田村義進のレビュー一覧

  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕
    イラク~バクダッドという中近東を舞台に、『アクロイド殺し』で読者を驚嘆させた「信頼できない語り手」の概念をいかんなく発揮した今作。冒頭は、看護師のエイミー・レザランが考古学者のライドナー博士から、妻ルイーズの付き添いを依頼される場面で始まります。エイミー・レザランは護衛相手のルイーズから、スパイとし...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
    「濡れ衣への復讐のために耐え忍ぶ」という主人公の境遇から、デュマのモンテクリスト伯を彷彿とさせられる本書。作者のウォルター・モズリーは、本作に限らずギャング、ヘロイン中毒者、傷ついた魂、そして不屈の精神など、大都市ニューヨークのサバイバルをテーマとした作品をリリースしています。一連の作品でモチーフと...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
    かつて自らの女ぐせの悪さが災いし、身の破滅を招き、警察官の職を追われることになったオリヴァー。

    娘の支えもあって今は探偵業を営み生活しているが、当時の顛末には陰謀めいたものを感じており、10年以上経った今もいささか納得がいっていない。
    そこへ舞い込んだ当時の事件関係者からの告白の手紙と、冤罪と思わ...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
     びっくりするほどハードボイルドだ。
     読んでいると、80年代が舞台かと思うようなハードボイルドものだが、i-padなんかが出てきて現代に引き戻される。

     複数の事件が主人公を軸に複雑に交差するため、ストーリーを見失うこともあったが、少し前のページに帰りながらも面白く読めた。現代ニューヨークの人種...続きを読む
  • 書くことについて ~ON WRITING~
    幼い頃から書いて読むことに親しんできた己の人生を振り返りつつ、その波瀾万丈で手にした〈小説づくりの極意〉を教えてくれるエッセイ。


    面白かった。キングの小説は『スタンド・バイ・ミー』しか読んだことがなく、シングル・マザーの家庭で育ち、IQの高い兄を持ち、若いうちに結婚してアルバイトや教師をしていた...続きを読む
  • メソポタミヤの殺人〔新訳版〕
    久しぶりの読書で久しぶりのポアロ。

    「最後に意外な人物が犯人だと判明すること」が楽しみでぐんぐん読み進めた。ポアロが登場してからが楽しすぎる。

    メソポタミヤの殺人というタイトルではあるけど欧米人の間で起こった事件だし、主な舞台が建物内なので、異国情緒があふれる…という感じではない。

  • カルカッタの殺人
    インドが舞台のミステリーなんて、読むのは初めてじゃなかろうか。描写が素晴らしくて、ぐいぐい引き込まれて読んだのだけれど、宗主国と植民地、差別もいっぱいで、今からしたら「なんとまあ」なんだけど、この時代にはこれが当たり前だったんだよなあ・・・と。もしこの物語をイギリスではなく日本にしたら、舞台は上海あ...続きを読む
  • 書くことについて ~ON WRITING~
    分かりやすかった。
    小説と人生といった感じで、経験そのものが小説に投影されるんだなと感じた。
    細かいけどペプシが出てきたのには笑った。そういやアニーがペプシを警察官に渡しとったなと。
    とても丁寧でオススメの作家が載っているので、次に読みたい本リストにした。
  • 流れは、いつか海へと
    嫌いなアメリカノワールものだったが、広いものの面白みが味わえた。
    ハヤカワミステリの王道を行くような流れ、展開、そして警察という巨大組織の悪を自らの孤軍奮闘ともいうべき砕身で戦う黒人探偵。
    筆者Wモズリーはペンを30年も寝かせていたのである・・尤も握っては居たろうが。
    2019、満を持して❓描いた世...続きを読む
  • ゴルフ場殺人事件
    アガサ・クリスティー再読中。
    『ゴルフ場殺人事件』はポアロシリーズ第2作で1923年の作品。

    前にも読んでいるのですが、そのときは田村隆一訳だったはずと思って調べたら
    1959年、ハヤカワ・ポケット・ミステリ
    1982年、ハヤカワ・ミステリ文庫
    2004年、クリスティー文庫
    が田村隆一訳。
    201...続きを読む
  • 書くことについて ~ON WRITING~
    小説を書く上で参考になることがたくさん。ストーリー重視の作家なんだなぁと思った。テーマが先でストーリーが生まれるのではなくて、ストーリーを考えるなかでテーマが浮かび上がってくる、という話が印象的。また、台詞によってその登場人物のキャラクターを表現できるという話になるほどなぁと思った。最後の生きること...続きを読む
  • 書くことについて ~ON WRITING~
    物書きのための本でした。ただのハウツー本ではなくキングを通して「書くことについて」学ぶ、というより、知識を得るための本だなと思いました。定期的に読み返したいです。
  • 流れは、いつか海へと
    主人公のオリヴァーはニューヨーク市警の刑事として鳴らしていたが、ハニートラップに簡単に引っかかりレイプ犯扱いされ、妻に見捨てられ警察をクビになり、いまは私立探偵をしている。娘だけを生きがいとして生きてきたが、そこにハニートラップを仕掛けた女性から手紙が届く…直後別のもう一人の女性から黒人ジャーナリス...続きを読む
  • カルカッタの殺人
    時は1919年、インド、カルカッタ。
    イギリス統治下にある町のうらびれた小路でイギリス人高級官僚の惨殺死体が発見される。

    事件の展開から特権階級の利権がらみのスキャンダル隠しの匂いがぷんぷんするよくありそうな話。

    東と西の洋の交わる場所で独特な情緒、社会事情、人間模様を背景に繰り広げられる展開が...続きを読む
  • ゴルフ場殺人事件

    わかりそうでわからない

    ヒントは最初から全部示されていたはずなのに
    最後までわかりませんでした。
    もう少し真剣に読まないとダメかな。
  • 書くことについて ~ON WRITING~
     作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
     私は本を読むのがそんなに速い方ではない。それでも、一年に七十冊から八十冊は読む。そのほとんどは小説だ。読みたいから読むのであって、何かを学...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
    読み進めずにはいられないんだけど、登場人物が多すぎて途中で何が何だか訳が分からなくなってくる、けどなんか面白い。なんだこれは?
  • 流れは、いつか海へと
    今のこの国のように、役人や警察が民衆のために働くのでなく、自分たちの利権を守るために働くのが当たり前になってくると、頭の切れる警官なら自分が正規のルールに従って動くことが自分の所属する集団の中にいる他の者の目にどう映るか、だいたい分かるだろう。法や正義を盾にとって、いつか自分に害を及ぼすことになるだ...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
    二つの事件が並行して解き進められていく話。久々に翻訳もののミステリ読んだ!という充実感があります。

    とはいえ、関係者が結構多くて「あれ?この人前に確か名前出てきたけど何だっけ・・・??」と戻りながら読むので時間がかかる。老化だなぁ。しかし手間暇(?)かけてもしっかり把握したくなったのだから物語に引...続きを読む
  • 流れは、いつか海へと
    身に覚えのない罪で警察をクビになり現在は探偵として生きるジョー。ある事件を追うなかで自分の過去とのつながりを見つける。ハードボイルドの王道のような、でもそれだけではなく今の空気もあって面白い。とても読み心地がよくてずっと読んでいたかった。