中山市朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.5
それは「呪い」と呼ぶには、生々しすぎた。
感情の残滓。粘つく執着。何かの、なれの果て。
怪異蒐集家・中山市朗による、実話怪談。双子の姉妹が織りなす、凄まじいまでの執着と嫉妬。そしてそれがもたらす怨念の連鎖。
「なまなり」とは、恨みが骨の髄まで染み、鬼と化す寸前を指す。怨みが言葉を持たず、しかし確かに形になろうとする、その発火点。
本書は怪異譚という枠を超えて、人間の怨念の深淵と、その不気味なリアリティを映し出す。読後の静寂は、決して安堵ではない。むしろ、底知れぬ闇が確かにそこにあることを、実感する時間なのだ。
人を呪わば穴二つ。
呪いは姿を変え、名を捨て、ただ影として這い寄り、気づけば隣にいる。それだけだ。逃げ場など、最初からどこにもない。
いじめ、嫉妬、そして怨念の渦は、私たちの日常の隣でも起こり、迫ってくる。
怨念は姿なきまま、誰かの祈りの隙間に入り込み、誰かの言葉にならない嘆きに絡みつき、やがて静かに、確実に、日常の隙間から侵食していく。ただただじわじわと、言葉になる前の感情に寄生するようにして、皮膚の裏側を侵していく。
人の悪意がどれだけ歪で、長く尾を引くのか。因果応報という言葉ではもう足りない。
中山市朗は語っていた。「呪いから逃げるのは難しい。呪いを受けないように生きるのだ」と。
最近、動画サイトでよく怪談話を聞く。うまい怪談師は時代背景や物理現象、心理的要因などを巧みに操り、実際にあった話なのだと、ひたひたと迫ってくる。
だが、中山市朗の語りは、それだけでは済まない「何か」がある。
まるで語ることそれ自体が、なにかを引き寄せる呪術であるかのように。
夕暮れでもないのに、影がやけに長い。
すりガラスの向こうの人影は、誰のものだろうか。
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Posted by ブクログ
著者自身がYouTubeで話していたのを半分ほど聞いていましたが、後半は予想を上回る恐ろしい展開にゾッとした。脚色無しの実話ということを踏まえると、語り手が述べているように読者も「呪い」の類を信じる信じないの二元論ではなく、事実として受け入れざるを得ないとなってくる。最も解釈は自由ではある。読み終えて、頭に過ぎったことは被害者?家族に起こった長きにわたる不幸は、呪をかけた一人がもたらしたものなのか、その家系にまつわる過去の怨念的なものなのか、誰も明確な説明をしないので分からなかった。事実はミステリー小説のようにすっきりとは終わらない、このようなものだろうと考えれば余計にこの本で語られたことが恐ろしく思えてきた。
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Posted by ブクログ
大掛かりな呪いでも仕掛けているんじゃないか、もしくは土地の祟りに触れたのかと思わせる「まだらの坂」。まず「まだら」のビジュアルがしんどい、恐怖の前に異様さしかない。それが治った後に恐怖に変わるので、すごく嫌。
「靴」「工事現場」「女であって人ではない」「ピアノの修理」「家を買った」と土地に関わっているであろう怪異怪談が多かったなという印象です。
「山の霧」「目」もそうか。山という場所そのものが、身近にありながら異界に通じている場所をいうことを、気づかせてくれる怪談。
「野球のボール」これ怪談ではあるけども、実は事件につながっているのではないだろうか。そう考えると闇の深さが恐ろしくなる。復讐の話になるのでね。
「ノブヒロさん・後日談」執念の深さと怖さ。恐怖を覚えながらも、どこかで覚悟をしているエツコさんの諦観というような語り口が、さらに怖さを覚えさせます。
当事者にしかわからないことがあるのだ。他人がどうこういうことでない、ということなんでしょうが、それを誰の意思でそうなっているのか、そういう深読みをしてしまうと、彼の執念の怖さに震えが止まらない。
「まだらの坂」通じて、これが‘一番恐怖だった、圧倒的なのはこれ、というのはないのだけど、平均的に80点以上の怖さを叩き出してくる1冊でした。 -
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日常で遭遇する恐怖をまとめた怪談実話集。
サブタイトル「市朗百物語」「市朗百物語 赤い顔」「禍々しい家」「四季異聞録」「黄泉からのメッセージ」「あの子はだあれ?」「黒いバス」「山の足音」に続く、怪談狩りシリーズ9。
八甲田山雪中行軍遭難事件など、歴史的な事件にまつわる一連の怪異の総括も収録する。
自分にもありうるような、また実在する場所や出来事からの怪異など、リアル感たっぷりでかなり怖かった。というか今も怖い。
サブタイトル「葬儀猫」を含む57話。
公園のおばさん
流行らない店
トンボ
リセットするよ
空き缶
ファミリー・プラン
絆創膏
葬儀猫
悪魔祓い
エクソシストのテーマ
百三十円
山の集団
感じのいい男
獣臭
面布
毒じゃ、毒じゃ
後日譚
怖い三階
娘のユキ
赤いマニキュア
オオサキケイスケ
赤信号
大黒柱
落ちる
アイヌの人形
常連の客
心霊本
早番
忍者レストラン
大毎地下名画鑑賞会
神隠し
祭
捜索
憑かれやすい体質
自分
持ち込まれたビデオ
真夜中の宴会
仏壇
付き添い
呼ぶ声
杣の山
杣の山・後日談
お骨仏
百年目の八甲田山
八甲田山怪談の背景
八甲田山怪談、取材のエピソード
八甲田山怪談の隠された真実
記録に残らない八甲田山の怪談
英霊からのメッセージ
録音スタジオの怪
壊れたパソコン
氷点下の怪談ライブ
五十年目の千日前
煙
もう、やめとけ!
ココア・パウダー
令和の千日前怪談 -
Posted by ブクログ
「杣の山」「八甲田山後日談」「千日前デパート」
禁忌に触れている印象が強く残る3編。終盤に畳み掛けるようにおいているのは、勘弁してもらいたい。
「八甲田山」関連が怪異を呼び起こすのは、どれだけ敬意を払っていても、お金が発生する形態をとってしまっているからではないかな、と思ってしまった。その片棒を担いでいる自分が言うのも何ですが。
敬意で思ったのは「真夜中の宴会」。傍若無人な振る舞いのせいで自業自得なことになってしまうのはよく聞く話ですが、きちんと礼儀作法を守れば、きちんと加護を与えてくれるという典型かな。ほっこりしました。また、無礼なことして怒られるのかな、と思って読んでいただけに、余計にね。
敬意なしということでは「杣の山」の怖さが際立つ。全国にいくつかある本当に入ってはいけない聖域・禁域の一つということですが、これって過去にあった奈良の山もそうなんじゃないでしょうか。アルミサッシ建て替えようとすると…という話からはじまるやつです。「大黒柱」もなんだか近い趣を感じます。
「持ち込まれたビデオ」はフェイクな感じがしました。カメラを撮り続けるのはまだいいとして、最後に語りかけてくるのが違和感。
タイムリーというか時節柄これからも増えてゆく怪異体験であろう「面布」。不謹慎ですが、何らかの大きな出来事があった時って、怪異を期待してしまう自分がいる。
そういう不謹慎さがあるから、「八甲田山」のようなことになるのか。
節度と敬意が大事。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ百物語式から代わり短編物に、話は減った分一話一話が怖い、一番怖かった
「口元」
義母に暴力を振るう息子、家から逃げたい義母、仏壇に現れるおばあさん。過去に何かがあって義母が呪われて息子も影響を受けて暴力を振るうようになったのか…と勘ぐりたくなる
「深夜の訪問者」
「全体がグリーンがかった外の様子。そのモニターの半分が、一人の女の左半分の顔で占められていた」
怖っ怖っ怖っ、想像すると怖すぎる。シンプルだけど目に情景が浮かんできてゾッとする
「角部屋からの訪問者」
個人的今作最怖エピソード
あの四つん這いの女のせいで前の住人は自殺したんじゃないかな…そして引っ越しをしないNさんの図太さがすごい
「ビデオテープ」
変なところにあるVHSは触れないほうがいい(リング感)
「ミサちゃんがいる」
怖いんだけどどこか悲しいミサちゃん…
Mさん一家の優しさが救いか
「気持ちのいい部屋」
「彼氏、できていた!」その彼氏は本当に実在している存在だったのかがすごい気になった
「置屋」
最怖エピソード2
知っている人が自分達の死神になるとかいう絶望。黒髪の何かがB君を取り込んで手駒にしているって解釈でいいのかな
山の牧場については未必修なので実物読んでみたいなぁと思っ