田村義進のレビュー一覧

  • ゴルフ場殺人事件

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    読んだ本 ゴルフ場殺人事件 アガサ・クリスティ 20251005

     ポアロシリーズが長編で34冊。時間をかけて読んでみようと思ってます。
     アガサ・クリスティの小説は、いろんなミステリー作家がいても未だに超える人はいないって思わせるほど、よくできたお話ばかりで、「ABC殺人事件」なんてプロファイリング小説の元祖みたいなもんで、読み返してみても、うーんって唸らせてしまう。どこかにヒントが隠れてて、それを見過ごしてラストまでいってしまうとホントに悔しくなってしまう。
    「ゴルフ場殺人事件」は、まだ初期の作品のせいか、正直まだ成熟してないような気がしますが、それでも色んな気になる手掛かりが、残りのページ数でまだ何かあるって教えてくれます。
     それにしても、ヘイスティングスなんて老境に差し掛かってると思ってたのですが、この物語の中では恋なんかしてまだ若いのかな。
     次は何読もうかな

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    2025年10月05日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    (⁠⌐⁠■⁠-⁠■⁠)安定感がスゴイ。菊地秀行の魔界都市ブルースみたい。

    ⊂|⊃
    [ಠ⁠_⁠ಠ]美女とのセックスが羨ましい。

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    2025年09月19日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    依頼、業態の説明、エイレングラフの力技(金の力など)による勝利、という水戸黄門のように紋切り型の展開を繰り返す様式美の短編集。エイレングラフが強引に(捏造、買収、なんでもありでむしろ作中一番の悪では)勝利をもぎ取り成功するし、まあまあ俗物で依頼人が美女だとすぐフィジカルな関係になったりするの、やりすぎてていっそ清々しかった。外見にコンプレックスがあるからお洒落に心血注いでるのかな?なんだかかわいい(笑)
    1篇が数ページなので隙間時間に読むのにちょうど良かった。

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    2025年09月07日
  • 白昼の悪魔〔新訳版〕

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    ネタバレ

    読みやすーい!
    読書がちょっとマンネリ気味でもクリスティーはさくさく読めるし楽しい。でも今回は読書脳があまり働かず、登場人物の名前と特徴があまり一致しない状態で読み進めてしまって、クリスティーを読んでるときの楽しさはいくらか少なかった。もったいないことをした。
    物語の展開も王道のポアロシリーズという感じで、さまざまな証拠や状況が散りばめられて一気に収斂されていく。
    他の扼殺事件の話が出てきたときは、絶対関係あるんだよわかってる!!と思いながらも関連性は思いつかず…これわかる人いる…??

    アリーナは男をたぶらかす悪魔のような女性だと思われていたが、最後に実はその逆で、アリーナが男に依存してしまう可哀想な女性だ、という表裏一体の性質を明らかにするのは、女性の視点ならではだな、と思う。

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    2025年09月03日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    殆ど同じパターンで話が始まり、そして終わる。なかなかに一つ一つば面白いとは思うのだけれど、種明かしをされても、それほどの爽快感もなく…

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    2025年06月22日
  • 死ぬより老いるのが心配だ 80を過ぎた詩人のエッセイ

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    ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが新たに録音した「虚空のスキャット」が全編ドナルド・ホールに捧げてられてあるので、興味本位に読んでみた。

    この詩人の作品に思い入れがあれば、また別の読後感があったのかな、と思う。

    老境にいたり、死を覚悟しても、煩悩に悩まさせる姿がなかなかいい味を出している。

    「ワシントンD.C.の雪男」の章がいい。

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    2025年05月25日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

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    1936年の作品。
    エルキュールポアロシリーズ長編12巻。


    あらすじ
    イラクのアッシリアの遺跡調査団を率いるレイドナー博士は、美貌の妻、ルイーズの付き添いとして看護婦のミス・レザランを雇う。ルイーズはとても美しく聡明な女性だったが、亡くなった前夫のフレデリックボスナーから「他の男と結婚したら殺す」と脅迫状が何度も届いたことで常に怯えていた。
    果たして、ミスレザランが雇われてまもなくルイーズは何者かに殺されてしまう。たまたまバグダッドに旅行中だったエルキュールポアロはこの事件の捜査を依頼される。犯人と思われるのは、ルイーズの亡くなったはずの夫フレデリックボスナーと、その弟のウィリアム。そのどちらかが調査団に紛れ込んでいると見て捜査を始めるが…。



    感想
    今から90年前の遺跡調査団の様子が伝わってきて、異国情緒溢れる作品です。
    が、、肝心の殺人事件に関しては…自信満々のポアロに思わず「そんなわけあるかーい!」とつっこんでしまった。
    クリスティ作品はどれも大好きですが、たまにそんなバナナなオチ?のものもありますね笑。
    看護婦さんが語り手となってるのも珍しい。もしやアクロイド殺しパターン?!と思ったら違った。いつも助手をコケにしまくるポアロですが、女性相手だから優しめな感じがします。

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    2025年04月12日
  • ゴルフ場殺人事件

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    面白かった!
    物語が二転三転して、ああこの感じ。この感じ。と。
    とても軽い、読みやすい印象。
    ヘイスティングスが主役なのではと思ってしまった今作でした。。。笑

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    2025年03月23日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    弁護士エイレングラフが主人公の12件の事件を扱った連作短編ミステリー。法外な報酬でどんな被告人も無罪にしてみせる凄腕の弁護士、とは言え法廷に持ち込む前に無罪釈放を勝ち取る。どんなやり方も辞さない超ブラッキーな方法で。けしからんと言うべきなんだろうけど、あまりに馬鹿馬鹿しくて虚脱するしかなかった。

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    2025年03月16日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    毎年のミステリランキングに能く見られる事ですが、内容の良し悪しよりも「今まで散逸していた作品群が一冊に纏められて読める」事に対し、票が集まったような気がしました

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    2025年03月11日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    エイレングラフ弁護士に依頼すれば、たとえ依頼人が殺人事件の真犯人だったとしても無罪になる…という凄腕悪辣弁護士が主人公の短編集。
    謎解きミステリではなく犯罪小説か。
    短編が12話収められているが、どれも展開が大筋では似ているので、個人的には中盤からは少々食傷気味。

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    2025年01月28日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

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    久々のクリスティー!
    本書はなんといっても、看護婦ミス・レザランの手記で語られるのが特徴。
    やはりクリスティー作品に出てくる、職業意識の高いご婦人は頼もしいですね。彼女目線の”ポアロ描写”にもくすっと笑ってしまいました。

    『ナイルに死す』と同じく、中東の世界観たっぷりな今作。
    生涯の伴侶となったマックス・マローワンと共にこの地を訪れたクリスティーには、どんな風にこの景色が映っていたのか……とレザランの手記を通して想像できます。余談ですが、ポアロさんはこの事件の後にオリエント急行に乗って”あの事件”に遭遇するそう。うーん、コ○ン君(笑)。

    登場人物が多いのはいつものことですが、今回は職業も国籍もバラバラということで当初はなかなか苦戦しましたが、物語も半分くらいまで進むとしっかりキャラクターの輪郭が濃くなっていくのがさすがのクリスティー。
    そして、妄想としか思えなかった犯人も、シンプルながらしっくりくる謎解きに十分納得でした。
    こちらはまだドラマ版が未鑑賞なので、「松明を持って湿地から姿を現わし、男を惑わす妖精」と評されるルイーズがどんなふうに描かれているのか、観るのが楽しみです。

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    2025年01月18日
  • ポケミス読者よ信ずるなかれ

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    人里離れた狩猟クラブで起こる殺人事件。犯人は?
    密室殺人、名探偵…ミステリーの王道要素に加えて、探偵からの解説が度々挟まれ読むのに時間がかかった。その分、楽しめなかった。結末もなぁ~。

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    2025年01月09日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    CL 2024.12.12-2024.12.14
    どんな依頼人でも必ず無実にしてみせる、なんとも危険な弁護士エイレングラフ。
    どうやって?そのためには手段を選ばないのです。ほんとに、ほんとに選ばない。
    12篇の短編集で、ひとつ一つの事件を深く掘り下げないところがまたいい。
    久しぶりのローレンス•ブロック、楽しめました。

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    2024年12月14日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

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    ポアロシリーズ12作目。1936年の作品。
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    テル・ヤリミア遺跡調査団宿舎の間取り図が出てきたところで、前に読んだことがあると気がつきました。そのあとで犯人も思い出しだので伏線とミスリードを確認しながら読んだのですが、これがなかなか楽しかった。
    アガサ・クリスティーはやっぱり犯人がわかっててもおもしろいなあ。
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    遺跡発掘現場が舞台で、考古学者と再婚した美しきミセス・レイドナーが調査団たちに巻き起こす不協和音が事件の発端となるというのが、設定からして皮肉めいています。
    アガサ・クリスティーが考古学者と再婚したのが1930年。とうぜん、彼の発掘調査に同行したこともあるでしょうし、その時に現場で敬われると同時に邪魔者扱いされたこともあったのかもしれません。
    発掘現場である中東を美化していないところもいいです。
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    (15ページ)
    でも、バグダッドの不潔さと混乱ぶりは信じられないくらい。『千夜一夜物語』から想像されるようなロマンチックなものなんてどこにもない。
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    (76ページ)
    本当にがっかりだった。発掘現場は土と泥の山で、大理石もなければ、黄金もない。美しいといえるようなものは何もない。これなら、クリックルウッドにある叔母の家のほうが、まだ見栄えのする遺跡になるはず。
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    90年近く前の作品で、イギリスの上流階級の人々を中心とした登場人物といった違いはあるものの、ミセス・レイドナーをめぐる女性たちの嫉妬と羨望の視線は現代にもあるあるな感じで、こういうところがアガサ・クリスティーの普遍性だなと思います。
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    性格の悪さを隠そうとしないシーラが特に好き。
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    (221ページ)
    「死んだひとの悪口を言っちゃいけないというけれど、それはちがうとわたしは思うの。事実はあくまで事実よ。言っちゃいけないのは、むしろ生きてるひとの悪口じゃないかしら。生きてるひとは傷つく。死んだひとは傷つかない。でも、死者がなした悪は死後も生きつづける。とかなんとか、シェークスピアも言ってるでしょ。」
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    クリスティーはいろんな出版社からいろんな訳が出てますが、どの訳でもいいなら、ハヤカワの旧装丁旧訳で満足なので、あえて新訳で読むというルールを自分に課していて、今回は2020年出版の新訳版を選んでいます。
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    旧訳と比較はできませんが、固有名詞が解説もなく結構でてきます。
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    「P・G・ウッドハウスの小説」とは美智子皇后が言及したことで日本でもちょっとブームになった『ジーヴス』シリーズあたりですね。
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    「セイリー・ギャンプ」はディケンズの『マーティン・チャズルウィット』に出てくる看護婦。wikiの訳ではセアラ・ギャンプ。
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    「イアーゴー」は有名だけどシェークスピアの『オセロ』の登場人物。
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    ミセス・レイドナーの本棚のタイトルも調べてみました。
    『相対性理論序説』はベルグマン著。
    『ヘスター・スタノップの生涯』
    日本語訳だと法政大学出版の『オリエント漂泊
    ヘスター・スタノップの生涯』が見つかりました。
    『思想の達しえるかぎり』はバーナード・ショーの作品。
    『リンダ・コンドン』も実在の小説のようです。
    『クリュー列車』は日本語訳が見つからず。
    どれもなかなか難しそうな本ですが、すらすらと説明しているポアロは読んだのか。
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    ミスター・エモットとの会話で『雪の女王』が出てきますが、カイ少年のことはおぼえていてもゲルダを忘れてるのが驚き。ゲルダ、主人公なんですけど!
    (こういう視点で見ると雪の女王とカイ少年の関係って未成年誘拐みたいなもので結構ヤバい。)
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    (278ページ)
    「子供のころ読んだ北欧の童話で、雪の女王とカイ少年が出てくる話があります。ミセス・レイドナーはその雪の女王です。いつもカイ少年を連れて歩いていました」
    「ええ。ハンス・アンデルセンの童話ですな。たしか少女も出てきたはずです。ゲルダでしたっけ」
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    あと、「ヴァン・アルディン」は『青列車の秘密』に登場する大富豪「ヴァン・オールディン」のこと。
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    (137ページ)
    「エルキュール・ポアロという人物をご存じでしょうか、博士」
    「ええ、聞いたことはあります。ヴァン・アルディンという人物が高く評価していました。たしか私立探偵でしたね」
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    「人生は戦場なんです。ピクニックじゃない。」とか名言も多い。
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    (206ページ)
    「わたしもよく冗談を言って笑います、マドモアゼル。でも、冗談ではすまないこともあります。わたしは仕事で多くのことを学んできました。そのなかでもっとも恐ろしいのは、殺人は癖になるということです」


    以下、引用。

    35
    駅に着き、プラットホームにおりたって、まわりを見まわしていると、ひとりの青年が近づいてきた。顔はまん丸で、頬っぺは真っ赤。P・G・ウッドハウスの小説の登場人物のようだ。

    41
    パーティー会場で全部の男性からダンスを申し込まれないと気がすまないひとを、わたしはこれまで何人も見てきた。

    48
    「お待たせしました、みなさん。セイリー・ギャンプのお見えですよ」と、コールマンはディケンズの小説に出てくる看護婦の名前を出して言った。

    59
    部屋はきれいで、家具は簡素だけど、ベッド、整理だんす、洗面スタンド、椅子など、一通りのものは揃っている。
    「お湯は朝とお昼と夕食のまえに持ってきてくれます。それ以外の時間なら、廊下に出て、手を叩き、使用人が来たら、こう言うのよ。ジブ・マイハール。覚えられる?」

    68
    〝ドナルドが(アーサーでも誰でもいいが)いまも生きていたら〟という言い方をする者は多い。でも、もし本当に生きていたとしたら、ごくありきたりの太った、気むずかしい、ロマンチックなところなどかけらもない中年男になっているにちがいない。

    76
    本当にがっかりだった。発掘現場は土と泥の山で、大理石もなければ、黄金もない。美しいといえるようなものは何もない。これなら、クリックルウッドにある叔母の家のほうが、まだ見栄えのする遺跡になるはず。

    137
    「エルキュール・ポアロという人物をご存じでしょうか、博士」
    「ええ、聞いたことはあります。ヴァン・アルディンという人物が高く評価していました。たしか私立探偵でしたね」

    142
    「あなたはわたしを見くびっていますね、お嬢さん(マ・スール)。プティングの味は食べたらわかる、といいますぞ」
    〝プティングの味は食べてみないとわからない〟、という諺のつもりだろう。

    172
    ポアロは手紙を受けとると、注意深く目を通しはじめた。指紋をとるための粉末を振りかけるでもなく、顕微鏡を持ちだすでもないので、少しがっかりしたが、考えてみれば、お年もお年なので、新しいものにはついていけないのかもしれない。普通に見て、読んでいるだけだ。

    187
    コールマンの立ち居振るまいは、血のかよった生身の若者のものというより、P・G・ウッドハウスの小説のなかの滑稽な登場人物のもののように思える。

    206
    「わたしもよく冗談を言って笑います、マドモアゼル。でも、冗談ではすまないこともあります。わたしは仕事で多くのことを学んできました。そのなかでもっとも恐ろしいのは、殺人は癖になるということです」

    209
    ポアロは紅茶に角砂糖を五つ入れて、スプーンでゆっくり掻きまわした。

    221
    「死んだひとの悪口を言っちゃいけないというけれど、それはちがうとわたしは思うの。事実はあくまで事実よ。言っちゃいけないのは、むしろ生きてるひとの悪口じゃないかしら。生きてるひとは傷つく。死んだひとは傷つかない。でも、死者がなした悪は死後も生きつづける。とかなんとか、シェークスピアも言ってるでしょ。」

    222
    「いわば女性版のイアーゴーといったところよ。あのひとにはドラマが必要だった。でも、自分が舞台に立つことはなかった。いつも裏で糸をひき、それを眺めて楽しんでいただけ。」

    230
    大人の男は子供のように保護され、守られているわけじゃない。ときには性悪女に出くわすこともある。あちこちでいろいろな女性と出会うはずです。スパニエル犬のように忠実な女性もいれば、〝死ぬまであなたのもの〟と誓う情の深い女性や、おせっかいで口やかましい鳥のような女性もいるでしょう。人生は戦場なんです。ピクニックじゃない。

    278
    「子供のころ読んだ北欧の童話で、雪の女王とカイ少年が出てくる話があります。ミセス・レイドナーはその雪の女王です。いつもカイ少年を連れて歩いていました」
    「ええ。ハンス・アンデルセンの童話ですな。たしか少女も出てきたはずです。ゲルダでしたっけ」

    344
    それは本棚に並んでいた本のタイトルを見てもあきらかです。
    『ギリシア人とは何者なのか』、『相対性理論序説』、『ヘスター・スタノップの生涯』、『クリュー列車』、『思想の達しえるかぎり』、『リンダ・コンドン』等々。
    そこからわかるのは、第一にミセス・レイドナーが現代科学と文化に大きな関心を持っていたということ。つまり、それだけ知的な女性であったということです。『リンダ・コンドン』や『クリュー列車』という小説を読んでいたということは、男に束縛されない、自立した女性に共感を寄せていたということでしょう。レディ・ヘスター・スタノップにはその人間性に魅せられていたにちがいありません。『リンダ・コンドン』は女性による女性の賛美の書であり、『クリュー列車』の主人公は情熱的な個人主義者です。『思想の達しえるかぎり』は、感情的にではなく知的に生きよと説いています。

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    2024年12月14日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    ネタバレ

    エイレングラフに依頼したらどんな人でも無罪。
    この文章の通り。具体的に何をしてくれたのかはよくわからないけど、高額の報酬と引き換えに例え殺人犯だろうと必ず全員無罪になる。

    そこを楽しめるかどうかで作品の評価が変わる。
    正直自分は絶対犯人だし無実の別の人が犯人の身代わりになったのかもと思い、もやもやして仕方ない。
    ただ作者はすごいなあとは思った。

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    2024年12月09日
  • エイレングラフ弁護士の事件簿

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    実態を持って登場するのは弁護士エレイングラフと依頼人だけ、という異常ともいえる設定のなかでよく書けたな12篇も、と感服。ブロックに弄ばれた感が多々。楽しかった。そして、思いがけない"あとがき"と杉江松恋さんの解説に感謝。

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    2024年10月07日
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕

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    【ポアロ】
    語り手が看護師なのが新鮮で良い。
    考古学者夫人の心身に不安があるとのことで、看護師エイミーは夫人の付き添いを依頼される。
    でもみんな何かを隠していておかしい…。
    それが何なのか先が気になり、人間ドラマも丁寧で面白い。
    ポアロの「殺人は癖になる」という言葉が怖かった。

    ツッコミどころはあったけど、ストーリーと異国情緒な雰囲気が好きだったので気にしないことにしよう(^_^;)

    オリエント急行の事件は、このメソポタミアの帰り道だったとは!ポアロの灰色の脳細胞はなかなか休めない。
    ★3.5
    Audibleにて。

    これでAudibleのポアロとノンシリーズは全部聴いてしまった(TOT)
    Audibleのクリスティー作品は、ナレーターさんの演じ分けが上手で、過剰な演技もないので物語に入り込みやすくて本当に楽しかった!

    これからAudibleにもっとクリスティー作品が増えると良いなぁ。(7月23日に『もの言えぬ証人』が配信スタート予定)←でも紙の本で読んでしまった(T_T)

    紙ではまだまだポアロを読むけど、Audibleではマープルへ!
    ミス・マープルは田舎の噂好きのおばあさんのイメージにどうしても興味が持てず、1冊も読んでこなかった。
    ミス・マープルとポアロはどう違うのか?
    違いも楽しみ(⁠•⁠‿⁠•⁠)

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    2024年07月17日
  • ポケミス読者よ信ずるなかれ

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    メタフィクション。正直期待外れだが、自分の理解度がかなり低くて作品の肝である人間関係がいまいちわかっていない。再読して人間関係をメモして整理すべきだと思う。しかしそこまでする価値があるかは疑問だ。間にあるミステリのコラムが本体でストーリーはクソ長い例え話なのでは?
    メタフィクションとしては振り切ってないし本編のミステリーは人間の魅力に欠けるし中途半端な作品。

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    2024年07月09日
  • ポケミス読者よ信ずるなかれ

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    凝り過ぎ!うんちく部分は申し訳ないけど途中からとばしちゃいました。ラストで設定変わるし、かなり忍耐力必要。そして、ミステリーがこんな終わり方でいいの?実験的だとは思うけれど、モヤモヤ、、。東野的雰囲気で面白くないわけじゃないので、本筋だけで突き抜ければ良かったのでは。

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    2024年06月19日