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盛田照美、50歳。夫と娘がいる。ひとりになる必要のない人生を送ってきた。はじめての「ひとり旅」で温泉地へ。人生の折り返し地点をすぎて、自分の半生に想いを馳せる。わたしがここまでに成し遂げたもの、何かあったかしら……。思い惑い人生の苦みを抱えながら彼らは温泉地へと向かう。「温泉ソムリエマスター」でもある作者が描く、温泉愛に満ち満ちた、六つの極楽小説。
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Posted by ブクログ
温泉旅でゆったりと湯に浸かり、自分自身を見つめる主人公たち 心がゆるゆるっとほぐれ、新しい人生が見えてくる 温泉が恋しくなる短編集 。.:*・゚✽ 【女友達の作り方】 派遣を切られた32歳の宮辺 ふと立ち止まると、友人と呼べる人が誰もいないと気付く。 日帰りバスツアーに初めて参加し、年上の女...続きを読む性に「女友達の作り方」の指南を受ける。 【また会う日まで】 「後期高齢者」なんだから運転はやめろと娘に言われている博 亡くなった妻と二人であちこちの温泉を巡った事が思い出される。 その思い出の温泉へ娘に内緒で車を走らせるが、道中老いと向き合うことになる。 【おやつはいつだって】 母と二人暮らしの智子44歳 母娘の関係を「共依存だよ」と友人にいわれた事がある。 父の墓がある北海道へひとり旅に出た智子が見つけたものは? 【わたくしたちの境目は】 妻を亡くして一年が過ぎ、一人の暮らしも少し慣れた頃、息子に「温泉に行こう」と誘われる勇造。 息子とその妻、そして5歳の孫と一緒に新幹線で思い出の温泉へ。 混浴風呂に纏わるあれこれ 【五十年と一日】 50歳の主婦・照美は「初めて」のひとり旅で特急列車に乗り、娘が勝手に申し込んだ「断食」の宿へと向かう。 やわらかく優しい温泉に浸かり、初めて尽くしの旅で気付いたことは? 【島と奇跡】 会社の「フルリモートトライアルプラン」に申し込んだ高橋 移住の為のヒアリングで訪れたのは、15年前の大学時代に友人と訪れたことのある南の離島。 婚約していた女性と別れた彼の心機一転の決心。 15年前に出会った秘湯と恩人との奇跡の再会はあるのか? 生きていると、少し立ち止まる時間が必要な事もあるよね。 昨日までを振り返り、これで良かったのか? これからどうしよう? 温泉にはそれを助けてくれる力があるのかもしれない。 著者は〝温泉ソムリエマスター〟の資格をお持ちで、温泉についての描写がめちゃくちゃ詳細。 次からは泉質なんかも気になってしまう。 あぁ~、露天風呂に浸かりたい⸝⸝⸝˘◡˘♡
温泉というと、やはり「旅」と、「同行者」という組み合わせになるんですね。 スーパー銭湯との違いはそれですね。
温泉にまつわる短編小説。 温泉なのでほっこりエピソードが多いと思いきや、見事に期待を裏切られ、一気に読めた。 温泉がたくさん出てくるので、昔行った熱海の温泉に行きたくなった。
朝比奈あすかさん、温泉ソムリエの資格を持っているほどの温泉好きだったとは。今まで読んだ本から勝手に持っていたイメージとは違っていて、ちょっとビックリ。こういう意外性は好きだなぁ。 温泉小説といっても、ただほっこりする温泉の話ではなく、悩みを抱えた人たちが主人公の6つの短編集。 悩みの種類は様々だけ...続きを読むど、「こういう事ってあるよね」と思えることが多くて、温泉につかって解放されるところまで含めて共感しながら読んだ。 温泉ソムリエらしく、お湯の作法や効能などにも触れられていて、読み終えると温泉に行きたくなってしまうのは私だけじゃないはず。 寒くなってきたし、ゆっくりお湯に浸かりたい!
温泉小説とはいえ、そこまでほっこりしない。朝比奈あすかさんらしいヒリヒリとした人間関係を絡めている。お気に入りは高齢者ドライバーが恐ろしい目にあう臨場感がリアルな『また会う日まで』と最後「なるほど!」となった『島と奇跡』。
いい感じに気温が下がってきたし、温泉に行きたくなる。最後の『島と奇跡』がよかった。こんな偶然あるのかも。この先、いいことがありそうな予感。
「また会う日まで」「わたしたちの境目は」は妻を亡くした境遇が似ていて共感できる。 今までも夫婦で或いは家族でいろんな所を旅行したけど、自分がリタイヤした現在、本来ならばカミさんと二人でノンビリ旅行をしたかったなぁ。かと言って今の状態では一人で行く気力も無い、ましてやカミさんと一緒に行った場所は思い出...続きを読むす事が多くて辛い。もう少し時間が必要かなぁ。
若くして亡くなった妻と一緒につかりに行った温泉に 雪の降りしきり渋滞する中をハンドルをしっかり握って 向かう話や、女性が1人でバスツアーに参加した時の話、 昔行った島に十年前後して移住する事に決め、十数年振 りにお世話になった年配の男の人に出会う話など日常で 誰にでも起こりうる話にほっこりしながら...続きを読む読みました
様々な世代、立場、性別の主人公が、温泉旅を通して、日々の疲れを癒し、リフレッシュし、自分を見つめ直し、生まれ変わる。 大きな事件とか、ものすごく個性的な人が出てくるとかではないけれど、地に足がついているというか、一人一人の話が、とても身近に感じられる。 良質な温泉に使ったような気持ちになれる物語。
主人公が温泉旅で先で出会う六つの短編小説です。 女友達の作り方 宮辺はふと思い立って参加したおひとり様限定のバスツアーに参加する。バスの席で高宇さんと隣同士になる。 ツアー最後の『わくわく温泉王様ハウス』のサウナで高宇さんと距離が縮まる。 「女友達を作る努力」努力で、友達って作れるんですか。友達...続きを読むって、もっと自然に、気づいたたらできているものなのではないのですか? 「友情を続ける事って、努力。だって、結構、大変だもの。幸せを嫉妬せずに分かち合って、愚痴を受けとめて、何かを意見したくなった時も伝えるための言葉を選ぶ。定期的に会う約束をし、互いに心と時間をかけて、対話を続けていくうちに、互いのミスすら愛おしと思えるくらいの関係になれる。そんな素敵な女友達にであうための時間は、まだたっぷりあるから。」 高宇さんの言葉から宮辺は、自分に必要な女友達に気が付く旅になる。 最後のまた会う日まで 後期高齢の博は長女の知花から「お父さん、どうしても運転やめられないの?免許を返納して」としつこく言われている。そんな娘を博はいまいましく思っている。 次の日、知花の言葉が癪に障った博は、亡き妻との思い出の温泉宿に車で出かける。途中大雪で車が動けなくなるトラブルに見舞われる。 そんな車の中に缶詰め状態の時、知花から電話がかかる。知花から昨日は言い過ぎたと謝罪の言葉と、知花から大切な言葉を聞き、娘や亡き妻のことを見つめなおす旅になる。 おやつはいつだって 智子はなくなった父の墓のある函館に向かう。 トラピスト修道院をめぐり。 母との関係を見つめなおした旅になる。 わたくしたの境目は 勇造は息子夫婦と孫と4人で、亡き妻の初子と二人で行った行った銀猿温泉に行く。 初子は、乳癌で片方の乳房を切除していた。何とか元気つけようと誘った思い出の銀猿温泉だ。 初子は乳房を切除してから自分の身体を人に見られることに、とても神経質になった。スポーツジムをやめて、共同浴場にもはいらなくなった。女性でも、というより、女性どうしだからこそ、さりげなくしっかりと、見てくる。そんな気がするのだと初子は言った。 初子の願いは乳房を再建することだった。たくさんの記憶を抱きとめながら生きた妻が最後に望んだものを、「必要がない」と切り捨てた自分を思い出す。 家族という塊になったからと言って、何をしても言ってもいいわけではないことに気が付く旅になる。 五十年と一日 照美は断食ツアーに参加する。宿で出会ったツアーのおばさんに背中を押してもらう。 昔の人が人間五十年と言ったのなら、わたしたち現代人は、この先さらに五十年。もう一回生きられるようなもんじゃないか。 そう考えたら、「よしっ」とちいさく声が出た。 「初めて」のことをいろいろしていこう。五十歳を過ぎてからの可能性をみつけた旅になる。 島と奇跡 博光は社内のフルリモートワークプログラムに当選して、半年後には島暮らしとなるため、島に一泊二日で事前ヒアリングに来た。しかし、博光にとってこの島に訪れるのは二度目だった。大学三年生の春休みに同級生の岡部と旅行できていた。その時工藤さんに親切にしてもらったことを思い出す。 その後、博光は意外なところで工藤さんに再会する。更に、この十五年で島は変わった。それに同級生の岡部が関わっていること知り、友情の再確認と人の親切に心が温かくなった旅になる。 文体が柔らかく楽しく読みました。でも、考えさせられることも多かった。 家族だからと言って何を言ってもいいわけではない。それから、友情を続けるには努力が必要なこと。
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