羽生善治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ山中教授はもとより、羽生さんの見識の広さがよく分かる対談だった。
以下、心に留まったポイント。
・創造的な出来事の99.9%は過去にあった出来事の組合せ
⇒イノベーションとは「既存事項の新結合」である(by シュンペーター)に通じる
・人間は継続性や一貫性を好み、そこには安心や安定がある。それが人間の美意識の基になっている。
逆に言えば、人間は未知のものや未経験のことには不安や危機感を覚える。それは人間が生き延びるために必要な感覚やセンスだったはず。
⇒AIには元々恐怖心がないから、継続性や一貫性に基づいた美意識から解放され、ただただ過去のデータに基づいて最適解を計算してくる。
だから人間 -
Posted by ブクログ
棋士、羽生善治さんの本。
自己啓発とは少し違うが、概ねそのジャンルに当たる。
情報が多く、これからは選択肢は多くなった分、失敗したときの後悔が増す。(あの時、あっちを選んでいれば......等)
将棋の世界では「何を捨て、何を残すか」を迫られる。そんな時に大局観が育っていれば大きな流れを見て、考えられる限り最善の手に絞り込むことができる。
世界は否応なく変化し続けている。自分が勝っている時、うまくいっている時に方向転換は難しいが、負けている時は方向転換し易い。確かに......長い目を見れば、勝っている時こそリスクが最も高まるのは頷ける。
話はツキ(運)、ゲン、AI、格言、チェスと幅広くなっ -
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Posted by ブクログ
・将棋は「読み」と「大局観」のゲーム。複雑な状況下で決断を下すとき、「大局観」で無駄な「読み」を省略でき、正確性が高まり思考が早くなる。
・将棋には「勝負手」と言われる手があるが、そのほとんどがマイナスの手である。
・将棋の棋士にとって、リスクを取らないことが最大のリスクである。今日勝つ確率の最も高い戦法は、三年経てば完全に時代遅れになっているから。
・将棋では、「着手する前に、四つの香車を確認しなさい」と言われる。それを見ると盤全体を観ることになり、見落としがなくなる。
・将棋の場合、1つの局面で平均80通りの可能性があると言われているが、その大部分はマイナスの手、パスした方がよい手である。 -
Posted by ブクログ
戦えば負けることがあるのも当然で、戦わないと強くなれない。
試合に出て勝負している人はどれだけいるのだろうか?
直近の1時間を悔やむことは誰にでもある。
1年前の1時間を悔やむことはどれぐらいの人にあるだろうか?
1年前の1時間を悔やむ人は、
同じ悔やみをしないためにどれだけの改善をしてきたのだろうか?
それとも1年間、1時間を忘れるための努力をしてきたのだろうか?
どんなに頑張ってもいても、それ以上に頑張っている人もいる。
持って生まれたものや、時風もある。
俯瞰して見てみれば、現状は点でしかなく、
山を登ろうと思ったら、雨風強い日も、快晴の日も、
ゆっくりとでも一歩ずつ進むしかないと -
Posted by ブクログ
京大名誉教授でありかつ詩人の永田和宏氏と山中伸弥氏、羽生善治氏、是枝裕和氏、山極壽一氏という超一流の人たちの講演とその後の永田さんとの対談を収録したのが本書である。
山中さんとの対談では、大学はそれまでと違い答えがある問題の正解を探すのではなく、誰も答えを知らない、もしくは答えがあるかどうかもわからないが、大切な「問い」を自分で見つけるという態度を学んでほしい、というところが心に残る。大学に入ったときにまず第一に欲しい言葉だ。自分はこれがわかっていなかった。
羽生さんとの対談では、ミスをした直後には後悔して過去に引きずられることなく「自分の将棋は次の一手からはじまる」とその場に集中する、と -