廣嶋玲子のレビュー一覧
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薄気味悪い住人が集い、怪しい大家が取り仕切る、この世の果てのような長屋―-通称「化け物長屋」に住む女・お百は生まれつき左目が青い。
その目は青いだけでなく、不思議なものを見つける力、人には見えないものが見える力を宿している。それゆえに実の親からも疎まれ、様々な苦労をしてきた。
行き遅れたまま三十路近くになった今では、すっかりひねくれ、やさぐれ、かつ開き直っており、不思議な目を使って「失せ物屋」を営んでいる。
お百の青い目に宿った山神の鱗を取りに来た子狸・焦茶丸もすっかりいついてしまい、奇妙な「失せ物探し」に精を出す一人と一匹。
焦茶丸をライバル視する子狐・真白がやってきて、お百の眼の鱗を奪お -
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Posted by ブクログ
ネタバレ宝石にまつわる8つのお話。
「水晶」
魔法使いの弟子ハキームは、修業の辛さから師匠の水晶を盗んで逃げだす。師匠の水晶の力で占い師として富豪となったハキームだったが、ある日水晶がにごりはじめる。
「ルビー」
婚約者に裏切られ、返してほしいと言われたルビーの指輪。新しい恋人に贈ることを妬み、ルビーに呪いをかけたエラ。
呪いは見事に彼らを不幸にしたが、20年後、幸せに暮らすエラの前に指輪があらわれる。
「ベゾアール石」
大貴族ジャッフルの奴隷となり、辛い日々を送っていた奴隷アッバ。ある日山羊をさばいていると胃の中からにぎりこぶしほどもある石を見つける。この石がアッパにもたらしたものとは?
アッパは -
Posted by ブクログ
8つの石の物語。
水晶、ルビー、珊瑚といったメジャーなものから、ベゾアール石と言った少し変わった石まで。
世界中の国を旅するような物語は、まるで千夜一夜物語。
異国情緒に満ちた、アラビアンナイトの世界が広がる。
少し怖い話も、心優しくなれる話も、それは色とりどりの宝石のごとく。
トルコ石の物語はお気に入り。
羽の生えたように外を飛び回る息子を案じる、母親の気持ちに立つからだろうか。
子供はいつも親から離れようとする。
親はいつも子供を全ての災禍から守ろうとする。
でも、時にはいってらっしゃい、と送り出す勇気も必要だ。
心の中でいつもいつも子供たちの幸せと安全を深く想いながら。
オニキスとア -
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Posted by ブクログ
『銭天堂』の著者による、宝石や鉱石をモチーフにしたシリーズ。
ふりがなや挿絵もふんだんについているので、小学校中学年以降からおすすめ。
石とは魅力的で、米粒の先より小さな石ひとつでも高額なものがある。
かと思えば河原にごろごろと転がっている石も。
長い年月をかけて作られた石は、魔力のように人を吸い寄せる。
本書ではラピスラズリ、琥珀、トパーズ、翡翠、黒真珠、ダイヤモンドの物語が収められている。
ラピスラズリの物語は、深い海の青、ウルトラマリンを顔料として描いた絵画の話である。
悲しい目をした少女を、徒弟が描く。美しくはにかんだ顔ではないそれは、彼女の本質を表している。
無名作家が現れては消