簑輪諒のレビュー一覧
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宮本昌孝氏『風魔』でちらりと描かれた佐竹・常陸仕置きに触発され、本作を手に取った。
本作は、佐竹義重・義宣二代の物語である。領国・常陸を守るという同じ信念を抱きながらも、異なる方向へ進んでいく親子の姿が対比的に描かれる。戦国の古い価値観に生きる父と、秀吉の治世のもとで体制の刷新を図ろうとする子。両者のすれ違いは、時代の転換そのものを象徴している。
父義重の視点では、内心では義宣の考えに理解を示しつつも、武士としては受け入れがたいという葛藤が丁寧に表現されている。その人間味は魅力でもあるが、一方で両者ともにどこか小物感が強い点が終始気になった。情けない息子と頑固で時に横暴な父の姿が折々に垣間見え、読者として苛立ちを覚える場面も少なくない。もう少し人物造形を単純化してもよかったのではないか、とも感じた。
義宣と妻・正洞院とのエピソードは印象深い。二十四歳にして自らを戒めた正室。反発し合いながらも心では通じ合っていた二人。そのなかで、夫の革新を前に変われぬ自らを恥じ、自害に至る展開には胸を打たれた。
…夫の足かせになるまいとする彼女の情愛は、皮肉にも義宣の目指す変革に対する、これ以上ない拒絶でしかなかった… -
購入済み
臼井城に実際に訪れたが
どうしても謙信がこのような城を落とせなかったのか、納得できなかった。
その答えを期待してほぼ一気読みして、なるほどと思わせられた内容で歴史小説としてかなり面白かった。事実は小説よりも奇なりというが、果たして筆者が描いたストーリーと真実がどこまで重なりあうのか自分なりに考えるのも楽しみ始めている。 -
Posted by ブクログ
決戦シリーズ第7弾。今回の舞台は「長篠の戦い」。
主戦場が設楽原だったということでタイトルになってます。鉄砲三段撃ちで有名なあの戦いです。
武田側は信玄ありきだったのだなぁ、と改めて感じました。偉大な先代の影響から、勝頼も宿老たちも逃げられなかったのだなぁ、と。信玄の遺産で勝ち続け、この戦いで使いつくしてしまったわけか。
そこから前を向く「ならば決戦を」。
少しでも残そうとする「くれないの言」。
敗北から這い上がろうとする話は、涙を憶えます。その後の武田の顛末を知っているだけに。
「表裏比興の者」は、伊東潤の「天地雷動」との相似として面白いです。真田昌輝と釣閑齋の作戦は似たものだけど、導き出した根底が全く違う。
「決戦!設楽原」の中で同時に読んでみたかった、と思いましたね。
いやー、こういう風にいろんな角度があるから歴史小説はおもしろいや。