朝比奈あすかのレビュー一覧

  • ななみの海
    とても読みやすいのでどんどん進められるが、内容は濃い。心の描写が素晴らしい。明るいだけの話ではないが、なぜか前向きな気持ちになる。
  • 憂鬱なハスビーン
    この切り取り方は長めの短編なんだろうな。村上春樹の『風の歌を聞け』の似たような長さの作品が群像の新人賞デビューだったのを思い出す。
    言葉の選び方など、すでに作家として十分完成されているのを感じ、その後の活躍を予感させる作品であるのと同時に、「憂鬱な」という題名そのものの、痛いくらいの追い詰められ感の...続きを読む
  • ななみの海
    前半は、今どきの高校生たちの会話について行けず、いまいち感情がはいらなかったが、後半はよかった。
    児童養護施設で暮らすななみのお話。

    ラスト、みえきょんがななみに「何も話してくれても、話さなくてもそれは関係ない。ななみんだから大好きだ。」というシーンが感動した。高校生、いろいろ友人関係もあるし自分...続きを読む
  • ななみの海
    児童養護施設で暮らす高校2年生のななみ
    仲の良い学校の友達にも施設で暮らしていることは明かしておらず、普通の高校生としての毎日を送っている

    こういう物語としてありがちな
    いじめだとか偏見だとか酷い嫌がらせは出てこない
    かといって、出てくる人物がみんないい人だったりもしない

    ただ、普通の人たちが『...続きを読む
  • 君たちは今が世界
    子供の頃のあの閉塞していた世界。
    私が子供の時よりも、今の子の方がずっと難しいのかもしれない。現在小5の娘の毎日もこんなふうなのかしらと思ったら胸がギュッとなった。程度の差こそあれ、こういうことは、きっとある。

    大人はこんなにも心配しているのに、子供には見えていないものがたくさんある。そして子供は...続きを読む
  • Valentine Stories
    ラブラブ甘々なものは全くなく、
    どれもどこか切ないのが小説って感じでした。

    やっぱりあんまり幸せすぎるのは
    ネタにならんのでしょうな。
  • ななみの海
    施設で暮らす高校生 ななみの、「18歳で施設を出て自立しなければならない」という現実が重い。
    帰る場所があって一人頑張るのと、そうではなく一人で頑張らないといけないのとでは気持ちの上では大きく違う。

    医学部を目指すななみの青春の日々。受験、部活、恋、アルバイト、友人とのすれ違い…。
    焦りや不安、い...続きを読む
  • ななみの海
    施設の子のおはなし。
    施設の子には、施設の子らしさというものがあるのだろう。それは僕ら社会学者からすれば、当然のようにあるはずだ。
    だけど、幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭がみな違うように、施設の子にも様々なあり方がある。そしてそうした子たちと一緒にされたくないという子も当然出てくる。それも...続きを読む
  • ななみの海
    大人でもない子どもでもない、その合間でたゆたう十代後半という世代。だからこそ大人をうとましく、子どもを遠ざけたく思う、そんな世代の心情を、児童養護施設に暮らす少女の日常を通して細やかにみずみずしく描いた物語でした。

    「寮の子」という、家のある子よりも「頼りない手すり」をすがって生きるしかない彼女た...続きを読む
  • 君たちは今が世界
    隣のクラスがこれに近かった。自分のクラスにもカナのような子がいた。
    当時はこんなくだらない子たちとは違うとか、私は加勢しないとか嘯いていたけど、ただの傍観者という名の加害者だったんだろうなと思う。
    国語とか現代文とか得意で、たぶんこれが出題された開成中の試験も、解いたら「それなりに」出来ると思う。
    ...続きを読む
  • ななみの海
     児童養護施設のことを、本書を読む前はよく認識していなかった。
     将来何になりたいかなんて、子どものうちに分かるわけないし、とりあえず前に進んでからでも遅くはないと、俺はそう思っている。
     だけど、18歳で施設を出なければいけないというタイムリミットがある子供たちにとって、早く大人にならなければいけ...続きを読む
  • 人間タワー
    二つの小学校合併の象徴として、六年生全員で造る『人間タワー』。運動会の伝統となり、保護者のみならず地域の住民にも楽しみにしている人は多い。しかし、組体操が危険視される風潮の中、昨年は失敗に終わってしまった。
    今年はどうするべきか。保護者、教員、そして当の児童たち。様々な意見に分かれる中、出された結論...続きを読む
  • ななみの海
    ななみ、頑張れ。両親を早くに亡くし、養護施設で生活している高校生のななみ。友達もおり、部活も楽しみ、彼氏もいる。なのにふとした時にモヤモヤする。「施設暮らし」「親がいない」というのが自意識以上にコンプレックスになり、ささくれた気持ちが抑えられない。複雑なななみの心情を中心に書いた作品。正直ななみは発...続きを読む
  • ななみの海
    施設の子と一括りにすることはできない。
    そこには、一人一人、全く違う悩みを抱え、
    生きている子どもたちがいる。
    親がいるから、家があるから、幸せか?
    それも一概には言えない。 
    皆、それぞれに苦しんでいる。

    だから、世の中には、いい大人が必要。
    ストレートだけど、強いメッセージ。
  • 天使はここに
    高校生でバイトを始めてそのままファミレス エンジェルズに就職し、まっすぐ仕事に邁進する真由子。

    ファミレスのリアルな勤務状況がわかって面白かった。人手が足りずシフトを回すのが大変なのに、その中で要領よく楽に仕事をしようとすらバイト生達に憤りを覚えたが、実際こういう人達いるなぁと妙に納得。時に彼等に...続きを読む
  • 人間タワー
    人間が関わって出来ることについて、関わるひとそれぞれの視点で書かれた内容。
    他者に見える自分と自分がわかっている自分のギャップ。何歳になっても人間の本質は変わらない。
    人間関係の中で日々不具合はあるが、向き合ってやっていくことで小さな幸せや達成感が得られることがある。そんな積み重ねが人生を豊かにする...続きを読む
  • 天使はここに
    この小説を読んで、本の良さというものを感じた気がしました。それは、自分が経験した事がない事でも体験した感覚になれるということです。
    今まで考えた事もなかった、仕事をしてる人、家族関係、人間関係、自分以外の考え方や思いを知る事ができる、それが読書の良さだと思えた一冊!

    で、この後どうなったのかが気に...続きを読む
  • 自画像
    単なるスクールカーストではなく、中学生や思春期特有の承認欲求や自意識の強さをぎゅっと凝縮させてた特濃ジュースのような描写に感嘆。
    清子がいった学校は教師も生徒も底意地悪すぎて過激と思うけど、たしかに似たような感情というのは自分の学生時代にもあって恥ずかしく苦々しい読み心地だった。
    私は女子校だったけ...続きを読む
  • 君たちは今が世界
    小学校6年生が主人公。
    学校カースト、いじめ、ネグレクト
    モンスターペアレント、
    学校生活を取り巻く様々な問題が
    描かれている。大人になった今、
    あの頃の人間関係がいかにしんどかったかを
    思い出させる作品。
  • 君たちは今が世界
    一言で言うと、「生々しい」!!
    小学6年生の小さな世界が、リアリティたっぷりに大きく描かれていました。同じ小学6年生の娘がいますが、彼女から見えている世界はどんなものだろう?と考えるきっかけになりました。
    決してハッピーエンドというわけではなく読後の清涼感はないものの、最後に大人になった彼らのその後...続きを読む