あらすじ
ファミレスの契約社員として働く真由子は高校のアルバイト時代から7年のキャリアを持つベテラン。だがあまりに働き詰めの生活に、恋人にも「真由ちゃんの店、ブラックくさいわ。搾 取されてる、みたいな」とまで言われてしまう。忙しい日々の中、常連客の老紳士や信頼できるスタッフとの交流が真由子の心の拠り所だったが──。決して楽 ではない職場での人間関係と日々起こる事件の数々から、主人公の心理的成長を繊細にみずみずしく描いた物語。『あの子が欲しい』でもいま注目を浴びる、気 鋭の作家による書き下ろし長編小説!
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Posted by ブクログ
ファミレスを舞台にしたお仕事小説。
表紙のイメージとは違う、常にザワザワした気持ちで読み続けたストーリーでした。
真面目に一生懸命に仕事に向かう真由子。
そのせいで、貧乏くじを引くことも多く、周りからも都合のいい存在として扱われてしまう。
ファミレスの同僚の中には、少しの悪意を持つ人達もいて、明るい雰囲気の場所が舞台のはずなのに、何故かドロドロしたイメージが付きまといます。
真由子の生育環境、同僚バイトのトキの母娘の確執など、気になることが次々明るみになり、ページめくる手が止まりませんでした。
最後は明るい兆しの見える終わり方で読後感は良好。橋輝が気になります。
Posted by ブクログ
高校生でバイトを始めてそのままファミレス エンジェルズに就職し、まっすぐ仕事に邁進する真由子。
ファミレスのリアルな勤務状況がわかって面白かった。人手が足りずシフトを回すのが大変なのに、その中で要領よく楽に仕事をしようとすらバイト生達に憤りを覚えたが、実際こういう人達いるなぁと妙に納得。時に彼等に振り回されるが、橋輝にインテグリティが真由子くらい高い人をみた事がないとの言葉に、真摯に仕事をしていれば必ず分かる人には分かると改めて思った。頑張れ真由子!
Posted by ブクログ
この小説を読んで、本の良さというものを感じた気がしました。それは、自分が経験した事がない事でも体験した感覚になれるということです。
今まで考えた事もなかった、仕事をしてる人、家族関係、人間関係、自分以外の考え方や思いを知る事ができる、それが読書の良さだと思えた一冊!
で、この後どうなったのかが気になる!!
Posted by ブクログ
ファミレスで働く真由子が、そこで出会う人たちとの交流を通して前に進んでいく物語。はじめはまっすぐすぎる真由子が痛々しく思えるけど、実はまっすぐなのではなく、幼い頃に実の母に捨てられた経験から他人に期待せず壁を作って接しているのだと気が付く。それでも、どんな時でも楽な方へいかない真由子を応援したくなる。橋輝くんが良い。現実的には育ってきた環境が違いすぎるし難しいだろうけど、真由子と幸せになってほしいなぁ。
Posted by ブクログ
松村さんは不正をしない人だと思う。俺、就活でたくさんの人に出会ってきたけど、松村さんくらいインテグリティが高い人を見たことがないから。和久に紹介してもらう前から、店であなたの働き方を見ていて、尊敬していた。今、ますますその気持ちが強くなっている。
Posted by ブクログ
一生懸命な主人公に降りかかるチクチクした理不尽が読んでいてつらかった。モヤモヤする心情を読者に与えるのが上手だと思う。
読む前は『和菓子のアン』をイメージしてたけど、もっと闇が深くてリアルだった。どちらも面白いけれど、個人的にはこっちのほうが好み。
Posted by ブクログ
朝比奈あすかさんの本は、ぐいぐいと入り込めて好き。
細かい気持ちの描写とか、すごくよくわかる。
明らかに傷つかないけど、モヤっとする感じの気持ち。へこんでる時にモヤがあるとかなり落ち込むよね。
ドラッカーの真摯さの経営論を思い出したIntegrityという言葉。
どれだけ仕事に慣れても持っていたいものです。
Posted by ブクログ
前半は主人公にコンビニ人間のファミレス版的な恐ろしさを感じた。
このファミレスだけが世界の女性と、周りのバイトや店長たちの感じがすごく上手に書かれてて感心しました。
で、ちょっと上向きになって終わります。
Posted by ブクログ
大手ファミレスチェーンで働いている真面目さが取り柄の主人公は、周囲の悪意には鈍感だし、好意にも気づけない。けれども親切心や心配する気持ちは誰よりもある。 感情の表出が上手くできないし、周りへの接し方が不器用だけどその懸命さはいと良し。 つまり、信じるもののために邁進していけるということであり、このことを作中では「integrityが高い」と表現されていた。 どうしようもないクソみたいな職場でも、頑張れば報われるという感じの話なのでブラック企業に勤めている方はぜひ読んでみては。
Posted by ブクログ
ファミレス「エンジェルズ」で働く契約社員の真由子。
お客様に楽しい食事のひとときを過ごしてもらいたいという
精神で毎日一生懸命に働く真由子。
新しく入ってきた店長の十亀の傲慢さと幼稚ぶりに辟易しながらも
バイトの子たちとの交流、幼少期に蒸発してしまった母、
プロポーズしてきた売れない放送作家の太田、
働く息がぴったりだったトキちゃん
常連客だったおしゃけさまの切ない未来。
十亀の性格の悪さ=やっぱり癖のあるヤバイ奴
そのまんま!!笑
P159で面白いことが書いてあった。
善か悪で判断するのではなくて
守るものが増えてくると、だんだんと
楽か面倒かで物事を判断してしまう。
楽っていうのはサボるんじゃなくて
いかに一生懸命に楽をするのか。
いかに目をつぶって過ごせるか。
だけどそれじゃあ、信じるべきものの為に戦えなくなる。
すらすら読める。)^o^(
Posted by ブクログ
高校卒業以来ずっとファミレスで働き続ける真由子。アルバイトから契約社員にはしてもらったものの、無理解な上司やクセのある大学生バイトたちがたくさんの職場は、なかなか良いようにばかりは回らない。そして朝食をよく食べにくるお爺さんの様子が変わり出してから、彼女も少し、変わり出すことになる…
普通に真面目でテキパキしている真由子だけれど、そのうちには大きな虚がある…というとありがちなようなのですが、そのぽっかりとした「抜けている」感じが少し心配になるような危ういバランスを感じさせます。
そんな彼女がファミレスで起こった事件や人とのつながりを経て少しずつ変わっていく様子には、ほっとするものがありました。ありがとう、という言葉は何度行っても言い足りないことはない。そういうふうに何かで聞いたことがありますが、そうだなあと。相手を思い遣ることって、さりげなくて結局は「ありがとう」に集約されるなあ、と思ったりしました。
ただほっこりしていたお爺さんが、変わっていく様子は、なんとも切なくありましたが…
嫌味な上司がそれなりの報い(というかなんというか)を受けたのだけはちょっと胸がすっとしました…。
読み込めば真由子の境遇の辛さとか、重い側面もありますが、基本的には明るいトーンのお話で、楽しんで読むことができました。「自画像」からつづいてこちらを読みましたので、ずいぶんほっとしたのでした…。
Posted by ブクログ
今まで読んだ朝比奈あすかさんの作品の中では、
一番 ソフトなかんじでしたね。
高校時代からアルバイトをしていたファミレスで、
契約社員として働く真由子。
正社員にもしてもらえず、責任だけ負わされ、
仕事量は増えているのに、お給料には反映されない。
最近よく聞く、ブラック企業のような…。
この真由子が、とにかく生真面目でね。
いい子すぎて、心配になるくらい。
”おシャケさま”(いつも鮭定食を注文するから)との関わりにしても、
「どうしてそこまで?」と不思議に思ってしまう。
それなのに家族や恋人、友人にはいまひとつ心を開かない。
そうなってしまったわけが、切なかったです。
実の母親のことで傷つき、誰かに期待し、望んだりすることが怖くなってしまったのかも…。
でも「この仕事が好き」と素直に言える真由子だから、
きっとこの先も大丈夫。
必ず見ていてくれる人はいる。
真面目にコツコツ努力し続けた人が、いつか報われる。
やっぱり、そんな希望をもてる話が好きです。
Posted by ブクログ
全国チェーンのファミレスエンジェルズ ダイニングで働く真由子
真面目でやさしく、欲がない。
真由子こそ天使だけどあまりのひとのよさにいらっとする場面もあった。
真面目に働くひとが報われる世の中なら暮らしやすいのに。でもどこでも一定にサボるずるい人っているからなぁー。
Posted by ブクログ
ファミレスチェーン店で長年働き続ける女性の物語。
小さな出来事や、事件と呼べることが起きたりして、就活の大学生や正社員やお客様を見ながら、今は契約社員である自分の今後とか、友情や恋愛なんかについても、あれこれ考えて過ごしていく。
事件はちょっとあるものの、あくまで添え物で、ベースは主人公真由子の思いや生き方がずっと綴られている。
ファミレスにも、どんな職場でもそうかもしれないけど、いろんな出来事があるなぁと、楽しく読んだ。
真由子の真っ直ぐさが、好きだなぁ。危なっかしさもあるけれど、このまま健やかに朗らかに生きてほしいな。
Posted by ブクログ
翼の翼に出てくるエンジェルズ。高校生の頃からバイトしてその後契約社員になった真由子。
橋輝が言う「インテグリティが高い、不正をしない人」であることは正しくはある。大人になるにつれ正解でなくとも選ぶことがあると私自身は思う。いつか真由子も悩むのか、悩まず現状を突っ切るのか気になる。微妙な心の塩梅を描くのが本当に上手い作家さん。
Posted by ブクログ
主人公のひたむきさ、真面目さが裏目に出ちゃうこともあるお話。
単調ではあるものの、
「仕事とは」とか「各々の価値観とは」っていうのを
考えさせられた。
ラストは前向きに終わりましたよ!
Posted by ブクログ
読みやすくてサクッと読める、その分引っかかりがないと言うか物事が想像通りにストレートに進んでいく。主人公の真面目すぎる行動に橋輝はなぜこの子を好きになったのか?と思った。
昔の自分と重なる部分はすごくある。
Posted by ブクログ
高校生アルバイトから契約社員になり正社員となった真由子の人生を少しずつ切り開いていく生き方に憧れる。なにげなく行くファミレスの見方が変わった。スタッフの仕事ぶりに目がいきそう。
Posted by ブクログ
【なぜ読んだか】
青春小説を読みたくなった。ライトなやつ。
表紙が面白かったのと、サクサク読めそうだった
【感想】
読みやすかったが、青春小説としては読みたかったものとは違った。ただ、印象に残る言葉はいくつかあった。特に橋輝の「integrity」の段で、要領のいい人は楽をしても残っていく。でも本当に信頼されるのは逃げずに楽をせず、正しいか間違っているかという軸で動いている人。人は、楽か面倒かで動くようになる。
社会に出たら、まさにそう感じる。うちの会社の上司にもいる。日野自動車不正でも「三遊間」という表現があったが、そういう業務を押し付け合うことがまさに橋輝の言う「楽をする」ことだと思う。
人との間に線を引いて、ドライな考え方をしている真由子のような人はいるね。結局、誰のことも信用できてないんだろうな。でも、人に期待して裏切られたとしても、信頼できる仲間がいることって安心できるし、自分の心も楽になると思う。大人になると、なかなか難しいんだけどね。
Posted by ブクログ
主人公は松村真由子23歳。契約社員。
勤めているのは全国展開するファミレスチェーンの東京桜野店。開店前の準備から混雑時の目配りやアルバイトのフォローまで、いつも真由子は大忙しです。さて今日は……。
* * * * *
真由子の成長物語だというのが、読み切るまでわかりませんでした。
全編通じて描かれるのは、仕事に真摯に向き合う真由子の姿。非常に忍耐強く、ブラックな労働条件でもベストを尽くして働く。立ち位置をわきまえ、常に店のことをいちばんに考えて行動する。
そんな誠実なお伽話のヒロインのような女性が幸せをつかむまでの話かと思っていました。
けれど、さすがに朝比奈あすかさん。一筋縄でいくようなストーリーは作らないのですね。
なるほど、真由子が生育家庭に恵まれなかったことが、ここに繋がってくるのか。そのことに気づいた真由子は確かに成長はします。でも、ほんの少しなんだな。
クライマックスと呼べるほどの場面もないですし、真由子の日常にさしたる変化はありません。盛り上がりには乏しかったのですが、妙に納得してしまう作品でもありました。
Posted by ブクログ
クレープ·シュゼットが美味しいファミリーレストラン「エンジェルズ」でがむしゃらに働く22才女·真由子のお話。正社員目指してバイトからずっと続けるもなかなか採用されず現在は契約社員。社員をいいことに休みもなく働かされるも、仕事に一生懸命なためそこに疑問も抱かず。
真由子がひたむきで一生懸命で世間とずれていて、たまにこういう人ってホントにいるな、と思う。実際に会って接すると変わっててちょっと「?」ってことも多いと思うようなタイプだけど、でもこういう人がホントは誠実で何に対してもまっすぐで良いんだと思う。接客業って大変だけどやっぱりいいよな、と思ってしまうようなお仕事物語。
「不自由な絆」で出てきたファミリーレストランの「エンジェルズ」だ!!と思ってちょっと嬉しい。
Posted by ブクログ
天使、ということでもっとほんわかした話だと思って手に取った。
飲食業経験者として、主人公・真由子の気持ちが痛いほどよくわかって、ほっこりするどころか疲れてしまった。
でもハッピーエンドではある、のかな。
Posted by ブクログ
ファミレスという舞台、アラサーになり、契約社員のままの主人公の真由子さん。さまざまな性格のアルバイト、嫌な店長、常連など人間模様が細かく書かれていて、描写が容易に想像できる。ちょっぴりセンチメンタルになる展開もあるが、ほっこりしたラストで読みやすかった。
Posted by ブクログ
ファミレスお仕事物語‥簡単に言えばそうなるけど、主人公の不器用さ、関わる登場人物との絡み、かなりイライラしたが、なぜか惹きつけられた。化けるのを期待していたのかな?
Posted by ブクログ
こんなに頑張っているのに正社員じゃないんだ。
正社員とか契約社員とかアルバイトというくくりでなくて、個人個人の頑張りでお給料が決まればいいのにね。
ファミレスに行ったことがないから、どんな雰囲気なのか想像もつかないけど。
Posted by ブクログ
ファミレスチェーンで15歳からバイトをはじめて7年、ただ真面目に誠実に、自分の働くお店が好きで仕事を続ける真由子。大学生バイトから見たら何でそこまで?といわれるような働き方ですが、彼女にとってファミレスで働くことは、大切なことでただ生活のために働いてるんじゃないことがわかります。
今のお店での店長やバイト仲間との関係、仕事場での自分の立場。幼いころ、祖母と育ての親代わりの叔母と楽しみに訪れたファミレスの思い出。ファミレスという場所で働く真由子の感情と日常が書かれています。
誠実に一生懸命働くことや、自分の目で人を見ることや、何かを大切にすること、淡々としたストーリーですが読後感良しです。
Posted by ブクログ
真摯に働く非正規労働者の話。働くことの意義や心持ちをかんがえさせられる。正しいことがすべてではないと思うし、清濁併せのむことを悪だとは思えない。だが、真摯にとりくむ志はもっていたい。インテグリティ、よい言葉を知った。
Posted by ブクログ
これが日本の現状なのかと思うと虚しくなる。アメリカの最低賃金が日本の倍はあるらしいので、それだけの経済格差があるということか。いや、経済格差というより日本の労働者全体が搾取されているように思える。あまりこの作品の感想ではないけど。
Posted by ブクログ
初めての作家さん。
ファミレスの契約社員の真由子。
橋輝こと橋本輝也。
仕事が休みの平日の朝にファミレスで読書するのが好きなので、
「おシャケさま」
みたいにあだ名付けられてたらちょっと恥ずかしい。
橋輝の
「一生懸命に『楽』なことをするようになる」
ってちょっと響いた。
本当にそう思う。
不快な思いを心の底からしたくなくて、いろんなものから逃げている。
でも、正義とか善は貫きたくて。
これも結局は心の『楽』を求めるが故なのか。
最近、反省している「あたしの価値観での善と正義を他人に求めない。」ということが更にしっかり植え付けられた気がする。