村松潔のレビュー一覧

  • 恋するアダム

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    1980年代後半のイングランドに似たパラレルワールド。チューリンゲンは生きているし非常に優れたアンドロイドのいる世界。
    25体の一体アダムを手に入れたチャーリーと女子学生ミランダの共同生活における関係性の構築と破綻の、そしてある意味再生の物語。ミランダの秘密のミステリー色と善悪と正義の判断、アダムを含めた3人の恋模様など盛り沢山で内容の詰まった物語だ。

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    2021年04月30日
  • 恋するアダム

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    発想が斬新だった。コンプレックスの固まりみたいな主人公とアダムとの対比が面白かった。もしかしたら、もうそこそこにアンドロイドがいるのかも、と思った。

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    2021年03月28日
  • 海底二万里(下)

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    下巻の途中からトラブルが起こったりネモ船長の秘密みたいなのがわかってきて急激に面白くなった。最後の終わり方も完璧やったな〜。また読みたくなるわー。ネモ船長の毒舌がおもしろい。
    専門的な人もそうでない人も楽しめる作品でした。

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    2021年03月06日
  • 海底二万里(下)

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    リアリティが凄い。
    本当に教授の手記なんじゃないかと思ってしまうくらい、現実と空想のギャップがない。
    上巻が続く海洋冒険ロマンから、少しずつ不穏な空気が漂い始めてからラストへ至る勢いもとてもよかった。
    謎が謎のまま終わったところが、むしろ読後のドキドキ感を残してくれた気がする。
    現代技術なら、ノーチラス号は再現できるのだろうか?

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    2021年02月28日
  • 恋するアダム

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    ネタバレ

    パラレル1982年に、愛とは正しさとは復讐とは子どもを持つとは…などいろいろ盛り込まれた意欲作。
    読んでいくとどうしてもアダムに肩入れしてしまうので、アダムの真正直さ正しさが悲しい、つらい。

    やはり人間は不完全であり、嘘も影も含む存在なのだなあ。読後、引き摺る。

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    2021年02月17日
  • マディソン郡の橋

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    様々な見方があるだろう。不倫の正当化ともいえる。純愛ともいえる。キンケイドという男の魅力でなりたつ少女漫画のようなものともいえる。
    ここでは、どこにも所属しない者のさ迷い混んだ物語として、カフカの「城」のように読むことが一番文学的には面白いと指摘したい。ただ、女を我が物にしたいというところに落ち込むのは弱さというべきではないかと思う。

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    2020年12月12日
  • 海底二万里(下)

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    私のSF好き(というほどでもないが)の原点ってなんだろう、と考えてみたら、たぶん子どものころ母に薦められて読んだ『海底二万マイル』ではないかなと。はじめは書名を口頭で聞いて、「海底に"まんまいる"か(知らない動詞だな)」と思った記憶がある。ちなみに今回私が読んだ翻訳本の訳者の解説によると、マイルという訳はあまり適切でないらしく、英訳でも使われていないとか。でも私のなかでは二万マイルだ。


    小学生のときも面白かったのだし、名高い古典だし、いま読んでもきっと、いやよりいっそう面白いだろうと思って読み直したところ、やっぱり面白かった。でも、歴史や科学の解説的な部分は、読んでいるときの気分に応じて面倒くさいときは躊躇わず飛ばし読みしたので、まだまだしゃぶったら美味しいのに残している部分はありそうだ。


    (いつも通りあらすじなど紹介せず感想だけ)


    ・語り手であり主人公のアロナクス博士は、立派な学者先生ということで一応みんなから敬意を払われているし常識的で善良な人物だが、胆力みたいな点では誰よりも"ふつう"で、"ふつう"にビビったりヒヨったりキョドったりするところが好き。英雄的でない主人公いい。


    ・ネモ船長の秘密が明かされるようで明かされない感じとか、うまい。作品の普遍性の秘密はこういうところなのか。


    ・フランス人である語り手のアロナクス博士(時にその従者のコンセイユ)に、「カナダ人はほとんどフランス人」「いつも冷静なフランドル人」「毎日ステーキでも構わないようなサクソン人」「答えに窮することなどあるとは思えないアメリカ大陸の住人」などと言わせているところが興味深い。同じ関西人でも大阪と京都では気質が違うーみたいなステレオタイプ、を遊ぶ感じ、の19世紀バージョン、みたいな。21世紀バージョン知らんけど。○○人て括るなよ、という理性が全く感じられない。

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    2020年09月06日
  • 家なき子(下)(新潮文庫)

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    マティアと親友になり、フランス国内を旅する。九死に一生を得る経験や心温まる出会いを経て、イギリスにも渡る。勇気と努力と人への思いやりがハッピーエンドにつながる。抄訳でなく全文で読む楽しさを堪能した。2020.1.1

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    2020年01月01日
  • 家なき子(上)(新潮文庫)

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    子どもの頃に読んだはずだが、内容はすっかり忘れてしまった。フランス中を旅しながら愛する人たちと別れ離れになり、孤独な旅が始まろうとするが、これまでの体験が心身共にたくましくなっていて生きる意欲にあふれている。この作品に限らず、貧しい子の童話は多かったが、今の子にも読みつがれ共感されているのだろうか。2019.12.19

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    2019年12月19日
  • 美女と野獣(新潮文庫)

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    コクトーやディズニーなどが映画化しているボーモン夫人が1756年に出版した異類婚姻譚。オリジナルは1740年にヴィルヌーヴ夫人が発表した長編ですが、広く知られている本作は「こどもの雑誌」用に改変・短縮したものです。映画を知っていると、あまりにもあっさりとしている印象です。他に収録された作品も外見の美醜よりも優しさや知性など内面を磨くことが大切だということを示す教育的な内容になっています。子供向けのため、キャラのパラメータを極端に振り分けているのが印象的。大人でもドキッとする部分が多々あります。

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    2019年03月17日
  • マディソン郡の橋

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    最後のカーボーイ、ロバートと、アイオワの農場に住むイタリア出身のフランチェスカ。対極の人生を歩む二人が、マディソン郡の橋を介して出会います。

    まるで足りないピースを探し当てたかのように、二つの魂が一瞬にして一心同体となり、死が訪れるまで紐帯に結び付けられます。二人はまさにベターハーフだったのでしょう。

    「長いあいだ、私はあなたに向かって、あなたは私に向かって歩いてきたのです」
    出会うことの必然性を、ロバートがこうフランチェスカに言います。

    自分の魂の片割れに出会うのは、自身のことを良く知ってからかもしれませんね。その時こそ、希求するものが良く見えるのではないでしょうか。

    この小説は、1995年にクリントイーストウッドとメリルストリープの共演で、映画化されました。映画も小説の世界が良く再現されていて、とても楽しめると思います。

     

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    2019年02月06日
  • 憂鬱な10か月

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    胎児の独白?なんだそりゃ、という読み始めの感覚は知らないうちにどっかに行って、ひきこまれて読んだ。皮肉なのに冷たくないという、マキューアン独特の世界。

    生まれるときは誰もが、自分では選びようのない状況下に、無力な状態で投げ込まれる。この世は決して生きていくのにたやすいところではないし、醜いこと、不条理なことが山盛りだ。それでもそこに美や真実があることもまた間違いない。そんな感慨が湧いてくる。

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    2019年01月15日
  • 憂鬱な10か月

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    ネタバレ

    『というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる』という出だしで始まるこの小説の語り手は、もうすぐ生まれる予定の胎児だ。しかしこの胎児は母親の聴いているラジオ番組や外界の音から様々な情報を得て、周囲の人物の様子から世界情勢まで理解しているというとんでもない胎児なのだ。
    彼の両親は不仲で、母親は父親を家から追い出し、父親の弟と不倫関係にあるばかりか、弟と共謀して父親を毒殺してしまう。弟の名はクローディア。正にハムレットである。彼は母親の胎内で色々な事を考え、どうするべきか、どうしたら良いのかを思い悩むが、いかんせん何もできない胎児であることがもどかしい。最終的に、警察に追われそうになった母親と叔父が2人で逃亡する寸前に自らの意思で生まれてきて2人の逃亡を阻止することになる。
    様々な情報を得て、それを分析して考察する明晰な頭脳を持ち、母親、父親、叔父などに愛情や憎しみを感じながらも、自分からは何もできない胎児の視点で物語が進んでいくのが新鮮でとても面白い。

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    2018年12月08日
  • 憂鬱な10か月

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    一人称の小説は苦手(町田康は除く)なんだけどこれは面白い。
    母親が見聞きするものから知識を得てる感じなのに母親より賢そうなのはなぜだ?

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    2018年07月12日
  • 眠れる森の美女―シャルル・ペロー童話集―

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    フランスのペローの作。ドイツのグリム童話とかぶる話もあるが、現代の子供向け童話に比べ、残酷で刺激的なのが多い。1697年といえば元禄、綱吉の時代。日本に影響を受けたのもあるのだろうか。『仙女たち』は『舌切り雀』や『花さかじいさん』に似てる。『サンドリヨン』は『シンデレラ』の話。『赤ずきん』に狩人は登場しない。2018.6.4

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    2018年06月04日
  • マディソン郡の橋

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    何が良いかと問われたら、即答できませんと即答してしまうような本。読んでいて、おもしろいなーとは思うのだが、その正体が全く分からない。不思議な作品。恋に落ちた熟年同士の初々しい仕草と駆け引きのギャップが良かったのか?はたまたローズマンブリッジを始め、情景描写が美しく端的だったことに惹かれたのだろうか?キンケイドの猪突猛進、自由奔放な性格が、実に人間くさい。フランチェスカの一途のような一途でないような矛盾だって、人間くさくて好きだ。多分、キレイな不倫の物語に類する。世俗的なんだと思う。

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    2016年05月17日
  • マディソン郡の橋

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     否定されるべきテーマ「不倫」を悲劇にすることで肯定的に描く。3人が死んで、ようやく思いが遂げられるという構図に読者はほっとする。生きているうちにこの思いを遂げてしまったら、読者は決して共感しないということをよく理解している。
    特殊なhappy endとして原作者の腕を感じるし、訳者の醸し出す空気も心地よい。
     10代で初めて泣いた映画の原作をこの歳でようやく読んだ。やっぱりあの頃とは感想が違うなぁ。

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    2012年09月23日
  • マディソン郡の橋

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    まとまってきちんと完成された文章だとは思った。一つ一つのエピソードもうまく繋がっていてきちんと完結しているけど、あまり心に響かなかった。わたしがまだ若く経験が少ないせいもあるかも知れない。歳をとってから読んだらまた違う印象になるかも知れない。

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    2011年08月17日
  • マディソン郡の橋

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    相手を信じて待つことはとてもつらい。

    相手がぜったいに来る保証はないから。



    でも、約束は未来だと思う。

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    2009年10月04日
  • オペラ座の怪人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    怪人。ただ恐ろしい存在ではない。むしろ人間らしくて怖い。

    しかし、読み終えて残るのは恐怖以上に孤独感だった。

    有名な舞台版では、怪人とクリスティーヌの関係が原作よりもロマンチック描かれているんだと知った。

    原作小説の怪人エリックはより不気味で、残酷で、簡単には同情できない人物だ。それでも彼の孤独を知るほど、ただの怪物として切り捨てることもできなくなる。

    エリックは、才能を持ちながら、その容姿のために人の世界から遠ざけられてきた。だからクリスティーヌへの愛も、誰かを大切にするという形ではなく、支配し、閉じ込め、自分だけのものにしようとする形になってしまう。その愛は間違っている。けれど、愛されたことのない人間が愛し方を知らないということはどうしようもない哀しい宿命なのかもしれない。

    華やかなオペラ座の地下に、誰にも見せられない闇が広がっている。その構造そのものが人間の心に似ていると思った。表では明るく振る舞いながら、その下には嫉妬や執着、孤独が沈んでいる。

    誰かを自由にできたとき人は初めて人間になれる。

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    2026年08月16日