あらすじ
六年三組の調理実習中に起きた洗剤混入事件。犯人が名乗りでない中、担任の幾田先生はクラスを見回してこう告げた。「皆さんは、大した大人にはなれない」先生の残酷な言葉が、教室に波紋を生んで……。
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涙止まらず。
教員という立場で子どもたちの心、立場、環境など全てがもう私には苦しいくらい色々伝わってきて、言葉にうまくできないけど、どんな子どもがいようと私はその心にしっかり寄り添える人でありたい。
全部わかることは難しいかもしれないけど、もしかしたらできることがないかもしれないけど、私は寄り添っていく気持ちを常に持ち続けたい。
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小学生のダークな部分を鮮明に切り取っていて読みながらぞくぞくしました。
章ごとに主人公が変わり、それぞれの子の心境の変化やその時なにを考えていたのかが見えてきます。
どうしようもなく見えた子が実は優しかったり、強く見える子が実は弱かったり。
当時の自分はどうだったか、自分が無邪気にやっていたことはだれかを傷つけていなかったか。
これからの人への接し方についても考えさせられる一冊でした。
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学級崩壊している6年3組。幾田先生の「あなた達はろくな大人になれない」大人になった私は、どんなにこれを言うのが辛かっただろうかと思う。犯罪なのだ、と伝える場面では胃が痛くなるほど緊張した。この子どもたちの親の年齢も過ぎたのに子ども目線の語りでは自分も過去を思い出し、先生の気持ちになるシーンもあった。今の小学生も、その年齢の子を持つ親も大変だ。
自分が一人にならないために心を砕く、周りから浮かないよう水面下の細工も必要で、注目の的になりたがる男子や目立ちたい女子、なぜか先生から優遇される子もいたことを思い出す。二度とあの頃の学校が全てだった年齢に戻りたくない。
それをリアルに感じられる描き方が素晴らしい。
いい作品です!
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大人が読むと、学生の頃思っていたあの時の気持ちや教師側の対応のどちらにも寄り添える気がするが、学生と教師の思いが中々混じり合えないのは教育現場において未来永劫の課題であるかなと思う。
正解のない問い。人間の心に寄り添いながらも社会全体や倫理観と調整をしながら最善策を練る教師、こんな仕事も今後AIに侵食されていってしまうのかな…
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朝比奈あすか先生の本を読むのは2冊目。
本当子供の心情描写が素晴らしい…
すぐ近くにその子供が存在している気持ちになる。読みごたえもあり、どんどん読み進めて、いつのまにか読み終わった気がする。
この登場人物が出てくる他の話も読みたくなった。続編希望…。
個人的には、武市陽太くんのお母さんみたいに、子供と接するのが理想なのに、なかなか現実はうまくいかないな…
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6年生のとあるクラス。
エピソードごとに違う主人公の生徒から見た、それぞれの学校生活を描いています。
グループの一番下のいじられ役男子、自閉症の子、ダンスの上手い可愛い子、勉強ができて達観してる子‥
親もそれぞれ、高圧的だったり、多少ダサくても思いやりがあったり、それとなくネグレクト気味だったり。
一人一人の心理描写が瑞々しく、手に取るようにわかります。まるでその子本人か親になったみたいな気持ちで読みました。
クラスの他の子はこの場面でどう思ったのだろう。
続編が読みたい。名作だと思います。
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始めの話であった事件は、本当に胸が痛い。先生はあの言葉を言ってはダメだったろうけど、言いたくなるよね。
子供たちの幸せなだけじゃない複雑な世界がとてもよく表現されてた。良かった
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小中学生に特に読んでもらいたい小説です。
この本は、小学6年生のとあるクラスの話です。
そのクラスの色々な人の視点で話が進んでいくのでとても読みやすく、共感する所や、そういう考えもあるんだなと感じる所があります。
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よくいる子供達の日常を、妙にリアルな心理描写と共に描く作品。
この作品に登場する小学生達が普通の子達であるが故に、自分の子供時代にいた周りの友人達に自然と重なっていってしまうのが逆に怖い。
全編を通して子供の持つ無垢な純粋さと残酷さに癒されたり苦しめられたりするせいか、何枚かページを繰るたびに、いちいち考えてこんでしまっていた。
どんな人にも事情がある。
その人の立場になって物事を考えてみよう。
言葉にするのは簡単でも、子供に理解してもらうのは実際かなり難しい。
ただこの作品を子供に読んでもらえたら、親の言葉とは全く違う種類のインパクトを与えられそうな気がする。
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朝比奈あすかさん2冊目。
重松清を暗くした感じで、人が持つ嫌な側面をさりげなく出してくるのがうまい。
心情描写とかも暗喩ながらある程度本を読んだ小学生なら理解できそうな感じで、中学受験にちょうどいいレベル感だと思う。
話の中身としては、全てのストーリーがあえて尻切れトンボな感じになっていて、読んでてもっと知りたいよ!ってなるけどそこは想像で補うしかないのか(翼の翼、も尻切れトンボではないにしろ余韻を残す終わり方ではあったし、そういう作風なのかな)。
あと、すごく思ったこととしては、摩耶ちゃん視点の物語欲しかった!!ルックスよくて、でもクラスの女王には逆らえなくて盛り立て役に徹したり、でもこっそり中受してたり。だけど中学受験の塾でカンニングしちゃってたり。割と成績いい描写されてたけど、結局受かったのかな(優等生の杏美が意外と成績いいって評してるあたり、カンニングなしの状態だと中堅女子校ってとこかも)。クラスの女王カナも、取り巻きの摩耶やリッチーには優しいあたり、いつもの4人組には見捨てられたくないって思ってるのかなあって思ったり。
こういったところをあえて描かないのが朝比奈さん。答え合わせをしてくれない小説というか。でもそこ含め良かった。
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小5の娘の友達関係に悩むことがあるので読んでみた。思いのほか、自分の小学生時代を思い出し、ちょっとだけ苦しくなる方が多かった。小学生時代だけでなく、今、現在進行形の人間関係にも重なった。人は誰でもいろんな顔を持つこと。たくさん考えて悩んでいたとしても、その行動に至る理由があったとしても、それは自分しか知らないことで、誰かとの会話や関わりはその一瞬。そこで判断されることもある。その一瞬を間違わないことが大切なのかもしれない。でも私はそれ以上に、その一瞬だけで判断しないことの方が大切だと思う。他と上手く関わることができる人もいれば、誤解されやすい人もいる。私は自分自身はその中間なのかな、とも思うけれど、誤解されやすい人を理解して関係を築ける人でありたいと思う。
この本を読めば、友達がいないことに悩む娘にどう言ってあげればいいのか少しわかるのかなと思ったけれど、読み終えてみると、何も言わなくていいのかなと思った。何も言えない分からないのかもしれない。
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物語の章ごとに主役が変化していきます。
小学校6年生のクラスの様子。
子供は発達の差が大きく、物事の考え方も各々で大きく違う。それが巧妙に表現されており、とても素晴らしいと感じました。
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こういう人いるよなと、すごく現実世界っぽくて、なんだか苦しくなるところもあるけど、この本は私たちへのエールなんだと思う。自分は変わるし、周りの人も変わる。社会も変わる。今が輝いていても、苦しくても、同じように未来がある。期待していいんだと。
学校という小さい社会が苦しい子たちはそれなりにいるだろう。楽しんでいる子も、なんとも思っていない子もいる。よくないことばかりじゃない。子どもたちには「今が世界(すべて)」なんだけど、世界は広いよって見せてあげるのが大人の仕事なのかな。どの子にも幸せになってほしいから。
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あの世界がすべてだった学生時代。
気づきたくないことに気づきそうな予感。自分の本心が言えない。思っても行動できない。心のザラつきをなかったことにする。ひとりぼっちになりたくない。
自分にも確かにその瞬間があった。
そんな自分を恥ずかしく思い、目を背けていたなあ。
自分の弱さを人にみられることが怖かった。
自分で認めることが怖かった。
あの時間があったから、今の自分がいる。
弱さは必要だった。
と、大人になった今だからこそ言える。
広い広い世界にでて、あの場所はとても狭いものだった、もっと自分らしく居ていいと気づけたから。
今悩んでいるこども達にも伝えてあげたい。
これから世界はもっともっと広がって、必ず居場所はみつかる。
だから安心して大人になってねと。
『貴方の心が、本当は善いということを知っているから。』
『子どもにはできないこともあるでしょう。それでいいの。子どもは子どものままじゃないといけないのよ。』
『わかったと思いすぎないでくださいね。友達のことも同じ』
『好きなところを好きなように歩いていいのだ。』
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普段読書をあまりしない中1の息子に、何かオススメできる本はないだろうか?と思い探していて辿り着いたのがこの本だった。
中学受験でもよく出題されていると知り、息子より私が先に読んでしまった。
ちょうど小5になる娘と、中1の息子がいるのでドンピシャでハマり、一気読み。
特に娘の方は最近友達関係のグループも出来上がってきててそこに入れない…と悩みを聞いたところだったので分かるよ分かるー!と思いながら本当に我が子だけじゃなく一人一人がこんなふうにそれぞれの想いを抱えながら学校に行ってるんだろうなぁと思った。
読み進めながら30年以上も前の、自分が小学校高学年〜中学生くらいの時に考えていたことや当時の友達、当時の学校での何気ない会話や出来事なんかもフッと思い出したりして、あの子達は今どんな大人になって何をしてるんだろう?と思ったり。
切なくて懐かしい時間が過ごせたので、子供達にもすすめたいけど私も読んで良かったと思えた本だった。
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まさかの絵本だと思ってたら小説だった初めてのパターン。
物凄い胸くそ悪くて胸が痛いと思いつつ、読み始めたら気になって読んでしまった。
エピローグで私の胸くその悪さも少し救われたかな。
学校生活で生じるあのヒエラルキーってなんなんだろうね?
派手で目立って思ったことを口に出してしまえばこっちの勝ちみたいな。
それを持ち上げる取り巻きも。
ってこれ子どもの世界だけじゃないね。
大人がそうだから子供も真似するんだ。
私そういうのが嫌いで面倒だから一匹狼でいるんだ。
何かあれば学校のせい、教育委員会に訴えます、自分の子どもは悪いことしません、みたいなの、本当嫌になる。
悪いことを悪いと教えないで育てたら誰が困るって、子どもだよ。
しかし、読み終わってよかった。
あのまま読み続けてたら具合悪くなってたかも。
でもさ、星の数は低くできないなって思わせる本だった。
あー、疲れた。違う本読も。
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幼い頃は、今いるこの世界が自分の全てって思ってた。てことを、この本を読んで鮮明に思い出した。だんだんと大人になって社会に出ると、自分がいた世界は思ったよりちっぽけだったと気付く。常に自分が今いる会社や、住んでる家が世界の全てじゃない、もっともっと世界は広いから大丈夫。って、何かあるたびに思えるようになりたいし、そんな広い視野を持つことを忘れない大人になっていきたい。
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小学校教諭を目指している今、書店で目に入って最初は素通りしたけれどどうしても忘れられなくて最後にあらすじを読んで即購入を決意。
うん、いるいる。こーゆー子たちいる。という感情と共に今どきこういう小学生いるの!?とビクビクする場面も、、(笑)
数人の視点から描かれているお話。私は教員という目線で読み進めましたが、ゆっくりでいい、ちゃんと話を聞いてあげたいと思いました。
途中では頭の中で涙してしまう場面も。
大人だけでなく、子を持つ親御さん、学生におすすめしたい作品です。
(あくまで個人の感想です。)
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受験シーズン到来ですね。受験生の皆さんに「桜咲く」の吉報が届くよう祈念いたします!
本作は、2019年に刊行されると、多数の難関中学入試の国語問題として出題され、話題となったそう‥‥。小・中学生に限らず、若い方やその親御さん世代の方にも読んでいただきたい一冊です。
6年3組が舞台で各章が独立し、主人公(4人)が変わります。いずれもクラスで中心的な存在ではなく、その周辺の子たちです。それぞれが、自分の居場所・立ち位置に悩む展開が主軸となっています。
同調や群れる安心感、悩み、大人への態度や反感等、微妙な心情がリアルに描かれています。
共感や反感をもちながら、決して楽しい読書ではなくても、人間関係について自分の考えを深められる気がします。
子どもの繊細で複雑な心情は、大人でも理解や判断・対応が難しいのに、子どもたち自身は本作をどう考えるんでしょうか? 入試問題の出題意図は不明ですが、異性や立場の異なる人の気持ちを考えられる人に、という願いがあるんでしょうかね。
クラスで疎外されている子が2人います。彼らは「空気を読めない」のではなく「空気を読まない」数少ない子たちでした。恵まれない家庭環境でも、優しく感受性のあるこの2人の存在が、救いであり希望と思えました。特別篇にもよく表れています。
エピローグでは、教師となった子が当時を客観視し、今の心境と決意を語っています。これも物語へ深みを与え、希望につながっている気がしました。
人との関わりで大切なことを考えさせ、気付かせてくれる物語でした。
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教室という狭い空間で作られた社会に苦しめられているのだなとつくづく思った。
学校も友達も大好きだったけど、時々教室に行くのが憂鬱だなと思うことがあった。学校以外の場を知らなければ、嫌でも逃げ出すことなんてできない。この小説に出てくる子供たちは、塾や学校外のコミュニティでは生き生きしていて、塾とか習い事でも子供たちが安心できる居場所になりうるのだなと感じた。学校以外にも居場所をつくることが必要な気がする。
あと感じたのは、良い意味でも悪い意味でも子供は親の影響を受けること。親が他の人を馬鹿にするような態度をとれば、その子供も真似る。作中に出てくる親は尊敬できるような親はあまりいなかったから、親の影響を受けるのは当然だと読んでいて悲しくなった。
Posted by ブクログ
本屋さんでタイトルとあらすじを見て購入。
買って大正解なご本でした!面白かったです
わたしの大好きな連作短編集で、前の話で出てきた主人公がまた出てきたり、前の話でちょっと出てきた子が今回の主人公で…となったりととても楽しめました。
わたしが好きなおはなしはいつか、ドラゴン。
詳細な感想は以下に。
*みんなといたいみんな
まわりの、自分ではリスクを背負いたくない子どもたちに文也くんが転がされて、読んでいて悔しい気持ちになりました。。
パンケーキのシーンは文也くんそこまでするんだ!?って驚きながら読みました。
お母さんがちょっと過干渉なのと、自分の子どもは悪いことしない!って気持ちが強すぎてもやもや。
*こんなものは、全部通り過ぎる
こちらの話も前の話に続き、お母さんにもやもやした。子供の気持ちを考えなさすぎて。。
普段話しかけてこないくせに、宿題とか提出物のときだけ話しかけてくるやついたー!学生あるあるだ!と思いながら読みました
しんどいことが多いながらも自分に言い聞かせて耐える主人公の姿を読んで、このお話がいちばん本のタイトルの君たちは今が世界にぴったりだと思った。
*いつか、ドラゴン
前のお話を読んでいて、武市くんは問題児のイメージがあったから、武市くんにはどんなふうに世界が見えているんだろう?ととても楽しみに読み始めました。
武市くんのお母さんは武市くんのことを信頼している、信じていることが伝わって、心が温かくなりながら読んだ。
みんなにただ暴れるやつ、問題児、ってイメージをもたれているけど、武市くんの視点からは行動に理由があって、それを読むことが出来てほんとうに良かったと思った。このお話を読んでから、当たり前だけど誰のどんな選択や所作にもちゃんと本人なりの理由があるんだなって勉強になった。
この話好きすぎて感想長くなってしまった。。
*泣かない子ども
お話の締め方がつらすぎて、、お母さん!!もー!
めぐ美ちゃんがお話の後半で少し成長したのが見れてほっこりした。こんなふうに少しずつ環境が良くなっていくのかな、と思ってたのに…お母さん!
このお話はみなさんの感想を読むのが楽しみ
*エピローグ
主人公が誰なのか、読み進めながら徐々にわかっていくお話。
ほかのお話の主人公たちがどんなふうになったのか知ることが出来てよかった。
めぐ美ちゃんがまっすぅのことを、泣かない子どものお話でただひとりぼっちで登下校しないための知り合い、ぐらいで例えていたんだけども、このお話でほんとうはどう思っていたかを語っている場面が読めてよかった。
*仄かな一歩
そういえばほのかちゃんが主人公のお話無かったね??ってこのお話を読み始めてから気づいた。
ほかのお話でちらりと匂わせてはいたけれども、やはり家庭環境が複雑でもやもやしながら読んだ。
ほのかちゃんがいつもどんなふうに考えていて、いつか、ドラゴンのとこの一場面でどうしてそんな行動を取ったのかが詳しく知れてよかった。
お話を締めたあと、ほのかちゃんがどんなふうに歩んでいくのかめちゃめちゃ気になるお話でした
Posted by ブクログ
今の学校って多かれ少なかれこんな感じなのかなぁと強い共感を覚えた。
たまたま住んでいる地域が同じというだけで六年間共同生活を送る小学校。
色んなキャラや得意不得意、家庭環境を背負った子どもたちが我が家以外の常識を思い知らされる場。
子どもは子どもで、それなりに悩みもがいてるんだよな。
エンディングがちょいと理解できずモヤモヤしたけれど、改めてこどもの思いを大切に尊重したいな、と考えさせられた。
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「女子、怖ええ」っていうのが最初の感想。いつもながら、するどすぎる観察眼で、朝比奈さんも実際こういう小学校生活を送っていたんだろうなあと思わせる。「こんなものは、全部通り過ぎる」というのは彼女自身が思っていたことなんじゃないかなあと思ってしまうほど、リアルだった。かなり息苦しいストーリーではあるが、一つ一つの短編のラストに、この事態を解決してくれそうな希望が垣間見えて、人としての可能性を信じたい気持ちにさせる。まさにエピローグにつけられた、彼女の達の一人が先生になった時に、「みんなを知りたい」と言わせているのが、あすかさんの気持ちなんだろうと思う。同じ気持ちにさせられたのは、あすかさんの作品の力だなあ。
だけど、僕が小学生の時、周りの子がこんなふうに考えていて動いていた気は全然しなかった。やっぱりメンツが違うと雰囲気も違ってくるのだと思う。
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気になって、開成の入試問題をチェックしてみた。
このクラスの女王カナが、クラスの男子(小磯)が好きだと仲間に話していたタイミングで、その男子がグループのメンバーの女子マヤマヤに告白していた。
それを聞いた主人公は、「マヤマヤ終わったな」と思っていたのだが、意外なことに女王カナはマヤマヤを許し、その男子を馬鹿にするだけだった。
開成の問題は「なぜカナはマヤマヤを攻撃しなかったのか」を説明させる。
こういう女子の心理の機微を理解できたものだけが、開成に合格できる! というのはなんだかすごいと思った。これを小学生だった頃の僕が理解できるとは到底思えない。こんなことを小学校6年の男子に期待する開成もすごい。
各社の模範解答を見てみたが、四谷大塚のはなかなか説得力を感じた。
「小磯をけなせば自分の告白は冗談となり、振られた事実はなくなるし、馬鹿な小磯に好かれたまやまやのプライドを傷つけて、小磯の心をうばった腹いせもできるから」 そうね。そうだったかもしれないね。ただこの本最後まで読むと、カナが意外に仲間思いがあるところも見えてくるので、「まやまやは仲間だと信じていたから直接攻撃はせず、自分の告白の件が恥ずかしかったから、なかったことにしようとした」ということなのかもしれないとも思えるけど。
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娘の夏休みの読書感想文用に。
その前に私が気になっていて読んでみました。
大人が分かっているようで分からない子供の世界をこっそり覗いているような気分になりました。その単純なようで複雑な、幼稚なようで残酷な、私も昔々に少なからず感じてきたザワザワを見せられているようでドキドキしました。そこに登場する親や先生という様々な大人の存在もまた、今の自分を照らし出されているようで落ち着かない気持ちに。手助けすべき場面、口を出す場面とそれをグッと堪えなきゃいけない場面の判断は常に難しい。
子供にとっての学校という場所はとても限られた小さいコミュニティだけど、子供たちにとってはそこが全てになりがち。
その中で幼いながらもどうやって折り合いをつけていくのか、今まさに娘がそういう時期を過ごしているからこそ、余計に人ごとには思えず。
この本の中の誰が正しいのか正解はないと思うけれど、誰に共感して何を感じるか、娘にもしっかりと読んでたくさん考えて欲しい物語りでした。
Posted by ブクログ
小学生のリアルさが怖いくらいに伝わってきた。
子どもvs教師、子どもvs親、子どもvs子ども。
仲良しグループという枠の中にも人間関係のドロドロしたやり取りがあり、忖度や裏切りなどは大人の世界より残酷かもしれない。
どの子も純粋で素直で一生懸命なのだが、それ故に残酷になってしまうのだろう。
子どもだからできない事や、まだ子どもだから難しい事を小さな胸にたくさん抱えてもがいている姿が痛々しく感じた。
エピローグでは、そんな子ども時代を過ごした増井が教師となり子どもたちの前に立つ。
子どもたちを守り、支え、背中を押してあげられる大人でいたい。
Posted by ブクログ
分かったと、思い過ぎないでください。
全員、いつかは大人になります。
それはつまり…、皆さんの隣にいる子も、後ろの席の子も、前の席の子も、皆大人になるということです。
今、ここで分かったつもりになっている友達は、どんどん変わっていくし、自分も変わる。
世界は、時間が経てば経つほど広がってゆく。
ここ以外の場所のほうがずっと広いことを、どうか、覚えておいてください。
あの頃わたしたちを遮っていた透明な壁、あれはいったい、何だったのだろうね。
Posted by ブクログ
世界がそこだけ、窮屈で、でも自分の立ち位置を見極めて必死に周りに合わせてしまう小学生の頃を思い出しました。あの独特な世界がとても上手く表現されている作品。
我が子が小学校高学年になったら、読ませたい。世界はもっと広いこと、今だけの世界だと伝えたい。