村松潔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最後のカーボーイ、ロバートと、アイオワの農場に住むイタリア出身のフランチェスカ。対極の人生を歩む二人が、マディソン郡の橋を介して出会います。
まるで足りないピースを探し当てたかのように、二つの魂が一瞬にして一心同体となり、死が訪れるまで紐帯に結び付けられます。二人はまさにベターハーフだったのでしょう。
「長いあいだ、私はあなたに向かって、あなたは私に向かって歩いてきたのです」
出会うことの必然性を、ロバートがこうフランチェスカに言います。
自分の魂の片割れに出会うのは、自身のことを良く知ってからかもしれませんね。その時こそ、希求するものが良く見えるのではないでしょうか。
この小説は、1995年にクリントイーストウッドとメリルストリープの共演で、映画化されました。映画も小説の世界が良く再現されていて、とても楽しめると思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ『というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる』という出だしで始まるこの小説の語り手は、もうすぐ生まれる予定の胎児だ。しかしこの胎児は母親の聴いているラジオ番組や外界の音から様々な情報を得て、周囲の人物の様子から世界情勢まで理解しているというとんでもない胎児なのだ。
彼の両親は不仲で、母親は父親を家から追い出し、父親の弟と不倫関係にあるばかりか、弟と共謀して父親を毒殺してしまう。弟の名はクローディア。正にハムレットである。彼は母親の胎内で色々な事を考え、どうするべきか、どうしたら良いのかを思い悩むが、いかんせん何もできない胎児であることがもどかしい。最終的に、警察に追われそうになった母親と叔父が2人で逃亡する寸前に自らの意思で生まれてきて2人の逃亡を阻止することになる。
様々な情報を得て、それを分析して考察する明晰な頭脳を持ち、母親、父親、叔父などに愛情や憎しみを感じながらも、自分からは何もできない胎児の視点で物語が進んでいくのが新鮮でとても面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ怪人。ただ恐ろしい存在ではない。むしろ人間らしくて怖い。
しかし、読み終えて残るのは恐怖以上に孤独感だった。
有名な舞台版では、怪人とクリスティーヌの関係が原作よりもロマンチック描かれているんだと知った。
原作小説の怪人エリックはより不気味で、残酷で、簡単には同情できない人物だ。それでも彼の孤独を知るほど、ただの怪物として切り捨てることもできなくなる。
エリックは、才能を持ちながら、その容姿のために人の世界から遠ざけられてきた。だからクリスティーヌへの愛も、誰かを大切にするという形ではなく、支配し、閉じ込め、自分だけのものにしようとする形になってしまう。その愛は間違っている。けれど、愛されたことのない人間が愛し方を知らないということはどうしようもない哀しい宿命なのかもしれない。
華やかなオペラ座の地下に、誰にも見せられない闇が広がっている。その構造そのものが人間の心に似ていると思った。表では明るく振る舞いながら、その下には嫉妬や執着、孤独が沈んでいる。
誰かを自由にできたとき人は初めて人間になれる。