児童養護施設のことを、本書を読む前はよく認識していなかった。
将来何になりたいかなんて、子どものうちに分かるわけないし、とりあえず前に進んでからでも遅くはないと、俺はそう思っている。
だけど、18歳で施設を出なければいけないというタイムリミットがある子供たちにとって、早く大人にならなければいけ
...続きを読むないために、将来の選択を18歳までに選ぶ必要がある。
それは子どもにとっては重圧だと思う。
逆に、将来のことを考えず、とりあえず大学に行って、とりあえず就職をしてから考えることは、遅きに失しているとも思うようになった。
将来に正解なんかないけど、選択を迫られる子どもたちの存在に気が付くことができた。
施設に入る子にはそれぞれに事情がある。
本書の主人公、ななみは母子家庭だったが母が亡くなり、祖母に引き取られた後は祖母が亡くなったという事情がある。
施設で暮らしていることを少数の友人しか話さず、仲が良いグループの間柄でも伝えられずに、夜の門限には家が厳しいからと言い訳をして早く帰る。
でも、普通の子は、もっと遅くまで遊んでいたり、スマホだって制限なく使っている。
それに、施設の中にも、甘えっぱなしの低学年の子にはイライラする。
馬鹿にされちゃアいけない、という祖母の言葉が頭にこびりついて離れない。
18歳になったら施設を出ていかなければいけない。
高校三年生になり、将来のことを考えなければならない。
ななみが選んだ道とは。