マハラジャの葬列

マハラジャの葬列

小説・文芸
2,530円 (税込)

12pt

1920年6月、英国領インド東部に位置する藩王国サンバルプールの皇太子がカルカッタで暗殺された。インド帝国警察のウィンダム警部は、皇太子と同窓生だった相棒で同居人ののバネルジー部長刑事と共に真相を追いサンバルプールへ赴く。だが、王宮の独特な慣習に翻弄されて捜査は難航。しかも、さらなる暗殺事件が起こり、背後には英国諜報機関の影が……歴史ミステリの傑作シリーズ第2弾。ウィルバー・スミス冒険小説賞受賞作。

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

マハラジャの葬列 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    大英帝国の植民地への傲慢と欲望、そしてインド土着の神秘と倫理と権威、西洋と東洋のそれぞれの思惑としがらみがぶつかり、権謀術数の最中に放り込まれるサム・ウィンダム警部とバネルジー部長刑事。
    怒涛の一巻で、「こんな清廉でピュアで非の打ち所がない奴が裏切らないはずがないだろ」とバネルジー部長刑事を怪しんでいたはずが、まさかの裏切らず、ラストでウィンダムと同棲もとい同居を始めてしまった衝撃から、二巻も買ってしまいました。あまりに面白い。

    二巻も英国の権威を振り翳しながらインドの神秘に踏み込むようなウィンダムの捜査にドキドキしながらも、どこか怪異のようなインドの倫理とのぶつかり合いに息もつかせない展開。
    このウィンダム警部が、クールで冷静なのですが、一巻よりもずっと矮小な、「普通のイギリス人っぽい」のが魅力的。
    バネルジーと同居したり、彼が被支配のインド人だからこそ見せる支配層白人への忖度を自覚していたり、差別にフラットな側面もある。でも同時に、他のインド人のことは薄ら見下している節があり、かつ「白人の女性がインド人のことを本気で愛している」ことを許せなかったり…不思議なのが、自分の中の偏見や差別感情を俯瞰してもいる。
    そして酒と女と阿片に滅法弱い(笑)相も変わらず阿片のこととなるとバカになるウィンダム。愛おしさすらあります。
    対して隣にいるバネルジーは、女性の前でまともに話せないという欠点はあるものの(笑)オックスフォード卒でクリケットがうまく、かつバラモンというインドカースト制度の頂点の家柄で、金にも困っていない。ウィンダムは白人という一点で、バネルジーを部下とできている。そんな歪な植民地の現状。
    そしてその地に生きるインド人たちは、信念があり、活力があり、美しく、逞しい、魅力的な人ばかり。作者はインド系イギリス人三世というのを知ると、インドへの美しすぎる憧憬すらも感じられる。
    1920年というインド独立への機運が高まる年。インドと日本をアジアと一括りにするのはどうかと思うけど、イギリスよりは文化的には近いんじゃないだろうか。なんとなく、因習村ホラー(=東洋的神秘)に翻弄される都会人(=西洋化された文化圏の人々)という構図を思わせる。そこに植民地の人種間の複雑な感情、特に「白人の男性」という権威ある存在から、内省と自虐を孕んだ視点。その目線こそが一番ファンタジーではあるけれど、だからこそミステリーとしてだけでなく、人間ドラマとしてもすごく面白い作品だなと感じた。

    0
    2026年09月27日

    Posted by ブクログ

    1920年6月、英国統治下のカルカッタで藩王国サンバルプールの王太子が暗殺された。現場に居合わせた英国人警部ウィンダムはインド人部長刑事バネルジーと犯人を捉えるが、それは序章に過ぎなかった。舞台は藩王国サンバルプールへと移る→

    英国統治下のカルカッタを舞台に英国人とインド人がバディを組んで事件を解決する歴史ミステリ第二弾。今作はインド東部の小国、サンバルプールが舞台。これが豪華なんだよー。インド映画みたいな感じ(知らんけど)で、読んでいて面白い。象に乗って虎狩りとかすごい……。→

    ウィンダム警部は相変わらず阿片中毒やし、バネルジーも地味にコツコツタイプで、主要キャラに華はないんだけど(オイ!)イギリス統治下のインドという世界観がめちゃくちゃ濃厚。このシリーズは歴史ミステリ的に面白いと思う。
    あと、女は強いね。以上!(笑)

    0
    2023年04月19日

    Posted by ブクログ

    思った以上に面白かった。舞台は第一次大戦と第二次大戦の間の時期の、イギリスに支配されつつもそこから脱しようと仕掛けている時代のインドの小さな藩王国。イギリスはなんとかインドの支配権を維持しようと藩王国議会という傀儡を作ろうと思っているが、それに反対する若きサンバルプール王子アディール。英国人警部ウィンダムとインド人部長刑事バネルジーの目の前でその王子が殺されて…

    0
    2025年09月19日

    Posted by ブクログ

    この著者の作品は、ほとんど知らないインドと英国の関係や歴史なんかが知れるところに興味の半分がある。3冊読み終えてしまった。

    0
    2023年01月22日

    Posted by ブクログ

    本作も面白くて夢中で読んだ!
    象や虎、マハラジャたちの豪華絢爛な生活。埃っぽい農村や豪雨。全ての描写に異国情緒やその時代特有の空気感を感じることができ、それが楽しみでどんどん読み進めた。
    インドが舞台の小説はあまり読んだことがない中で、この作品は単なるミステリーに留まらず、どっぷりインドの世界観に浸ることができるのがうれしい。

    最後のオチはなるほどね〜思ったものの、結局カルカッタの駅で私服のドーソンが何をしていたのかがよく分からず気持ち悪い。
    たまたま居合わせただけなの?

    あとまあ別にいいんだけど、ウィンダム警部は女性にうつつを抜かしすぎな気がする…別にいいんだけど…
    シリーズ1冊目も2冊目も、たった数日のうちに目まぐるしく物語が展開している中、よくそんなにしょっちゅうアニーやペンバリーのこと気にかけてられるね?!とちょっとびっくりしてしまう笑

    ただそこも含めたウィンダム警部の人間くささ、バネルジーの素直さに好感が持てる。
    二人の掛け合いはもう少し多くてもいいんじゃないかと思うので、次の作品に期待!

    0
    2023年01月12日

    Posted by ブクログ

    シリーズ第二弾。1920年の英国領のインド。その中にある半独立国のような藩王国。そこでの事件にイギリス人のウィンダムとインド人のバネルジーが捜査する。前作同様にこの時代のインドの様子、権力者の持つ力、イギリスへの憎しみと読みどころはたくさんあって面白くどんどんと引き込まれていく。事件の裏にある駆け引きや裏切り、インドの国としての動きなど時代の動きも感じられる。ウィンダムとバネルジーのコンビも深まってきてこの先がますます楽しみになるシリーズ。

    0
    2022年02月20日

    Posted by ブクログ

    前作『カルカッタの殺人』のレビューにて、「早いとこ次の現場に急行せねば!」と大口を叩いてから1ヶ月強。他の作品に気を取られてかなり出遅れてしまったが、こちらの2人も手遅れだったようだ。

    2人というのは主人公ウィンダム警部とその部下バネルジー部長刑事のこと。
    2人が警護していたにも拘らず、不覚にも藩王国の王太子が序盤で暗殺されてしまった。その刺客にも後々死なれてしまい窮地に陥るという、早々から手に汗握る幕開け。

    都市部のカルカッタとは違い舞台となるサンバルプールは藩王国で、珍しく英領に入っていない。おまけに被害者(王太子)の生まれ故郷とは言え、ウィンダムらが所属する帝国警察には捜査権がなく…。
    彼らはどう出るのか?この先は手に汗握るどころか、身を乗り出すことにもなる。

    バネルジーが上司(兼ルームメイト)のウィンダムに自由に意見や質問をするようになっているのが良い変化の一つだった。前作終盤で、ひょんなことからすることになったルームシェアが攻を奏しているのか。女性が苦手なところも次作では克服出来ているといいね!(誰目線…)

    本作は全体的に豪奢。近代化が進みつつも、エキゾチズムに溢れる王朝文化が好奇心をくすぐってくる…(にやり) マハラジャの宮殿やマリーゴールドに彩られた王太子の葬儀。映像化する際は是非総力を上げて再現して欲しい。(だから誰目線…)

    「ありのままを見るようになさったほうがいい。でなければ、いつまでたっても、わたしたちを理解することはできないでしょう」

    ラストは後味が悪い…というか、ぼやけた味がした。ことの成り行きに身を乗り出したまでは良かったが話は前進しない、手がかりになる人物らを毎回あと一歩のところで逃したりと色々歯痒かった。

    あとサンバルプールがイギリスの統治下であれば、より綿密な調査や真犯人を公正に裁くことも叶っただろう。綺麗に幕も閉じられたはず。
    だが2人をここまで遠回りさせたのは、他でもない藩王国。インド自体が(イギリスからの)独立への気運に揺れる中で、未だに独自の文化や産業で成り立っている。勿論独自なのは法律(実質的には習わしかも)も同じ。だからラストの時点で「あれからどうなった?」「これからどうなる?」な人物がわんさかいても、その国ではお構いなしでいられる。

    それがぼやけた味の正体かもしれない。
    次作は全く別物の事件で舞台は再びカルカッタに移るみたいだから、これ以上本案件に携わることはないだろう。
    もし作中に入れるなら、終盤のモンスーンにあたって頭をスッキリさせたい気分…

    0
    2022年06月14日

    Posted by ブクログ

    英国統治下のインドで捜査に挑む、帝国警察のウインダム警部とインド人部長刑事バネルジーコンビのシリーズ第二作。

    今回は『藩王国』が舞台になる。
    聞きなれない言葉だったので調べてみたら『イギリス従属下で一定の支配権を認められていた藩王(prince)の領国』という説明だった。作品を読み進めると藩王であるマハラジャといえどインド国外に出るには英国総督府に旅券発行の申請をしなければならないし、インド政庁に財務報告書を提出しなければならないという義務があるとのこと。
    だが政治や宗教、慣習や文化は認められているし『藩王国』内での捜査権は英国帝国警察といえど無い。
    それをやってしまうのがウインダムの強引さとバネルジーの家柄の高さ。

    カルカッタで暗殺されたサンバルプール藩王国の王太子とバネルジーは、英国ハロー校の同窓であり懇意とまで言えなくとも王太子から『厄介事』について相談されるほど頼りにされていた。
    彼の本名はサレンドラナートというのだが、ベンガル語で『神々の王』という意味。またカースト上ではバラモンであり、王太子より上になるとのこと。確かに王太子と御学友であってもおかしくはない。
    そのため、バネルジーは帝国警察の代表として、ウインダムは私人として葬儀に参列するという名目でサンバルプール藩王国で捜査をすることになる。

    そしてもう一人、ウインダムが未練たらたらなアニーも来ている。
    なんと王太子とも親しくしていたと言うではないか。それも王太子の弟・プニート王子から専用飛行機を手配してもらってサンバルプールでの葬儀にやってくるという高待遇。
    プニート王子もアニーに執心しプレゼント攻勢を仕掛けるし、周囲の要人たちも虜にしている。まるで『ルパン三世』シリーズの峰不二子のような女性だ。

    ウインダムはインド人のバネルジーとルームシェアをしたり、インド人とイギリス人の混血であるアニーに魅了されたりというところからあまり民族差別のような意識はないと思っていたのだが、意外にもこの作品では複雑な心境が吐露されている。
    つまり、インド人男性が白人女性と恋に落ち、白人女性がそれに応えることが受け入れられないという感情だ。その逆はOKなのだが。

    だがその心境はウインダムだけではない、現地のインドの人々にもある。サンバルプール王室の男性が白人女性を王妃として迎えることに対して非常な抵抗感を持つ民衆は多いということだ。
    それはその時代的社会背景もあるだろうし、宗教的価値観によるものもあるだろう。単純に時代錯誤だと批判できない。
    それを考えるとアニーは相当苦労したのではないだろうか。彼女がこれほど多くの男性を魅了するようになるまでにどれほどの努力と経験と勉強をしてきたのだろうと思うと、違う感情も湧いてくる。

    もう一つ、ある登場人物の言葉『真実と結果は別物』であり『真実はかならずしも正義ではない』というのが印象に残った。
    ウインダムのような英国人にとっては赦しがたいことであっても別の立場の人間からすれば受け入れるべきこと、逆に誰かにとっては大問題であってもウインダムにとっては無視できるほど些細なこともある。
    同じ言葉でも人によって全く違う意味になるというのも興味深い。

    この作品ではあまたある動機のなかで何が当てはまるのか、そして犯人は誰なのかという点において最後まで二転三転して忙しかった。
    いくつか疑問が残ったものもあるが、それも含めて『真実』ということだろうか。
    それにしても事件に振り回され政治に振り回され宗教に振り回されアニーに振り回されインドという土地に振り回されれば、阿片も吸いたくなるのも分からなくはない。絶対ダメだけど。

    ※シリーズ作品一覧
    (全てレビュー登録あり)
    ①「カルカッタの殺人」
    ②「マハラジャの葬列」本作
    ③「阿片窟の死」

    0
    2022年04月14日

    Posted by ブクログ

    ゾウさんのところで映画『バーフバリ』を思い浮かべたり、カルタゴのハンニバル将軍思い出したり。
    第1作から第3作目まで並べたら、表紙がかわいいのな。

    0
    2022年02月09日

    Posted by ブクログ

     1920年、インド・カルカッタでサンバルプール国王太子が車中で射殺された、車中にはウィンダム警部とバネルジー刑事部長も一緒だったが、犯人は逃亡し自殺、王太子は死亡した。

     王太子の葬儀がサンバルプール王国で行われウィンダムとバネルジーは葬儀に向かい王太子殺害事件の真相を探る事となった。

     舞台は、カルカッタから遠いマハラジャの国サンバルプールは地方の田舎街だが、幻想的で豪華絢爛な宮殿が思い浮かぶ。ストーリーはウィンダムとパネルジーの行動は現代なら違法捜査や不法侵入等のルール違反が多くて、ほぼ物語として成立しないが、時代的には何の問題も無く捜査がスムーズに進んで行くが、登場人物全員が怪しい、

     2人の妻と100人以上の側室とその子供達、亡くなった王太子の弟や異母兄弟、イギリス人の財務官や王宮警察官僚、王妃や王子達の愛人等、物語がとても上手く構成されているので悩み所満載だが、物語はシンプルで煩わしい思考の必要が無いのでひたすらに刑事達の行動に浸る事が出来、面白い。時代小説ならではです。

     また、シリーズ1作目の''カルカッタの殺人''同様にユーモアセンス抜群でミステリー小説なのに時々笑いが出てしまう。

     ウィンダムが後宮に聴取に行くと言うとバネルジーは宦官と同様に去勢する必要が有ると教えると、ウィンダムは''君の母親の言う通りに結婚させられる事は無くなるからいいじゃないか'' と、、おまえが行かんのかい! とツッコミを入れたくなる。

    0
    2021年08月03日

マハラジャの葬列 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

ハヤカワ・ミステリ の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

作者のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す