下村敦史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何かの記事で読んで面白そうだったので、読んでみた。
最初の方が、ちょっと辛くて、読むのにカロリーを使っていたが、中盤~終盤にかけて主人公が動き出したと同時に面白さも加速していった感じ。
最近、読みやすいのばかり手に取っていたから、しっかり読めるのも大事。
視覚障碍者である主人公を軸に話が進むので、最初は私も暗中模索状態で何が起きているかがわからなかった。
そこが読むのにカロリーを使っていた部分。
徐々に周りの声に耳を傾け、騙されるという疑惑の中、考えに考えていく過程で、私も周りの景色が見えていった感じです。
最後の最後のどんでん返しが爽快で、ちゃんと読んでいれば、確かに伏線は貼ってあったなと。
視覚障碍者という枠を最大限に生かした内容だと思いました。
最初辛かったので、★ちょい低め。
けど面白かったので、次の作品も読んでみます。 -
Posted by ブクログ
本作は、双子の兄・英一の自殺の真相を追う主人公・英二の視点で進むミステリーだ。物語が進むにつれて多くの人々の思惑や隠された過去が複雑に絡み合っていく構成が見事である。
■ 祇園の緊迫感と、はんなりとした京都弁に潜む「排他性」
特に印象的なのは、祇園の細やかな情景描写と、そこに息づく独特な人間関係だ。一見さんお断りに代表されるような、その土地特有の風習や歴史が緻密に描かれており、どこか息苦しさを覚えるほどの「排他的な空気」が作品全体を包み込んでいる。
登場人物たちが操る、はんなりとした美しい京都弁。それは一見すると柔らかく、誰も嘘はついていないように思える。しかし、その言葉の裏には、よそ者を寄せ付けない壁と、徹底して「本音」を隠し通す凄みが秘められているのだ。この絶妙な心理戦により、何気ない会話の持つ意味がのちに180度反転し、読者は何度も予想を裏切られることになる。
■ 誰も悪者にできない、切なすぎる結末
終盤で明かされる兄・英一の死の真相は、あまりにも切ない。誰か一人の明確な悪意によるものではなく、それぞれが相手を想って重ねた「配慮」や、言葉の裏に隠した「秘密」が少しずつすれ違い、最悪の結末へ結びついてしまう。伝統ある土地の「言わない美徳」が、結果として悲劇的な連鎖を生んでいく展開には、胸が締めつけられる。
■ 総評:本音を伝える勇気を問いかける名作
読み終えたあと、相手を傷つけないための配慮や言葉の裏に込めた優しさが、必ずしも正解とは限らないのだと強く考えさせられた。ときには泥臭くても、本音をストレートに伝える勇気こそが必要なのではないか。
本作は、格式を重んじ老舗を守るための「腹の探り合い」や伝統的な風習、そして京都弁を極上のミステリーのギミックへと見事に昇華させている。もちろん、これは伝統的なコミュニティを舞台にしたフィクションとしての演出であり、現代の京都の誰もが常に言葉の裏を探り合っているわけではないだろう。しかし、その特殊な舞台設定だからこそ、人間の普遍的な心の機微やすれ違いの切なさが、よりいっそう鮮烈に描き出された傑作だ。 -
Posted by ブクログ
結構楽しめる。
大雪の日、大人気作家の御津島磨朱李が細部までこだわった新邸のお披露目会が行われた。
招かれたのは作家と編集者、文芸評論家と……。
最初は和やかな雰囲気だったが、次第に雲行きが怪しくなっていく。
奇想天外、どんでん返しの魔術師による衝撃のミステリー!
個人的には吹雪の館ものだと、ホラー風味が効いてて、不穏な雰囲気を醸す話が好きなので、物足りなくは感じる。
あと犯人の動機がそれなりに軽いと感じてしまい、それでいいのか・・・?と腑に落ちない点が引っかかる。
でも、伏線張りまくり、仕掛け盛りだくさんで送られるクローズドサークルミステリーでかなり楽しめる一冊。
物語中の描写だったり挿話が、結末まで読むことで「そういうことかぁ!」と合点がいくのは爽快。
謎解き、伏線の回収などミステリーとしての醍醐味に特化した内容だと思う。 -
Posted by ブクログ
脳内カロリーの消費が凄まじい……!
主要な登場人物が「大山正紀」だらけ。どの大山正紀なのか混同しないように、そして何より仕掛けに騙されないぞ!と神経を尖らせながらの読書だった(汗)
物語は、世間を騒がせた女児惨殺事件の犯人と同姓同名であったがために、人生を狂わされた男たちの群像劇。失われた平穏とアイデンティティを取り戻すべく、「大山正紀同姓同名被害者の会」を立ち上げるが…。
そんなに都合よく大山正紀さんが何人も集まるの?という野暮なツッコミはこの際置いといて、何ともアクロバティックな設定の妙にワクワクしながら読んでいく。個性豊かな大山正紀たちが織りなす奮闘劇の末路には驚かされた。
本作が描くのは、名前が持つイメージや先入観の恐ろしさがあるけど、一方で作中のSNSを通じて暴かれる人々の無自覚な攻撃性には恐怖を感じた。誹謗中傷、同調圧力。なぜ人はネットの舞台に立つと、これほどまでに過剰な正義を振り翳し、攻撃的になるのだろうか。現代社会の歪みが、生々しく突き刺さる。
兎にも角にも、本作は一気読みがオススメ。間を開けると、ん?どの大山正紀だっけ?と、こんがらがってしまうので、まとまった時間を確保して一気に読んでしまうのがイイと思う。