田村義進のレビュー一覧
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「遅い馬」シリーズというべきか、「窓際のスパイ」シリーズというべきか、MI5、保安局の左遷組たちと、その長ジャクソン・ラムの活躍を描くシリーズの第3作。
相変わらず保安局内の権力抗争に「遅い馬」たちが巻き込まれる。
遅い馬の良心、母親的役割のキャサリンが何者かに誘拐され、犯人からリヴァー・カートライトに対して保安局=リージェンツ・パークの地下にある書庫から、機密文書を盗み出すように指示が出る。
しかし、実はこの事件こそが保安局の支配を目指す内務大臣ピーター・ジャドが仕組んだもので、外部の会社に委託して保安局のセキュリティ体制を試す「タイガー・チーム」と呼ばれる者たちによる犯行だった。
しかし、ピーター・ジャドの意図に反してタイガー・チームは暴走し、キャサリンを人質に有象無象の機密情報が集められた「グレー・ブック」と呼ばれる文書を求めて、脅迫が続けられる。
新しいメンバー、というか新たに左遷されて来たマーカス(ギャンブル依存症)、シャーリー(ドラッグ依存症)が加わって、ストーリにアクションが増えてきた。
このシリーズは本国イギリスでは9作目が2025年に出たらしいが、翻訳はこの3作目までなのが残念。 -
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ネタバレ1作目よりも読みやすく感じてするすると読み終えることかできた。
ヘイスティングズのせっかちで早とちりで少し惚れっぽいキャラクター性が好きだったので、無事幸せになれて良かったなと思った。
1作目から引き続き読者から見た(ヘイスティングズから見た)第一容疑者が、ちょっとした情報1つでコロコロ変わっていくのがおもしろかった。
愛のために暴走したり、愛のために命を投げ打ったり、愛のために旧友と敵対したり。
今作はそんな愛の話だったなと感じた。
次作の「アクロイド殺し」は帯に問題作と言われているだけあって、なかなかおもしろいらしいのでとても楽しみ。 -
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ネタバレ前作に引き続き、ヘイスティングスの色恋による暴走に突っ込みをいれながらも、今回は遂に成功。
原作では結婚後、牧場経営で成功してアルゼンチンへ移住したという形で、今後の登場が減るらしい。
また、ドラマ版では結婚後、鉄道への投資に失敗したため破産し、イギリスに帰国して引き続きポアロの助手を務める。
今回の事件では、依頼を受けてポアロ達が到着してみれば既に依頼人は亡くなっているという事の始まり。ゴルフ場というタイトルだが、遺体の発見現場がゴルフ場なだけで、他にゴルフ要素はない。
ポアロの推理は結構成り行き任せな感じがあるものの、ジローというライバルの存在や(特に落ちが笑いどころ)、この事件に深く関わりのある過去の事件など、推理自体も二転三転で面白かった。
最後は収まるところに無事収まった形で概ねすっきり。
解説は、ドラマ版ポアロの日本語吹き替えを担当・熊倉一雄さん!
ディズニー作品やヒッチコック等でも馴染みのある声。
人間というものは、じつに模倣ずきの動物であります。日々の生活の習慣のなかにおいても、非独創的であり、それと同様に、習慣のそとにおいてもまた模倣ずきなのです。かりに、ある男が犯罪をするとなると、彼が犯す他のいかなる犯罪も、きわめて類似性をおびてくるのであります。〜一度成功したのに味をしめて、そのつぎもきっと成功すると主張する、あの人間性に深く根ざしているものに服従してしまいました。そのおかげで彼は、独創性の欠如の天罰を受けなければならなかったのです。p149 -
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ネタバレここまで型を崩さない連作短編も稀。
一分の隙もない着こなし、詩を嗜み、依頼人の無罪を例外なく信じる弁護士エイレングラフ。
報酬は極めて高額、ただしその支払いは依頼人が無罪を手にしたときのみで良い成功報酬型。
ただし、ひとたび合意した後は一見何も貢献していないように見え、結果的に自由を手にした場合でもその支払い義務を負う。
凄腕弁護士なのかと思いきや、法廷に出ることは皆無。
むしろ法廷に出る必要すらないようにことを運ぶ(秘密裏にかつ強引に)当世きってのどす黒悪徳弁護士。
依頼後に訪れる窮地の雲散霧消ぶりに、しばしば依頼人達はあなたが何をやったの?と支払いを拒むが、そんな輩達にはおしおきとばかりの展開が。
ちょっとずつ足し引きはあるものの、もう嘘だろと思うくらいワンパターンの繰り返し。
でも何故か楽しめてしまう不思議。
半分を過ぎて思った、これは水戸黄門やドラえもんの類だと。
やってることはだいぶノワールなのだが、崩れない物腰、直接的な記述の排除、反復の妙により、エイレングラフ像が徐々に確実に補強され、いつしかどこかお茶目さすら感じてくる。
解説、松恋さん。
クレイグ・ライス、コーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)の絶筆をローレンス・ブロックがゴーストライトしたなんて逸話も披露されていて驚き。
全然文体違うのに。
このミス2025年度版海外編6位。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
マーティン・H・エレイングラフ弁護士の弁護人は必ず無罪である。
そんな信念をもったエイレングラフが解決する12個の依頼。
・感想
こんな弁護士やだ!!でも嫌いじゃない…。
約30年にわたって綴られた短編集で、形式はほぼ一緒なので気軽に1日1遍のペースで読み進めた。
前半は好きじゃなかったエイレングラフだけど、後半になるほど彼の意外な一面や人間性も垣間見えて段々彼を面白く感じてる自分がいた。
特に好きだったのはエイレングラフの義務とエイレングラフの肯定。
義務では詩を愛するエイレングラフが、詩人である依頼人のために「諦めないで下さい、何度でも上訴すればいいのです」なんて茶番を演じてるの笑ったw
肯定はちょっとだけエイレングラフの人間味を感じられて良かった。
「私がやったんです」「いえあなたは無実です、なぜならこのエイレングラフの依頼人だから」