」では絶妙な叙述トリックにまんまとしてやられ、「リボン」では人との関わり方の難しさをしみじみと感じ、「わたくしたちの境目は」ではがんで妻を亡くした夫の後悔の念を思い泣いた。
5つの作品はそれぞれに違う年齢、境遇の男女の機微をうまく描いているから、読み手はいずれかを自分の人生に引き寄せて感じ入ることが出来るのかもしれない。
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朝比奈さん初読みです。5編のお話からなる短編集、理想と現実の間のギャップに困惑したり、悩んだりしながら、前向きに生きている人達の話が面白かった。どの話も主人公の背景がきちんと描かれているので時に共感したり感情移入して読みました。うまい作家さんだなあ……『憧れの女の子』の意味はそっちか、そして『ある男女をとりまく風景』はすっかり騙されました。ゲスなDV男だと思っていたのに……やられたーって感じ。他の作品も読んでみたい。
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男女の心の行き違いから浮かび上がる人間の本質を鮮やかに描く5編の短編集。他人事のようで、実は私たち自身の物語。
ある男女の特殊な状況を、斜め目線から捉えるような印象を抱くが、いちいち心に小さな棘が刺さったような気持ちになる。まさに、痛いとこ突かれたという感じ。男は男の、女は女の考えと感情があり、関係がうまくいくかどうかは、たとえ同姓でも分からない。その微妙な心うちを作者は捉えるのが非常に巧い。
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ふつう、と、ふつうじゃない。
当たり前、と、当たり前じゃない。
大丈夫、と、大丈夫じゃない。
境目はあいまいで、自由で、不自由だ。
強く美しく生きるってなんだろう。
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ジャケット、タイトルから、普段自発的に読むタイプの本ではないかな…と読まずに避けていたのがもったいなかった!というくらいに、巧い。
表題作「憧れの女の子」の、相反する気持ちが素直に同居している登場人物たちや白とも黒ともつけられない出来事の描写にリアリティが詰まっていて沁みた。
「ある男女をとりまく風景」にはやられた。自分は持っていないと思いこもうとしていた先入観が実はありありと存在していることを突き付けられる。
電車に乗る前に読む本がなかったため急いで買った本だったけど、良い出会いだった。
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2016.4.19に既読だったが再読。
「憧れの女の子」子どもが増えるごとに結びつきが強くなる夫婦、理想だな。5人目の性別が書かれていないところが気になるが、きっと…
「ある男女をとりまく風景」、なんとなくの違和感がやっぱり。完全にやられた。自分がいかにバイアスをかけて見ているのかを教えられた。
この作品もとても面白い。あと、心の中の嫌なところを出すのがとても上手い。
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女の子がほしい敦子と、男児2人で満足している俊彦。男女として愛し合っていた2人のかたちがどんどん変わっていく作品。女の子を産むための感情のないセックスが生々しい。
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「ある男女をとりまく風景」は種明かしまで勘違いしたまま読んでたからびっくりしたし、無意識でフィルターかけてたんだなということに気がついた。
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巻末の解説で宮下奈都さんは絶賛して再読のたびに違う感動が味わえるようにあったけど自分はすんなり理解できない部分もあったり…短編の中にいろんな世代のいろんな人の人生が垣間見れて楽しめた。『弟の結婚』には感情移入して読んでしまった。
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どうしても女の子が欲しくて、産み分けに躍起になる妻に戸惑いながらも協力していく夫の揺れる心情を書いた「憧れの女の子」
普通の男女の話と読み進めていくと、えっ!そうだったの?びっくりさせられた「ある男女をとりまく風景」他3編
Posted by ブクログ
表題作は、どうしても女の子の母になりたがっていた妻を見下していた夫が、物語の後半にいくに従い女の子の父になれない寂しさに気持ちが変わっていくのが意外性があり怖くてリアル。
出産前の検査も生み分けも個人の自由だと思うが営みそのものや、命の芽生から神々しさが失われるのは確かかも。
他の短編もどれも身近に感じられる物語で、ラストが爽やかな光が想像出来るのがとても良い。
もがいてあがいて、何かが終わって見えてくるものがあるという事を教えてくれる。
Posted by ブクログ
リボンやわたくしたちの境目は、が考えさせられる。産むこと、女性、っていうのは、生きてく上で忘れてはいられない、一生ついて回る問題だと思う。