下村敦史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
探偵ものの殺人ミステリーとして、一風変わったチャレンジがなされた作品です。
ミステリー作家が建てた洋館に、編集者、作家、探偵らが招かれた。吹雪の夜に館の主人が殺害されてしまう。犯人は一体?というお話です。
ストーリー構成も、伏線を回収しつつのどんでん返しも、ミステリーとして良作です。
ミステリーファンでもある作者のご自宅をモデルにしているところがポイントなのですが、それだけに建物の描写に力が入っています。
それが逆効果として、くどく感じられてしまいました。
また、意図的なものだとは思いますが、執事役の科白に敬語の誤りが散見されるのが残念でした。個人志向として、美しい日本語の文章が好みな -
Posted by ブクログ
ネタバレ深刻なんだけど、読んでいるとなぜか可笑しくなる。笑い事じゃないんだけれど。
あらすじからして面白そう。実際、凶悪犯と同姓同名というのは嫌なものだろうし、就職試験で内定がもらえないのも名前が原因かもしれないと思いたくなるだろう。
それでも、実際の被害者遺族や加害者家族よりましだと言われてしまう。微妙な被害。
被害者の会が迷走していくのもとてもリアルだし、最後のどんでん返しは意外だった。
そして、終盤で登場する「大山正紀」の切々とした言葉は、同姓同名とまったく関係が無い私も考えさせられるものだった。
名前に負けない生き方をする。
彼のこれからを応援したい。
そして、本当に最後の最後、名前から逃 -
Posted by ブクログ
100年の歴史に幕を閉じる ヴィクトリアン・ホテル。その最後の夜の宿泊客たちが織りなす人間模様。登場人物も多く、舞台もあちこちするのにとっちらかっておらず、読みやすかった。
それだけでもすごい。
で、読みながらちょっとした違和感は覚えるものの、それを序盤ではトリックと気づかせないのも見事。
そして、後半でヒントを少しづつ小出しにして、ラストで一気に解決編。鮮やかでした。
人が死ぬこともなく、傷ついたままの人もなく、全員が救われて終わる、とても優しいミステリーでした。
めっちゃおもしろい!!読まなきゃ損!!必読!!ってテンションで勧める感じじゃないけど、いいお話だから一回読んでみてよ。程度に -
Posted by ブクログ
★3.4
名前が、人生を狂わせる。
同姓同名という偶然が、同じ名前を持つという、それだけのことで。
名前はただの記号じゃない。ときに人生すら、ねじ曲げてしまう。
本書は個人を識別する「ラベル」の怖さを描く物語。
著者の筆致は、現代社会の情報過多や個人の特定性について切り込む。同じ記号を持つだけで、人生が狂っていく様を描いた。
いささか、ご都合的に下落していった気もするが。
情報社会というフィルターを通してみたとき、人はどこまで「自分」でいられるのか。
「たまたま一致しただけ」なのに、どうしてこんなにも運命は過敏に反応するのか。
名前とは、自分の輪郭を作るものようなもの。他人が貼った